決闘者セアミン(♂)   作:へるしぃーぼでぃ

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VRAINSの戦闘BGMが聞きたくなってサントラ購入した。
作曲の人、初代遊戯王ぶりのメチャ有名な方だったのね(今さら
どの曲も良いけど『ジェルゴンヌの終焉』がオキニ


vs.ジュラックお姉さん、改め…

 

 

 

ライディングデュエルとは、バイクに乗ってカードゲームを行う頭のイカれた決闘方式である。

 

『デュエルが開始されます。デュエルが開始されます。ルート上の一般車両は直ちに退避してください。繰り返します──』

 

歌舞伎シティの主要高速道路に向かった俺らに、頭のおかしいアナウンスが道路上に流れる。

すると一般車両は素直に退避し、エネルギーの壁が展開され、オレと珠羅のためだけの夜の高速道路(ハイウェイ)が開放された。

この世界では公共施設よりもデュエルが何よりも優先されるのだ。頭イカれてんのか。

俺がこの世界の遊戯王至上ぶりに改めてドン引きしていると、前方を走る珠羅が声を掛けてきた。

 

「セアミちゃん、ライディングデュエルは初めてよね?ルールはスタンディングデュエルのままだけど、ライフは4000で開始されるわ。危険なライディングデュエルに於いて、スピーディに決着をつけるためにね」

 

「そうなのか」

 

ノリでそのままライディングデュエルに乗ってしまったが、正直✧スピード・ワールドのルールとかはよく分かってなかったから助かる。スピードスペルとかも持ってないし。

しかし、ライフは4000か……。ライフを削るP.U.N.K.はよく考えて効果を発動しなければならないな。

……というか、危険だという認識はあったんだな。そこは常識的な倫理観が働いてるんだ……。

そんな常識と倫理観がない混ぜになったデュエルが今、始まる。

 

「この“歌舞伎デュエルハイウェイ”は一周4kmのオーバルトラック……。先行は従来通り、第1コーナーを制した方よ!」

 

それだけ言うと珠羅はアクセルを吹かし、一気にコーナーへ突入。後ろに乗る遊姫が「きゃー(ノ*>∀<)ノ」と歓喜の声を上げた。

先行決めはライディングデュエル準拠か……容赦ないなッ。

俺は趣味でバイクに乗ってただけで、レースとかの経験はないというのに。

 

「でも、負けてられないな」

 

散々頭がおかしいとなじったライディングデュエルだが、バイク乗りのデュエリストなら絶対に夢想するデュエル方法だ。

正直、すでにメッチャ楽しい。

こうなったらもう、俺もとことん頭をイカれさせるしかない!

意を決してアクセルをブン回す。

それに呼応するように、俺の乗るアメイジング・ドラゴンバイクが極彩色に光って風が吹き荒れた。

 

「え?」

 

瞬間、背後へ消える景色。

次いで襲いかかる風圧。

そして、G。

 

「う、ぉおぉお!?!?」

 

速 す ぎ る !!!!

前世のエンジンじゃありえない加速。

考えてみれば当たり前だ。このバイクは娑楽斎(精霊)が描いた非現実的なモノ。

動力から何から精霊の不思議パワーで構築されているのだ。意味分からん馬力を発揮してもおかしくない。

ッていうかそんなこと考えてる暇ない!もうコーナー!事故るッッ!

 

「ぉぉおおお!!?!」

 

コーナー傾斜角(バンク)に突入し、辛うじてアクセルを緩めぬまま疾走。こ、怖ぇ!地面が横にある!!

命からがら一瞬でコーナーを駆け抜け、ストレートに入った。し、死ぬかと思った……

徐々にスピードを落とす(それでも100km/hは出てる)と、背後から珠羅と遊姫が追いついてきた。

 

「驚いた。まさかそんなにスピードが出るなんて……。まるで追いつけなかったわ、流石は精霊の力ね!」

 

「セアミはやーい!ちゃんと運転も出来てるし、メッチャかっこいい!」

 

「……本当に、精霊パワーは恐ろしい……」

 

俺は心臓をバクバクさせながら、上空を漂うアメドラの背に乗る娑楽斎を見上げた。

俺の視線に気づいた彼はグッとサムズアップしてきた。「やるねぇマスター!」じゃねぇ!こんな暴走バイクに乗せやがって、殺す気か!!

隣のアルベルも面白そうにニヤニヤしてるし、コイツらは後で折檻せねばならない。

俺が「元はと言えばコイツらのせいで……」と恨み言を言う中、観戦者の遊姫が無邪気に実況を開始した。

 

「なんとコーナーを制して先行を取ったのはセアミ!開始早々波乱の展開だぁ!さぁ期待高まるセアミの初めてのライディングデュエル、とくと見せてもらうよ!」

 

遊姫の純真無垢な熱量の解説声に、俺は息を吐いて気持ちを落ち着かせた。

遊姫の言う通り、初めての……せっかくのライディングデュエルだ。

長年の叶え得ないはずだった夢が叶うワケだし、気持ちを切り替えて楽しもう。

デッキから5枚のカードを引いて手元の溝(スロット)に差し込み、そこから1枚を取り出した。

 

「じゃあ行くぞ、俺のターン!俺は手札からセアミンを通常召喚!」

 

レベル3『No-P.U.N.K.セアミン』

-ATK/600

 

100km/h走行の暴風の中、召喚されたセアミンがトーン、トーンと跳躍しながら伴走する。

おぉ……ライディングデュエルだとこういう演出の変化があるのか。

俺がそんな感心している横に、珠羅が並走してきた。

 

「当たり前のようにセアミンちゃんを引いてるわね。手札事故は無さそうで何よりだわ」

 

「P.U.N.K.は事故率の低さも魅力だからな。早速セッションしていくぞ!セアミンの効果発動!600LP払い、デッキから『P.U.N.K.』モンスター1枚を手札に加える!」

─【LP4000→3400】

 

P.U.N.K.の王道的初動展開。

だがその動きは珠羅によって阻まれた。

 

「そうはさせないわ!私は手札から罠カード『夢幻泡影』を発動!このカードは自分フィールドにカードが存在しない場合、手札から発動出来る!相手モンスター1体を対象に、効果を無効にするわ!」

 

「なに!?」

 

開幕からガチ中のガチカードが遂に出てきた!

セアミンが泡に包まれその効果を無効にされ、貴重なライフの払い損となる。

ならば次の手……!

 

「っく、なら俺は手札からフォクシー・チューンを捨てて効果発動!手札を1枚捨て、デッキからレベル8以外の『P.U.N.K.』1体を特殊召喚する!」

 

俺が次点の初動に動く。

だがこれにも珠羅が動いた。

 

「すかさず二の矢、……やるわね!けど、私はさらに手札から罠カード『霊王の波動(ドミナス・インパルス)』を発動するわ!相手フィールドにカードが存在する場合、このカードは手札から発動できる!」

 

「マジですか……」

 

え、ちょ、容赦なさすぎない!?

現代遊戯王の最先端手札誘発罠だと!?

慄く俺に、珠羅がカード効果の説明をする。

 

「モンスターを特殊召喚する効果を含むカード効果を無効にするわ!……だけど手札からこのカードを発動したこのデュエル中、私は光・地・風属性モンスターの効果を発動出来なくなる制約を受けるけどね」

 

墓地のフォクシーが、青肌の少女と共に現れたドラゴンの咆哮により、蒼く光る刻印で封じられた。この手もダメか!

しかし強力なカード故に、珠羅には激重制約が課せられた。

だが躊躇なく使ってきたことを考えれば当然、デメリットを踏み倒せるデッキ構築なのだろう。

光・地・風は存在しないデッキだと推測される。

妨害されながらも相手の情報を得つつ、俺はめげずにP.U.N.K.のセッションを続けた。

 

「手札のディア・ノートの効果発動!手札の他の『P.U.N.K.』モンスター1枚を相手に見せ、片方を特殊召喚し片方を墓地へ送る!俺は娑楽斎を見せ、ディア・ノートを特殊召喚!」

 

レベル5『No-P.U.N.K.ディア・ノート』

-ATK/2100

 

「おお!セアミ、2回の妨害をものともせず展開が続くよ!」

 

「さすが、やはり一筋縄ではいかないわね!私は発動出来るものはないわ」

 

興奮する遊姫に、ようやく沈黙した珠羅に内心安堵しつつ展開を伸ばす。

 

「なら行かせてもらう!俺はレベル3のセアミンに、レベル5のディア・ノートをチューニング!」

 

〈〈〈レベル3チューナー〔⑧〕レベル5〉〉〉〉〉

 

セアミンが光輪となってディア・ノートを囲み、眩い光の柱が闇夜のハイウェイを貫いた。

 

「浮世絵の絵柄を身に纏い、フィールドという舞台を舞い踊れ!S召喚!」

 

レベル8『P.U.N.K.JAMドラゴン・ドライブ』

-ATK/2700

 

龍の法被を着たセアミンとディア・ノートが、優雅に浮遊してDホイールの傍らを翔ぶ。

やはりライディングデュエルといえばS召喚だな!

 

「おーっとセアミ、ここでP.U.N.K.の真骨頂のS召喚だ!セッションが止まらない!止められない!」

 

「ドラゴン・ドライブの効果!600LP払い、デッキからレベル3サイキック1枚を手札に。そして墓地のディア・ノートにより、墓地から他の『P.U.N.K.』を蘇生する!」

─【LP3400→2800】

 

このチェーンにより俺は墓地から娑楽斎、デッキからMme.スパイダーを手札に加えた。

 

「続けて娑楽斎の効果発動!600LP払い、娑楽斎と手札のスパイダーを素材に融合召喚する!」

─【LP2800→2200】

 

ここからさらに展開する!……と意気込んだところで、まさかの再び珠羅が動いた。

 

「させないわ!ここで再び手札から罠発動『列王詩篇』!私の墓地にモンスターが存在しない時、手札から発動可能!手札から発動した代償で次ターンの終わりまで私は手札・墓地・除外状態のモンスター効果を発動できなくなるけど、娑楽斎の効果を無効にするわ!」

 

「なに!?さっき発動するものは無いって言ってたのにッ」

 

「ふふ。どうせ妨害するなら、より効果的な方を止めたかったから」

 

茶目っ気たっぷりにウィンクする珠羅(バイザー越し)。

娑楽斎の筆が止まり、またしてもライフの払い損となる。

っくそ、ホントに嫌なタイミングでの妨害だな!

歯を噛み締める俺に、珠羅がさらに追い打ちを掛けてきた。

 

「まだよ!列王詩篇の更なる効果!私の墓地に罠カードが存在する場合、デッキから『ドミナス』カード1枚を手札に加える!私が加えるのは……『霆王の閃光(ドミナススパーク)』!」

 

妨害ついでに次の妨害カードのサーチもこなすという、ちょっともう突っ込む気力すら湧かないブッ壊れカードを発動する珠羅。

いいな、ドミナスシリーズが使えて……。

P.U.N.K.はほぼ全属性を擁しているから、採用したくても出来ないというのに……ッ

心の血涙を流す俺に、珠羅が容赦なく仕掛けてきた。

 

「手札に加えた『霆王の閃光(ドミナススパーク)』をそのまま発動!このカードは相手が手札・墓地のモンスター効果を発動したターン、手札から発動できる!このカードを手札から発動した時の制約は、このデュエル中、地・水・炎・風属性モンスターの効果発動が不可能になる事」

 

もはや制約だらけとなる珠羅だが、それを補ってあまりある効果が適用される。

 

「相手フィールドのモンスター1体を対象に、除外する!私はドラゴン・ドライブを除外!」

 

現れた黒衣の霊姫が手を振りかざすと、背後のイカツい召喚獣から青黒いビームが放たれドラドラが除外された。

ぐぅ!マジで妨害のタイミングが絶妙過ぎるっ。

しかも除外というのが痛い!ドラドラの自己蘇生効果のチャンスも封じられたに等しい。

……だが!

 

「ッまだだ!俺は手札からライジング・スケールの効果発動!墓地のセアミンを除外し、このカードを特殊召喚する!」

 

レベル8『No-P.U.N.K.ライジング・スケール』

-ATK/2400

 

「っく、素引きしていたのね!」

 

そう、セアミンのサーチは無効にされたが、それは問題無かったのだ。

ようやく通った展開に、俺は突き進む。

 

「特殊召喚したスケールの効果!600払いデッキ・墓地から『P.U.N.K.』1体を特殊召喚する!俺はワゴンを特殊召喚!」

─【2200→1600】

 

レベル3『Ga-P.U.N.K.ワゴン』

-DEF/600

 

「ワゴンの効果で600払い、✧セッションを手札に加えそのまま発動!そして✧セッションの効果!」

─【LP1600→1000】

 

墓地のフォクシーを除外し、残り1枚の手札のスパイダーを特殊召喚する。

 

レベル3『Jo-P.U.N.K.Mme.スパイダー』

-DEF/600

 

「そしてスパイダーの効果で600払い、デッキから『P.U.N.K.』罠1枚を手札に加える。俺はデンジャラス・ガブを手札に!そして✧セッションで1枚ドロー!」

─【LP1000→400】

 

残りライフは400。

ここはモンスター効果無効&回復効果を持つガブを持ってくる。

数多の妨害を受けたが、下準備は何とか整った。

そしてこれが、俺のラストアクション……!

 

「レベル3の娑楽斎に、レベル8のライジング・

スケールをチューニング!終焉の時は今……。その罪を正し、最後にして最高の罰を与えよ!S召喚!」

 

〈〈〈レベル3チューナー〔⑪〕レベル8〉〉〉〉〉〉〉〉

 

顕現する、デュエルを終焉へ導く破滅の懲罰者。

 

レベル11『サイコ・エンド・パニッシャー』

-ATK/3500

 

「来たー!セアミの絶対的エース、難攻不落の最恐モンスター!」

 

「ッ来たわね!かつての私を屠った、セアミちゃんのエースが!」

 

バチバチと紫電を纏い飛行するパニッシャーに、遊姫と珠羅がそれぞれ驚嘆の声を上げる。

珠羅の反応はもっともだが、遊姫はその難攻不落なコイツを雑にリリースしやがったろ。よく言うよ。

頭の中でそうツッコみながら、俺はカードを1枚伏せた。

 

「これで俺はターンエンドだ。……言わなくても知ってるだろうけど、俺のライフが相手より低い限り、パニッシャーは相手が発動した効果を受けない。凶悪な妨害の連続には舌を巻いたけど、コイツの登場を止め切ることは出来なかったみたいだな」

 

「ええ。さすがはセアミちゃんね。変わらず強くって嬉しいわ」

 

展開を終え、静寂が訪れたハイウェイに互いのDホイールの駆動する音だけが響く。

俺の盤面は無敵パニッシャーに、それぞれ守備のMme.スパイダー、ワゴン。伏せ1枚。手札1枚。

あれだけの妨害を受けたにも関わらず、我ながら中々の盤面を構えられた。

キイィィ、と互いのホイールの音が響く中、珠羅がデッキに手を添えた。

 

「そんな強い貴方を越えに来たわ!私のターン、ドロー!」

 

俺を追い抜き、引いたカードを見る珠羅。

彼女はそのカードを発動した。

 

「魔法カード『化石調査』を発動!デッキからレベル6以下の恐竜族を手札に加える!私が手札に加えるのは……『ダイノルフィア・テリジア』!」

 

「……ダイノルフィア!」

 

併走する珠羅が見せてきた、珠羅の新たな恐竜デッキのキーカード。

それはP.U.N.K.にとって……、いや、パニッシャーにとって最高に相性が相手が悪いである。

これは……マズい!

 

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