未来を統べる翼と、優しいメイドの家   作:天野江

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永劫を紡ぐ観測士たちの夜天

 

 

 

 玄龍門と玄武商会が共同で手配した厳戒ルートは、驚くほど静粛だった。

 張り詰めた空気が漂う山海経の中央特区を抜け、幾重ものセキュリティを通過し、宇宙戦艦『ソラノミ』へと至る。一行は大きな妨害に遭うこともなく、目的地であるソラノミの医務室へと無事に到着した。

 

 自動扉が滑らかに開くと、そこは無数のホログラムディスプレイが淡い光を放つ、静謐な空間であった。

 外界の喧騒とは隔絶されたその部屋の中央には、ミレニアムサイエンススクールの技術の粋を集めた、いくつかの巨大な医療器具が設置されている。そして、それらに太い無数のケーブルで接続された、まだ未完成の巨大な球体――永久機関『ルミナス・コア』が、冷たい金属の光沢を放ちながら鎮座していた。

 

 メインコンソールの前では、観測士であるセイカが、徹夜明けを感じさせない静かな眼差しで、絶え間なく流れる複雑な数式と幾何学的なデータを処理していた。背後の足音に気づくと、彼女はキーボードを叩く手を止め、ゆっくりと振り返り、短く息を吐いた。

 

 

「……皆さん、お疲れ様です。先生も、急に巻き込んでしまって……申し訳ありません」

 

 

 いつもの落ち着いた、理知的で丁寧なトーン。けれどその表情は、一同が何事もなくここに辿り着いたのを見たことで、少しだけ安堵のニュアンスに緩んでいた。

 

 

「……お父さん。ターゲットである『最後の一片』、無事に確保して持ってきました」

 

 

 ケイが背筋を伸ばし、その手元を差し出しながら静かに報告する。そのすぐ隣から、アカネがメイド服のポケットに手を伸ばし、先生から譲り受けたあの青輝石の欠片をそっと取り出した。

 

 

「はい。これでようやく、セイカさんが何日も、何ヶ月もかけて計算し、組み上げてきた『ルミナス・コア』の、本当の基盤が揃いますね」

 

 

 恋人であるアカネから、そして我が子であり愛おしいケイから手渡される、微かな光を放つ青輝石。

 それを受け取る瞬間、セイカの張り詰めていた瞳が一気に柔らかく、温かい温度を帯びたものに変貌した。

 

 

「……ありがとう、アカネ。……ふふっ、無事に帰ってきてくれて、安心しました。……ケイも、よく頑張りましたね。……本当に、えらいです」

 

「……はい、お父さん。無事に任務を完了できて、私も嬉しいです」

 

「ふふっ、本当にお利口さんですね、ケイ。……さあ、セイカさん、これでラストピースは揃いましたよ」

 

 

 アカネが愛おしそうに目を細めて促すと、セイカは甘く穏やかな微笑みを口元に浮かべ、手元にあるシールドケース入りの青輝石を、コアの心臓部にあたる最も深いコンポーネントへと、細い指先で慎重に組み込んだ。

 

 カチリ、と硬質で厳かな音が響き、欠片がコアの内部構造へ静かに固定される。

 

 張り詰めた静寂の中、管制室の巨大なホログラムディスプレイが一瞬だけ大きく明滅した。しかし、そこに表示されたシステム全体の進捗バーは、全体の数パーセントほど、僅かに右へと動いただけで動かなくなり、『構築待機状態』の文字を冷たく浮かび上がらせた。

 

 

「……おや? 画面が『待機状態』のままだが……これ、まだ動かないのか?」

 

「画面の表示を見る限り、エネルギーの定着を待っている段階のようですね。物流の管理でしたら慣れておりますが、こうした精密機械の処理は専門外です。難しいこと以外でしたら私にも判断がつくのですが」

 

 

 ミナのすぐ後ろに控えていたレイジョがハキハキとした口調でそう言った。彼女は並ぶディスプレイの数式を実務的な目で見つめつつも、自分の領域ではないことを冷静に弁えている。セイカは再び観測士としての冷静で客観的な口調に戻り、ホログラムディスプレイの数式を見つめながら静かに首を振った。

 

 

「……はい、レイジョさんの言う通りです。ルミナス・コアは1日2日で完成するような代物ではありません。本来なら何日も、何ヶ月もかけて、演算を重ねてようやく基礎が形になったものですから。……石を組み込んだからといって、すぐにその場で全てが解決するわけではないんです。これより、さらに気の遠くなるような長期の同調プロセス、および環境データの最適化演算を経て、初めて実用に足る永久機関へと組み上がっていきます。とは言いつつも、メテオストライカーやケイに使われている試作品のデータを応用できるのでそこまではかかりませんが、それでも数週間はかかります」

 

「なーんだ。一発でパッと治る魔法の道具ってわけじゃないんだね」

 

 

 ルミが腕を組み、ふう、と息を吐きながら苦笑を漏らす。その視線は、コアに接続された大きな医療器具へと向けられていた。

 

 

「まあ、ウチの門主サマの体内にある毒を、未来永劫にわたって綺麗さっぱり洗い流し続けるための永久機関なんだから、そりゃ一筋縄じゃいかないよね。でも、何の手がかりもないまま放置する理由はもっと無いし、これで確実に一歩前進ってわけだ」

 

 

「ああ。焦って不完全なものを動かす必要は微塵もないが、一刻も早く万全な状態に戻ってもらわねばこちらとしても困るからな。門主様の執務がこれ以上滞れば、それだけ山海経全体の承認書類の山が、私のところに流れてくるのだ……」

 

 

 ミナが少しだけ肩を落とし、大袈裟にため息をついて見せると、部屋の奥に置かれた上質なソファーの陰から、静かで、圧倒的な威厳に満ちた声が響き渡った。

 

 

「……ふむ。随分と言ってくれるではないか、ミナ」

 

 

 そこにはキサキが、いつものように凛とした、一点の隙もない佇まいで座っていた。いつもに比べれば、その白い肌は少しだけ優れず、血色も万全とは言い難い。しかし、決して起き上がれないわけではない。その瞳には、一切の衰えを感じさせない深い知性と、玄龍門の主としての強固な誇りが確かに宿っていた。

 

 

「あっ、門主様! 起き上がっても大丈夫なのですか!?」

 

 

 ミナが一歩前に出て、弾かれたように心配そうな声を張る。その過保護とも言える取り乱し方に、キサキは静かに目を細め、フッと不敵に微笑んだ。

 

 

「案ずるな、ミナ。少しばかり、一日に動ける時間が短いというだけのことじゃ。玄龍門の主たる者が、この程度の毒に遅れをとるはずもなかろう。……それに、セイカ。お前が一人で、あの不格好で、不完全だった試作品の段階からずっと、誰にも頼らず孤独に研究を重ねてこれを創り上げてくれたのじゃ。一朝一夕で成らぬことなど、妾も百も承知。これからじっくりと、その完成を見届けさせてもらうぞ」

 

「……キサキさん、そう言っていただけると助かります。……はい、これは私が試作型の検証から始めた、私の確定事項ですから。必ず完璧な形で調律してみせます。ですから……あまり、無理はしないでくださいね」

 

 

 セイカがその論理的な物言いの奥に、確かな気遣いを滲ませて言葉を返すと、同じくメインコンソールの前に立っていたセイアが口を開いた。

 

 

「……なるほど。確かにその通りだ。どれほど優れた数式を並べようとも、世界の事象というものは、一瞬の火花ではなく、絶え間ない潮流の果てに結実するもの。君の演算を一緒に追ってきたが、セイカ、君が紡いできたその『波』は、今ようやく大いなる川へと繋がったようだね」

 

 

 静かに仲間としての親近感を伴った口調で語るセイア。彼女は自身の大きな狐耳を微かに揺らし、深遠な眼差しでルミナス・コアの青い光を見つめている。彼女にとって、ここまでの進捗はすべて織り込み済みだった。

 

 

「ええ。私たちが集めてきたデータと、セイカさんの演算が、ようやくこれで完全に噛み合ったということです」

 

 

 アカネが隣から淡々と、しかし確信を込めて語ると、セイアはふっと優しく微笑んだ。

 

 

「その通りさ、アカネ。私たちはこの目で直接、世界が直面する『毒』と、それに抗うミレニアムの英知を観測するために、最初からここにいるのだからね。せっかくの旅行だ、このような珍道中もまた、一興というものだろう。……それに、私たちの隣にいる彼女も、随分と真面目に私たちの行く末を見守ってくれていたようだ」

 

 

 セイアが視線を向けると、その隣に直立不動の姿勢で立っていた少女――飛鳥馬トキが、抑揚のない声で、しかしどこか生真面目な響きを伴って口を開いた。

 

 

「はい。……なに不都合もなく、皆さんが無事で何よりです。ピース」

 

 

 トキは感指先で小さなピースサインを作って見せた。

 

 今度はルミが、持参していた大きな重箱をそっと近くのローテーブルに置いた。

 

 

「そういうことなら、まさに長期戦の構えだね! キサキ、今日の分の動ける時間はもうすぐ終わりでしょ? 玄武商会特製の、体に優しい薬膳粥を作ってきたから、これを食べてあとは大人しく寝ててよ」

 

「会長のおっしゃる通りです。長期にわたる調整を見越すのであれば、まずは適切な管理と栄養摂取が基本となります。さあ、冷めないうちにどうぞ」

 

「……うむ。ルミの料理はありがたいが、妾を子供扱いするな。まだ少しは動けるわ」

 

「はいはい、お粥が冷めないうちにどうぞ。ミナも、あんまり門主サマを質問攻めにしちゃダメだよ?」

 

「くっ、私はただ、門主様の御身を案じて……! それに、玄龍門の護衛官として、状況を正確に把握する義務が……」

 

"ミナの気持ちも分かるけど、ルミの言う通り、今はキサキの身体が最優先だよ"

 

 

 少しだけ賑やかになる医務室の空気の中、それまで一連の流れを静かに見守っていた先生が、一歩前に出て優しく声をかけた。その声に、一同の視線が自然と先生へと集まる。

 

 

「先生。環境の異なる山海経まで足を運ばせ、さらに其方の私物であった石を、我が身のために譲り受けることになったな。……感謝するぞ、先生。妾を気遣うその優しさ、しかと受け取った」

 

 

 キサキはソファーに深く腰掛けたまま先生をじっと見つめ、柔らかく目を細めた。

 

 

"ううん、気にしないで。キサキのためになるなら、この石もきっと喜んでるよ。それに……"

 

 

 先生はそう言って微笑むと、メインコンソールの前に佇むセイカへと、誇らしげな視線を向けた。

 

 

"セイカがたった一人で、最初の試作品からここまで大切に作ってきた『ルミナス・コア』だもんね。その最終段階のピースとして、私の持っていた石が役に立てるなら、こんなに嬉しいことはないよ"

 

「……先生。……はい、ありがとうございます。……この石の持つ未知の波形がなければ、永久機関としての循環が成立しないところでした。観測データは、これが唯一無二の最適解だと示しています」

 

 

 先生の言葉に、セイカは少し照れくさそうに、けれど誇らしげに微笑んだ。それを見届け、先生はさらに腰を屈めてキサキの目線に合わせるように言葉を続ける。

 

 

"キサキ、今は動ける時間が少し短くて、色々ともどかしいかもしれない。でも、ルミの美味しいお粥を食べて、ミナや、ここにいるみんなを信じてゆっくり休んでね。焦らなくても、永久機関を完成させるための時間はまだあるのだから"

 

「ふむ……。先生にそこまで言われては、無下に突っぱねるわけにもいかぬな。其方の言葉通り、今は大人しく身体を休めるとしよう。ミナ、その粥をこちらへ」

 

「は、はい! 只今!」

 

 

 キサキが満足そうに小さく息を吐き、ルミの作った温かい薬膳粥に手を伸ばすのを見て、医務室の空気は一層穏やかなものへと変わっていった。一刻を争う命の危機ではないからこそ、ここにいる全員が、確実な未来を見据えてそれぞれの役割を果たそうとしている。

 

 セイアはその様子を微笑ましそうに見つめながら、静かに呟いた。

 

 

「……一晩の奇跡を信じるよりも、何日もかけて確実に繋ぎ止める命の形。ミレニアムの合理性とは、冷徹な数字の裏にこれほどまでに温かい執念を隠し持っているのだね。エデン条約のあの混沌を乗り越えた今だからこそ、こうして静かに命を繋ぐ英知の尊さがよく分かる。実に興味深いよ、先生」

 

"そうだね、セイア。セイカがずっと諦めずに積み重ねてきた時間が、こうってみんなを繋いでくれたんだと思う"

 

 

 先生がそう言って頷くと、セイカは一つ深く頷き、その真剣な横顔で再び無数の数値が踊るメインコンソールへと向き直った。

 

 

「……はい。最後の一片の組み込みによる、エネルギー波形の初期観測を開始します。……これより、ルミナス・コアの本格的な長期構築プロセス、および医療器具への接続シミュレーションに移行します。……演算終了まで、ここからさらに数日は要するかと」

 

 

 セイカの細い指先が、流れるような精度でキーボードを叩いていく。部屋の中央に鎮座するルミナス・コアの奥深くで、組み込まれた青輝石が、小さく、けれど決して消えることのない微かな光を灯し始めた。それは、一朝一夕では成し得ない大きな挑戦の始まりであり、これから長い時間をかけてキサキの身体を確実に救い、彼女を万全な状態へと戻していくための、確かな希望の灯火であった。

 

 初期観測のフェーズに入ると、医務室内のホログラムディスプレイは、それまでの激しいデータ更新から、一定のリズムを刻む安定したスクロールへと変化した。セイカの指先がキーボードから離れ、彼女は静かに肩の力を抜く。その様子をすぐ隣で見守っていたアカネが、そっと彼女の肩に手を置いた。

 

 

「セイカさん、ひとまずは初期の定着が上手くいったようですね。お疲れ様です」

 

「……はい、アカネ。……ふふっ、アカネが隣にいてくれたおかげで、計算にブレが生じませんでした。……本当に、ありがとうございます」

 

 

 セイカはコンソールに向き合っていた時とは打って変わって、どこか甘えるような声音で囁いた。その様子を、少し離れた場所から見ていたケイが、嬉しそうに小さな声を上げる。

 

 

「お父さん、お母さん、ひとまず大成功ですね。ルミナス・コアの波形が、とても綺麗な放物線を描いています」

 

「ええ、そうですね、ケイ。セイカさんが何日も一人で頑張ってきた成果が、ようやく実を結び始めました。これもケイが、最後の一片を無事に回収してきてくれたおかげですよ」

 

 

 アカネがケイの頭を優しく撫でると、ケイは少し照れくさそうに、けれど誇らしげに胸を張った。

 ミレニアムから山海経へと至るこの長い道のりの中で、彼女たちが築いてきた家族としての絆は、この冷徹な管制室の空気を確実に温めていた。

 

 その光景を、薬膳粥を口に運び終えたキサキが、ソファーから静かに眺めていた。

 

 

「……ミレニアムの絆というものは、実に奇妙で、そして強固なものじゃな。一人で始めた研究が、こうして周囲を動かし、最終的には我が山海経の命運をも左右する機関へと育つ。……科学の力というよりは、人の繋がりの妙を感じるわ」

 

「そうですね、キサキ様。ミレニアムの技術力には驚かされるばかりですが、彼女たちのあの信頼関係こそが、あの巨大な永久機関を支えているのかもしれません」

 

 

 ミナが空になった重箱を片付けながら、しみじみと同意する。

 

 

「ここまで順調ですね。レイジョさんもご一緒に、ピース」

 

「……? その指のポーズにはどのような意味が? ひとまず、ピース……ですか?」

 

 

 レイジョがトキの突然のペースに少し動揺を滲ませながらも、大真面目な顔で同じように指を立てる。それを見たセイアが「やめないか、トキ」と苦笑混じりにそれを宥めた。

 

 

「ま、何はともあれ、門主サマが少しでも長く動けるようになるための第一歩じゃん? セイカちゃん、ここからの数日間の調整、ウチの玄武商会も食料調達から何から全面的にバックアップするからね。何でも言ってよ」

 

 

 ルミがポンと自分の胸を叩いて笑うと、セイカはそちらを向き、いつもの丁寧な敬語で頭を下げた。

 

 

「……ありがとうございます、ルミさん」

 

「任せときなって! 美味しいご飯なら、いくらでも保証するからさ」

 

 

 少しずつ、けれど確実に、異なる学園同士の協力体制がソラノミの管制室の中で噛み合っていく。その中心で、先生はただ、生徒たちが自らの意志で手を取り合い、未来を切り拓いていく姿を、温かい眼差しで見守り続けていた。

 

 

「先生、此度の一件、本当に重ねて感謝するぞ」

 

 

 キサキが再び先生へと視線を戻し、その小さな身体からは想像もつかないほどの、深く重みのある声音で語りかける。

 

 

「妾のこの状態は、すぐどうこうなるものではない。じゃが、放置すればじわじわと我が身を、そして玄龍門を蝕んでいったはずじゃ。其方が躊躇いなくその石を差し出してくれたからこそ、妾たちはこうして、焦ることなく最善の策を講じることができている。……その恩義、玄龍門の主として、決して忘れはせぬ」

 

"そんな畏まらないで、キサキ。私はただ、みんなが笑って過ごせるのが一番嬉しいだけだから。それに、セイカの努力がこうして形になるのを見られただけでも、ここに来た甲斐があったよ"

 

 

 先生がそう言って笑うと、キサキもまた、満足そうにその薄い唇を綻ばせた。

 

 

「……ふふっ、やはり其方は不思議な大人じゃな。……さて、今日の分の妾の時間は、そろそろ限界のようじゃ。ルミの粥の効能か、心地よい眠気が襲ってきたわ」

 

「ほら見なよ、だから言ったじゃん! キサキ、このまま大人しくベッドに入ってね」

 

 

 ルミが手際よくキサキに歩み寄り、その小さな身体を支えるようにして歩き出す。ミナとレイジョもまた、護衛としてその後に続いた。

 

 

「セイカ殿、アカネ殿、そしてケイ殿。ここからの留守は我々がしっかりと守る。ルミナス・コアの調整、よろしく頼む」

 

 

 ミナが毅然とした敬礼を送り、山海経の面々はキサキを伴って、管制室の奥へと引き上げていった。再び静寂が戻ってきた管制室の中で、ホログラムの青い光だけが、規則正しく揺れている。

 

 セイカはもう一度、恋人であるアカネの手をぎゅっと握りしめ、それから愛娘のケイへと微笑みかけた。

 

 

「……さあ、私達の本当の観測を始めましょう。……最高の最適解を、キサキさんへと届けるために」

 

「はい、セイカさん。どこまでもお付き合いしますよ」

 

「私もお手伝いします、お父さん、お母さん」

 

 

 三人の家族が再びコンソールへと向き直り、気の遠くなるような、けれど確かな希望に満ちた計算を再開する。部屋の中央で灯る青輝石の光は、永久機関『ルミナス・コア』の鼓動と同調しながら、ゆっくりと、しかし力強く、宇宙戦艦の夜を静かに照らし続けていた。

 

 

 

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