単純に嬉しいです。
今回も読んでくれてありがとうございます。
中間テストも無事終わり僕ら学生は、一時的な開放感というものを享受している。いわゆるウキウキな気分であるのだが、この時期の日本は簡単には僕たちを調子に乗らせてはくれないようだった。
「今日は雨降らないって言ってたのに…朝から土砂降りなんですけど。
てか僕今日日直なんですけど! はぁ、取り敢えず濡れながらでも家に引き返して…
「あれ清水? 珍しいね、私よりも学校行くのが早いなんて。
…傘忘れた?」
救世主か? この状況をどうにかしてくれる存在が今ここに現れた。あとは僕が恥を捨て、目の前の御方に頼むだけ。
「酒寄さ…いや酒寄彩葉さん。
自分を学校まで…傘の中に入れてください!」
「全然構わないけど…それどういうテンションなの。
まるで一生のお願いをする人の熱量だよそれ……。
はぁ、清水は朝も昼も関係ないね。ほら早く。今日私たち日直でしょ。」
そう言って酒寄さんは僕の方に近づいて傘を差しだしてくる。
「勿論、入れてもらう立場なんだから傘持ってくれるでしょ?
清水君?」
「当然! 喜んで。酒寄さんには雫一滴たりともお体に触れさせませんぞ!」
「いやそれ絶対不可能でしょ。
ちゃんと自分の体も傘の中入れてよね、貸す意味なくなるんだから。」
お優しいねぇ。けど、同年代の男子を簡単に自分の傘に入れてあげるのはよくないかも。
でもなぁ、そういうことをサラッとやるから酒寄さんという気もする。この無差別に振り下ろされる優しさに狂わされた男子も少なくないだろう。アーメン…
僕はどこぞの知らぬ男子(被害者)に向けて祈りを捧げ、傘を受け取った。
「ていうかさ。なんで持ってなかったの傘。今梅雨なんだし、リスクヘッジで毎日持っていきそうなものだけど。そこらへんは結構清水は忘れないじゃん、意外だけど。」
「意外はひどくない? まぁ大事な人からの教えですよ。ちゃんと準備しないと痛い目見るときがあるよって。まぁ今回は後始末をミスったんだけど。」
あの人はホントに優秀な人だったらしいから、色々なことを教えてもらった。あの人の下で拾われてなかったらと思うとぞっとするし、考えられないなと思う。
「後始末?」
「あぁ、昨日も午前中からお昼まで雨降ったでしょ。だから傘持って行ってたんだけど、夜は雨降ってなかったからBAMBOOcafeに置いて帰っちゃったんだよね。やらかしたな~って思ってたけど、今日の予報は降らないって言ってたしどうにかなるかなって。」
「でどうにかならなかったていうわけね。」
「おっしゃる通りですよ。こりゃあ、あの人にばれたら久しぶりにお説教もらうかもなぁ。
高校生にもなって詰めが甘いねぇって。」
不思議だ。僕が先生のことを他人にこんなしゃべるなんて。自分が意図して考えないようにしていたのもあるけれど、懐かしい気分が胸の内によみがえってくる。
「ふぅん。いいね、なんだか親子って感じ。
うちにもそういう感じのやり取りがあったのかな。もう覚えてないなぁ。」
雨のしっとりした雰囲気に流されているのか、僕たちは少しセンチメンタルな感じになってしまっているのかも。もう6月だし、長い間家族たちにも顔を合わせていない。姉は元気にやってるだろうか。半ば、無理やり押しつけて出てきてしまったし起こってるだろうな。
そこから会話という会話はなく、ただ学校までの道のりを歩いて…いく?
「ねぇ酒寄さん。今更なんだけどさ。」
「なに?」
「僕たちの状態ってどう見ても相合傘だよね。」
全く意識していなかったのか、酒寄さんはポカンとした顔で固まってしまっている。傘を持たせてもらっている手前先に行くわけにもいかず、彼女が元に戻るのを待つ。
「おーい、大丈夫ですか?」
「いやこっちのセリフだけどね!?
いきなりなに言ってるのあんたは!?」
酒寄さんはかなり動揺して語気が上がっている。
「いやね? さっきのシリアースな雰囲気で冷静になっちゃったからさ。自らの姿を思い返したわけですよ。そうしたら、ああそういえば今の状況を傍から見たらそうなっちゃうなぁって。だから、少しばかり酒寄さんに罪悪感というものを抱いたんですよ。」
「ざ、罪悪感?
どういう事? この一連の流れに清水が罪を感じるとこあった?」
本気で酒寄さんが困惑している。この人自分がどれだけ注目されている存在かわかってないな。元々新入生総代という肩書だけでも注目度は高いのに、彼女本来の良さがこの2ヶ月でじわじわと周りに広がっている。それが確立されたのがこの前の中間テストだ。入学してから初めての定期試験。個人差はあるものの誰もがいいスタートを切るべく勉強をする。
そこで495点という圧倒的なスコアで1位を取ったことで、一部の人からは既に神格化されているという。
「まぁ今に見てなよ。もう少しで正門前だし、そこから教室までの道のりでよく周りを見てみるといいよ。」
酒寄さんは未だよくわかっていないというのがよく分かる顔をしている。さて、今日はそこそこ忙しい一日になりそうだ。僕が撒いた種だからしょうがないのだが。…酒寄さんはとばっちりだな。
…時間は進み昼休み。いつも通り鈴村君と河木君、そして先月のあの日から新たに葛野君が加わり昼食をとる。いつもは各々話したいことを話しているが、今日に限っては話題は一つらしい。まぁ当事者だしそうなると思っていたのだけど。
「なぁ清水。みずくさいやないか、俺たちに黙ってたなんて。
男と男の間にそういう隠し事はNGやろ?」
「…まぁ何が言いたいかはわかってるけど一応聞くね。何のこと?」
にやにやしながら嬉しそうに河木君の代わりに葛野君が続ける。
「決まってるだろ。今日の朝から1年生学年全体で広がってるあの噂。
今日の朝、お前と酒寄さんが一つの傘の中で仲睦まじく肩を寄せ合って登校していたという話があちこちで飛び交ってるんだよ。」
「確かに一つの傘の中にいたのは事実だけど…皆が期待しているようなことじゃないんだ。
単純に僕が傘を忘れて酒寄さんの入れてもらっただけで…。」
真実を話そうとする僕の肩に手が置かれる。
置かれた方向を見ると菩薩のような目でこちらを見る鈴村君がいた。
「いいんだ、もういいんだよ清水。
正直になろう? そんなありきたりな言い訳でごまかされるほど俺たちは鈍くないんだ。
親友である俺たちを気遣ってくれているのはうれしいが、俺たちこそお前の幸福をだな…」
いや本当なんだけど…。
「きっしょいわスズ。なんでお前は清水がかかわるとこうなるねん。」
「なんかもう、凄いな。結婚式の友人代表の挨拶かと思ったぞ。」
「いやだからね。傘を忘れたのは本当で…
「そんなわけないだろ! この梅雨の季節で傘を常備してないやつがどこにいる!?
例え予報で晴れが出ていたとしても、折り畳みの傘は最低限通学バックの中に用意しとくだろう!?」
なんか心痛くなってきたな。フォローしてくれているつもりなのだろうけど、思いっきり僕の心を確実に貫いている。
「はぁ、僕を買い被りすぎだよ。実は昨日…。」
酒寄さんにもした説明を三人に話す。
「……まぁそういうこともあるよな! うん。
あまり噂とか気にするなよ親友。人のうわさもなんとやらだし、たまにはそういうケアレスミスもするさ」
「必死すぎるてスズ。さっきまでの自分発言思い返してまずいと思ったんやろうけど、どう考えても逆効果や。素直に謝罪した方が身のためやで?」
「うっ…
すまん清水。あまりにも噂が広がっているものだから信じ込んでお前の話をちゃんと聞いてなかった…。」
「謝んなくていいよ。結局僕の話聞いてくれたし、もとをたどれば、傘忘れて入れてもらった自分が悪いしね。そんなことよりも酒寄さんの方が心配なんだ。彼女、人気すごいでしょ。」
三人は僕の言葉に納得するような顔をしながらも、言いたいことがありそうな感じを出している。
「あ、あれ? なんか不服なご様子…」
「いやな? 別に清水の言ってることに間違いはないと思うんだけど。
お前も大概ではあると思うけどな。なぁカズ?」
「人気というか有名度合いでいえばお前の方が高いとは思うけどな。
この辺りの同年代でお前のこと知らないやつの方が少ないし。
確かにそういう意味でいえば、酒寄さんの方が大変そうではあるな。」
中々痛いところをついてくれる。あまり中学時代までの自分の過去とは向き合いたくないのが本音である。そうも言っていられないのはわかっているが、少なくとも今回の件にはかかわってこないとは思いたい。めんどくさいことから逃げるために、中学3年の自分は珍しく必死こいて勉強してこの学校に入ったのだ。
「まぁあまり心配する必要はないやろ。皆高校生らしく恋バナに目がないだけや。今回の標的が清水と酒寄さんっていう良くも悪くもこの学年の中でも注目されてるやつだったから少しばかり広がりすぎてしまっただけや。
…そんなことよりもなぁ清水。朗報や、やっと俺の両隣にいる馬鹿どもの補修が終わったんや。やっとお前にKASSENのおもろさを教えてやれる時が来たで。」
「ホントに!? 今日はバイトがあってそこまで長い時間できないかもだけど、今日からお願いしようかな。」
先月の大会を見てKASSENをプレイしてみたい欲に駆られていた僕であったが、肝心の先生役であるAbsoluteのうち鈴村君と葛野君はしっかり今回赤点となり補修を受けることになってしまっていた。始めは河木君が先にやっとくからあとから合流しようという話だったが、補修組が駄々をこねて結局この6月に入るまで待っていたということだ。
「心配するな清水。俺とカズが補修中に忙しいお前でもいち早く一人前のKASSENプレイヤーになるための練習メニューをだな…」
「あ、オイ!ばか。スズお前なにもらしてんだ!」
「あっやっべ。」
「ほーん、ほんとにお前らはバカやな。どおりでほかのやつらよりも補修期間が長いわけや。お前らみたいなやつに教わったら清水もアホなるかもしれんし、やっぱりお前ら省こうか?」
「「堪忍してください。」」
やはりTeam Absolute coreは河木君のチームであると改めて思わせれる。そんな休み時間のひと時であった。
その後も教室内ではそこそこせわしない様子ではあったが、下校近くになると落ち着きを取り戻していた。今日もこの後バイト。ということはBAMBOOcafeに向かわなくてはならず、この前まで前の席に座っていた彼女も同じ予定だったはず。
今は席替えで位置が変わり、僕は窓側の後ろの席になり彼女は一つ前席になった。
僕はカバンを持って彼女の席の近くまでいこうとし…止まった。ここで声をかけて一緒に職場まで向かおうものなら噂がうわさで収まらない可能性がある。ここはチャットで先に行くことを知らせて僕一人で向かおうそうしよう。
僕はスマートフォンを操作して連絡を送る。よし、これで大丈夫だろう。自分がこのような気づかいができるまで成長していたことに喜びを感じながら教室を出る。
一階まで下りて下駄箱へと向かう。上履きを脱いで、自分の靴を取ったところで後ろから声が聞こえる。
「清水!ちょっと待って。」
「酒寄さん?
どしたのそんなに慌てて。」
かなり急いで追いかけてきてくれたらしい。少し息が上がっているし、学校でそこそこ大きな声を出すのも珍しい。そんな彼女の顔を見ると真剣な表情をしている。なるほど、彼女は少しばかり勘違いをしている可能性がある。
「清水、別に私は気にしないから。
ちょっと噂されるくらい別に何とも思わないし、そのことで清水が変に気に病まなくていい。あとごめん、清水の中学生時代のこととか少しだけ聞いた。過去の清水がどんな人だったのかとか他人の私がとやかく言う権利はないし、言おうとも思わない。えっと…結局何が言いたいのかっていうと………、
黙って今日は私の傘の中に入ってろってこと!」
あまりの急展開と堂々とした物言いに僕は呆気に取られてしまった。正直いうと僕の中学時代のことはあまり知ってほしくないなぁという淡い思いもあったが、知られるのは時間の問題だとは分かっていた。そんなことよりもだ。
カッコイイ、かっこよすぎるぜ酒寄さん。男としてそのカッコよさに嫉妬を覚えるべきなんだろうけど、その気さえ起らない。その精神性で宝塚の男役になろうものなら歴代でも有数の人気者になれそうだ。ただ一つだけ口をはさむなら、場所が場所だけにすごい目立ってます酒寄さん。
「ははっ! やっぱり酒寄さんはカッコイイね。
わかったよ、僕ももう気にしない。
けど困ったな……。」
歯切れが悪い僕に酒寄さんがつっこむ。
「なに? これ以上なんかある?」
「あんなに情熱的に誘ってくれたところ悪いんだけど、実は鈴村君から折り畳み傘を貸してもらったんだよね。けど酒寄さんの誘いを無下にするわけにはいかないし……うん!
では酒寄さん! BAMBOOcafeまでお願いします。」
僕の言葉に先ほどの自分の発言を思い出させれたのかみるみるうちに顔が赤くなっていく酒寄さん。この人やっぱり結構顔に出やすいな。表情豊かな人は描いていて楽しいから好きだ。
「じ、じょうねつてきぃ?
あんたねぇ……その流れで私がやすやすと傘の中いれると思う?
その傘使いなさい、いいわね!」
「……はいっ。」
僕の今の顔はおそらく凄い笑顔になっていることだろう。しょうがないのだ、こんなに自分のことを気に掛けてくれる同年代の友達なんて始めてだったから。
結局僕は鈴村君から借りた傘をさして酒寄さんと並んでcaféまで向かった。その間酒寄さんは少しご機嫌斜めだったが謝罪を繰り返しているうちに収めてくれた。そうしているうちにBAMBOOcafeへと到着しいつも通りの準備と業務をこなしていった。
シフトに入ってから一時間ほどたったころ、なにやらホールがいつもとは違う雰囲気になっているのを感じる。ホールから酒寄さんの声が聞こえてくるし、声色的になんか楽しそうだ。誰が来たのか気になり顔だけ覗いてみると、見覚えのあるうちの高校の制服を着ている女子二人組。あれはクラスメートの綾袖さんと諌山さんだ。彼女らと酒寄さんが一緒にいるのはよく見るし、友達のバイト先を除きに来たという感じだろう。
早速酒寄さんがオーダーを取っているし、そろそろ僕の仕事が始まりそうだ。今のうちに準備しておくか。
調理器具を整えているうちに酒寄さんからオーダーが入る。
「清水、季節のパンケーキ二つお願い。」
「了解! 酒寄さん、やっぱなんかサービスとしとく?
新しい常連さん候補だしさ。」
「そうね。メロン一切れくらい足しとく?」
そんな僕たちの会話に待ったをかけるのは店長だ。
「清水はともかく酒寄さんまで乗らないでくれよ。
ほかのお客さんにばれたら俺が起こられちまうからよ…。
………一切れだけだからな。」
「店長やるぅ! 太っ腹ですね。じゃあボスの了解も得たことだし作り始めますか。」
店長からの素晴らしい一声をもらい、もともとあったモチベーションがさらに高まっていることを感じる。今月のパンケーキは単純明快、旬であるメロンを使った一品だ。これ以上語ることはなく、ただ美味しいメロンをいろんな形で味わってもらうだけである。店長の言葉通りいつもより一切れ多くのせ、プラス僕からの気持ちもひとつのせて完成だ。
「酒寄さーん、パンケーキできたよ。」
「了解、ありが…と。ってこれ清水、あんたねぇ。
……まぁいいか。ばれても私は知らないからね。」
「大丈夫、大丈夫。是非ともご感想のほどお待ちしてまーす。」
そんな僕の言葉を聞いて少しため息をつきながらも、酒寄さんはすたすたと綾袖さんたちへの卓へと向かっていった。今日のバイト帰りにでも教えてもらおう。
閉店後、今日も賄いを作って残ったスタッフに振舞う。今日のメニューはカツオのピラフをメインとして副菜はおかひじきのナムルでビタミンを足していく。どちらも初夏の旬のものを使っていて満足のいく出来となった。
食べ終わり片付けを済ませていつも通り帰路へつく。
既に雨は上がっており、傘をさす必要はなくなっていた。僕の手には鈴村君から借りた傘と自分が職場に置き忘れたものの日本が握られており、少し邪魔になっている。
「ふぅ、やっぱりどうしても歩きずらくなるな。傘二本持ちなんて小学校以来かも。」
「あー、お兄ちゃんも小学生のころそんなことやってたな。その後傘で遊んでお母さんに大目玉食らってたっけ。」
「へぇ、酒寄さんってお兄さんがいるんだ。今大学生とか?」
酒寄さんの兄弟か、かなり興味あるな。やはり酒寄さんと同じように結構スーパーマン気味なんだろうか。
「いや? 今はもう就職?してるかな。
あれを就職と表現していいのかはよくわからないけど……。」
酒寄さんから帰ってきた答えは少し歯切れが悪かった。……もしかしたらお兄さんはバンドマンや芸人さんとかで、今はまだ花開いていないのかもしれない。確かにそれなら少し話しづらい感じになってしまうかも。これは申し訳ないことをした。
「ごめん酒寄さん。少し触れづらかったよね。
……お兄さんの方に、諦めないで頑張って下さい。他人ながらも貴方が花開くのを待ってますって伝えておいてください。」
「………?う、うん。わかっ…た?」
この二人どちらも何もわかっていない。勝手に人のバックグラウンドを想像して応援している奴とそれに巻き込まれて混乱している奴である。
「そうだ。話めっちゃ変わるんだけどさ。綾袖さんと諌山さんどうだったかな?
美味しいって言ってくれた?」
「ああ、うん。すごい好評だったよ、特に真実には。食べる前から今にもよだれがたれそうだったし。一口食べた後なんて、何言ってるかわからなかったし。
芦花も凄く美味しいって言って食べてたよ。だけど、こんなにおいしいと通いたくなるけど、これを食べてたら確実に太っちゃうなって嘆いてた。」
「それはそれは。作り手冥利に尽きるってもんですな。
これはまた僕の手によって新たな『たけんちゅ』を生み出してしまったようだ……。」
「たけんちゅ………?
なにそれなんかの料理の名前とか?」
「ああ、たけんちゅっていうのは僕が勝手に作ったBAMBOOcafeの常連さんの通称というか別称みたいなもんだね。どう? 酒寄さんも使ってみませんか!?広めたいんだけど、スタッフや常連さんに中々広まらないんだよね。」
酒寄さんはこれぞ苦笑いという顔をして何も言わない。おかしい、店長を含めほかのスタッフ全員からもたけんちゅはこの扱いである。そんなにひどいのかなこの名称。結構気に入ってるんだけど。
「ね、ねぇ? 清水。そういえばあの後KASSENプレイしたの?
なんか鈴村君達の補修で後回しになったって河木君から聞いたけど。」
「おっ! ちょうどいい話題。実は今日この後少しだけだけど教えてもらうんだよね。
いや~かなりの時間お預け食らったからね。もう今から楽しみで仕方ないって感じ。
酒寄さんともやってみたいし、この夏はKASSENが僕のメインコンテンツになるだろうね。」
「いいじゃん。ツクヨミを愛する者としてそういう人が増えるのはうれしいし、あと普通に清水と遊べるのも楽しみだしね。」
さらっと嬉しいことを言ってくれるなぁこの人は。
「ふふふ。僕の…あの…なんだっけ。
…なんか長い槍が火を噴くのも時間の問題だろうね!」
「……そうだといいわね。」
話しているうちにもうアパートまでついたようだ。楽しい時間はあっという間に終わってしまうというのはやはり本当である。
「じゃ、また明日。」
「うん、また明日。
…清水!」
珍しく酒寄さんから呼び止められる。
「今日の賄いも美味しかった。いつもありがとう。
あと……ツクヨミで食べたパフェの再現、期待してる。
それじゃおやすみなさい。」
そう言って酒寄さんは階段を昇っていく。最後に中々の爆弾を落としていってくれたものだ。あんなにきれいな笑顔で言われちゃったら男としてやらないわけにはいかないじゃないか。酒寄彩葉さん、彼女は間違いなく人たらしである。
……この状態からKASSENか。頭の中それどころじゃなくなっちゃったんですけど。
清水の過去は彩葉sideのお楽しみということに。
まぁまだ序盤なのでそんなに開示されないですけどね。
あと誤字報告ありがとうございました。自分ズボラな奴なので助かっています。