青春の光はすべて星   作:其為右腕

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螺旋の友が待つ星々の光に魅入られたので初投稿です。


プロローグ

“み・・水。水を・・・”

 

完全にやらかした。キヴォトスに来て間もない頃、アビドス高等学校の廃校対策委員会、奥空アヤネとい生徒から、連邦捜査部へ救援の依頼があった。つい先日、連邦生徒会長の失踪の混乱を治めた実績から、シャーレにも多くの依頼が舞い込んできた。その中でもやはり廃校という二文字が大きかったか、早急に対処すべき事案でもあったためこのアビドスの依頼を受理し、今ここにいる訳だが・・

 

”まさか本当に街のど真ん中で遭難するなんて・・”

 

最初聞いたときは冗談かと思ったが、着いてまず目に入ったのは砂漠、砂漠、砂漠!! 街が砂漠に埋もれている。建築物はあるにはあるのだが大半は砂漠化によるものか、その風体を廃墟へと変えていた。

 

”でも最近は()()()()()()()()()()()()市街地の方とかには人がいるって聞いたのに・・”

 

その手のプロがいたのか。なんとここ2、3年でアビドスは枯れ果てたと思われていたオアシスを発掘したことにより生活水準が上がり、復興の目処が立っているらしく市街地の方ではかつてアビドスに住んでいた人達が帰ってきていると聞いた。昔のアビドスにはまだほど遠いが、かつて行われていたアビドス砂祭りの復活の動きがあり、まさしく今注目を集めている学校だと言えよう。

 

だがそれでもまだ多くの砂漠は砂漠のままだし、この先生のいる場所はそのど真ん中。なんとこの先生、きちんとアビドスについて調べ律儀にアビドス行きのバスに乗ったのだが、ここ最近の激務の疲れのせいでバスの揺れをまるで抱きかかえられた赤子の揺らしだと思い、そのまま爆睡こいて、まさかの週一しか行き来アビドス砂漠の果て、いわゆる終点まで目を覚ますことはなかったのだ!哀れなり先生!!

 

”それとなんでこんなに歩いて見つけたのがヤシの実だけなんだよ! ありがたいけど割れねぇんだわ! こちとら超人!無敵!最強!!のキヴォトス人ちゃうねんぞ、えぇ!?”

 

元々バスで直の予定だったのだ。碌な食糧もなく、水も必要最低限の水筒しか持ってきてないし、それは既に初日で飲み干した。あとはなぜかそこら辺にあるヤシの木で多少の涼みを得て、その実を唯一の水分だとして持ち運んでいる。最初に手に入れた実を持ち歩いているのでなんだか愛着が湧いてきた。名前でも付けてやろうか。名前は、そうだな・・ミズキとでもいいな・・意味は・・水のなる木、ヤシの木からとったんだ・・いい名前だろ母さん・・ええそうね、あなた・・

 

・・いかんガチのマジの幻覚が見えてきた。このままじゃまずい。誰か、誰かいないのか! 一応元街のようなところなんだ! ようやく着いてこれはあんまりじゃないか! ()()()()()()()()()()()()O()B()()()6()()()()()()()()()() 誰でもいい! 誰かいないのか!

 

”これじゃホントにミイラになっちゃう・・”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生は

目の前が 真っ暗に なった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうした?ぼうず」

 

声が聞こえた。顔を上げると、そこには男がいた。夕焼けを背にしているからそのローブの中の顔は窺えない。が、不思議と安心する声だった。その手には長い棒をも持っている。先端を見れば、()()()()()()()()()()()()

 

”・・ぁあ・・・・み・・みず・・を・・”

 

そういいミズキを男に渡す。なぜそうしたかは分からなかった。でも頼めた。この男なら、何とかしてくれるのではないかと、そう思えた。

 

「いつもなら自分でやらせたが・・そんな弱ってちゃできるものもできなくなるな。」

 

そういいながら男はミズキを手に取って座り膝の上に置く。そしてドリルの形へと変えミズキに当てて回していく。

 

「こういうのは力を入れすぎちゃいけねぇ。軽く回すのがいいんだ。」

 

どこか懐かしそうに言いながら男はまるで手慣れたかのようにミズキに穴を開けた。

 

”・・すごい”

「当たり前だ。オレを誰だと・・」

 

何か言ってるが、こちらはそれどころじゃない。今すぐにでも水を飲みたい。そう思い男から半ばミズキをひったくるようにとり(もちろん水は一滴もこぼさず)、その水を飲み干す。――そうか。空間と時間と私の関係はすごく簡単なことなんだ。ははは・・

 

「いやぁ・・誰でもないか」

 

あまりの幸福に精神が宇宙のどこかへ消えそうになっていたのを、男の声で何とか意識を戻す。それほどミズキのおいしさといったら! 初日から歩いてただけあって思い出補正もばっちりなのだ!

 

”あいがとう・・ありがとう・・それしか言う言葉が・・”

 

すぐに男に礼を言う。まぎれもなく、男は私の命の恩人だ。しかもよく見れば人! ヘイローもないし、私と同じく外から来たのだろうか。そしてその顔を見ると、少なくとも私よりは年が行ってるような顔つき。だがどこか情熱を、意思を、そして少しの悲しみを、人生を感じさせる顔つきだった。そして目にいくのはその左目。そこには螺旋が渦巻いていた。私は思わず魅入られていた。

 

「礼には及ばねぇよ。ただ俺にできることをやっただけだ。  それよりあんた何者だ? こんな僻地でぶっ倒れているなんて。 ・・まさかとは思うが」

”そのまさかかもしれないですね・・”

 

話している途中に男の顔に若干呆れの色が見えた。さもありなん、だ。生徒を導く先生が、こんな場所で野垂れ死にかけていたのだ。そう見ない方がおかしい。

 

”それなら、なんで私がアビドスに来ることを知っているのですか?”

「それはあれだ、あいつらから教えてもらったからな 『ようやく蛇退治の目処が立ちそうです』って」

 

そうなのだ。アビドスはかつて暴利な借金を背負っていた。それはとてもじゃないが数人の生徒の力だけで払える額ではなかった。が、オアシスを見つかったときか。その借金の債権者であるカイザー・コーポレーションの軍事部門が壊滅寸前へと追い込まれる騒動が発生。それを機に当時の連邦生徒会は、グレーゾーンが多かったカイザーの社内調査へと踏切り、アビドスの借金や土地関係すべてを白紙へと帰した。現在のアビドスも、借金をしている状況ではあるが、それはアビドス復興のための正式なものであり、市民も復興に協力しているため後ろめたいものは何もない。 が故に頭を悩まされるのはその巨大生物。とてもじゃないがアビドスだけでは対処は難しい。今回の依頼はそれだ。さらに最近アビドス周辺でカイザーの動きもみられるとの報告もあった。おそらくこれはアビドスだけの問題に収まらない。だからシャーレの救援が不可欠。キヴォトスについてから初めての大きい仕事となるだろう。気を引き締めていかなくば・・!  そう思っていて遭難しているのだからかなりの笑いものではあるかもしれない。

 

「どうやら行先は同じらしいな。 なら少し休憩してから出発することにするか」

”ぜひともぜひそうさせてくださいでないとまたみずがのめなくなってしんでしまいます!”

「いつまでも俺に頼ってちゃいけねぇな。 言ったろ、あの時はお前が弱っていたから開けてやったんだ」

”そ、そんな・・ なら!教えてください!ドリルの使い方を!私に!”

「分かった分かった。 教えてやるから今は休め。 ヤシの実はまだある」

 

そういいながら男はヤシの実を取りに歩いていった。その足取りからは老いを微塵も感じさせず、一歩一歩踏みしめている力強さがあった。

――先生になっても学ぶことは多い。それがドリルだとは思わなかったが。

そう思いながら、ふと空を見上げると上にはいっぱいの星空が広がっていた。さまよっているときには気がつかなかったが、ここまで周りに光るものがないとこんなにも綺麗に見えるのか。先ほどから今までの人生で一番を更新し続けている。ここまで綺麗だと、思わず心が子どものころに戻ったような、そんな心地になる。

 

”私も・・宇宙に行けるかな”

 

それは子どものころ誰もが一度は夢見る場所。そこに思いを馳せるのは、今となってはあまりなくなってしまった。

 

「行けるとも」

 

いつ間に戻っていたのか。男がヤシの実を持って地に置き、そして私のそばに立つ。男はどこか懐かしむように空を見上げる。そしてその言葉は、やはりどこか説得力を感じさせる。

 

「天の光はすべて星だ」

 

その言葉に同意するように顔辺りのローブから、ブタのようなモグラのような、あるいはその両方の動物が出てきた。その目にはサングラスのようなものがかかっている。2人は顔を顔を見合わせ、もう一度、空を見上げる。

 

「ああ、そうだ。螺旋の友が待つ星々だ」

 

――螺旋。この男を端的に言い表せと言われてたら、多くの言葉が当てはまるだろう。が、螺旋、この言葉は彼の人生そのものなのではないか――そう感じずにはいられなかった。

 

 

星空はなおも輝く。星は私たちを照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”そういえば、名前、二人とも聞いてなかったですね”

 

「名前、か。そうだな。こいつはブタモグラのブータ。オレのダチだ。

そして俺は――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――シモン。穴掘りシモンだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




老年シモンが着ているやつってローブでいいんですかね(無知)
なんかよさそうな表現があったら教えてください。
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