どうせなら、キャンバスは白いほうがいい   作:中山の補題

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読んでくれてありがとうございます。
やっと五月表が終わります。
どうですかねこの小説、そこそこ面白いと思ってもらえたら嬉しいです。感想も見させていただきました。なんて返信すればわかんなかったからしてないんですけど。
自分もハーメルンにはそこそこいるんで知ってましたけど、まず評価をいただくのが難しいですよね。そこがハーメルンの特徴な気がします。けど、これはちゃんと作品を見定めていただいてる感じがして嫌いじゃないです。思わず、評価入れたくなってしまう作品にしたいものです。


5月、異世界な日々 表③

一戦目終了後…スタンドにて

 

「すごい…Absoluteが勝った!それも結構大差で勝ったって感じ!

 そこのとこはどうなのサカえもん!」

 

僕から話を振られ、放心状態にあった酒寄さんがようやく意識を戻した。

 

「誰がサカえもんじゃ、誰が。

 …そうだね。実際かなりの圧勝だと思うよ。勝ち方は両方のやぐらの占拠によるコールド。

 試合の内容も文句のつけようはそんなにないと思う。

 最初から最後まで黒鬼はAbsoluteの戦略の上で踊らされてたわけだしね。」

 

酒寄さんが軽い分析を話してくれる。しかし、今の僕にはそれでは物足りない。彼らが何をしてそれがどうすごいのかを理解したいのだ。

 

「イロさん、できるだけでいいから僕に今の試合の解説してくれない?

 この通り!」

 

そう言って手を合わせて、頭を下げる。

 

「いいって、そんなにかしこまらなくて。もちろんいいよ。

 そのためにここにいるようなものでしょ、私。

 

 

じゃあ…、先ずTeam Absolute Core の大まかな狙いを話していくね。

鈴村君たちの狙いはただ一つ。大きくエリアを獲得してそのエリア中の中立ミニオンを全部自分たちのものにすることで、黒鬼たちの圧倒的な個の力を最終的にウルトによって無効化すること。まぁ結局、この狙いはいい意味で達成されてはないけどね。

 

 

…でこの作戦を遂行する中で一番厄介な敵がだれなのかわかる?」

 

「えっと…、あ! 乃依さんか。」

 

「その通り。あの精密すぎる遠距離攻撃と激重CCをどんどん放ってくる乃依がいる黒鬼相手にエリアコントロールを真っ向から仕掛けるのは不可能。だからこそ先ずは乃依を倒す必要があった。

そのためにAbsoluteは賭けに出た。ショットコーラーでチームの根幹をなしているM4kenを単独でミッドレーンに進行させ、最低でも帝アキラを引き付けようとした。

結果はまさかの二本釣り、雷も引っ張ってこれて大成功…。と簡単にならないのが黒鬼。

ミッドレーンのM4kenとボットで乃依を倒そうとしたTakenokoの二人をあっさりとキルした。私もあの瞬間を見たときはガッカリしちゃったけど…、なんとそうはならなかった。

 

 

M4kenはそうなることは織り込み積みで、奇術師ビルドのスキルでTakenokoと変装しあっていたの。そしてここで、奇術師の変装スキルの面白いところを二つ。それは一回だけなら致命傷をなかったことにする効果、そして致命傷を受けた瞬間体が爆発してすごい音と衝撃があたり一面に発生すること。まぁ…でも言ってしまったらそれだけのスキルなんだよね、奇術師は。爆発にダメージ判定ないし。 まぁでもそのスキルをこんなにうまく使えたからこの勝利につながったんだけど…。その効果により、不意を突いてなんとか第一段階である乃依の撃破を完了させた。でも正直この段階でも黒鬼の優位性はそこまで変わらない…、はずだった。

ここで帝アキラが下した判断が大きく戦況を変えることになる。雷に天守閣を防衛させるために退却を命じた。結果論になっちゃうし一概に悪いとは言えないけど…、まぁプロだしいいか。この判断は良くなかったね。2v1状況で一秒でも早くTakenokoを倒すか、雷のデス覚悟でそれ以上のボットレーンのリソースを取らせないようにするべきだった。まぁそれ以上の誤算がこの後起きたんだけど…。

 

 

それはさすがにわかるよね?」

 

「勿論! Takenokoさんが帝さんとのタイマン勝負に勝ったことだよね。」

 

「正解。もし天守閣側での2v2がウルトの差できつかったとしても帝アキラがTakenokoをキルして、ミッドレーンから相手を挟み込めば一網打尽にできた。そうなればトップレーン側のリソースを根こそぎ黒鬼が回収すれば状況は五分。そうなるとAbsoluteに勝ち目はない。けど、そうはいかなかった。Takenokoの至近距離での戦闘技術はあの帝アキラを圧倒し、なんとソロキル。その流れで結果はコールド勝ちってわけ。」

 

 

 

聞いているだけで、あの盤面で起きたことがなんとなくわかった気がする。そして酒寄さんの説明を聞けば聞くほどこう思ってしまうのだ。このBO3勝負、彼は勝てるのでは。

 

「ねぇイロさん、ずばり聞くんだけど…。

 このBO3…。Team Absolute Core は勝てますか?」

 

「無理。」

 

「そうだよね! このままの勢いで!…ってあれ。

 聞き間違い…かな?」

 

そうだ、そうに違いない。この話の文脈でそうなることあるか?圧勝したんだよね?

 

「ごめんマロ。気持ちはわかるけど…、多分無理。

 だって、黒鬼は今やっとAbsoluteのメンバーの力を把握した。正直、今の試合で勝ったのは情報の数の差が大きいよ。勿論、それでも十分に快挙だけどね。」

 

「そうなんだ…。」

 

なんか悔しい。途轍もなく悔しい。

 

「でもマロ、それは黒鬼だけじゃないよ。」

 

「え?」

 

「この会場にいる全員が今の試合を見てこう思ったんじゃないかな。

 Team Absolute Core は強くて、カッコイイって。だから、勝った瞬間に起こったのは、ブーイングじゃなくて拍手だった。

M4kenたちがこの観客たちの心を動かしたんだよ。」

 

確かにその通りだ。このツクヨミにおいて重要なことは、ゲームの勝ち負けだけではない。

その本質は、人の心を動かすこと。もしこの後にどんなことが起ころうとも、

「Team Absolute Core はブラックオニキスに勝利し、多くの人の心を動かした。」

この事実だけは変わらない。

 

「そうだね…、よし。この後どんな展開が待っていても僕は応援し続けるよ。それが僕の心を動かしてくれた彼らに、今の僕ができる精一杯だ。」

 

「ふふっ、まぁそれでいいんじゃない?

 確かに、鈴村君にはそれが一番いいかもね…。」

 

「なんか言った?」

 

「なんでもなーい。」

 

酒寄さんの言葉が耳に入ってこないくらいには、今の僕は彼ら-Team Absolute Core に魅了されていた。次はどんな試合を見せてくれるのかと…

 

 

 

試合が終わり、僕らは少し会場から離れた場所で腰を下ろしていた。

 

…うん、まぁ。酒寄さんがあんなに断言していたからね。覚悟はしていたのだけど。

 

「強いね…プロゲーマー。一試合やっただけでこんなに対応してくるんだ。」

 

「言ったでしょ、才能ある人が人生かけてやってるの。そう簡単にその城は崩せない。

 けど今回の負けでヒビくらいは入ったんじゃない。」

 

痛いほどに酒寄さんの言葉が刺さる。その行為は僕ができなかったことだ。僕は途中で逃げてきてしまったから。そう思うとブラックオニキスの姿が眩しく見えてきて、うらやましくて、けど戻れない。そんな現実をまた思い出してしまう。

 

「ちなみに聞くけど、そのヒビどれくらいの大きさ?」

 

「うーん、日曜大工のドリルで削ったくらいじゃない?」

 

冗談じゃない。そんな城誰が崩したいと思うのか。なんか悩むのもばからしい。

 

「ねぇイロさん。選手たちってどっから出てくるかな。

 彼らに今日のお礼、言わないと。」

 

「うーん、知ってはいるけど難しいんじゃない?

 対戦相手は黒鬼でただでさえ出待ち多いだろうし、その黒鬼に土をつけたからね。FreeStyleたちの人気も流石に上がってる。今日このツクヨミであって会話するのは難しいんと思うけど…」

 

確かに、それもそうだ。今日言えないのは残念だが、今日はこのままログアウトして明後日の月曜日に教室で話せばいいだろう。これ以上酒寄さんに付き合ってもらうのも申し訳ない。そう思い酒寄さんに話しかけようとしたとき、どこから飛んできたか分からないほど速いスピードで巻物が飛んできた。

 

「えっなに!? 暗殺者にでも狙われてるんすか僕!」

 

「ああ、それ? 忍者宅配便だね。それも速達バージョン。」

 

「あっ、ホントに暗殺者ではあるんだね。」

 

なんかサラッと解説された…。これもツクヨミでは日常茶飯事なのか…まだまだ適応できそうにない。そう感じつつ、石垣にめり込んでいる巻物を引き抜こうとする。

 

「う、う~ん。あ、あれなんか抜けない…。

 イロさん、手伝ってくんない?」

 

「え~、しょうがないわね。

 まぁ初心者だし、まだ体の扱い方も慣れないよね。いい?こうやって、力を入れて!」

 

ズボッ! ピキピキピキッ。

 

「「え?」」

 

目の前の石垣に超高速配達された巻物によってつくられたヒビがどんどん大きくなっていく。これはもうツクヨミ関係ない。僕でもわかる異常事態が起こっている。

 

「ねぇ酒寄さん、これやばくな…、ってもういねぇ!  ビキッ!

 あっ……         

 

バーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!

 

どわぁ────!」

 

すごい量の石がこちら側になだれこんでくる。死んだ……これ死んだだろ。頭の中ではさっきまでの楽しい思い出が……

 

「痛った───くないし、ダメージないんだよね、そういえばそうでした。

 こういうところでツクヨミの五感が実装されてないことに感謝するなんて。

 ……ん?」

 

目を向けるは崩れた石垣。そこから何やら光が漏れている。そこに近づいていき、石をどけていくとそこにあるのはそこそこ大きい宝箱。見ただけで分かる、中身豪華な奴だ。

あまりにも都合が良過ぎて?、怖くなってしまう。とは言えこれは運命のお導きに違いない!そう心に言い聞かせて思いっきり宝箱の蓋を開け、強い光が溢れ出す。思わず目をつぶってしまいそうになるが、そこをなんとかこらえ目を向ける。

そこから現れたのは……

 

「やりぃ?」

 

一本のなんかぼろっちぃ槍だった。手に取ってみるが、とても強そうには見えない。肩透かしを食らった気分である。

 

「とりあえず、酒寄さんと合流しよ……。」

 

普通に酒寄さんにチャットを送っておく。というか僕、アイテムのしまい方わかんね。

えっこれ酒寄さんと合流するまで手で持ってくのか…、はずかしい。

 

 

 

酒寄さんからの返信で指定された場所へ急ぐ、手にぼろ槍を抱えながら。酒寄さんに走り方を習っといてよかった。この道のりを歩きで移動するのは、僕にとって耐え難い時間だったろうから。

しばらく走り指定された場所に着き、建物の中に入る。そこには、酒寄さんのほかにAbsoluteのメンバーもいた。

 

「これはどういうこと……。

 あっ! 途中でばったり会ったとか?」

 

「え、送っただろ? 巻物、速達で。

 あれにこの場所で待ち合わせしようって書いてあったんだけど。

 それよりも……、それなんだ? マロ。」

 

鈴村君は、僕が手に持っているぼろ槍に興味を示す。確かに、これをまずは説明するべきだ。

 

「あっ、これ?

 その巻物が物凄いスピードで石垣にぶっ刺さって、それをイロさんに力づくでとってもらったら石垣が思いっきり崩れたんだ。その子からでかい宝箱出てきて、あけたらこれが出てきた。」

 

「は? 石垣崩れて、そこからでてきたのは宝箱。その中から武器が出てくるなんて……。

 聞いたことあるか、カワ?」

 

「あるわけないやろ……。

 先ず、このツクヨミで宝箱があるという噂話はいくつも聞いてきたけど、所詮は噂話。実際にこの目で見たことないしな。お前は?カズ。」

 

「お前が見たことないのに、俺にあるわけないだろ。

 そんなことよりも俺が気になるのは……。

 

葛野君が酒寄さんに目を向ける。

 

石垣にぶっ刺さった巻物引っこ抜いて、見事に石垣ぶっ壊した酒寄さんのSTRの値なんだけど……。」

 

葛野君の言葉で気が付いたのか、二人も酒寄さんの方を見る。

当の本人は、顔をそむけてしまっている。しかし、その状況を続けるのも限界になってきたのか話を変えようとする。

 

「で! その槍はどんなアイテムなわけ?」

 

「いやぁー、自分初心者ですから。アイテムのしまい方も詳細な情報の見方も分からなくて。」

 

「ああ、そういうこと。じゃあまずはメニュー開いて……。」

 

酒寄さんのチュートリアルを聞きながら操作を進めていく。とりあえずアイテムの出し入れは理解した。その確認でしまったあの槍を取り出す。うむ、完全に操作含めて完璧だ。

 

「じゃ、次にアイテムのステータスの確認ね……。

 一回それ貸して……、ありがと。アイテムをなぞるように手を動かした後スワイプする感じで……あれでない、おかしいな。

 もしかしたら……所有権持ってるプレイヤーしかできないタイプのアイテム?

 でもその場合って……、いやまだそう決まったわけじゃないし。

 マロこれ持って今私がしたような操作やってみて。」

 

そう言われ、再び手の中にぼろ槍が帰ってくる。ふむ、どうやらこいつは中々わがままらしい。酒寄さんから教えてもらった操作を試すとウインドウが出てくる。そこに書かれているのはアイテムの名前のみ……

 

「えっと、名前は……

 征服の勅命?

 

僕が名前をよんだ瞬間槍が光だした。

 

え、なになになに!? 何回光るんだこいつは~!」

 

やっと光がやんだ。宝箱のときよりも光ってたぞこいつ。

目を開けて槍を見る。そこにあったのはさっきまでのぼろ槍ではない、御大層な名前に負けない。金色に輝く、僕よりも1.3倍の長さはある槍へと変化していた。

 

「「「「「なに、これぇ?」」」」」

 

この場にいる全員が疑問を浮かべる。そりゃそうだ、名前読み上げたら突然光って真の姿が現れるなんてゲームの展開そのものだ。とりあえず真の姿となった征服の勅命のステータスを確認する。

 

「えっと、人形師専用装備。

 レジェンダリー装備で、現在所有権を持つプレイヤーしか戦闘で扱うことはできない。

 色々なステータス数値が書かれてるけど良く分からないな…」

僕の言葉に4人は様々な反応見せる。

 

「レジェンダリーだぁ!?」

 

「いやみりゃわかるやろスズ。相変わらずあほうやな。

 けど人形師専用か……、難しそうやな扱うのは。」

 

「そうだな。人形師といえば理論値最強、だけど誰もろくに扱うことができない実践値くそ雑魚ビルド。最高ランクやその下には一人もいない正真正銘誰も使わないゴミビルドだ。」

 

「ねぇマロ?

 その武器の特殊効果は?レジェンダリーっていうくらいだし何かそういうのあるでしょ?」

 

酒寄さんの言葉は最もだ。確かにそれに相当するものはあるにはある。けど、説明だけだとなんか弱……、いやわからないぞ。目の間にいるベテラン達ならなんかわかるかも……。

 

「じゃあ言うよ……。」

 

「「「「(;゚д゚)ゴクリ…」」」」

 

「人形の代わりに、砂でつくられた屈強な兵士を呼び出す。この兵士は貴方のどんな命令でも忠実にこなすだろう。だってさ。」

 

4人の反応を見る。四人とも首を傾げて唸っている。その何とも言えない状況を破ったのは酒寄さんだ。

 

「多分ほか3人もほとんど同じこと思ってると勝手に判断して言っちゃうけど、強いか弱いか分からないっていうのが適切だと思う。」

 

「そ、そうなんだ…」

 

みんなの反応からわかっていたが、言われてみるとやはり残念である。」

 

「違う、違うんだよマロ。弱いんじゃない、わからないんだ。あまりにも説明が抽象的で考慮しなくちゃいけない要素が多すぎるから。」

 

「そうやな、その通りや。極端な話、出てきた砂の兵士がプレイヤーくらい強いんやったらバケモンアイテムやし、出てくる兵士の数によってはもっとぶち壊れる。言わば、無限の可能性を持ちすぎてる武器といったところや。」

 

河木君が分かりやすく「分からない。」という言葉が持つ意味を教えてくれる。

成程、確かに。たしかめてみなくてはこの武器の真価は分からない。この征服の勅命というアイテムは、最後まで宝箱のようにその正体を隠してくるらしい。

 

「思わぬハプニングだな。」

 

「ああ、やっぱり清水眞白は持ってる側の人間だな。

 こりゃ、一緒にKASSENプレイするのが楽しみになってきた。」

 

何やら、鈴村君と葛野君が話しているが聞こえない。

話し終わったのか鈴村君が近づいてくる。

 

「お前のお陰で話したかった内容が吹っ飛んじまったよ。けど、最高に面白かったから全然いいんだけどな。」

 

「いやぁ、申し訳ない。」

 

そう言って頭をポリポリかく。自分でも意味が分からなくて早く誰かに相談したかったから。

 

「じゃ、本題だけど。

 見てくれたか、試合。総合結果はまぁ負けたんだけど。一試合目はさ、勝ったじゃん。」

 

「うん、見てた。まじで面白かったよ!

 僕もKASSEN、めっちゃやりたくなったし。今度教えてよ!」

 

「おう。当たり前ろ。

 …、話めっちゃ変わるし、脈略ないんだけどさ。

 清水…、俺と…”親友”になってくれ!」

 

そう言って鈴村君は手を差し出してくる。いきなり面食らって僕はしゃべれないし、動けない。時が止まったかのような異様な空気の空間に耐えきれなくなり口を開いたのは酒寄さんだった。

 

「ねぇ、これって告…白だよね…。」

 

「奇遇やな、酒寄さん。俺も全く同じこと考えてましたわ。」

 

「それな、言葉は全然そんなことないのに。

 行動と醸し出してる雰囲気のせいで、結婚指輪差し出してるようにしか見えない。」

 

「やかましい! 外野は黙っとれ。」

 

「聴きました、奥さん?

 外野ですって、もう二人きりの世界に入ってると思ってるらしいわよあの男。」

 

河木君の煽り全開のノリに酒寄さんがついていく。

 

ほんまにびっくりやわ。まだ、返事の一言ももらってないのにそんなこと言えるなんて。

 ご自分に大層な自信をおもちなんやね。

 

関西節全開の煽りに関東勢の葛野君がどんびいている。

 

「あの、二人共?特に酒寄さん?チョット威力たかすぎかもです。」

 

「そうやで酒寄さん。流石にあれはないわー。」

 

「えっ、いきなりこっち来るじゃん。てか始めたのは河木君でしょ!」

 

もう収集がつかない。ここをどうにかできるのは僕だけだ。

 

「鈴村君! ありがとう、もちろんだよ。」

 

「おお! ほんとか! じゃ、これからも…」

 

「だけど……」

 

和気あいあいとした雰囲気がピりつく。

 

「だ、だけど?」

 

鈴村君はおそるおそる次の僕の言葉を待つ。

 

「もう、僕は君のこと親友って思ってたのになぁ。

 僕だけだったんだ…。」

 

その瞬間、河木君と葛野君が僕の横に飛んでくる。

 

「そうよなぁ清水、こんなに仲良くしてくれてたのに。

 あいつは“親友”って思ってなかったらしいで。冷たい奴やなぁ、なぁカズ?」

 

「ほんとほんと、ひで―奴だわ。清水君?あんな奴ほっといて試しでKASSENの練習場行こうぜ。簡単な操作くらいはこの後の少しの時間でできるでしょ。さわりだけでもな。」

 

「ちょ、おい。まてって。はぁ…。」

 

少し意気消沈している鈴村君の肩を酒寄さんがぽんっと叩く。

 

「ドンマイ。」

 

「いや、貴女も弄ってましたよね?」

 

「小さいこと気にしなはるなぁ、清水に嫌われるで?」

 

「楽しんでるでしょ、あなた。」

 

二人の姿を横目で見ながら、なんか忘れていることがある気がする。

 

……あ

 

「KASSENをちゃんとやるのしばらくできないね、僕たち。」

 

「おいおい、何を言ってる? 俺たちは高校生、確かに授業にバイトもあるけれど、腐るほど時間はあるよ?」

 

「でも葛野君。来週の途中から中間テストだけど。大丈夫そう?」

 

若干2名ほどの時間のみが止まっている。

 

「えっ、知らなかったの?」

 

「「すっかり、忘れてました。」」

 

いきなり3人組が慌てだしくなってくる。

 

「まじでこの日のための練習しかしてないってここ最近!」

 

「とりあえず、範囲の確認だ。だれか持ってる?」

 

「持ってるで。アホのお前らとは要領の良さが違うからな。」

 

「ちなみに勉強は……?」

 

「やってるに決まってるやろ?

 ……。

 あ~、なんか甘いもの食いたいなぁ?清水君のつくったパンケーキごっつうまかったわ。

 また、食べたいなぁ~。でも少しおたかめやし、最近金欠やからなぁ。

 たべられへんよなぁ~   チラッ

 

「「おごらせていただきます。」」

 

「あら、そう? ご厚意には甘えんとなぁ。

 …ほらあほども、さっさとログアウトして計画でも練っとけや。」

 

「「うっす。」」

 

そう言って、二人はログアウトする。その二人の姿を確認した後、河木君がこちらを見て

 

「そういう事やから、先に予約しとくわ。テスト最終日の放課後…3時頃にパンケーキ3枚とブレンドコーヒー3つ、おねがいします。」

 

僕ら二人はその注文を受ける。

「「承りました。」」

 

その言葉を聞いた河木君は、少し照れくさそうに微笑む。

「ほな、さいなら。」

 

その言葉を最後に、河木君もログアウトした。

 

残されたのは僕と酒寄さんの二人だ。

 

「ちなみにさ…、酒寄さんはどう?

 中間テストの勉強。うまくいってる?てっぺん取れそう?」

 

その僕の疑問に酒寄さんは真剣な表情で返す。

 

「そうだね。やってみなくちゃわからないし、何が起こるかわからない。

 けど負ける気はないよ。私はこんな小さな山で負けてられない、一番以外要らないから。

 ……そういうそっちは? 授業中は結構自由に過ごされてるらしいですけど?」

 

酒寄さんからの鋭いご指摘だ。けどね、僕は君とも対等な親友になりたいと思ってる。

だから

 

「酒寄さんの勉強パワーをすぐ後ろで浴びてるんですよ?

 バッチリに決まってるじゃないですか。

 …少なくとも、酒寄さん以外には負けないかも。」

 

そう言うと酒寄さんは少し驚いた表情する。

 

「へぇ、自信あるんだ。いいね、そういう人が近くにいると張り合いがあっていい。楽しみにしてる。

…時間が時間だし。お開きにしよっか。また明日、清水。今日は楽しかったよ。」

 

「うん、また明日ね。ホントにありがとう。またツクヨミのこと教えてもらいたいし、お願いするよ。」

 

そう言って僕らはログアウトする。

スマコンを外し、さっきまでの出来事を思い返す。胸の中が一杯で、こんな状態じゃどうやって寝れないだろう。そう思った僕は、筆記用具とテキストを取り出し勉強を始める。こんなことは普段の僕なら絶対やらない。けれど何かしてないとどうにかなってしまいそうで、自分を抑え込むためにやるしかなかった。

この状態はテスト期間中ずっと続き、そのおかげか僕は宣言通りの結果を得ることになる。

勿論、一位はあの方だ。けれど中々驚いた表情だったな、なんせ僕と彼女の点数は僅か2点だったから。

 

 

 

 

 

 

「ヤチヨ、眞白のやつが例の武器ちゃんと回収したらしいぞ。良かったな。」

 

「ホントに!? 良かったぁ。

 ふふっ、やっぱりあの武器は眞白が持ってないとね。」

 

「よくあそこで彩葉と眞白が一休みするってわかったな。とうとう未来予知でもできるようになったのか?」

 

「そんなわけないでしょ。答えは単純。

 あの槍は……

 

えー、○○○もそういう武器ほしい! 

そうだ!もう一回そこ行って石垣壊して来ようよ!

もしかしたら、もう一回宝箱出るかもしれないよ!

 

えー?そんな訳……あるかもしれないな。よし、今から行こう!

 

おいまて、おバカたち。

嘘よね、嘘だといって!

眞白! ○○○!

待ちなさいって!

 

 

……思い出が詰まってるんだから。

 

 




自分のメインレーンはTOP、サブはJgです。
最近ハマってるのはTOPオーロラとアイバーンjg。
皆さんはどのようなサモリフライフをお過ごしでしょうか?
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