「あの小娘のせいでエデン条約の襲撃は失敗した」
「私自身が崇高へと至るためにはもう手段は選んでいられませんね」
「『ロイヤルブラッド』と……そうですね、『予言の大天使』も生贄として使用しましょう」
「私が崇高に至れると共に邪魔をしてきた小娘への嫌がらせともなる……まさに一石二鳥といったところでしょうか……」
「ふふふっ……ふはははは!」
絆の逆流、断ち切られた安息
ティーパーティーの庭園を包む午後の陽光は、あまりにも穏やかで、優しかった。かつての戦火も、裏切りも、深い疑念も、今はもう遠い過去のことのように思える。
ミカとセイア、そしてナギサ。トリニティの頂点に立つ三人がこうして一堂に会し、茶会を開けるようになるまで、どれほどの時間がかかっただろうか。多くの傷を負い、すれ違いを繰り返した彼女たちにとって、この静寂は何物にも代えがたい「奇跡」そのものだった。
「……ふふ。こうして三人で紅茶を飲むなんて、本当に久しぶり。ねえ、ナギちゃん、セイアちゃん」
ミカが少しだけ照れくさそうに笑い、ティーカップを口に運ぶ。ナギサは感極まったように目を細め、愛用のティーカップをソーサーに戻した。
「ええ、本当に……。色々なことがありましたが、こうしてまた、皆さんと穏やかな時間を共有できる。これ以上の幸せはありません」
ナギサの言葉に、セイアは予知の力を失いつつある澄んだ瞳で、庭園に咲く花々を眺めながら静かに頷いた。
「そうだね。失った時間は長く、負った傷も浅くはない。けれど、私たちはまた、こうして集まることができた。それは何よりも尊い、一つの解答なのだと思うよ」
その安らぎの輪のすぐ傍らで、一人の少女が静かに佇んでいた。セイカとアカネの娘であり、セイアにとってはかけがえのない親友であるケイだ。ケイは、親愛と慈しみを込めて、セイアの華奢な手をそっと握りしめていた。
彼女の指先からは、セイカの手によって組み上げられた永久機関「ルミナス・コア」の、微かだが力強い拍動が伝わっている。それはまるで、不安に揺れがちなセイアの心を繋ぎ止める、目に見えない「絆の錨」のようだった。
「……セイア。ようやく、平穏が戻りましたね。良かったです」
ケイの声音には、深い安堵が滲んでいた。
「ああ。ありがとう、ケイ。君がずっと私の隣にいてくれたから、私は自分を見失わずに済んだんだ。君という存在こそが、私の暗闇を照らす光だった」
セイアの返答に、ケイは小さく、けれど満足げに目を細めた。二人の間に流れるのは、言葉を超えた純粋な共鳴。混じりけのない信頼の回路。
それを数歩後ろで見守るセイカとアカネもまた、確かな平和を感じていた。セイカの背後で休められた青い翼は、いつでも有事に対応できるよう静かにその時を待っている。アカネは優雅な所作で紅茶を注ぎ足しながら、給仕としての完璧な立ち居振る舞いの裏で、庭園の境界へと鋭い警戒の視線を走らせていた。
「周辺に異常はありません。安心してお茶をお楽しみください、皆さん」
アカネの落ち着いた声が場を和ませる。
「(……周辺、異常なし。一分の隙もない、完璧な守護。……そうだね、これでいい)」
セイカは心の中で短く断じた。自分が最高傑作として生み出し、愛娘に託した「ルミナス・コア」、そのプロトタイプは、ケイの生命を支えるだけでなく、彼女が愛する者たちをも守る最強の盾となるはずだった。ようやく揃ったティーパーティーの三人が、二度と引き裂かれないよう、その守りは鉄壁であるはずだった。
だが。その「平和」という名の完璧な防衛網は、あまりにも卑劣な、想定外の死角から貫かれることになる。
異変は、一瞬だった。ケイとセイアが繋いでいた、その手の隙間。温かな体温が通い合っていたはずのその場所から、どろりとした、言葉にできないほど「不潔な黒い霧」が噴き出した。
「(……っ!? なに、これ……!)」
直感的に、セイカの背筋に冷たい戦慄が走る。だが、彼女が動くよりも早く、ケイの体内にある「ルミナス・コア」が激しく唸りを上げた。
「……ッ!? 精神回線に、致命的なノイズを検知……これは、悪意……?」
ケイが驚愕に目を見開く。彼女はまだ、この「不快なノイズ」の正体を知らない。そして、その悪意の主が、セイカの敷いた防御——「ルミナス・コア」を正面から突破するのではなく、あまりにも狡猾な「位置エネルギーの利用」を選択したことも。
何者かが放った「色彩」の毒。その汚染がケイのコアに触れた瞬間、永久機関はそれを「排除すべき不純物」として即座に認識し、凄まじい反発エネルギーで弾き飛ばした。
しかし、その瞬間、ケイとセイアは物理的に接触していた。弾き飛ばされた膨大な呪詛のエネルギーは、「ルミナス・コア」という最強の拒絶壁に阻まれ、唯一の「逃げ道」として、つながれていたセイアの精神回路へと一点集中で逆流したのだ。
「……ッ、が、あああああああああああああああああッ!!!」
静寂な庭園に、セイアの、魂を切り裂くような悲鳴が響き渡った。
「セイアちゃん!?」
ミカが叫び、ナギサが驚愕で手にしていたカップを落とす。
「セイアさん! 何事ですか、これは……っ!」
「セイア!? ……バイタル、急落。ヘイローに深刻な浸食を確認……。そんな、私の、私のせいで……っ!」
ケイの腕の中で、セイアのヘイローが、見たこともないほど禍々しくスパークする。セイアの瞳から光が急速に失われ、白目を剥いて身体が硬直する。彼女の繊細な神秘は、ケイのコアが弾き出した「毒」の直撃を受け、内側からボロボロに焼き尽くされていく。一分の隙もないはずの、セイカの防衛網。それは外側からの弾丸に対しては、文字通り無敵だっただろう。
だが、「娘と親友の絆」を通信路として利用され、内側から流し込まれた正体不明の呪いには、物理的な翼は届かなかった。
「……セイア。起きてください、セイア! しっかり、しっかりしてください……!!」
ケイは、自分の手が、親友を壊すための導火線になってしまったという現実に直面し、言葉を失った。
倒れ伏すセイア。震える手で親友を抱きしめ、虚空を見つめるケイ。
その光景を目にした瞬間、セイカの背後で展開された青い翼が、かつてないほどの高出力でプラズマを撒き散らした。周囲の木々が物理的な圧力でなぎ倒され、地面は黒く焦げ、空気そのものが怒りに焼かれて震え始める。
「……観測完了。……敵は、私の娘と、その絆を利用した」
セイカの声は、もはや生物のそれとは思えないほど冷酷で、静かな「抹消」の意志に満ちていた。
「……アカネ。ケイをお願い。……一人にさせないで」
「お任せください、セイカさん。……お掃除が、必要ですね。……徹底的に、やりましょう」
アカネもまた、倒れたセイアをミカへと預け、その瞳に一切の慈悲を捨てた冷徹な輝きを宿した。ようやく揃ったはずのティーパーティー。その安らぎは、無惨にも打ち砕かれた。
後に残ったのは、愛する娘を絶望させた不条理を、一分子残らず歴史から消去しようとする、家族の苛烈な殺意だけだった。
ミサイルをすべて撃ち落としたセイカちゃんに嫌がらせしながら崇高に至りたいな〜
↓
でも直接狙ったら返り討ち似合うよな〜
↓
せや! 周囲のヤツ狙ったろ!
ついでにセイアちゃん欲しいな
↓
お、いいところに狙いやすい目印あるやんけ
突撃したろw
↓
セイカ・アカネ「お前を殺す 」デデン!
ベアおばならやる。あのドブカスなら間違えなくやる。