超かぐや姫! ヤチヨのかくれんぼ   作:夜叉竜

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 割と早く書けました。結構展開どうするか悩んだんですけど、書いてみたら意外と書けた言いますか……

 ではどうぞ!


第8話 そうだ、海に行こう

 かぐやがライバーとなった日、それはかぐやの快進撃の始まりの日でもあった。

 配信の知識なんてないかぐやはその無知故か思いついたことは片っ端からやっていった。後追い、二番煎じ、気負い、照れ、そんなもの考慮せずやりたいことをただ思うが儘にやっていった。

 

 「この動画のダンス可愛い~~、かぐやもやーろぉっと♪」

 「うひょ~、芦花の言う通りにメイクしたら自撮り爆盛できちゃった。はい、これもアップ!ついでに全然盛れなかったNGバージョンもアップ~~~♪」

 「やった、真実おすすめのお店の取り寄せが届いた!緊急で動画回しちゃいま~す!早速燐祢に作ってもらおう!」

 「あ~~~、そういうのどうでもいい!キッチリ片を付け!忘れる!忘れるって人生で一番大切な能力だからね!や、甘いこと言って責任取らないやつにはなりたくないし!それがかぐやのやさしさ!」

 

 とにかくやりたいことに躊躇せずひたすらにやりまくる。一体どこから湧き出てくるのか、無限の活力で大暴れしていた。

 当初はあくまでも裏方に徹する予定だった燐祢と彩葉も、

 

 「よーーーし、今日はゲリラで歌枠配信だー!新しい衣装着て、新曲歌ってー振り付けも最後まで決まってないけどやっちゃおー!」

 「本当にゲリラ戦じゃねぇか……とりあえず、ご飯食べてからな」

 「は~~い!そうだ!ねー、彩葉も歌枠しよ。一緒にツクヨミに潜って伴奏して~~」

 「やだよ、しないよ。勉強しないと何だし。快進撃は結構だけど、私を巻き込まないでよ」

 「まぁ、確かに……ドベから随分と順位は上がったよなぁ……やっぱ高頻度で動画上げてるのも強いのかねぇ」

 「お~~ね~~が~~い~~!」

 「…………顔出しナシならまぁ、良いけど……」

 「よっしゃ~~~~!」

 「酒寄さん………」

 「………何も言わないでください……」

 

 まず彩葉が折れ、

 

 「彩葉、彩葉!今日はお料理動画だよ!燐祢に教えてもらったガパオライスを作るんだよ!食べるだけでいいからコラボしてよ!」

 「いや、勉強を……」

 「ほぉ、それはつまり酒寄さん。飯を食わずにその机の上の合法的なドーピング剤で済ませて勉強を、とか言うふざけた所業を……」

 「え、いや、それは………」

 「い、彩葉!食べるって言って!燐祢の顔がすごく怖い!」

 「そ、そんな事しませんって!食べます、食べますよ!ただし配信には出ないから!」

 

 出演無しのアドバイザーで燐祢も手伝う様になり、

 

 「いーろはっ!一緒にダンスのショート動画撮ろっ。一分で済むよ。芦花もやるって言ってくれてるよ。ねぇ、芦花」

 「うん、おもしろそうじゃん。真美もやるよね?」

 「やるやるー、彩葉はどうするー?」

 「いや、だから勉強」

 「おーおー。こりゃまた大所帯で……」

 「あ、燐祢!燐祢も一緒にダンス動画撮ろ!」

 「え、いやいや、それは絶対に無し。絶対に却下だから」

 「え~~~!?」

 「ちょっとぐらいは良いんじゃないですか?陸堂さん運動神経いいですし……」

 「諌山さん。女子高生チームの動画に男子大学生が入るなんて絶対に炎上する。天下全てが燃え上がるぐらい炎上するから絶対に却下」

 「それは言いすぎだと思いますが………」

 

 芦花と真美もいつの間にか配信するようになっていき、『かぐや・いろP』の配信活動はリスナーを集めていき、夏休みの中盤にはその順位を二百八十位まで押し上げると言う大健闘を成したのだが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「まだまだ足りない!どうすればいいのだー!」

 

 そんなことでこのかぐや姫は満足しない。砂浜に広げた浮き輪にすっぽり収まりながらかぐやは手足をじたばたと振り回す。

 

 「ゆ゛う゛じょう゛じだい゛い゛ーーー!」

 「かぐやちゃん……せっかく海に来たのに配信のことを考えるのはちょっと……」

 

 渋い顔をする燐祢にかぐやはだってぇ~と頬を膨らませる。

 今日、かぐやと彩葉は真美と芦花、そして燐祢の5人で海に来ていた。最初、燐祢は流石に水着の女子高生グループの海に男子大学生が混じるのは本当にあり得ないと断ったのだが、かぐやが一緒に行こうと駄々をこね、彩葉からも男除けとしてついてきてほしいと頼まれ、挙句の果てには芦花と彼氏持ちの真実からも燐祢さんだったら大丈夫!と言うお墨付きまでもらい、最後の望みの真実の彼氏から真美をよろしくお願いしますと言われてはもう断れない。

 結果、燐祢は保護者のような立場で彩葉たちと一緒に海に来ていた。当然ながら彼女たちは水着に着替えているが、燐祢はあくまでも保護者と言う立場を貫くため、下は濡れてもいい半ズボン、上は薄手半袖のパーカーを着ていた。

 

 「こないだの歌配信めっちゃよかったけどね~」

 「ね、かぐやちゃんゲームも上手だしね」

 

 レジャーシートの上で寝そべって焼きそばを啜る真美と彼女の髪をセットしている芦花に褒められ、あっという間にかぐやは上機嫌となり、

 

 「まあね。天っ才、歌姫ですから」

 「まぁ、作曲はできないけどな」

 「余計なこと言わなくていいの!」

 

 一瞬で不貞腐れたように燐祢に嚙みつくかぐやを微笑ましげに見ていた芦花はそういえば、と声を出し、

 

 「作曲と言えば……あのオリジナル曲、彩葉が作ったやつなんだよね」

 「彩葉可愛いうえに天才すぎ~」

 「あ、あれは昔作ったやつだから……」

 

 ビーチチェアでくつろぐ彩葉は親友二人の視線から逃げるように顔をそむける。その様子にどこか安心したように燐祢は目元を緩めるも、すぐに気まずげな表情を浮かべ、

 

 「しっかし……改めて来てみて思ったが……いくら男除けとは言え、俺の場違い感がひどすぎるなぁ……綾紬さんの彼氏も来てくれてたら助かったんだが……」

 「どうしても予定が合わなくて~~、それに、陸堂さんだったら大丈夫って信じてますから~~~」

 「信頼が厚い………初対面の時から随分と評価が上がったもんだ」

 「それは……あの時はしょうがないじゃないですか。友人とか同じクラスとかならまだしも、お隣の大学生が女子高生にご飯を作ってあげるなんて、何か下心があると思って当然です」

 「そうですよ~。幾ら彩葉の顔色が良くなったからって、心配しますって」

 「ああ、全く当然だ。だから、俺と直接会ったんだろうしな」

 

 初顔合わせの時、喫茶店にやってきた芦花と真美は燐祢を警戒した表情を思い出したのか、燐祢は小さく肩をすくめる。

 

 「まぁ、結果的に陸堂さん、すごくいい人でしたから安心しましたけど」

 「そりゃどうも。ま、俺もアクセサリーのアドバイザーと出会えたから助かってるけどな」

 「ぐわぁー、やっぱり優勝したい!こんなんじゃまだまだ足りないよ!面白いことたくさんやってるのに~~」

 

 両手をあげて叫ぶかぐやに燐祢は難しげな表情で腕を組み、

 

 「逆に言うと人気が出そうなことはほとんどやり終えてるんだよなぁ」

 「そうなると、また新たな展開を仕掛けるしかないですね」

 「具体的には?」

 

 真美は自信ありげに顔をあげ、

 

 「ずばり、彩葉が着ぐるみを脱いで新たな需要を……」

 「はい却下」

 

 ばっさりと切り捨てた彩葉は抗議の為か真美の焼きそばを取り上げて瞬く間に平らげる。真美の悲痛な声が浜辺に木霊した。

 かぐやのおねだりに折れ、配信に出ている彩葉だが、せめて顔出しだけは避けようと狐の着ぐるみを着込んでいるのだ。

 

 「と、とにかく私は出ないから!

 「え~~~!一緒に出てよ~~、新曲作ってよ~~、伴奏もしてよ~」

 「これ以上は本当に無理だって!」

 「………ねぇ、彩葉」

 

 不味い、と彩葉が身構える前でかぐやは目を潤ませ、

 

 「このままじゃ優勝できない……かぐやの事、助けて………彩葉に「はい、そこまでだぞ、かぐやちゃん」り、燐祢!?」

 

 渾身のおねだりが炸裂しようとしたところで、燐祢がかぐやの頭を軽く撫でて中断させる。

 

 「これ以上は間違いなくオーバーワークだ。本当に酒寄さんが倒れかねない」

 「うぅ、で、でもぉ…………」

 「優勝したいって思いは分かる。分かるけどな、それで人に無理をお願いするのは違う。ちゃんとその人の事情も考慮しないと」

 「………燐祢はかぐやに優勝してほしくないの?」

 「そりゃ………応援はしてるし、優勝もしてほしい。でも、それと同じぐらい酒寄さんのことも心配なんだ。だからな………今回は我慢してくれないか?」

 

 むぅ~~、とかぐやが不満気な表情で唸っているのを見て、彩葉は小さく頭を掻き、

 

 「ま、まぁ、時間が空いていたらね……」

 「本当!?よっしゃーー!もっと配信するぞーー!」

 

 ガッツポーズを決めながら高らかに宣言するかぐやにしょうがない、と言うように彩葉はため息を吐いていると、燐祢が慌てた様子で肩を叩いてくる。

 

 「おい、本当に大丈夫なのか、酒寄さん。幾らなんでもこれ以上は………」

 「大丈夫ですよ。時間が空いたらですから、そこは無理しません」

 

 そういって笑う彩葉に燐祢は小さく顔をしかめ、何か言おうとするも、結局何も言えず、小さくため息をつき、

 

 「…………もしも本当にヤバいと思ったら、無理やりにでも止めるからな」

 

 脅しとも取られかねない言葉に彩葉は顔を引きつらせ、「ぜ、善処します」と呟く。

 はぁ、とため息をつきながら燐祢はその場にどっかりと座り込み、空を仰ぐ。

 眩いほどに降り注ぐ太陽の光に燐祢は小さく目を細める。

 その後ろ姿を芦花と真美は複雑な眼差しで見つめていた。




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