Z戦士の虎杖悠仁 作:汚ねえ花火
孫悟空と名乗った青年に連れられ、向かった先で宿儺が目にしたのは豪華な料理の数々であった。
直前の牛魔王と名乗る巨人の驚きなど一瞬にして吹き飛ぶご馳走が大量にそこにあった。
「いただきます」
食事が始まると、両面宿儺はその料理の美味しさに目を見張った。
今まで食べてきたどんな料理よりも美味しいのではないかと感じるが、いや、裏梅の料理の方が美味しいと自らの感情に異議を申し立てる。
そんな宿儺は、腹一杯になり満足するとふと思う。
流石に量が多すぎたのではないかと。
宿儺が食べた量は、用意されていたものの100分の1ほどだろう。
牛魔王はそれほど食べるのかと思い見ると、まるで呼吸でもするかのように食べ続ける悟空とその息子である孫悟飯の姿が目に入った。
どうやらこの料理のほとんどが悟空と悟飯のためのものだったようで、宿儺は唖然とした。
というか、悟空はまだしも悟飯は先ほど2歳と紹介された。
それがあれだけ食べるとは一体どういうことなんだ!!!
宿儺の心の中は混乱で一杯になった。
「美味かった」
ふと漏らした言葉に孫悟空の妻、チチが笑顔になる。
「それほどでもねぇべ」
「チチの飯はいつも美味えかんな!!!」
「さて、それでは先ほどの続きをするとしようか」
宿儺がそう言い立ち上がると、
「良いぞ!宿儺ぐらいの年であんな動ける奴なかなか居ねえかんな!!!なんなら鍛えてやろうか!」
悟空が笑いながら答え、宿儺も獰猛な笑みを浮かべる。
「ほざけ!!!満腹となった今ならば貴様にだって負けん!」
斯くして始まった両面宿儺と孫悟空の戦い。
しかし、その展開は先ほどと変わらず、悟空の完勝で幕を下ろした。
といっても、最初の戦いと違い、悟空に気弾を使わせることには成功したのだが……。
ゼェゼェと息を切らしながら地面に横たわる宿儺に悟空は楽しそうに言う。
「やっぱり強えよおめえ。これからもっと鍛えれば結構良い線いくんじゃねえかな?」
その言葉に宿儺は悔しそうに顔を歪めた。
「ほざけ。これでも貴様より年上なのだ。貴様みたところ20ぐらいといったところであろう?」
「ん?そうなんか?てっきりまだおめえ10歳とかそこらかと思ったんだがなあ」
その疑問に宿儺は一瞬逡巡すると、口を開いた。
「この肉体は……確かに10歳ほどだろう。しかし、俺は違う。呪い……呪物を知っているか?」
「いやあ、知らねえな」
悟空の雰囲気ゆえか、何故だか宿儺は話してしまった。
「人間から漏れ出た負の力。それが形をなし呪霊と呼ばれる存在となる。そんな負の力の名が呪力。その呪力を使って呪霊を祓うのが呪術師だ。逆に呪力を使って悪を成す者を呪詛師という。会った当初術師かと聞いたが、それはこの呪術師と呪詛師を指す。俺はかつて術師として存在し、呪物となって魂を現世に留めた者だ。その呪物をこの餓鬼が飲み込んだ結果、俺がこの肉体に受肉したのだ」
「つまり、その体はおめえのものじゃねえってことか?」
「そうなるな。まあ、もう俺のものになっているが」
「つまり……おめえ悪いやつか?」
宿儺でさえも息が詰まる威圧感があたりに充満した。
「クハッ、そうなるな。まあ、受肉したのはこの餓鬼の不注意だ。呪物状態の俺は動けないからな」
そう言うと、少し威圧感が和らぐ。
「なるほどなあ。つっても、その呪霊?っての見たことないけどなあ」
「当然だな。貴様は不思議な力を使うようだが、あれは呪力ではなかった。呪霊は呪力を持つ者にしか見えぬ。……と、言いたいところだが、貴様が呪霊を見たことがないのは別の要因だ」
「別の?」
「この世界には呪霊の気配がない。どうやら呪霊そのものがいないらしい。おそらく、この餓鬼と俺がいた世界とこの世界は全くの別の世界らし………」
そこまで話したところで、宿儺の言葉が止まった。
「どうした!?」
「先ほど……この体は俺のものに……なったと言ったが……訂正が必要なようだ……この体……どうやら俺の器ではなく……檻だったようだ……孫悟空よ。次に目覚めるのは……俺ではない……この体本来の持ち主だろう……だが……いずれ……再戦を望む……」
その言葉と共に宿儺の顔や体にあった模様が消え去り、年相応の雰囲気になった。
「ここ……は……?」
「大丈夫か!?」
悠仁は、悟空の顔を見ると、人に会えたことで安心したのか、安らぎゆえに気絶した。
悟空が死んでいないことを確認して安堵したところで、悠仁の顔に小さい目と口がにゅっと出現した。
『ふむ、暫しの別れの雰囲気を出してしまったが、どうやら肉体の主導権がなくても会話は出来るらしい』
「随分と早い再会だなあ」
『はっ、それはどうでも良かろう。それよりも貴様のあの呪力とも違う力について教えろ』
「ん?あれか?あれは気って言ってな………」
◇
ふと、悠仁の意識が浮上した。
しかし、そこは先ほど悟空と会った場所とはあまりにも違う……地面は血のようで、辺りは骨格と肉に囲われたような不気味な空間だった。
その空間の中心に大量の骨が積み重なり、その頂に自身と同じ姿の少年の姿を悠仁は見た。
「来たか」
そう言うと共に骨の山から飛び降りてきた少年は悠仁の顔をまじまじと見つめた後、問いかける。
「小僧、名は?」
「虎杖悠仁……だけど……お前は誰なんだ!?後、ここどこだよ!!!」
「クハッ、そう慌てるな。……そうだな。不本意だが、これから長い付き合いとなるのだ。名乗ってやろう。俺の名は宿儺。両面宿儺と呼ばれている。お前が空腹の時に食った指。あれが俺だ」
「じゃあ、俺と同じ姿なのは……」
「お前の肉体を元にした姿だからな。正直餓鬼の体なぞ心底不愉快だが、仕方あるまい。……まあ、そんなことを話すために呼んだわけではない。ここはどこかと聞いたな。ここは俺の生得領域……ま、精神世界とでも思え。今貴様の肉体は布団の中で微睡んでおるわ」
「そ……そう…」
「ふむ、未だ混乱の中か。だが、この程度で混乱していては保たんぞ」
「え?」
「今、小僧がいる世界は元々小僧がいた世界とは異なる世界だ」
「それって……しょうとくりょういき?とかいうのじゃなくて?」
「違う。貴様の肉体がある世界のことだ」
「……いやいやいや、そんなわけ……」
「ないと思うか?」
悠仁は、ない……なんて言い切れなかった。
何故なら気絶する前に絶滅したはずの恐竜を見たのだから。
「さて、これからの話をしようじゃないか。まず、貴様には気を覚えてもらう!!!」
「え?キってなに?」
「説明してやろう……と言っても、俺も先ほど聞いたことだが……」
宿儺は気について、そして呪力や呪霊などについて話し始めた。
「俺の呪術は、世界最高峰と言っても過言ではないと自負している。しかし、孫悟空……奴には全く通用しなかった。これ以上の成長のためには、新たなるモノを取り入れなければならないと感じたわけだ」
「じゃあ、宿儺が習得すれば良いじゃないか」
「出来なかったのだ……気とはなんたるかを聞き、そして俺も気弾を受けたことで、大体のことは分かった。分かれば呪力と同じように使える……と思ったのだが不可能だった。他ならぬ呪力がそれを邪魔していた…-いや、邪魔していたのは呪力ではなく、俺の呪力操作感覚だな」
「はあ」
「気を使おうとしても、何故か呪力を使ってしまう。呪力への理解が深い故に、気を使うことが出来なかったのだ。俺は、負けたままで終わるつもりは毛頭ない。おそらく、気の操作技術は呪術にも応用できるだろう。だが、気はあまりにも汎用性が高い!それ故に、気とはなんたるかを極めた者が近くにいれば、気の攻略方法も分かりやすいだろう!」
「うんうん」
「そして、幸いにもここには呪力のなんたるかも知らん餓鬼がいる!気を修めることが出来る人材がこんなに近くにいるんだ!さあ小僧!孫悟空に師事し、気を覚えるのだ!!!」
「えー、嫌だ。というか本当にここが異世界なら真っ先に帰り方探したいんだけど……」
「気を覚えるんだ!小僧!」
気という新しい可能性にウッキウキのすっくんです。
ちなみに宿儺の強さですが、完全体宿儺がピッコロ大魔王より少し弱いぐらいと考えています。理由としては都市破壊とかやってる規模感が近いからです。もちろん規模だけが強さとは言えませんが、目安にはなるかなと。そして、ピッコロ大魔王が遊び感覚で都市破壊をするのに対し、宿儺は領域とか必殺技を使った上での都市破壊ということで、完全体宿儺の強さはピッコロ大魔王より少し弱いぐらいという結論に至りました。現在の宿儺は指一本分で完全体より大分弱体化しているため、この時期の悟空に完封負けするという結果になりました。
宿儺好きの皆さんには申し訳ない……ただ、これからとんでもなく強化するのでご安心を!!!
ちなみに亀仙人の月破壊に関してはギャグの名残だと思い、戦闘力考察から除外しています。