普通に嬉しいです。
前回の動画が投稿されて数時間が経過した頃、SNSでの視聴者からの安否確認にも反応が無かった最中、事前の告知も無く、PART1に続く動画が投稿された。
それは PART2 とだけ書かれたタイトルの動画であり、PART1同様にサムネイルすらも設定されていなかった。
「あっあー、史上最悪のクソゲーRTA、はぁじまるよー……最初に言っておきますが、このゲームのプレイは非推奨です。やるだけで心臓病(?)になるってさ。糞だよ糞。このゲームは(倒置法)」
そんないつもの挨拶と悪態から始まったpart2の動画。
「さて、前回に引き続き、私の自己責任で仮面ライダークロニクルRTAをやっていきます。現在は一人称視点で分かる通りライドプレイヤーに変身している状態ですね。ライドプレイヤー状態だと前回変身解除状態で起こった尋常じゃない心臓の痛みと体の不調等は今のところ全く感じません。まぁ恐らく症状の緩和だけで悪化はしているんでしょうが」
「―――さて、視聴者様方、前回の動画は見て頂けていますでしょうか?」
「現状スマホのバッテリーやら時間やら、色々と余裕がないため、視聴率の確認などは出来てませんが、私は前回のお医者さんらしき人に動くなと言われました。ただ、ライドプレイヤーに変身すれば体調不良を感じなくなる以上、この場に留まる理由はありません。病院に搬送されると“タイムロスです”。一度でもネットの海に投稿してしまった以上、どんな結果になろうと走り切る。それが走者としての矜持、最低限の心構えだと思っています」
「―――はい、あの場所から少し移動してきました。少し進んだ先にバグスターがいるっぽいですね。途中、救急車とすれ違って、ちょっとビビりました。まぁずっと変身してるので私だとバレようがないんですけど」
「さて―――カット中、スペックカスタマイズを行いました。少し手間取りそうだったのでカットしましたが、簡単に解説するとエネミーセンサーの範囲縮小やノイズキャンセリング機能のオミット等、必要のない機能を削り、キック力や足回りの強化を中心として全体的な基礎スペックの上昇、エナジーアイテムセンサーの強化に加えて、二つのカスタマイズ特性を得ました」
「カスタマイズ特性の方は一つ目が経験値取得効率のアップ。強化倍率は1.09倍ですが無いよりマシでしょう。100が109に、1000が1090に、10000が10900になります」
「もう一つはレベル、及び取得した経験値を対価にしてエナジーアイテムを生成することが出来るというものです。効果時間は通常の半分となりますが、運に頼らずともアイテムによるブーストを得れるという時点で普通にぶっ壊れだと思います」
「と、工事現場のような場所に目的のソルティバグスターご一行が居ましたね。ライドプレイヤー数人との戦闘中のようです―――」
「まずは雑魚敵……バグスターウイルスを潰しましょう、余裕のあるうちにある程度のレベルを稼ぎます」
近場のバグスターウイルスを捕らえてそのまま回し蹴りを叩き込む。
HIT!
―――バグスターウイルスは一撃でコンクリの壁にまで吹き飛ばされたものの死ぬほどの威力ではなかったようだ。
ライドウェポンを向けて、弾丸を放ちトドメを刺す。
「なるほど……―――視界内エネミーの強調表示機能を削る代わりにキック力を上げます」
一歩遅れて此方を認識し、三又の槍のような武器を片手に突っ込んでくるバグスターウイルスの突貫突きを避けて、同じように回転蹴りを叩き込む。
HIT!
今度はしっかりと一撃で消滅してゆくバグスターウイルス。
「良い火力です」
さらに二体纏めて掛かってくるバグスターウイルスに向けて銃形態のライドウェポンを顕現させ、そのまま単発射撃を一撃食らわせて前の一体を転ばせる。
HIT!
躓き飛び込んでくるバグスターを見、すぐさま短剣へと切り替えて敵を避けながらの膝蹴り一発、そして短剣での斬撃によって片づける。
HIT!
GREAT!!
その隙を見て後ろから襲い掛かるバグスターウイルスに対しても、ノールックでの後ろ回し蹴りを叩き込むことで対処する。
HIT!
先程、銃弾を当てて足止めしていたバグスターウイルスが襲い掛かってきたところに、タイミングを合わせて前蹴りを入れることで更に連続で三体のバグスターウイルスを倒していく。
HIT!
「―――はい、もう分かったと思いますが私のビルドは、パンチ技よりも素の威力の高い蹴り技によって
「経験値は未だレベル1半ばとやや溜まりにくい仕様のようですが構いません」
そう言いながら一体、二体と蹴り倒してワンパンしていくSaku。
然しながらそこへ―――
「フハハ!貴様、思ったよりもやるようだな!配下ではなく吾輩と遊びたまえ!」
ソルティバグスター自らが襲い掛かる。
「負けはしません。拳で放電を発生させている為、触れないように立ち回ります」
バグスターの腹部を蹴り上げ、その反動を利用してバックステップで距離を取る。
HIT!
地面に拳を叩き付けようとするバグスターに対してそのまま空中射撃を打ち込む―――射撃ではHITエフェクトは出ないもののそれによって放電が上手くいかず分散してしまう。
その隙に着地し、同時に短剣モードに切り替えて、次々に襲い来るオレンジ頭のバグスターウイルスを捌いていく。
「危ないですねぇ」
「ぐっ、しょっぱい真似をしてくれるな!」
Sakuの放つ回し蹴りとソルティバグスターの拳が噛み合い、僅かな拮抗の後バグスター側が撃ち負ける。
HIT!
「グハッ、グゥ……!!」
地面に砂利に叩き付けられ、転がってゆくソルティバグスター。
「ボス討伐によって、どれぐらいの効率で
「―――なにィ……吾輩を舐めるなァ!」
「1レベル変換・エナジーアイテム『ジャンプ強化』」
幅跳びのようなマークがついたメダルを取得し、殴りかかるソルティバグスターの攻撃をジャンプで避けつつ、蹴りで怯ませる。
HIT!
さらに、上の足場を乗り継ぎながらフィールドに落ちていた『高速化』のアイテムに触れて、そのまま取得。
地に降りると同時にソルティバグスターに三段回転蹴りを叩き込み、吹き飛ばされるバグスターに対して、追撃の飛び蹴りを加えていく。
HIT!
HIT!
HIT!
HIT!
HIT!
HIT!
HIT!
HIT!
HIT!
HIT!
HIT!
GREAT!!
EXCELLENT!
そのまま地面の砂利に擦り付けることで連続ヒットさせ、ソルティバグスターをさらに地面へと叩き付けつつ、怯んでいる隙にジャンプ強化と高速化を利用して大きく後ろにバク転して飛び上がる。
「ぐ、ぐぉぉッ……!」
「ソルティバグスター討伐タイム、6分29秒33―――」
だが然し、その攻撃がヒットするその瞬間―――バグスターとの間に僅かなノイズが走る。
KNOCKOUT FIGHTER!
The strongest fist! "Round 1" Rock & Fire!
「変身―――」
『DUAL UP!』
『Explosion Hit! KNOCK OUT FIGHTER!』
彼の放つキメ技は、燃え滾る拳によって容易に阻まれたのだった―――