戦闘とか考えるの大変ですね。よくわかんないですし。
読んでくれてありがとうございます。
『それでは! 両チーム入場が終わりましたので試合前インタビューといきまショウ!
まずはチャレンジャーであるTeam Absolute Core のリーダー、FreeStyle選手にインタビューしていきたいと思います。今のお気持ちを教えてください!』
ハイテンションな進行の方に振られ、マイクを握る鈴村君改めFreeStyle。マイクがオンになっていることを確認。真剣な表情が一変し、飄々とした態度で話始める。
「どうも~、いや~こんなに大勢の人の前で話すなんて初めてなんで緊張しますわ~。
まぁ前置きはこれくらいにしといて。
俺たち三人組がこのKASSENに出会ったのが3年前。そして最高ランクに到達したのが丁度1年前。その間に俺たちはずっと3人でひたすらにランクを回した。例えサシでの勝負で後れを取っていたとしてもその後の集団戦や戦略でどんな奴らにも勝てると思ってた。実際にそれで勝てていたし、その考えを疑いもしなかった。けど、そうじゃなかった。最高ランクに到達して次の日のランクマッチ。俺たちはボッコボコに完膚無きまで処られた。何もかも歯が立たなかった。レーン戦段階で残機はすべてはかされ、その後の集団戦は、ミニオンのCSの差でウルト数に差ができて戦いにならなかった。衝撃的だったよ。俺たち相手にこんな勝ち方できる奴らいたのかって。マッチが終わった後、すぐにそいつらのことを調べたさ。そのチームの名前は”ブラックオニキス”。あんたらだ。
今回の大会に俺たちが参加した理由はただ一つ。
…あの時のリベンジだ。覚悟してもらうぞ、黒鬼。」
鈴村君の力強い宣言と共にこの会場はブーイングの嵐へと変化する。
「え、なんで? そんなに嫌われること言って無くない? FreeStyle。」
「さっき言ったでしょ。黒鬼は日本で一番人気があるチームだって。そういう意味でも厄介なのよ黒鬼は。この大勢の黒鬼ファンから浴びせられるブーイングを目の前にして、ただの一般プレイヤーじゃまずいつも通りのプレイなんてできやしない。たとえできたとしても、いつも通りのプレイで勝てるほど黒鬼は甘くない。あの最強に勝つには、環境にも自分にも勝たなくちゃいけない。ホント……無理ゲー。」
ゲームにあまり詳しくない僕だが、この状況を目にしてわからないほど馬鹿ではないつもりだ。今あそこに立っている3人のただの高校生は何を思って立っているのだろうか。この距離からしか、これから始まる彼らの雄姿を見ることができないのが悔しくてたまらない。
「へ~そうだったのか。でも悪いね、FreeStyle?君。
俺たち、君たちのことなーんにも覚えてないや。」
さっきまでブーイングであふれていた会場内が笑い声に様変わりだ。すっごいなこれ。この大きな空間は明らかに黒鬼の支配下にある。
「趣味わっる。煽りすぎでしょお兄ちゃん」
何やら酒寄さんがつぶやいている。なんか重要そうなこと言っていた気がするが、気のせいだろう。
『さぁ! 両者闘志むき出しのご様子。これ以上の言葉は不要でしょう!
それでは両チーム、戦の準備をお願いします!」
二つのチームが背を向けて歩き始める。
ついに始まるのか……、見せてくれ鈴村君。君が僕に見せたいと思ってくれたものを。
Side 鈴村
ステージから一旦控室へと戻る。その道中……
「はぁ、マジ緊張したわ。」
「聞いてた? スズが煽った後の会場の声! やーばすぎだろ!」
「その後の帝アキラが返してきたプロレスの後もな。さすがの俺も、ちびりそうになったわ。」
「いや、カズ。お前多分リアルではちびってるぞ。
戻ったらパンツ変えとけよな。」
「やかましい!そんなわけないだろうが、俺もう高校一年生だぞ!」
俺とカワがカズを弄って、それに切れながらカズがつっこむ。
そんないつもの幼馴染のノリに俺とカワは吹き出してしまう。
「ふっ」
「アハハ!」
「ったく、お前らといるとろくな目に合わないわマジで。」
「でも?」
「そんなところが?」
「すきなんよ。……って何言わしとんじゃ馬鹿どもが!」
最高だ。この二人とは一生親友でいたいと思う。そして、この場にはいないけどあと一人そうなりたいと思う奴もいる。ただ、今はそれをあいつに胸張っては言えない。どうしても気後れしてしまう。あの弱冠13歳で天才画家とまでいわれたあの清水眞白にそれを言うには俺はあまりにも普通の男子高校生だ。だから、これが第一歩なのだ。あの日本最強と言われた黒鬼に土をつける。その戦績を自信にして清水のやつにちゃんと言うのだ。俺と親友になってくれという言葉を。
「スズ、お前がこの試合にリベンジ以上のものを抱えてんのは分かってる、お前が清水の絵に救われたことも。ずっとお前の親友やってきたからな。だから今日は俺にドーンと任せろ。」
「おう、頼りにしてるぜ。エース。」
カズとグータッチを交わす。そんな男二人の熱い会話に冷水ぶっかける男が一人。
「あー、暑苦しい。男同士でなにやっとるんや。せめて、どっちか女の子にしてほしいわ。」
「すねるなよカワ。男の嫉妬は少々キツイぞ。」
「はっ、冗談はお前の眼鏡だけにせえやカズ。
はぁ……、
ここからは真剣な話するぞ。いいな。」
「「了解、IGL。」」
「いつも、それくらいお利口にせえよ。
いいか……、」
『さぁ、今から! ツクヨミチャレンジカップの最終戦。チャレンジマッチが始まろうとしています!
それでは今更ではございますが、ルールの説明をいたします。
今回の使用ルールはSENGOKU。
3対3のBO3となっております。
円形のKASSENステージを真ん中で半分にし二つに分け、右端には今回はTeam Absolute Coreの天守閣、左端にはブラックオニキスの天守閣が設置されています。お互いに自分の天守閣からスタートし、先に相手の天守閣を落としたチームが勝利となります。
しかし、最初から相手の天守閣は攻撃できません!
トップとボトムにそれぞれ存在するやぐらを占拠して、大将おとしを出現させ、それを相手の天守閣へと打ち込めば勝利です! 』
「へぇ~意外と基本ルールは単純だね。」
「うん、それだけに奥が深いのがこのゲーム。
3つあるレーンにどうやってチームを配置するかが勝利のカギを握っていると言っても過言じゃないんだけど……。」
「だけど?」
「黒鬼はもうそういうレベルの相手じゃないんだよね……。」
青色の天守閣の頂上に立つ鈴村君たちの姿をじっと見つめる。彼らの後ろ姿は、恐怖とか不安なんて言葉は見つからないほど堂々としたものだった。
『それでは始めていきましょう!
いざ、尋常に勝負!』
ほら貝の音を皮切りに両チームが飛び出す……、と思いきや。
『なんと!天守閣から飛び出したのは、Team Absolute Core の方のみ!
これはどういうことだ!ブラックオニキス。 舐めプなのかぁ~!』
実況の方の言葉に酒寄さんが否定の言葉を重ねる。
「違う。舐めプじゃない。
これは…」
SIDE 河木
「うれしいなぁ、ブラックオニキス。ちゃんと俺たちを叩き潰そうとしてくれるなんて。
もしトライデントなんてしてくれたらどうしようかと思ったわ。」
単独でミッドレーンを進む俺の独り言にボットレーンを二人で進行中のバカたちから通信が入る。ブラックオニキスが初動で動かなかったのは、俺たちの配置をみて対応したフォーメーションを組もうとしているからだ。
「そうだな!
これでトライデントだったら、俺がお前をぶん殴ってるところだったぞぉカワ。良かったな。」
「まぁまぁ、こうさせるためにお前が頑張って煽ったんだろスズ?
一端のゲーマーなら、挑発されてやり返さないやつはいねーよ。」
「おい、馬鹿ども。そろそろ接敵するから通信切る…
銃声が聞こえ、瞬間的に横に回避する。さっきまで俺がいたところには一発の銃弾が通過していた。危ない、反応が遅れていたら即死していた。
顔を上げると、少々俺相手に出すにはOPなデュオがそこにはいた。
「おいおい、天下のブラックオニキス様がアマチュアチームのIGLを二人で狙いに来ますかね普通?」
帝アキラと雷。この二人相手に何人のKASSENプレイヤーが1v2を耐えられるだろうか。
いても片手で数えられる人数だろう。
「先ずは謝罪させてくれ。
試合前はあんなこと言ったけど、君たち3人のことはよく覚えている。
レーン戦の練度は高くはなかった。けどその後の集団戦、あのリソース差があったのに中々勝ちきれなかった。君たちの連携による集団戦のクオリティは凄まじいよ。日本一の俺が保証する。なぁ雷?」
「……。見事だった。」
「お褒め頂いて、恐悦至極の限りやな。
…で? それがどうなってこうなっちゃうわけ?」
「単純な話さ。その君たちの連携は日々の練習のたまものではあるけれど、その根幹を支えているのは君さ、M4ken君。君のコールのおかげで集団戦の連携に再現性が担保されている。困るんだよ、君がいたままゲームが進むとさ。」
なんとまぁいきなり難易度鬼だろうか。いや、はじめから鬼だったかこいつら。しょうがない、いつもはコールだけで楽さして貰ってるし、ここらで体張ってもいいだろう。
「なるほどねー。じゃあ親友のために、たまには頑張っちゃおうかなぁ!」
そう言って俺はさっきから無表情で何考えているかわからん高身長イケメンに斬りかかっていく。
Side 鈴村
河木が丁度銃弾ぶっ放された頃…
「カワのやつ帝と雷の二人にエンカウントしたって。」
「成程、ということは…」
瞬間俺たち二人の眉間めがけて2本の矢が飛んでくる。
俺たちはそれぞれの獲物でその矢を真っ二つに斬る。
「「俺たちのところには、お前が来るよね。」」
「なんで息ぴったりなの? キモ。」
乃依。俺らが思う、ツクヨミの中で一番イカレているプレイヤー。
長距離狙撃を難なくこなし、猶予1フレームのクソイカレCC技をミスらない、まさに人力チーターといえる存在。最強は帝アキラかもしれないが、試合に与える影響を考えるならば最恐は目の前の地雷系ゴスロリ少年だ。
覚悟を決め、俺は刀を構える。
「なに~、まさか二人がかりなら俺に勝てると思ってるの?
ざっこ~、頭よっわ~。帝よりバカなんじゃない?」
「その言葉だけは否定してやりたい気持ちなんだが、これからすること考えればそうかもしれないな。カズ! 準備いいな?」
「おう、任せたぜスズ。あいつの所まで俺を連れてってくれ。」
「OK、しっかりつかまってろ…よ!」
足に思いっきり力を込めて飛び立つ。遠く離れた高所で余裕ぶっこきながら弓を連射してくるあの生意気な鬼を退治するためにだ。カズに背中につかまってもらい。腰に装着している小型ジェットで物凄い速さで距離を詰めていく。しかし、それを許す乃依ではない。得意の連続射撃を驚くべき精度でこちらにはなってくる。その矢の雨ともいえるそれを俺は全部斬った。
「はぁ?」
「スズ!? お前ヤバすぎやろ!」
行ける、あと10メートル程度だ。あと数秒であいつの喉笛に……。
そう思ったときにはもう遅かった。全部はじいたはずの矢が跳弾してカズの側頭部に矢が刺さっている。
「は?」
「ざーんねん、惜しかったね。
でも、俺の方が一枚上手。」
同時刻、
「いやぁ、中々てこずらせてくれたね。M4ken君、結構フィジカルあるじゃん。IGLしかしないから、操作は結構下手なのかと思ってたよ。」
「はぁはぁ、この状態で言われても説得力ないんですけど…。」
「アハハ、それもそうか。
じゃあ、サヨナラ。」
M4kenの胸に銃弾が撃ち込まれる。
TakenokoとM4kenのアバターが同時に砕け……
…ることはなく、風船のように肥大化して爆発四散した。
「「「は?」」」
今度は黒鬼が驚く番だ。それはそうだろう、さっきまで戦っていて倒したはずの相手がいきなり爆発したのだ。それもなんと実況によるキルアナウンスはされていない。
「まさか…」
爆発によって発生した煙から人影が見える。それは…
ボットレーンで乃依の矢に頭を貫かれたはずのTakenokoだった。
「いや~まじで。あの状態で戦うのはさすがに厳しかったなぁ。先ず前提としてカワの口調を真似するのがむずいし。でもばれなくてよかったぁ~。これでいい感じになりそうだ。」
「なるほどね、奇術師ビルドか…。まさか味方に変装しながら戦うなんて。あんなピーキーな性能を真面目に運用してるやつ初めてだよ。」
「そりゃそうだろうな。だって、あいつ頭いかれてるもん。」
「驚かされたよ……。でも、状況はあんまり変わってないんじゃないか…
『なななんとー! ここでファーストキル!
キルしたのは…… Team Absolute Coreリーダー FreeStyle!』
「なに!?」
「マジ……、うざいんですけど……」
爆発のインパクトで油断した乃依の不意を突き、麻痺毒を塗ったナイフで動けなくさせた。
「ごめんなぁ~、乃依くんちゃん。君滅茶苦茶強いわ、逃げ足速いわで厄介やからね。こういうからめ手を使わせてもらいましたわ。じゃ、少しの間お城でおとなしくしといて下さい。
リーダー!早くこの地雷系オスガキにとどめさして~」
「ハイハイ、ぷすっと。」
鈴村が乃依の心臓を一刺しする。その瞬間、乃依のアバターは砕け散った。
「なんとかなったな、カワ。」
「いやぁー、これが黒鬼退治の第一歩なんだよねぇ。
ホントにイカレてるわ、ブラックオニキス。
おっと、カズから連絡。まじ? サンキューあと頑張っといて~。
おいスズ、朗報や。やっと黒鬼が崩れたわ。
帝のやつ、雷を天守閣守るために下げさせたらしいで。
ホントに負けたことないんやろなぁ、それじゃあいくら頑張ってもこちらのリソースがスノーボールするだけなんだよねぇ。」
カワからの報告を聞き、遂に誰も崩せなかった鬼たちの牙城を崩すチャンスが来たことを自覚する。
「カワ!素早くやぐら占拠しながら道中のミニオン食いまくって天守閣行くぞ!
正直言って、これ完全に勝ちパターン入ってる!」
「わかっとるわ、アホ。」
「OK。おう、適当に頑張っとくわ~。ピッ
良かったのか?雷をさげて。
二人で協力して、すぐにでも俺を倒した方がいいと思うけどな。」
「なに、念のためさ。
それに俺一人でも君を瞬殺できる。忘れたのか?俺は帝アキラだぜ。」
そう言って帝は俺になぐりかかってくる。速い、さっきまでの変装していた俺ではこれ受けきれなかっただろう。
「かっこいいね、さすがは最強。」
でも……
今は受ける必要すらない。体をひねる、棍棒をかわす。そしてがら空きのボディに手甲を装着した右腕を振りぬいた。
「グッ!」
帝アキラの体が思いっきり吹っ飛ぶ。
「でも、この距離の殴り合いなら俺も負けませんよ。
このサシの勝負で、誰にも負けないためだけに俺は何年もゲームやってきたんで。」
「成程……、君は格ゲーマーなのか。
それはちょっとやばいかもな。」
ブラックオニキス天守閣前での戦闘。
「くっ!」
「諦めてもいいで?
いくら最強タンクのあんたと人力チーターの地雷ちゃんがいても、流石にこのウルトの差は覆せん。それはあんたらがよくわかっていると思うけどなぁ?」
「諦めるわけがないだろう。まだ、あいつが生きて戦っている以上……
『なんとここで!
Team Absolute Core のエース! Takenokoが!
最強を!伝説を!
帝アキラを倒したぁ!』
「なに!?」
「そうだな。確かに帝アキラは戦闘面において最強だ。
それはな、遠距離と中距離、そして近距離をバランスよくすべて高い基準でこなしているからだ。言わば全ての分野で最強格という奴だろうな。
けどな、Takenokoは近距離において最強だ。格じゃない。
反応速度や動体視力、操作の入力速度全てがヤバイ。
そして何より相手の考えを見抜く読みあいの強さとそれに己を準ずることができる大胆さ。あいつは生まれる時代を間違えたバケモンだよ。」
『ここで、Takenokoによってトップレーンのやぐらが占拠されました。
ということは……両櫓独占でコールド! なんとチャレンジマッチ一戦目!
勝ったのは……Team Absolute Core !』
会場が揺れる。それはブーイングなどではなく、純粋な勝者への賞賛と敬意だった。
「やったね、スズ。」
「ああ。せっかく1勝できたんだし、BO3も勝っとくか?」
「バーカ、無理に決まってんでしょ。もう何も思いつかないよ。」
「それもそうか…。清水見てくれてるかな?」
「見てるでしょ、見てなかったら…、パンケーキ3人分おごってもらおう。」
そんなカワからの魅力的な提案が出た後に、大きなものが、近くに落ちてくる。
いや、これ人だな。
「おっ、いいなそれ!お前らは食ったんだろ。
お前らの自慢話聞いてさ、俺も清水君の料理食ってみたかったんだよな!」
「おっ、カズおつかれ。てかお前やりすぎだろ、帝アキラをソロキルすんなよ。」
「格ゲーマーに無茶言うな。戦うとなったら、だれが相手でも全力で相手すんのがマナーだ。」
いつも通りの二人をみてなんか安心してしまった。
この日まで本気で取り組んできたし、頑張ってきた。それでも正直言えば、黒鬼にはかなわないと思っていた。けど、現実は最高の結果となった。やはり、人生どうなるかわからないものだ。
今日はいい日だ。
…その後の二試合は嘘のようにボロ負けした。
力つきました。
でも書くのは面白い。
試合開始直後 爆発後
河木(M4ken)→葛野
鈴村(FreeStyle)→鈴村
葛野(Takenoko)→河木
一応口調で素が出てるところもあるんですけど、どうでしょうか。
次回なんでも解説しくれる酒寄さんでお送りするかもしれません。