どうせなら、キャンバスは白いほうがいい   作:中山の補題

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評価8超えた―と思ったら急降下してた。まぁこんなもんですよね。
10話に到達出来ました、とても嬉しい。
今回も読んでくれてありがとうございます。


6月 ウキウキ?な日々 表②

酒寄さんからの無差別爆撃を食らい無事に脳破壊された僕は、なんとか正常な思考を取り戻しこの後の予定のために急ピッチで家事やお風呂を済ませていく。全てを済ませて時間を確認するとちょうど10時になろうとしていた。これなら十分な時間がある。鈴村君達へ連絡するか。まぁ夜も遅いし電話じゃなくてチャットでいいだろう。最近4人で作ったグループチャットに今自分がフリーになったことを書き込む。すると30秒も経たず既読が付き、返信がきた。今から鳥居前まで行くそうなのでとりあえずログインして来いということらしい。とりあえずログインするか。

 

 

最近になって見慣れてきた銀河風景を越え鳥居前の空間に到着する。いつもはだれもいないはずのその場所には、今日は一人滞在者がいたらしい。勘違いでなければおそらく自分のことを待っていたはずなので、恐れずに声をかける。

 

「ヤオヨロー、お久しぶりですね。ヤチヨさん。

 この前は本当にお世話になりました。」

 

「ヤオヨロー! そんなかしこまらなくていいのに。

ヤッチョは皆の笑顔のためなら力を惜しまない良いAIなのです。

それよりもマロ? ツクヨミ、楽しんでる?」

 

「オフコース! いや~すごいですよこの世界。なんて言えばいいんだろう。

 なんでもあるはずなのに、まだ足りない。そんな気にさせてくる世界って感じ。

 こんなにすごいもの誰が作ったんだ?いやぁ~是非とも製作者の方にはお目にかかりたいなぁ~どこにいるんだろう?」

 

僕のそんな言葉にヤチヨさんは決め顔をしながら答える。

 

「ふっ、呼んだ? このツクヨミを創り上げ、今なお管理者としてトップを走っている……。

 この月見ヤチヨを!!!」

 

「キャ―! ホンモノ!本物がいるぅー!」

 

この鳥居以外何もない空間でこいつらは何をやっているのか。そろそろ突っ込みが入ることを期待したい。

 

「おい、お前ら。いつまでその文化祭の面白くない高校生の漫才みたいなことやってるんだ。

 ヤチヨ、そろそろ本題を話した方がいいじゃないか?」

 

モフモフの生命体から鋭いご指摘をいただいてしまった。しかし隣のヤチヨさんは高校生かぁ~とつぶやいて少しうれしそうである。

 

「マロ! ツクヨミチャレンジカップの日に妙なアイテム、手に入れたでしょ?

 今日はそれについてお話しに来たの。」

 

「もしかしなくてもやっぱりやばい代物でした…?

返せと言うなら喜んでご返却しますけど。」

 

「ううん、そこのところは気にしなくていいよ!

 単純に簡単な使い方の説明をしに来ただけだから。取り敢えず出してみて。」

 

ヤチヨさんに言われるがまま僕は金ぴかの長い槍を取り出す。こいつの名前、征服の勅命とかいう中学生大歓喜ネーミングをしているので呼ぶのは少し恥ずかしい。取り出された槍を見て微笑んだヤチヨさんは優しく右手をかざす。

 

「そろそろお目覚めの時間だよ……お寝坊さんっ!!!」

 

ヤチヨさんが力強く柄を握った瞬間に光りだす。なんなのこの槍。もう既に2回くらい光っているんだけど。3回目なの?これもうRPGのラスボスの変身回数よりも多くない?

僕は今からラスボス超えて裏ボスになるのかもしれない。ごめん、皆。ツクヨミ始めてから2,3週間の初心者がボスとして君臨するかもしれないです。

光が収まり目を開く、そこには……

 

槍の細いところで直立している小さなお人形みたいなやつがいた。

そんなお人形が僕を見て一言。

 

「そなたと相まみえるこの時を待っていたぞ……我がマスターよ。」

 

なんだこいつ。いやほんとに誰。この槍には追加でペットもついてきてお得という説明なのかこれ。別に嫌だとは言わないけどもう少し実用的なものを期待していたんだけど。

 

「ふふん。その子はねその槍に宿る精霊の……

 ウジール君でーす! はい! そこ拍手!」

 

パチパチパチ。勢いのままに拍手しているが僕の頭の中ははてなマークで埋め尽くされている。武器に宿る精霊、名前だけではなくて設定も中二くさいのかよこの武器……最高かよ。

もうここまでしてくれるなら開き直るほかない。

 

「それで? この精霊はk… 「ウジールだ、マスター」

 

「……ウジール君がこの槍n…… 「征服の勅命だ、マスター」

 

このちびキャラしつこいな。まぁ見た目からして細かいこと気にしてそうな奴だ。

 

「ウジール君が征服の勅命に宿る精霊だというのはまぁ……理解はしたんですけど。

 結局この槍 「征服n…」 代名詞くらい使わせて!

 ……結局この槍の使い方とどうつながるんです?」

 

僕らのやり取りを楽しんでいるのかさっきからずっと微笑んでいる彼女に問う。

ずっと月見ヤチヨは笑っているだろといわれてしまえば否定はできないが、さっきのやり取りを楽しんでいるというよりは、昔のことを思い出し笑いしているように見えた。

 

「ん? 単純なことだよ、マロソン君。

 武器に宿る精霊が出てきてくれたんだよ? 

なら、武器のことは彼に聞けばいい! なんたって武器の一部みたいなものだからね。」

 

え、こいつから聞くの。ということはこいつツクヨミでもついてくるってこと?

ウジール君のことをどうやって鈴村君たちに説明すればいいんだ。いや……まぁでも正直に言えばいいか。彼らなら腹抑えて笑って受け入れてくれるだろう。彼らはそういう人たちだ。

 

「了解です。 ……まぁ、ウジール君。これからよろしくね。

 僕VRでのゲーム経験なんて皆無に等しいから、お手柔らかに頼むよ。」

 

「案ずるな。我を眠りから呼び覚ました貴殿がただの凡夫であることはありえん。必ずや一線級の戦士そして将になれるだろう。」

 

凄いファンタジーな存在が仲間になったものだ。RPGゲームでしかこんなセリフ効いたことない。流石ツクヨミ、自分自身が主人公としてこんな体験できるなんて。

 

「じゃ、そろそろ行きます。外で友達が待ってるので。」

 

「うん……

私がつくったこの世界。その一大コンテンツであるKASSEN。

君のお口に合うといいな。」

 

……ヤチヨさんらしくないような少し控えめなコメントだ。普段の彼女の姿からはほとんど感じられないが、今さっきの彼女からは確かに不安というものを確かに感じた。どういう反応をすればいいのか。彼女はAIのはずだし、僕の思い過ごしの可能性は高い。けどこういう時は自分の目を信じることにしている。自分自身のことは信用できないが、この目のだけは信頼がおけるものだ。

 

「ヤチヨさん。そんな心配ご無用ですよ。

 こんな極上な料理ならべてくれているんですよ? 

味わえなかったらそれこそ僕の味わい方が間違っていたということ。大丈夫です。

貴方が作った世界は端から端まで全部魅力的ですよ。」

 

僕の言葉にポカーンした顔をするヤチヨさん。僕はなんで、いきなり女性に向かってこんなセリフをさらっとはいてしまったのか。段々と羞恥心が芽生えてきた。よし退散しよう。

 

「じゃ! そういうことなので。色々ありがと~!」

 

何か言いたげなヤチヨさんをおいて、勢いのままに鳥居をくぐりぬけた。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ……いっちゃった。

 もうっ! 少しくらい待ってくれてもいいのにっ」

 

「表情と言葉が一致してないぞヤチヨ。

 ……ちなみに眞白のやつが待ってたら、何をしでかす気だったんだ?」

 

「FUSHIはなんで私がやらかす前提なの?

 もう私は8千歳の大人のレディーなんだよ?

そんなの少しハグするくらいに留めるに決まってるじゃん。」

 

「それを自制の範疇に入れてしまっているなら、お前は大人のレディーではないと思うぞ?」

 

「そ、そう? ……ふへへ。」

 

「なんで笑ってるんだ?」

 

「え? だってそれはつまり、私の中に○○○としての意識があるってことでしょう?

 まだ私は眞白の○○でいられてるんだって思うとうれしくなっちゃった。」

 

「……、ヤチヨ。」

 

 

 

 

 

勢い良く鳥居をくぐり抜けたということはこの後僕がどうなるのかはお察しだろう。

 

「どへぇー、……なんで僕は今更になって転んでるんだ?」

 

酒寄さんは始めてログインする人がこけがちという話をされていたが、ログインしてから2週間以上経って転ぶなんて思いもしなかった。こんな姿を誰かにみられでもしたr……

 

「おい大丈夫かマロ? 中々ログインしないなと思っていたらすごい勢いで鳥居から出てきてずっこけるし。何かあったのか?」

 

み、見られてたー。そういえば鳥居前で待機してるって連絡がありましたね。ということは……

 

「おうマロ。なんやそこにレッドカーペットでも見えたんか?

 残念やったな! これはただの赤色の橋や。まぁ錦帯橋にも劣らない立派な橋ではあるとは思うけどな!」

 

「見事なピットインだったなあ。……タイヤ交換しとくか?」

 

「この状況だったらブレーキでしょTake。」

 

ちゃんと3人に見られていた。くそう。ちゃんといじってくれるじゃないか。正直言ってありがたい。大人の対応をされていたらこの後の僕はどんな顔でKASSENをやればいいかわからなかった。ただでさえこの後爆弾ネタについて話さなくちゃいけないのに。

 

「よっこいしょ。そうだね、中々大きいネタ持ってきたよ。取り敢えずそれ説明するためにもKASSENの方に行こう。」

 

 

 

 

 

 

 

「「「あははははははははwwwwwww」」」

 

大爆笑だ。これ以上に表現のしようがないほど彼らはただ笑っている。そして笑っている人間がいるということはそれを笑わせたものがいるということだ。残念ながらその対象は僕ではない。その張本人はというと……

 

「貴様ら! 我を見てなぜ笑う!?

 我は!この黄金に輝く槍。征服の勅命に宿る精霊ウジールぞ。

 お前ら人間とは格が!違う!のだ!」

 

「格が!」

 

「違う!」

 

「のだ!」

 

「「「…………………、あははははははははwwwwwwwwww」」」

 

「貴様らぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

あーもう、無茶苦茶だよ。3人とも、こんなちっちゃいゆるキャラみたいな子に大人げないったらありゃしない。

 

「マスター!??」

 

やべ、口に出てた。そんなこと思ってないって、僕たち相棒なんだろう?

ごめん、ごめんてウジール君、頼むから槍を指でつつきながらいじけるのはやめてくれ。その姿を見てあの3人組がさらに笑ってるから。このままだとあの人達ほんとに笑い死んじゃうから。

 

「ふぅ~、久しぶりにこんな笑わせてもらったよマロ。やっぱりお前といると退屈しねーわ。この調子でこれからも頼むぜ。」

 

無茶言うな。これまでの一連の騒動の発端は僕ではなく、目の前でどんよりした雰囲気を出しながらいじけてるあいつである。……まて、ということはこいつと関わってる限り何らかの形でハプニングが起こるのか。もう一週間たったからクーリングオフはできない……終わった。

 

「おい、そこのおチビちゃん。ウジール?やったか。そろそろその槍の説明してくれや。そいつの使い方わからんとマロに何を教えるにも始まらんやろうが。」

 

「くっ、ぐぬぬぬ。生意気な小僧だ、我に説教を垂れるとは……。しかし、正論なのは事実。よかろう!この我自ら、説明してやる。

 マスター、取り敢えず槍を手にもて、右手一本だぞ。」

 

要求が思ったよりも細かい。こんな大きい槍をわざわざ片手で待たなくちゃいけないのか。現実の僕なら100%持てないだろう。ウジール君の指示通りに槍を持つ。

 

「………で? ここからどうすれば屈強な砂の兵士が出てきてくれるわけ?」

 

「そう焦るなマスター。今我がその中に戻り、真の力を見せてやる。ふっ!」

 

そう言ってウジール君は槍へと飛び込んでいく。槍に触れた瞬間に真っ二つに……なるなんてことはなくスッと取り込まれていった。

⁉ …いやもう驚かないぞ。

あんまこういうこと言うのは高校生にもなってどうかと思うがこんな状況だしいうしかない。

 

「力を……感じる。」

 

「おいマロどうした? 頭おかしくなったのか?」

 

ひどい。

 

『マスター。我らが同胞を呼び出すのは簡単だ。心の中でこう唱えるだけでよい。

 我が兵士よ、前へ。』

 

うっ、いかにもすぎないか。心の中でもいいのが唯一の救いだ。よし。

 

我が兵士よ、前へ。

 

すると、地面が少し揺れ下からドーンと2メートルくらいはある砂でできた兵士が現れた。

ほんとに出たよ、いやでてこなかったら意味わかんないけど。

 

「ここからどうやったらこの兵士を動かせるの?」

 

『それもまた簡単だ。我に指示する感覚で念じろ。』

 

了解。じゃあ、取り敢えずバク宙を二回連続やってもろて。

 

次の瞬間には2メートルを超える巨体が軽やかにバク宙をしだした。何これすっご、戦うよりサーカスでもやった方がいいんじゃないか。

 

『マスター?』

 

この状態だと心の声がウジール君に丸聞こえなのか。僕のプライバシーはあったもんじゃないな。

 

「お、おいマロ。今どうやってこのデカブツ動かしたんや?」

 

「えっただ念じただけ……「おいそれまじでいってんの!?」は、はいぃぃぃ。」

 

「人形師っていうのはな! 基本的に自分の手と人形が糸でつながれていて、ほぼマニュアルで操作するんだ。だから、精密な動きと刹那的な判断が難しくて皆諦めていく。けど、これはその根本を破壊してるんだよ。ちなみに、兵士が動いてる最中に清水は自由に動けるのか?」

 

「当たり前よ!」

 

ウジール君が槍から出てくる。

 

「兵士の動きに手を足られて満足に動けないなど、王にあらず。兵士を動かし、自らも戦場に立ってこその王。」

 

「なんやそれ……くそつよアイテムやんけ。

 ……ちなみに兵士の数に制限は? 兵士はどの程度精密に動けるんや?」

 

「制限はないが、正直数はマスターの処理能力次第だ。まぁ我が全力でサポートするなら5体は軽く出せる。兵士の動きは……これもマスター次第だ。我に念ずる指示が細かく丁寧であればあるほど兵士の動きは鋭く、威力が増す。」

 

「なるほどなぁ、chat〇ptみたいなものか。適当なプロンプトだとゴミ出してくるけど、条件や正確な情報を渡してやれば物凄いもん生み出してくれると。」

 

「でもそれは難しすぎないか?

結局のところ人形師の弱点である短いスパンでずっと正確な判断しなくちゃいけないのは変わってないし。」

 

「………ねぇウジール君。そのプロンプトってさ、絶対に文字じゃなくちゃダメ?

例えば……絵や画像とか?」

 

「あまり見くびるなよマスター、もちろん可能だ。それが我に思念として伝わるならな。」

 

それならば僕はこの武器を扱える。良かった、僕はこの武器を扱う適性がちゃんとあったみたいだ。

 

「ねぇちょっと試したいからさ。3人のうちだれか一人少しサンドバックになってよ。」

 

「なんやマロ、威勢いいやないか。よっしゃ相手したる。いけカズ!」

 

「ってお前じゃないんかい。でも有り難い。正直戦いたくてしょうがなかったし。」

 

葛野君は僕と正対し、10メートルほど離れる。

 

「いつでもどうぞ!」

 

葛野君からの許可をゴングとして、いざ初陣。行くよ、ウジール君。ついてこれるよね?

 

『ぬかしおる。誰に向かって言っているのだマスター?』

 

砂塵兵を追加で一人召喚し、二体分の動きを頭の中で描く。次の瞬間には、二体の砂塵兵が物凄いスピードで間合いを詰め葛野君へ攻撃を仕掛けている。

 

「うおっ! はっや……」

 

流石葛野君。あの帝アキラさんを至近距離戦闘で圧倒した実力は本物だ。だけど、まだ上がる。今の砂塵兵は一秒間に30枚の絵で動かされたもの。次は取り敢えずその倍、60コマの動きを試してみよう。

清水の指示により砂塵兵の動きが更に速くそして複雑化していく。ただの突く動きだけではなく、薙ぎ払いやフェイントといった相手に対応を強制させるものへ進化していった。

 

「これは……やばいなスズ。あのカズがあの至近距離のファイトで押されてるぞ。」

 

「まぁあいつじゃなきゃすぐ首取られてるやろうけど。あの槍と清水の相性はこの十秒の間でも痛いほど理解できるわ。やけど、致命的な弱点があるな。」

 

「あぁ。そろそろカズも気づいて仕掛けるだろ。」

 

 

 

 

Side 葛野

 

バケモンすぎるだろ清水。こんな動きが鋭く、読みにくい人形と戦うのは初めてだ。今にも思考をやめれば俺の心臓に目の前の兵士が槍を突き立ててくると分かる。けど、戦い越しにあいつの姿を見てなんとなく気づいた。清水はこの兵士たちの動きを脳内で絵を描いて指示しているってことは、こちらの動きをその目で観察する必要があるということ。

つまり……

 

「視界を遮ればいいってことだろっ!」

 

俺は煙幕を展開して姿を消す。そして、清水へと一気に距離を詰めようと足に力を入れる。煙幕から出てきた俺をあいつがその目で俺を確認しているころには2メートルなでその距離を縮めていた。そして迷わず俺は右腕を振りぬく。俺の右腕が清水のみぞおちを捉えることはなく直前であいつが持つ槍で防がれた。

 

「反応いいなマロ。けどな…まだ負けられねーから。」

 

俺は清水のガードを左腕で崩し再び右腕に力を籠め、殴る。右手と清水のアバターの距離はもう10センチもなく当たったという確信が俺の中で生まれた瞬間……、

 

清水の体がぶれ、拳が空をきる。

 

「………は?」

 

目の前にいたはずの清水はいつの間にか俺から10メートル以上離れた場所に移動していた。……なるほどね。清水の体を兵士が引っ張って移動させたのか。

 

「抜け目ないなぁ。ホントに初心者?」

 

 

 

 

 

Side 清水

 

危なかった。ウジール君に離脱方法教えてもらってなかったら僕のHPと意識がブラックアウトしていた気がする。大体勝手はわかったしまだまだ戦えるっ……

 

「おーい、お前ら! もうその辺でいいだろ。マロが動けるのが十分にわかったし本題に移ろう。やろうぜ、SENGOKU。」

 

鈴村君の声で戦闘意識から引き戻される。そうだ、僕はタイマンをしに来たわけじゃないんだった。

 

「SENGOKUやるのはいいけどよ、どうするんだ?

 何から教えるんだよカワ?」

 

葛野君が真っ当な疑問を口にする。今までの過程は僕に何を教えるかを考えるためのもので、未だ何を教えてくれるのかを知らない。

 

「そうやな。……さっきのカズとのタイマン見て思ったんやけど。

 いきなり実戦、いってみよか?」

 

へ?

 

「いいなそれ。さっきの戦いぶりを見る限り俺たちのレート帯だとしてもノーマルマッチならいけんだろ。とりあえずカズはベンチで。」

 

「まぁしゃあなし。楽しんで来いよマロ。」

 

僕の返事はとりあえず聞いていないらしい。しかし、ゲームだろうが何だろうがやってみなきゃわからないのも事実。ここは腹を決めて二人の胸をお借りしよう。

 

「んじゃマッチングかけるか。気楽にやろーぜ、気楽に。」

 

「そうそう。見るからに肩に力入ってるで、マロ。

 あんまり心配せんでええ。いくら俺ら二人がいて内部レートが高くなったって、所詮はノーマルマッチ。そんな強い奴はこないやろ。そういう奴らはランクマしか興味ないしな。」

 

そういうものなのか。まぁ河木君が言うならそうなんだろう。おっと、そんなこと話してたらマッチングしたらしい。承諾を押していざステージへと転移する。

マッチング待機が終わり、相手プレイヤーの情報が入ってくる。プレイヤー名は……すごく見覚えがある方一人と既視感がある方二人だ。

 

【 IRO , ROKA , まみまみ 】

 

プレイヤー情報を写すウインドウが閉じられ、自分の体が小さくなるような感覚を感じたと思ったら次の瞬間。僕の体は大きな桃に包まれた。

その後は桃太郎のように川に流される……ことはなく、風呂敷に包まれチームのホームである天守閣上空までトキに運んで落とされた。この時の状態は、正に自由落下。フリーフォールに乗った経験がない僕は、こんな感じなのかなという気の抜けた感想を現在進行形で抱いていた。そんなこと思っているやつがきれいに着地なんてできるわけもなく、空中で桃から出れずそのまま地面に激突。その衝撃で桃が破裂し、立ち上がれずに座り込んだ状態で、僕はSENGOKUデビューをすることとなった。

 

 

 

 




皆さん気づいていると思いますが、ほぼ投〇呪法です。私呪術の方全く知らないんですけど。
なのであんまり理解してないんです。原理あってるんですかね。
違いは砂塵兵のみ対象であるということ。
清水の能力というよりかウジール君の能力ではあるんですけど。
そのまんま使うの怖すぎてウジールにしたけど、やっぱりなんか違う感じ。


この小説での彩葉のKASSENの腕はかなりやばいよ。
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