冥王星の彼女   作:メリーさんのアモル

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 予定より長くなってしまい申し訳ありません。
 出来れば、一話、3000文字前後に抑えたいんですけどね。


第四話「お説教の風景」

 授業後の休み時間。

 プルルートとあなたは職員室に呼び出されていた。

「自分達のしたことがわかっていますか? プラネテューヌに住むフリーの女神が、ルウィーから来ている生徒に過度の暴行を加えた。これは一歩間違えれば国際問題ですよ」

 滔々と説教するのはイストワール学長だ。本人の言葉通り、国際問題にもなりかねない事態のため、直々に学長が出張ってきている。

「はい……すみません……」

「でもぉ〜、それはそもそもあの子達がぁ〜」

 謝罪するあなたに対し、プルルートは反論する。

「事情はノワールさんから聞いて存じ上げていますが、だからと言ってあれは明らかにやりすぎです」

「まぁまぁ、いーすんも落ち着きなよ。別に人が死んだわけじゃないんだしさー」

 さらに説教を続けるイストワールを宥めるのはネプテューヌ。彼女はこの国際的にも厄介な問題に対処するべくプラネテューヌの女神として参上したのだが、いまいち緊張感がない。

「あ、今、読者のみんなも緊張感がないとか思ったでしょ? ダメだよ、この話はあくまで『超次元ゲイム ネプテューヌ』の学パロ夢小説なんだから、重い話になる方が問題なんだからね!」

「ねぷちゃん〜、誰とお話ししてるの〜?」

「いいのいいの、こっちの話だからさー」

 ネプテューヌが、明後日の方向を向いてそう言ってから、プルルートからの質問を軽くかわす。

「ネプテューヌさん、そんなことを言って。プラネテューヌに住むフリーの女神が他国の住民を傷つけたんですよ? プラネテューヌの差金と思われても不思議ではないんですからね。これから、ブランさんもいらっしゃるんですよ。そうなっても同じ態度でいるつもりですか?」

「ねぷっ!? ブランも来るの?」

「当然です。ブランさんは被害者の出身国であるルウィーの女神ですよ。授業が押している関係でまだ来ていませんが、当然、呼んでいます」

「えー、確かにブランが来ると厄介だなー。ブランはすぐキレる若者だから、怒り心頭だろうしー」

 イストワールの言葉にネプテューヌが両手を頭の後ろで組みながら思案するように呟く。ブランはルウィーの女神・ホワイトハートの事だ。ちなみにプルルートとは交友関係がある。なので……。

「え、ブランちゃんが来るの〜? ブランちゃんと会うの〜、久しぶりだな〜」

「ぷ、プルルート、まずいよ、この状況でそんなセリフは」

 あなたはプルルートの嬉しそうな言葉を注意するが、もう口に出てしまった言葉は打ち消せない。

「プルルートさん? 本当に状況が分かっていらっしゃいますか?」

 と、プルルートの言葉に呆れるイストワールが待つばかりだ。これは、説教再開か、とあなたは覚悟を決めたその時、ドタドタと廊下を走る音が聞こえてくる。

「おい! うちの国民を傷つけたって言うフリーの女神はどいつだ!」

 ガラッと力強く扉を開けて、ベージュ色の髪を短く切りそろえた小柄な少女が入ってくる。

「ブランさん、廊下を走ってはいけません」

「言ってる場合か! おい、ネプテューヌ。そのフリーの女神ってのはどいつだ! まさかとは思うが、お前が差し向けたんじゃねぇだろうな?」

 イストワールの咎めもどこ吹く風とその少女、ブランがネプテューヌに詰め寄る。

「ふっふっふ、これを見てもブランはその調子で言葉を続けられるかなー?」

 詰め寄られたネプテューヌはプルルートを両手で指し示した。

「ブランちゃん〜、久しぶり〜」

「プルルート……? どういうこと……?」

「よかった、ブランがキレモードから戻った……」

 プルルートを見ると同時、先ほどまでの剣幕が嘘のようにまるで典型的な文学少女のような大人しさで、ブランが応じる。その様子にネプテューヌがホッと息を吐く。

「どういうことも何も、ブランがさっき言ってたフリーの女神がぷるるんだよー」

「あはは、そういうことなんです……」

 ネプテューヌの説明に、再度ブランがプルルートとあなたに視線を投げるので、あなたが苦笑する。

「……どうやら、事情をちゃんと聞く必要がありそうね」

 

「なるほど、事情は理解したわ。まさかプルルートにボールをぶつけた上に、謝罪もなしにヘラヘラしていたなんて。こちらの国民にも十分に非がありそうね。プルルート、ネプテューヌ、いきなり怒鳴ってごめんなさい」

「本当だよ! ルウィーの国民はブランの見た目に似て、子供っぽくて困っちゃうねー」

「おい、テメーにだけは言われたくねぇぞ!」

 ブランが二人に謝ったが、ネプテューヌが余計なことを言ったので、ブランが再度キレる。

「ほら、プルルート、ボクらも謝るなら今だよ。向こうも非を認めてるんだし、ね」

「うん〜、ブランちゃん〜、こっちもやりすぎてごめんね〜」

「プルルート……いいのよ。イストワール学長、この件はこちらでも調査させてもらうけど、構わないわよね?」

 ブランはプルルートに微笑んでから、真面目な顔に戻ってイストワールに声をかける。

「え、もう事情は分かったのにまだ調査するんですか?」

「……念の為よ。プルルートが嘘をつくとは思えないけど、一応こちらにも国としての体裁はあるからね」

 あなたを安心させるため、ブランは真面目に微笑む。

「ほえー、ブランは真面目だねー」

「ネプテューヌさんが不真面目すぎるんです。ブランさん、調査の件は問題ありません。後ほど正式に書類をやり取りしましょう」

「えぇ、お願いするわ。それと、出来れば、公平性のために調査にはプラネテューヌの人間も欲しいのだけど」

「えー、じゃあ、まぁあいちゃんにでもお願いすればいいんじゃない」

「アイエフなら申し分ないわ。ならそれでお願いするわ」

 エージェント科の優秀な生徒であるアイエフは、既にプラネテューヌの諜報員としても活動しており、ブランも彼女のことをよく知っていた。

「はぁ、話は落ち着きそうですね。ブランさんが冷静な方で助かりました」

「ぷるるんとブランが知り合いじゃなかったら、もう少し拗れてたと思うけどねー」

「えへぇ、それほどでもー」

「よかったね、プルルート」

 イストワールとネプテューヌの言葉にプルルートが嬉しそうに照れるので、あなたもついニコニコしてしまう。

「それです!」

 だが、それがイストワール的にはダメだったらしい。

「あなたはプルルートさんを肯定しすぎです。もう少しブレーキ役になってあげてください」

 イストワールの説教の矛先があなたに向き、説教が始まる。

「まぁまぁ、いーすん。気持ちは分かるけど無茶だよ。ノワールにちょっと細剣の手解きを受けている程度の、女神でもない人間がぷるるんを止めるなんて」

「……そうね。その程度でプルルートが止まるなら、苦労はないわ。私達二人でかかっても怪しいんじゃないかしら」

 一方、意外にも女神二人はあなたのフォローに回る。

「え〜、あたし、流石にねぷちゃんとぶらんちゃん二人相手だと勝てないよ〜?」

「いや、それは流石に嘘だから」

 プルルートの言葉にネプテューヌがピシャリとツッコミを入れる。

「フリーの女神であるプルルートさんは、シェアの差で言えば、お二人とは歴然の差があるはずなんですが……」

 イストワールの言葉は最もだ。女神とは人々の信仰「シェア」により力を得る。国を興したり、国に所属している女神はその国への信仰をそのままエネルギーに変えられるが、プルルートのようなフリーの女神は本人への僅かな信仰を糧にせねばならず、強さには歴然の差があるはずだった。

「……天性の戦闘センスと、圧倒的な威圧感、後は……シェアの代謝がいいのかしらね」

「え、そんなのあるの?」

「シェアの代謝に差があるなんて、聞いたことありませんが……」

 ブランの言葉にネプテューヌとイストワールが首を傾げる。

「私なりに理屈をつけてみただけよ。真相は知らないわ。何にしても、話は終わりみたいだから、私は教室に戻るわね。次の授業は小テストがあるから、予習しておかないと」

 ブランがそう言って教室から出ていく。プルルートの強さの秘訣は謎のままだ。

「おぉー、ブランは真面目だねー。じゃ、私も教室に戻ろっかな。ぷるるんとあーくんも一緒に戻る?」

「ダメです」

 ネプテューヌの言葉に、イストワールがピシャリと否定の言葉を投げる。

「えぇ、なんでさ」

「プルルートさんとあなたさんに今回の件の反省を促すためにも、成長を促すためにも、課題を与える予定です。内容次第ではネプテューヌさんにも協力を頂く予定なので、残って下さい」

「えー、仕方ないなー」

「課題かぁ〜、やだなぁ〜」

 ネプテューヌが他人事のように笑うと、その横でプルルートがため息を吐く。

「あーくんも〜、いやだよねぇ?」

「え、ぼ、ボクは……」

 ここでプルルートに同調するのは簡単だった。

 だが。

 あなたの脳裏に先ほどのイストワールの言葉と、そして、アイリスハートを止められなかった悔しさが浮かび上がってくる。

 目線だけでちらり、とプルルートを見る。

「ボクは課題次第では、やりたい、かな……」

 プルルートのパートナーとして相応しくなりたいから、という言葉までは言い出せなかったが。

「ぷる〜ん。あーくんまで目を輝かせちゃった〜」

「あ、ごめんね、プルルート、で、でもボクは……」

「あー、もうそういうぐだぐだしたややこしいイチャイチャは私の目に見えないところでやってよね! それで、課題ってなんなの?」

 あなたとプルルートのやり取りにネプテューヌが割り込み、イストワールに問いかける。

「それについては、生徒指導のダイジーン先生にお考えがあるようです。そうですね、先生」

「えぇ、私にお任せください」

 そこに現れたのは、メガネをかけた中年のおっさんだ。

「うっそぉ、アクダイジーンじゃん、なんで先生やってんの!?」

 それにツッコミを入れるのはネプテューヌ。

「あ、アクじゃと、ワシはそんな悪代官みたいな名前じゃないわい。わしはダイジーンじゃん」

「いやいやいやいや。ね、『神次元ゲイム ネプテューヌV』や『神次次元ゲーム ネプテューヌRe;Birth3 V CENTURY』をプレイしたみんななら、この驚き分かってくれるよね?」

 明後日の方向を向いてよく分からないことを言うネプテューヌ。

「ネプテューヌさん、何を言っているんですか。ダイジーンさんは立派な生徒指導の教師ですよ。生徒たちからの信頼も厚いんですから」

「そ、そうなんだ。うーん、でも確かに原作でも『娘』達に慕われてたし、そう言う素養はあるのか」

「何を言っとるんじゃ。まぁ良いわい。で、話を始めて良いかの?」

「は、はい!」

 代表してあなたが答える。

「は〜い」

 すると、諦めたようにプルルートも応じた。

「うむ。実は本学はまもなくぴーしー大陸からの留学生を受け入れる予定じゃ」

「ぴーしー大陸? たった一人の女神が大陸全土を治めているっていう大陸ですよね?」

「そうなんだ〜。あーくん、よく知ってるねぇ〜」

「うむ。そこで、ぴーしー大陸の女神は、四人の女神が共同で大陸を治めているこの大陸に興味を持ったらしくての」

 あなたの問いかけにダイジーンはよく勉強しとるな、と頷きながら続ける。

「そこで、既に交流のあるプラネテューヌを通して、女神候補生を筆頭に何人かの学生を留学という形でこのゲイムスクールに送り込んでくることになったんじゃ」

「あ、そうそう。ネプギアがぴーしー大陸へ技術交流を指揮してたんだよねー、それだけ知ってるよー」

「なんで、女神候補生であるネプギアさんが指揮をしていて、女神であるネプテューヌさんが知らないんですか……」

 自慢げに笑うネプテューヌにイストワールは呆れている様子だ。

「それで、課題というのは?」

「うむ、留学生は皆、ホストファミリーの元にホームステイするルールだったんじゃが、直前にごたごたして、一人だけホストファミリーが決まっておらんくてな」

「まさか……」

「ほえ〜? あーくん、分かったの〜?」

 ダイジーンの口ぶりに嫌な予感がしたあなたは思わず口を挟みかける。

「うむ、留学生の一人をお主らの元にホームステイさせたいんじゃ」

 だが、それより早く、ダイジーンが言い切った。

「えええええええええ。いや、それは無理ですよ。そもそも、ボクとプルルートは同居してないですし」

「なら、すれば良い。パートナーじゃろ?」

「いやいや。思春期の男女が一つ屋根の下は危ないですって」

「ほえ〜? あたしは別に構わないよ〜?」

「ボクが構うの!」

「うわ〜、あーくんが珍しく強い言葉だ〜」

「あ、ごめん……」

 プルルートが顔を><にして驚くので、あなたは思わず謝る。

「そ、それに、その留学生もまだ子供なんでしょう? 子供三人だけの生活はまずいですって」

「うむ。まぁそうじゃろうな」

「ですよね?」

 ダイジーンがあなたの言葉を肯定したのを受けて、あなたが強く頷く。

「じゃから、ここでネプテューヌに残ってもらったことが生きてくる」

「え? 私? 私はついにぷるるんとあーくんが同居かーって、野次馬のつもりで話を聞いてたんだけど、何か私がすることあるの?」

「同居しないからね、絶対しないからね」

「そんなに嫌なの〜?」

「い、いや、嫌なわけじゃ……」

 落ち込むプルルートにあなたは困ってしまう。むしろ同居はしたいのだが、そういう訳にもいかない。

「あーくんも素直になったらいいのにねー。それで、私のすることって?」

「教会の部屋を一つ、プルルートに貸してやってくれんか?」

「え? そんなことでいいの?」

「うむ。教会なら周りに大人もいるし、何か間違いが起きそうになっても、その前に止められるじゃろう」

 ネプテューヌの問いかけにダイジーンが答える。

「いいよいいよー、ぷるるん、プラネタワーにおいでー」

「いいの〜? わーい、ねぷちゃんと同じ建物でお泊りだ〜」

 あなたの提示していた問題点は半ば強引ながら解決はしているため、あなたはそれ以上何も言えなかった。その上。

「じゃあ、その課題で問題ないの?」

「うん〜。がんばります〜」

「ちょ、プルルート」

 プルルートがネプテューヌと同じ建物、という条件に魅せられ、あっという間に頷いてしまったのだ。

「では、また数日後にホームステイする者と顔合わせをするから、その時に来るように」

「ねぇ、ぷるるん、あーくん、もう今日からうちに来なよ。早いうちに生活に慣れておいた方がいいでしょー?」

「うん〜、行く行く〜」

「うむ。迎える側が建物に不慣れでは困る。そうしてもらえると助かるわい」

 あなたが恥ずかしくて事態を受け入れられない間に、どんどんとプルルートとあなた、そしてホームステイ生の同居生活計画は進んでいくのであった。

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