どうせなら、キャンバスは白いほうがいい   作:中山の補題

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滅茶苦茶長くなることが予想されたので、分けます。
読んでくれてありがとうございます。


5月、異世界な日々 表①

5月の中旬にも差し掛かるころ、僕にはある転機が訪れようとしていた。

それは昼休み中に昼食をとりながら男子高校生同士でだべっているときのこと。

 

「えっ、清水お前スマコン持ってないの!?」

 

「うん、持ってない。流石に高校生になっても持ってないのやばいかな。」

 

「そんな奴今日日いないだろ。」

 

「やb、やばいよ☆」

 

「カワ、お前それ何年前のミームだよ…」

 

カワこと河木君のミームネタはいつものことながらささらない。まぁそれは単純に僕がインターネット文化に触れていなかったのが原因だ。しかしそのボケをちゃんと拾ってくれる鈴村君がいる。この二人は幼馴染の関係らしく幼稚園からの付き合いだそうだ。二人は入学式の日に話しかけたところ意気投合して仲良くなった。二人とも僕の中学時代やその他活動について知っていたが、態度を変えず接してくれてとてもありがたい。

話を戻すがスマコンか。もちろん存在は知っているし全く興味がないわけではない。ただほんとにずっと絵を描き続けた人間だったので利用する暇がなく、それならばいらないよなと思っていたからだ。プラス僕のお金は画材に消えていた為、12万円程するスマコンに手が届かなかったという生々しい話もある。しかし状況は変わり、今は経済的にも時間的にもゆとりがある。これを機に触ってみるのもいいかもしれない。せっかく高校生になったのだから新しいことにも挑戦してみるかという気持ちがわいてきた。そうと決まれば素早く行動あるのみである。

 

「二人とも、明日僕スマコン買うわ。」

 

「マジか、お前思い切りよすぎだろ…」

 

「あっつぅ~」

 

明日のバイトは3時前には終わるのでその後の予定は暇だったし、丁度いい。せっかくなら目の前の二人に手ほどきをしてもらおうと思ったのだが…

 

「すまん、明日の夕方から夜にかけては俺たち予定あるんだ。色々事情合ってどうしても外せなくて。とりあえずは初めてのツクヨミは一人で楽しんできてくれ。」

 

「まぁ初プレイの感動は一人で味わってこそみたいなとこあるし、一緒に遊ぶ機会なんていくらでもあるやろ。そん時にやろうや。」

 

とのことらしいので、僕のツクヨミデビューは一人らしい。少し寂しいが予定があるなら仕方ない。またの機会を楽しみにしよう。新たな楽しみが増えて心躍ってしまうが、まだ授業は二つ残っているし、その後はバイトだ。高校生は中々大変である。

 

 

 

 

 

日付が変わって、次の日の朝である。

今日の自分の予定としてはもうスマコンへとフォーカス一直線なのだが、その前にバイトが控えている。というわけで、今から我らがBAMBOOcafeへと出勤していくところなのだ。土、日曜日には特別メニューがあり、その仕込みもあるので急がないといけない。そのため休日出勤では、階段近くに置いてある中学からお世話になっているママチャリをこいで向かう。歩いて向かうと15分程度はかかる道のりを自転車ならその半分の時間で走破できる。未だ5月だが、既に日本では夏日となっており、自転車で風を切って走ると幾分か気持ち良い。もう僕も高校生なのだが、いくつになっても自転車を乗る時の高揚感はなくならないようだ。

 

 

BAMBOOcafeに着いた僕はそそくさとスタッフルームへ。準備を整え、いつものように厨房へと向かう。

 

「おう清水、おはよう。」

 

「おはようございます店長。今日も早いっすね。」

 

「そりゃ、当たり前だろ。この店の長で社会人なんだから。

 誰よりも早く来て、準備すんだよ。

 ただでさえ料理の方はお前に頼ってるしな。」

 

「適材適所ってことですよ。

 現に店長のコーヒーは滅茶苦茶評判いいじゃないですか。」

 

このBAMBOOcafe、実はかなり歴史ある喫茶店である。元の名前は、喫茶竹取物語。店長のお父さんである先代が創業したお店だ。地元の方から愛される素晴らしい店だったのだと、先生から聞いたことがある。数年前に先代の体調が悪くなり、息子である店長が継いだ。その際に先代は、唯継ぐのではなくて先の時代に適応したお前の店を作れと店長に命じ、その言葉に従って店長は店の雰囲気と名前を一新。それが今のBAMBOOcafeである。

店を継ぐ際に先代の秘伝のメニューが店長へと引き継がれたのだが、どうしても店長は先代のカレーを再現することができなかった。カレーは店の名物として長年愛されており、これ目当てで通っていた常連さんは数が知れないとまで店長は語っていた。そのため、カレー目当てのお客さんがその目的を失ったため、お客さんが少なくなってしまったのだ。

しかし店長は、コーヒーを淹れる腕前は先代にも劣らないものを持っており、コーヒー目当てのお客さんは多い。とはいえ、店の看板メニューを失った影響は大きく店の売上は伸び悩んでいた。その状態を変えたのが、自分でも恥ずかしいのだが僕である。

中学3年の春からこのお店でお世話になり、その際店長から料理について相談され試行錯誤の末、大体再現することが出来た。この代替というところがみそで、店長や常連さんからはほぼまんまなんだけどなんか違う気がする、と言われている。この一年間完全再現に努めているがどうしてもうまくいかない。しかしその違いに気づくのは先代のころから通ってくださってる方ぐらいで最近のお客さんにはあまり関係はない。結果的にこのBAMBOOcafeにも名物カレーが戻ってきたのだ。だがその名物カレーを作れるのは自分だけな関係上、平日に提供するのは難しい。そのため休日限定のメニューとして復活した。

 

このカレーは中々に手間暇かける必要があるため、休日の朝は少し早く来てカレーの仕込みをするのが僕のルーティンである。はじめは少し面倒くさかったのだが、休日の朝から近所の人たちがずらりと並ぶその光景を見てからはそんな思いもいつからか消えていた。そんなこんなでカレーの仕込みもほぼ終わり開店まではあと10分くらいである。

 

「すいません。遅れました。」

 

そんな折、酒寄さんが出勤してきた。急いできたのか少し汗をかいているように見える。

 

「遅れてないよ。それよりどう、外の様子?」

 

「いつも通りに並んでる。ていうか休日の午前から喫茶店に並ぶ人たちなんて面子固定されてるだろうし。」

 

「それもそうだね。じゃあはじめはこのカレーだけで済みそうだ。」

 

正直ほかのメニューを注文されると少し面倒くさくあるのだが、いつも通りの人たちならばそんなことはないだろう。ここのカレーの常連たちの食べ方は一つ。カレーとコーヒーの二つのみを頼む。うちのコーヒーはなぜか抜群にカレーの風味のマッチし食欲を刺激する。朝からカレーを食べるのきついだろと思っていた僕だったが、初めてこのコンボを体験した時はあまりのうまさに感動したものだ。

 

「てか今日酒寄さんっていつまでだっけ?」

 

「私? 3時とかそんなところじゃない。」

 

気分でなんとなく聞いてみただけだったのだが、思わぬ収穫となるかもしれない。

そう思った僕は、ノリに任せて思うがままに喋る。

 

「じゃあもしかしてだけど……、夜とかお暇だったりする?」

 

言った瞬間悟ってしまう。これ絶対に言葉間違えてるし、足りてない。それも間違え方としてはかなりやばい方向にいっちゃってる。目の前を見ると案の定、人に対してしていいとは思えない表情の酒寄さんがいた。

 

「え、なに? いきなり怖いんですけど。

 清水って実は結構プレイボーイな感じだったの。」

 

「へ? 

 あっ!いやそういうなんかいかがわしい意味では、全く!なくてですね…

…てか酒寄さんそういうの知ってるんだ」

 

ブチッ、何かが切れる音がした気がする。僕はおそらく良くないことをしでかしてしまったのだ。

 

「へぇ~、そんなこと言っちゃうんだ? ふーん……

 ねぇ。

 

「ハイッ」

 

もう僕には一つの行動しか許されていない。それは彼女の言葉に対してyesとこたえることだけだ。

 

「終わりは?」

 

「へ?」

 

「シフトが終わるのいつって聞いてるの。

 そっちが先に聞いてきたんでしょ。」

 

「はっ! 閣下と大体同じ時間でありますっ!」

 

「それ本気で言ってる?

 本気で怒られたいの?」

 

目がマジだ。これ以上はふざけることは許されていない。今僕の命は確実に彼女の手の中にある。

彼女の顔がにこやかなものに変わる。

 

「終わったらちゃんと待っててな清水君。

 何も言わず先に帰ったら…、 わかってるんやろうな?

 

「はい、喜んで待たせていただきます。」

 

今この瞬間だけは僕らの間で圧倒的なまでの差があった。どちらが上で下なのか説明するまでもない。バイト後の自分はどうなってしまうのか、不安だ。

僕の脳内のメモリーカードに関西弁が出てる酒寄さんが刻まれ、少しの間だけ関西弁がトラウマになってしまうのだった

 

 

 

二時間ほど経過してお昼時だ。またそろそろお客さんも増えてくるなと思っていたその時にドアが開く。ほら来たと得意げな顔をしながら、顔を上げていつもの通りの挨拶を……

 

「いらっs、え……なんで?」

 

「その言い方はないだろ清水。」

 

「ま、大勝負の前に景気づけってとこやな。」

 

まさかのスズカワの二人である。予定があるといって断っていたはずなのに、まさかここに来るとは思わなかった。二人はそそくさとカウンターに座り、メニューを開く。

 

「清水、なんかおすすめある?

 あっ、値段は気にしなくていいぜ。景気づけだから。」

 

「オッケー、まかせなさい。じゃあメニューは料理が出てくるまでのお楽しみということでいいかい?。」

 

「おっいいね。でも頼むからめっちゃ品数出すとかやめてくれよ。食い切んないから。」

 

「分かっているって。じゃ、しばらくごゆるりとお待ちください。」

 

そういって僕は厨房へと戻っていく。せっかく友人たちが来てくれたし、腕によりをかけて振舞ってやろうではないか。

 

20分ほど調理し、料理が完成した。中々悪くない仕上がりだ。メニューセレクトも食べ盛りの高校生に適確なものなはずだ。いつもなら僕の役目はこれにて終わりで、ホールに頼むのだが、今はお客さんもあまりいないしオーダーも来ていない。少しぐらいは許してくれるだろう。料理をカウンターへと運び、二人の前に丁寧におく。

 

「お待たせしました。

 こちらシェフ清水が友人たちにおくるフルコースです。

 あっ、後でデザートも持ってくるよ。」

 

「マジか、これ本当に喫茶店のメニューか?」

 

「食い終わったら気絶するやろ、俺ら。」

 

「えっダメ? カレーとカツサンド。」

 

「「大好物です。」」

 

「ならいいじゃん。」

 

「いやカツカレーでいいだろ。飯とパンで炭水化物のデュエットが始まってんじゃん。」

 

「スズ、同じ料理で飯とパン入ってるわけじゃないからデュエットではないかも。」

 

「カワお前……、今そこじゃないだろ。」

 

うーん。高校一年生ならこれくらい昼から行けると思うのだが。とはいえ作ってしまったし、残されるのはなんか悔しい。ここは脅しをかけますかね。

 

「二人とも、残すと酒寄さんに怒られるよ。」

 

「いやお前、酒寄さんのことお母さんとでも思ってる?

 確かに凄い真面目な人だけど、バイトでそこまでする奴はいな……」

 

鈴村くんの顔をじっと見る。それが本当であると彼に信じさせるために。

 

「マジなんか……」

 

河木くんが神妙な面持ちで聞いてくる。僕はその問いに肯定するため首を縦に振ることができなかった。

 

「お待たせしました。こちら、ブレンドコーヒーです。

 あら、清水君? あなた厨房スタッフですよね。ここでなにしてはるの?

 さっさと戻ってくれる?

 

はい。すいませんでした。

 

 

とはいえフルコースは終わっていない。厨房に戻った僕はデザートであるパンケーキに取り掛かる。今月のテーマは柑橘系である。はじめはこどもの日にちなんでお菓子をふんだんに使ったものを考えていたが、全然利益出ないらしく泣く泣く断念。その代わりで白羽の矢が立ったのが、旬である柑橘系の果物たちだ。その結果、逆に大人たちからの支持が大きくなる一品に仕上がった。まぁ、店の客層を考えればこちらの方が評価は高そうである。そんな制作秘話を思い返していたら最後の果物の盛り付けまで終わった。それをホールの方に渡す。

 

「カウンター3番にお願いします。」

 

出てきたのは店長だ。

 

「了解。

……清水。後で友達の方に感想は聞いといてやるから。おとなしくしといてくれよ。」

 

OK, BOSS.

それは僕の不得意分野だったが、たった今得意分野になったんだ。任せてくれ。

 

 

あの二人を皮切りに増えたお客さんの波をくぐり抜けて、なんとか3時まで耐え抜くことができた。なんか重要なことがあった気がするが、それよりもまず休憩をしたい。おかしい、なぜ僕はこんなにも疲れている。いつもこれくらいの労働はしているはずなのだ。

それも体というより心に槍を刺されたかのような……。

 

「お疲れさん、清水君。」

 

その声を聞いて清水は思い出した。

バイト後の待ち合わせの予定を…。その際酒寄さんを怒らせていた恐怖を…。

 

「酒寄さん、命だけは勘弁して頂けないでしょうか。

 まだ僕には、やらなくちゃいけない使命が……」

 

「へぇ、なに。教えて?

 同僚の異性にあんなこと言っちゃう清水君の使命。」

 

少し笑みを浮かべている。人間怒ってるひとが怖いと思う人もいるだろう。しかし、その考えはNOだ。一番怖いのは普段優しい人が自分だけに向ける冷たい笑顔である。

 

「実は……」

 

「実は?」

 

「この後スマコン買ってツクヨミデビューしなくちゃいけないんです……。」

 

「は?」

 

「え?」

 

「持ってないの?スマコン。」

 

「うん、持ってない。」

 

「存在は流石に……?」

 

「知ってた。」

 

「じゃあ、なぜ!?」

 

「いやぁ、僕の青春はね。絵を描くことと共にあったんですわ。」

 

「どんだけ絵に時間費やしてんのよ、あんた……。

 てかまだ青春時代は終わってはなくない?」

 

酒寄さんは呆れを通り越して、驚きの境地に達している。あの二人からも同様な反応が飛び出ていたし、本当に僕の存在は稀有なんだと思う。しかし、これはツクヨミというものに俄然興味も湧いてくるというものだ。

 

「それでつながるんだよ、開店前の話に。一人で始めてもいいんだけどさ。

 やっぱり初プレイは、経験者にいろいろ聞きたいこととか出てくると思うからさ。」

 

「あ~だから、私の午後以降の予定聞いてたのか。

 じゃそういえばいいのに。大事なこと先に言いなさいよ…。」

 

「それは本当にごめん。」

 

なんだろう、その言葉以外見つからない。

 

「午後の予定ね。今確認するから。」

 

酒寄さんはスマートフォンを手に取り、何やら操作している。おそらく、手帳アプリで予定の確認をしてくれているのだろう。酒寄さんの忙しい生活を考えたら、軽く断られてしまうと思っていたのだが、ちゃんと確認してくれるのは彼女の人の良さを感じる。

 

「夜8時以降ならそこそこ時間とれるけど、清水はどう?」

 

「全然OKっす。お願いしてる立場だし、時間は合わせるよ。」

 

マジか、ダメもとでお願いしたのだが。こうもうまくいってしまうと、逆に動揺してきた。

これは中々面白いことになりそうだ。

 

「それじゃ、そういうことで。この後買いに行くんでしょ。

 場所は……、やっぱり立川駅のタヤマデンキ?」

 

「そうだね。ちょっくら、いってきますよ。

 あっ、その前に!」

 

予定では度重なる酒寄さんへの非礼を詫びるための品だったのだが。今日のお礼の品に代わってくれるなら上々だ。僕はタッパー二つと保冷剤が入ったランチバックを酒寄さんへ渡す。

 

「これ少し余ったカレーのルーが入ってるのと……、4分の1カットされたパンケーキっす。

 酒寄さんって僕の料理結構食べてくれてるけど、なぜかパンケーキまだだったでしょ。流石に果 物はあしはやそうだからのせられてないけど、クリームはあるから安心して!」

 

「いやこんなに頂くのは……

 カ、カレーのルーだけじゃダメカナ?」

 

なぜか片言で目が泳いでいる酒寄さん。その不思議な様子に思わず笑みがこぼれてしまうが、これくらいのことでそんなにかしこまれても困ってしまうというものだ。

 

「賄いの料金と今日の夜を足せば、これくらいにはなるって。

 それとも酒寄さん甘いの苦手だっけ?」

 

わかってて聞いてるが一応の確認だ。初めての業務で、僕の作ったスイーツを運ぶ酒寄さんの忘れもしないあの様子。スイーツにしか目が行ってないあの姿を見ている僕からしたら、あれで甘いもの嫌いはあり得ない。

 

「イヤァ~、ソウイウワケデハナインダケドネ。」

 

「じゃ、パンケーキが嫌い?」

これもあり得ない。もう一か月同僚として働いているのだ。観念しろ! 酒寄彩葉。

 

「スゥ~、いただきます。」

 

「はい、良かったです。味わってください。」

 

勝った。目の前の才女に出会ってから、一度も彼女に勝ったことはないがついに彼女の無敗に土をつけた。この快挙は、今年か来年のイグノーベル賞になるだろう。

酒寄さんは僕の手からランチバックを受け取り、少し悔しそうな姿をする。しかしその顔は、その感情とは些か離れたものをしているようにみえた。

 

 

 

 

帰宅の準備を整え、タヤマデンキへと向かう。この店から国立駅にむかい、立川駅へと移動する。目的の場所は駅のすぐそこだ。

その途中のATMでお金をおろす。うん、15万円くらいは持っていくか。

さて準備は完了、いざ出陣…

 

……うん、普通に何事なく買えた。

強いて言うならこの年齢で初めて買うことを店員さんにも驚かれた。

そんなになのか。まさかこの日本はツクヨミによって支配されているのでは。あのツクヨミを管理しているAI 月見ヤチヨは、昔から日本を裏から操ってきた悪い奴で……。

そんなくだらない陰謀論は止め、さっさと帰ろう。頭がおかしくなってきている。もちろんスマコンの取り扱いとかも知っておきたいが。正直言ってお腹が空きすぎておなかが痛くなって来た。これ以上になってしまうとツクヨミどころじゃなくなってしまう。そう悟った僕は、さっさと駅のホームへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

家に帰ってきて冷蔵庫の中に作り置きしといた鳥チャーシューを電子レンジで温めて、それをご飯の上にのせて食べる。ふむ、このメニューはそこそこお手軽でうまいのでレギュラー入り濃厚だな。しかし一品だけでは今の僕は満足できない、もう一品行くかと考えていた時。

 

ピンポーン。

インターホンが鳴った。最近でなることなんてなかったから存在を忘れていた。誰なんだと疑問に思いながらドアを開く。

 

「あっ、良かった。帰ってたんだ。

 まぁ自転車があったから、いると思ってたけど。」

 

「どうしたの酒寄さん。

 もしかして今日の夜予定あったりしちゃった?それなら全然そっちを優先してもらいたいけど。」

 

「いや流石にダブルブッキングはしないよ。

 そうじゃなくて、はいこれ。」

 

「ランチバック? ああ、返しにきてくれたのか。

 わざわざありがとう。あれ?」

 

受け取ったランチバックからはタッパー以外の確かな重さを感じる。料理を残すことは酒寄さんならないだろう。僕がバックを受け取ってから明らかに動揺しているのを見て、酒寄さんが口を開く。

 

「美味しかったよ、どっちも。久しぶりに自分の家でまともな料理食べれた、ありがとう。

 それはそのお返しってことで。」

 

僕はバックを開きタッパーの蓋を取る。その中にあったのは、ハンバーグだ。いや……、このにおいからするに豆腐ハンバーグかもしれない。まだまだお腹は空いていたので嬉しい差し入れとなった訳だがいきなりどうして。

 

「昼、鈴村君たちが来てたでしょ。そこで清水が張り切って作ったかなりの量の料理全部ちゃんと食べきってたから。それ見て、清水もこんくらい食べるのかなって。

 それに流石にもらいすぎだから、少しでも返したいと思ったからさ。」

 

優しい。心遣いが沁みる。貴方は将来、良いお嫁さんにも旦那さんにもなれるでしょう。是非その時は結婚式呼んで下さい。この事をエピソードトークで話させていただきます。

 

「それに…。」

 

「まだあるの?」

 

「伝言。

「めっちゃ美味しかったわ。今度は普通に放課後に行かしてもらうわ。」

だってさ。」

 

「あー、そう言えば店長がそんなこと言ってたね。いやあの人、自分じゃなくて酒寄さんに頼むのかよ。」

 

「じゃ、私は一旦ここらへんで。

 また後で。」

 

「うん、ありがとう。

 ちゃんと食べて感想言うよ。」

 

「いいよそんな、感想なんて。」

 

そう言って酒寄さんはドアを閉めて去っていった。

僕は鍵を閉めて、机へにタッパーを置く。それから白米を温め、お茶碗へとよそう。

豆腐ハンバーグも温めたた方がいいかと思ったら、まだ温かい。もしかしたら、作りたてなのかもしれない。なんか嬉しい気持ちになってしまう。

箸を手に持ち一言。

 

「いただきます。」

 

ハンバーグを一口サイズに箸できって、白米へとバウンドさせ口に入れる。そして白米を口へと掻き込む。

 

「うまっ。」

 

口の中に旨味が広がっていく。

今度自分で作ってみようと思ってしまうほど、この豆腐ハンバーグは美味しかった。

またやられたな。心の中でそんな風に思った。




自分めっちゃコーヒー好きなんですよね、毎日飲んでます。
でも飲みすぎはよくないらしいです。これやばいかな。

次話でツクヨミへとログインするわけですが、マジでツクヨミの脳内解像度が低い気がして唸ってます。適度に頑張ろうと思います。
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