冥王星の彼女   作:メリーさんのアモル

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第七話「ちょっと違う朝の風景」

 あれからさらに一日が経って、ピーシェとの生活にも慣れ始めた翌朝。

「プルルート! ピーシェ! 起きて!!」

 そう、学校のある日である。

「んー、もっと寝てたいよ〜」

「やだ! ぴい、もっとねる!」

 いつものように早起きしてコンパと一緒に朝ごはんを作ったあなたの次なる行動、それがプルルートとピーシェを起こすことであった。

「ダメだよ。今日は朝から留学生の受け入れ式があるんだからね」

 布団を実力でひっぺがすあなた。

「んん〜、今日のあーくん、いじわるだ〜」

「あーくんパパ、いじわるやだ!」

「いじわるじゃないの。ピーシェを受け入れ式に出席させなきゃいけないの」

 本当はあなたも嫌がるプルルートを起こすのは心が痛むが、ここで受け入れ式にピーシェが欠席となれば、自分とプルルートに与えられた課題である「ピーシェとのホームステイ生活」の評価に関わるだろう。

(ボクがプルルートのブレーキ役にならなきゃいけないんだ)

 そう心に決めて、あなたは再びプルルートとピーシェを揺さぶる。

「ネプテューヌさんもネプギアさんやマホさんと一緒に受け入れ式の準備のために先に学校に向かってるんだよ。二人も起きないと」

 と揺さぶるが二人は全く起きる気配がない。

「ご飯ももう冷めちゃうよ」

「ん、ごはんさめるのやだ」

 そこで、攻め方を変えるとピーシェは起きてくれた。が、プルルートはやはり起きてこない。

「このままじゃご飯食べてる間に遅刻しちゃう。ごめんよ、プルルート」

 あなたは意を決した。

 プルルートがなかなか起きてこないなら、起きるまでの間に準備を終えてしまえば良いのだ。

「ピーシェ、一人でお着替え出来る?」

「うん、できるよ!」

 ピーシェが元気に答えて、服を脱ぎ始めるのを見て、あなたはベッドに踏み込み、プルルートの上体を起こす。

「はーい、バンザイしてねー」

「え〜、あーくんがお着替えさせてくれるの〜?」

 意外にも、プルルートは抵抗せず、ねむねむなまま、両手を上げた。

 あなたはそれを受けて、ワンピース状のプルルートの寝巻きを脱がせる。

 可愛らしいパンティとストラップレスブラが顕になる。いつもなら赤面してしまうところだが、今日はそれどころではない。

 可能な限り意識しないようにしつつ、手元にプルルートの制服を引き寄せる。

 が、そこで予想外の来客があった。

「やっぱり起きてきてないわね。早起きしなきゃいけないのにネプギアが手伝えないって聞いたから、手伝いに来てあげたわよ。ネプギアに言われたからであって、あんたたちが心配だったってわけじゃ決して……」

 そう言って現れたのは、ノワールだ。

「って、あ、あ、あ、あんたたち、朝っぱらから何してるのよ!!」

 ベッドの上で下着姿のプルルートと一緒にいるのをどう見たか、ノワールがそんな震える声を上げる。

「え、ちが……」

 あなたは慌てて誤解を解こうとするが、そこでさらに混乱を増やす事態が起きる。

「あーくんパパー、ぴい、きがえたよ。ぷるるとママおきた?」

 ピーシェが着替えを終えて、二人に話しかけたのだ。

「ぱ、パパとママって……」

 ノワールが目を丸くする。

「いや、それもちが……」

「あんたたち、同居するようになったのを良いことに爛れた生活を送って娘まで……」

「そうだよ〜、あたしとあーくんはぴーしぇちゃんのお母さんとお父さんなの〜」

 誤解を解く前に、プルルートがややこしくなるような言葉をむにゃむにゃと呟く。

「ノワール、落ち着いて。そうだ、素数でも数えなよ」

「そうね。落ち着いた方がいいわよね。3.14159265359……」

「それは円周率だよ!? 本当に落ち着いて」

 あなたが必死でノワールを宥めるが、ノワールの動揺は留まるところを知らない。

「落ち着けるわけないでしょ! 三人一緒に育った幼馴染の私以外二人が爛れた生活を送って、いつの間にか子供まで作ってたのよ!」

「違うんだって! っていうか、ピーシェのことはこの前、話したでしょ?」

「話したですって? プルルートが妊娠した話なんて初めて聞いたわよ!」

 そもそもノワールとは二日前に会ったばかりなので、そんなわけないと冷静に考えれば分かるはずなのだが、ノワールは動揺してそこまで思考が至らないらしい。

「そうじゃないって、ぴーしー大陸からの留学生! ピーシェは留学生だって!」

「留学生……、そういえば、留学生がいないわね」

「だから、この子! ピーシェがそうなの!」

「ねえ、あーくんパパ、はやくごはんたべたい!」

「なんで留学生がパパなんて言うのよ! 嘘をつくにしてもまともな嘘をつきなさい!」

「本当なのにー」

「パパー、ごはんー!」

 

「そ、そう。本当に留学生だったの……」

 ようやくノワールを宥め終わり、事情を理解したノワールが溜息を吐く。

 プラネテューヌのダイニングであなた、プルルート、ピーシェが食事をしているのを、ノワールは席について眺めている。

「も〜、あーくんものわーるちゃんも酷いよ〜。折角気持ちよく寝てるのに、騒いで起こすんだもん〜」

「ごめんなさい、プルルート。あなたにいつの間にか子供が出来てたと思い込んでびっくりしちゃったわ」

「そんなわけないよ〜。私まだ、あーくんにそこまでは許してないもん〜」

「なんか引っかかる言い方ね」

 プルルートとノワールが話ている間に、あなたは食事を終えたピーシェの口元を拭いてあげる。

「ねぇ、あなたたち本当に——」

「そんなことより急ごう。バスが出ちゃう。ほら、二人とも歯を磨いて」

 嫌な予感を感じたあなたはノワールの言葉の途中で話に割り込み、プルルートとピーシェを急かす。

「だる〜ん」

「もう仕方ないなぁ、ほら、プルルート、口開けて」

「えへへ〜、あ〜ん」

 洗面所に向かった三人だったが、プルルートが面倒くさがるので、あなたが代わりに歯を磨いてあげる。

「どっちが子供か分かんないわね」

 隣でピーシェが自分で歯を磨いているのを見て、ノワールが呆れたように溜息を吐く。

「あー、ぷるるとママずるいー! あーくんパパ、ぴいも! ぴいも!」

「えぇ。ピーシェは自分で出来るでしょー、もう仕方ないなぁ」

「ちょっと、急ぎなさいよ。時間押してるわよ!」

 四人は歯磨きを終えて、教会を出て、スクールバスの停留所に向かう。

 見ると、ちょうどバスが扉を閉じるところだった。

「待って〜」

「待ってくださーい、今から乗りまーす」

 プルルートとあなたが叫ぶが、バスは発進しようとしている。

「仕方ないわね、私が止めてくるわ」

 そういうと、ノワールが加速する。

 女神化してあっという間にバスの元に到達したブラックハートがバスの運転手に声をかける。

 それで、バスが発進を中止して、扉が開く。

「ふぅ〜、疲れたぁ〜」

「あははは、かけっこたのしかったー」

「間に合ってよかった。早速課題失格の危機はなんとか回避……」

 三者三様にバスの席に座って安堵するプルルート、ピーシェ、あなた。

 バスが発進し、ゲイムスクールに向かい始める。

 

 講堂で受け入れ式が行われる。

「マホ以下、ぴーしー大陸からの留学生一同。ゲイムスクールの歓迎と受け入れに感謝します」

 イストワール学長の長話から始まり、マホのその言葉でつつがなく受け入れ式は終わった。

「ふわぁ、いーすん話長いよぉ〜」

 講堂から教室に戻る途中、プルルートがそういってあくびを一つ。

 今日もまた一日、ゲイムスクールでの一日が始まる。

(三人だと賑やかだな。けど、なんだか楽しい)

 課題だけれど、そんなことを考えるあなたなのだった。

 

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