Fate/strange True Will   作:其為右腕

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評価バーが赤くなってうれしいので初投稿です。


プロローグ③

 

 

 ――なんだこの人間たちは

 

 突如として、()()()()()()()()()()を察知し来てみれば、そこには大量の宝具を携えたただの人間。

 それが群れとなり襲ってくる。

 

 ――厄介な

 

 先ほどからアサシンが繰り出す御業(ザバーニーヤ)を潜り抜け、あまつさえサーヴァントである此方にも攻撃を繰り広げてくる。

 その一発一発が無視できない威力を秘めており、無視はできない。

 

 ――だがそれでも

 

 アサシンには為すべきことがある。

 そしてこの地に来て、初めて為したいと思えたことも。

 そのためにはまずここを潜り抜けねばならない。

 

 

 

 

 

 

 困惑していたのは何もアサシンだけではない。

 

 キャスターのマスター、オーランド・リーヴには信じられなかった。

 ここまで馬鹿正直に正面切って敵陣地に突っ込んできたものだから、最初は目の前のサーヴァントをバーサーカーかと思っていた。が、

 

「苦悶を零せ、『妄想心音(ザバーニーヤ)』」

 

 ――冗談じゃない

 

 真正面からくるアサシンなどいるものか。

 服装、佇まいからはその風格を漂わせるものはある。

 それに先ほどから、多種多様な宝具を連発しているサーヴァントは『ザバーニーヤ』と唱えている。

 

 それは山の翁(ハサン・サッバーハ)の宝具の名称――。

 

 信じるしかないだろう。

 その一つ一つが必殺の威力や効果をもたらすものもあれば、暗殺者らしい搦め手で苦しめてくるものもある。

 

 

「うおおおおおおお!!」

 

 その中でも()()()は不味い。

 おそらく触れることで発動する技なのだろうが、間違いなくその時は終わりだ。

 威力のみの技ならまだ一縷の望みはあったかもしれない。

 こちらにはその欠損を補うサーヴァント(キャスター)がいる。

 だがこれはアサシンの宝具。

 他のクラスよりも直接的に、静かに、迫りくる死の気配が濃い。

 

 ――おそらくサーヴァントであっても発動したら逃れられない。

 

 刀を振るう。

 魔腕から逃れるために。

 幸い、こちらの得物も一筋縄ではない。

 

 「・・戦えている」

 

 その腕を逃れた先には、少なからず安堵があった。

 キャスターに造らせた、原典を越える力を持つ宝具。

 それを持つ28人の精鋭部隊(クラン・カラティン)

 仮想敵は英雄王だが、試運転にアサシンはちょうどいい。

 

「・・試させてもらうぞ」

 

 そう言い、刀を構えた。

 

 

 

「ぎゃあああああ!!?」

 

 突如、悲鳴が響く。 

 

「ジョン!?」

 

 振り向けば、右腕がなくなっている隊員。

 いつの間にか、相手に気取られることなく、それを行う。

 

 ――これがアサシン

 

 

 そう思ったのだが――

 

 

 

「ブラボー! ブラボー! さすがは我が麗しのアサシン!! やはり君のその在り方はかくも美しい!! この死合もなかなかどうして、私好みの泥試合だ!! そしてこの腕も――」

 

 ――ボリバリガギグギ!

 

「ふむ、腕の味は別として、やはり宝具か。 が、やはり人には過ぎた玩具(おもちゃ)だ」

 

 壁から男が出てきた。

 そして、警官の腕と宝具を喰い散らかした。

 おそらく、ジョンの腕を奪ったのは――

 

「貴様が――」

「おっと、今は私とアサシンの話の最中だ。それを遮るというのなら、それ相応の死を貴様に与え、周りにいる虫けら諸共、その血を以て罪を償わせるぞ」

 

 警察に罪を説く者がいようとは。

 正体を探ろうとする隊員たちの間を、いないかのようにそのど真ん中を闊歩し、アサシンの目の前に立ち、うやうやしくお辞儀をする。

 

 

「この姿では初めまして、我が愛しのアサシン」

 

「我が名はジェスター・カルトゥーレ」 

 

「君のマスターであり、そして人の理を否定し、君たち人類の仇敵でもある、それすなわち――」

 

 

「――死徒、そう言われる存在だ」

 

「今後ともよろしく、名も知らぬ愛しきアサシンよ!!!」

 

 

妄想心音(ザバーニーヤ)!!」

 

 

 ――気づいたときには、体が動いていた。

 

 今の今まで、それも宝具を連発しても、この世に居続けられることに疑問はあった。

 マスターは召喚と同時に殺した。

 そのはずなのに――

 

 ひたすらに自分の未熟を悔やんだ。

 自分の勝手な振る舞いが、結果として偉大なる先達の御業を穢すことになってしまった。

 ――それも忌まわしき、死徒の魔力で。

 

「君のその純粋無垢な在り方は、いついかなるときでも愛でるべき、そういった常識は持ち合わせているつもりだ。が! 今この場では、君はもう退場の時間だ、我が麗しのアサシン。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「故に今ここで ()()()()()()()()

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ――魔力がうねる。

 

 それが今目の前にいる怪物が自身のマスターであることの証明であり、自らの信仰心の現れであった。

 その腕が魔物の胸に届く一歩手前で、転移は始まる。

 

 転移直前、最後に目にしたのは

 

 気色の悪い笑みを浮かべる死徒。

 

 焦る警察官。

 

 死徒の背後へ迫らんとする異教の神父。

 

 

 そして

 

 

 燕尾服を着た、悪魔の片翼を生やす悪魔と、

 

 どこか見覚えのある――だが記憶とは色も、その存在までも違う気がする――二色を纏う竜が

 

 

 

 

 署の地面を突き破って現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アサシンと警察官がぶつかる少し前。

 

 独房にいた少年は、少なからず困惑していた。

 

()()()()()()()()()!?」

 

 ――その色は()()()()()()()()()()()()()()

 

 色もさることながら、その腕はいわゆる人間のそれではなかった。

 さながら爬虫類の足だろうか。

 異様に指が伸び、おそらく力も人とは比べ物にならないほどの強大さを秘めていると確信させる。

 見る人によっては、この腕は――

 

 

『うわあー かっこいいですねその腕! まるで教授がやってたゲームに出てくる()()()()みたいです!!』

「・・少しは空気を読んでくれマスター。 最も()()()()()()()にそれを求めるのは少々酷なことだが」

 

 誰もいないはずの独房周辺に突然、場違いな声が響く。

 振り向けば、そこには至って普通のどこにでもいそうな警官がいた。

 その胸の通信機からは、自分と年が近いと、そう思わせる声が流れている。

 

「えっと、どちらさまですかね? ・・ホントにここの警官?」

『おっと、すぐに変装がバレてしまいましたよジャkk・・バーサーカーさん!!』

「・・まったく君は。 すまないな、何分こちらも急ぎでな、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 君は洞察力も優れているらしい」

 

 それはそちらもでは? そう少年は思ったが声には出さない。

 どうやらこの二人はコンビであり、この警官側は「マスター」なる少年に振り回されている苦労人ポジションにいるらしい。

 ・・なんか親近感が湧いてきた。

 だが今はそれよりも、だ。

 

「あんたら今、()()()()()()って」

「どうやら聖杯戦争の最低限の知識は伝わっているのかな」

「なに、私のマスターが君のことをどこか欠けていると言っていたものでな」

「もしかしたら本体とも呼ぶべき個体は別にいて、そちらに知識が流れているのではないかと危惧したのだが」

「これなら説明の心配は不要かな」

 

 気づけば、同じ顔をした警官に囲まれていた。

 しかも一人一人の服装も装備も同じときた。

 

「さっき言ってたし、これがあんたの能力か?」

「その通りだ、人の子よ」

 

 気づけば警官は一つの影となり、そこからは悪魔と言う他ない紳士然とした異形がでてきた。

 

「そう警戒しないでくれ。 何も我々は戦いにきたのではない」

『あなた現代の英霊ですよね? それも凛ちゃんと同じ日本人の!! いやあ、会いたかったんですよ! どうして英霊になれたんですか!? 僕と友達になってくれませんか!? どんな体してるんですか!?』

 

 

 熱烈なマシンガントーク。

 思わず少年は一歩後ずさる。

 

「・・とりあえずマスターは放っておいて、私たちは同盟の打診にやってきたのだ。 私自身近代の英霊であり、成し遂げたことがことだからか、戦力に期待ができない。 だが()()()()()()()。 見れば君のマスターが見当たらないが・・ 君を警察署で暴れさせていないということは、少なくとも話し合いの余地があると見た。 どうだろうか」

「ぜひぜひ!! こんな人権がどこかへさよならバイバイした場所に居続けるよりも百倍ましだ!! そっちの声の方からは少し危ないセリフ聞こえたけど!! 」

『ホントですか! これで二人目の英霊の友達ができました!! 教室のみんなにも紹介しよっかな? でも最悪解体されて中味見られるかもしれないし・・』

「ちくせう! 結局俺はどこに行ってもこんな扱いかい!!」

 

 その後、互いの情報交換を交わす双方。

 フラットと少年が同年代ということもあってか、話は弾んだ。

 

『えっと、まとめると、あなたは自分が誰なのかも、なんで召喚されたのかも、そしてクラスも分からないサーヴァントってことですか?』

「・・ソウナリマスワネ」

『ルヴィアちゃんみたいな口調になってる!!』

「ふむ・・いわゆるエクストラクラスという可能性は? 過去の聖杯戦争では復讐者(アヴェンジャー)なるクラスの召喚もあったと聞く」

 

 ――アヴェンジャー

 

 かつての聖杯戦争で、アインツベルンがルールの禁忌を犯してまで召喚したサーヴァント。

 実態は、人殺しに特化した悪魔とは名ばかりの少年が呼ばれ、()()()()()()退()()()と言われている。

 ――最もその敗退が、後の聖杯戦争に大きな爪痕を残したことは彼らは知らない。

 それが()()()()()()()でも、多大な影響を及ぼすことも、今はまだ――

 

『でも、そういうクラスって生前の人生が色濃くでるようじゃないですか? 記憶喪失のこの人がそのクラスと言われても、覚えのない復讐ほど虚しいものはありませんし』

 

 問題はそこだ。

 記憶喪失のサーヴァントに行きつく先はあるのか。

 何か技巧を極めたのか、生前に何を為したのか、それすら分からないサーヴァントは一体どこへたどり着くのだろう。

 

「・・一つだけ、どうしてもやりたいことがある」

 

 そんな彼も、願望はあった。

 それは聖杯に託すものではなく、()()()()()――

 

 

「それにはあんたらの協力が不可欠だ」

「・・聞こうじゃないか」

「実はな・・」

 

 

 

 

「殺したい男がいる」

 

 

 

 

 

「この目で見たわけじゃないけど、絶対に俺と同じタイミングでこっちに来たやつだ」

 

 

 

 

 

「確信がある。 でも俺一人じゃ絶対に届かないんだ」

 

「記憶もないし、まだ会ったばかりのあんたらに頼むのもおかしい話だけど――」

 

「――頼む」

 

 そう言い少年は頭を下げる。

 こればかりは譲れない。

 逃せば、恐らく自分が自分でなくなる。

 そういった確信があった。

 だからやるべきことは、なんでもやる。

 今、彼にできることはそれしかないのだから。

 

「・・なるほど、どうするマスター? 君に判断を委ねよう」

『うーん。 話してみたかんじ、悪い人じゃなさそうですし、そんな人がこんなことを言ってくるってことは、きっと重要なことですし・・』

 

『分かりました。 僕たちにできることなら協力します!』

 

「・・ありがとう」

「では改めてよろしく頼む。 隻腕の少年よ」

 

 そういって紳士と少年は握手を交わす。

 

「・・しかし、()()()()()()

 

「さすがに真名を明かすことはまだできないが・・」

 

「喜ぶといい。 今君の目の前にいるサーヴァントは、少なくとも()()()()()()においては、右に出るものはそういないであろう、そんな存在なのだから――」

 

 

 ここに同盟は結ばれた。

 殺人鬼と天才の魔術師の凸凹コンビと、隻腕のマスターなきサーヴァントの、歪でどこか純粋な同盟が――

 

 

 

 

 

「ほう。 これはこれは。 何やら奇妙な気配がすると思い来てみれば、なんともまあ」

 

 

 突如として、声が浮かぶ。

 地下の誰もいないはずの独房。

 そこに紛れ込むのは――

 

「だが存外、()()()()()()()()()()()。 なに心配することはないさ。 最も――」

 

 人非ざる者――死徒であるからか。

 一気に二人のサーヴァントとの距離を縮め、その爪を少年の首元に突かんとする。

 

「――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 愛しのアサシンの為だ。 光栄に思いたまえ」

 

 その奇襲に少年は()()()()()()()、そして――

 

 

 

 

 

 ――竜が産声を挙げた。

 

 

 

 

 世界に自身の存在を刻むかのように。

 だがその雄たけびは、誰にも届くことなく。

 そして少年の意識は――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・君かい? ()()()()()()()()()は?」

 

「お生憎様、()()()()()()()。 ま、これから話そうと思うことも()()は少なからず関わってくるが」

 

()()()()()()()()()()()()()? そう思えてしまうのは果たして偶然かな?」

 

「それも込み、だ。 」

 

 

 

「単刀直入に話す。 ()()()()()()

 

 

 

「――条件は互いのマスターの不可侵。 そして俺のマスターの保護を頼む」

 

 

 

 

 とある郊外の森にて、少年は相対する。

 男とも女とも、それだけでは納まらない、矛盾した印象を併せ持つ存在(サーヴァント)に、()()()()()()()()()()()()――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プロローグは、まだ終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここのアサシン、いっつも妄想心音ミスってんな
アサシンを愛する人たちすみません・・
でもでも、この小説書いて一番書いてて楽しいキャラってアサシンたそなんすよ
この娘の在り方魅力的すぎる
ジェスターくんがゾッコンする訳ですわ
某きのこと某原作者が彼女を気に入る理由をこの小説を経て心から分かったのは大きい
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