少女の名は三神カンナ。
「バトルスピリッツのチャンピオンになる」と言う彼女の目標を、誰も妨げることはできない。

1 / 1
三神カンナは相手の効果では防げない

 

 

 

「ヤコ。私、バトルスピリッツのチャンピオンになろうと思う」

 

 

のどかと言う言葉を凝縮したような、極々平凡な田舎道。赤毛と一本のおさげが特徴的な少女、三神(みかみ)カンナが、下校中、コンビニで買ったばかりのガリガリくんを一口齧ったあとに、そう宣言した。

 

友人の黒髪の少女、八木(やぎ)ヤコは「また変なことを言い出した」と、ざわつく心の中で呟いた。

 

 

「また藪から棒に。ついこの間けん玉大会で優勝したじゃん」

 

 

カンナとは、家が近所で幼稚園からの幼馴染。彼女が直接的な言葉を言われたとしても気にも止めないことを知っていると言うのにもかかわらず、ヤコは、できるだけ柔らかい言葉を選んで返答した。

 

 

「けん玉大会は町内大会。それに比べて、バトルスピリッツのチャンピオンは日本大会。私は、できるだけ、もっと大きなことにチャレンジしてみたいんだ」

 

 

三神カンナはいつも変だ。これは幼馴染のヤコだけではなく、彼女を目にして来た大抵の人物が抱く感想である。

 

変でなければ、やったこともないバトルスピリッツでチャンピオンになるなどと豪語したりはしないだろう。

 

 

「なんでそれを私に向かって宣言したの」

「昔、ヤコのお兄さんがバトルスピリッツをしていたのを思い出してな。まだあったらでいいが、ゲームをやるのに必要なカードを貸してくれないか」

 

 

ヤコの兄はバトルスピリッツ、縮めてバトスピのプレイヤーだった。歳が7つも離れているため、今は上京していて家にはいない。

 

 

「うん。まぁいいけど」

「ありがとう。それじゃあ早速オマエの家に行くぞ」

 

 

「あぁ、今日もまた三神カンナの歴史に新しい1ページが刻まれる」

ヤコはそう思いながら、カンナからのお願いを承諾するのであった。

 

 

******

 

 

「確か、この辺に……あった」

 

 

八木ヤコの家。ヤコは物置と化した押入れの中を探り、古びたダンボール箱を取り出した。

 

 

「おぉ、やっぱりあったか、宝の山」

 

 

カンナは目を輝かせながら言った。ヤコはそんな彼女の様子を珍しいと思いつつも「大袈裟でしょ」と返答しながら、埃がやや被ったそのダンボール箱を開ける。

 

 

「私、カンナからバトスピのバの字も聞いたことないんだけど。本当にバトスピできるの?」

「できない。だから今日公式ページでルールを覚える」

 

 

バトスピは他のカードゲームと比べてもかなりルールが特殊で、わかりづらさに定評がある。初心者がたった1人で、公式ページだけで覚えるのはほぼ不可能に近い。

 

そのことを、カンナはまだ知らないのだ。

 

 

「……私、昔兄さんと遊んでたから、少しだけバトスピわかるけど、教えようか?」

 

 

ヤコからの提案だった。意外だと感じたのか、カンナは目を少しだけ丸くする。

 

 

「いいのか?」

「うん。あんまり自信はないけど」

「自信など必要ない、ヤコができる限りのことを、私に叩き込んでくれ」

 

 

カンナは、ヤコにとって嬉しい返事を無自覚で返すと、ダンボールの中にあるカード達を漁り始める。

 

こうして、ヤコによるティーチングバトルスピリッツが始まったわけだが。

 

 

「ヤコ。多分ここはこうした方がいい。私のスピリットのアタックを牽制するついでに、バーストカードもケアできるからな」

「あ、確かに」

 

 

元々天才肌で、大抵のことを1人で卒なくこなすカンナが、バトルスピリッツの複雑なルールを理解するのに、そう時間はかからなかった。

 

カンナの幼馴染で、彼女のことをよく知るヤコ。自分に実力がないことを踏まえても、ここまで早くカンナがバトスピを理解するのは、流石に想定外なようで。

 

 

「私、カンナを侮ってた。凄すぎでしょ」

「そうか?」

「凄いよ。だって、1時間もしないうちにルール覚えて、私に指摘までして」

「それはオマエの教え方がよかっただけだ」

 

 

側から見れば、無表情で無感情な言葉を吐き捨てただけに見える。長年彼女を見ている、親友、八木ヤコでないと、それがカンナの本心から来る言葉とは思わないだろう。

 

 

「しかし、やると楽しいものだな、バトルスピリッツ。カードの効果やコストに、コアの数を計算に入れて、緻密で多様な戦術を組むのが特に。今回はお兄さんのデッキをそのまま拝借したが、今度は自分でデッキを調整したいくらいだ」

 

 

頭の良い奴が考えることはよくわからない。

 

ヤコはそう思った。カードの効果やコストくらいは見るが、一々コアの計算なんてしないし、ましてや緻密な戦術なんて考えたこともないからだ。

 

 

「ふむ。しかし、相手がヤコだけだと、実践経験が足りないかもしれないな。よし、今度、近くのカードショップの町内大会に出てみよう」

「SBのことか」

「そう。それだ、多分」

 

 

ヤコは直ぐに、カンナの言っていることが、この田舎町唯一のカードショップ「ヤマタケ」で、毎週土曜日と日曜日に開催されるバトルスピリッツ公認大会、ショップバトル、通称「SB」であることに気づく。

 

 

「デッキを調整して、今度2人で出よう」

「え。私も参加するの?」

「ヤコも出た方が、どんなプレイヤーがいて、どんなプレイングやデッキがあったかの話をたくさん聞けるだろ」

 

 

如何にも三神カンナらしい理由でSBに参加させられそうになるヤコ。

 

正直困った。彼女には、三神カンナをできるだけ近くで見守ると言う、勝手に決めた使命がある。要するに、三神カンナと同じ目線、同じ土俵に立ってはダメなのだ。

 

それに……

 

 

「無理強いはしない。日にちと時間がわかったら連絡しておくから、気が向いたら来てくれ」

 

 

強制するつもりはない旨を伝えるカンナ。ヤコはその言葉に安堵するのと同時に、罪悪感を覚えた。

 

 

「ただ、当日は家にいてくれ。デッキが受け取れないからな」

「なんで。持っとけばいいじゃん」

「いや、これはヤコのお兄さんのカードだ。勝手に私が貰うわけにはいかない。だから、使う時以外はヤコに預かっていて欲しい」

 

 

実家に置いて行ったと言うことは、要するにそう言うことだと言い返したい気持ちはあったが、ヤコは一旦カンナの考え方を尊重することに。

 

 

「わかった。預かるよ」

「よし。じゃあもう一戦手合わせしてくれ」

 

 

カンナがここまで何かにハマったのは、ベイブレード以来だなと思いながら、ヤコはデッキを手に取り、徐にシャッフルを始めた。

 

 

******

 

 

それから何日か経ち、土曜日となった。

 

午前の10時頃にカンナが八木家を訪れる。目的は言うまでもなく、SBに参加するためのデッキを、ヤコから受け取るためだ。

 

カンナが、黒いキャップのつば持ち上げながら「ヤコはどうする?」と、今日のSB参加の有無を訊いたが、ヤコは「出ない」と一言だけ返答。

 

カンナは「そうか」と、特に残念そうなそぶりも見せずに、受け取ったデッキを淡々とポーチにしまい、ヤコの家を後にする。

 

ヤコはその後、彼女と全く同じ黒いキャップにマスクを着用したのち、カンナの後を追うように家を出た。彼女が刻む歴史をこっそり覗くためだ。

 

 

******

 

 

ヤコは、田舎町のカードショップ「ヤマタケ」に到着した。ひんやりとした冷房の風に感謝しながら、早速階段から中二階に上がると、1階のデュエルスペースを見下ろす。

 

 

「いた。カンナ」

 

 

黒いキャップを被り、目元を隠しているとは言え、赤髪のおさげは良く目立つ。探し当てるのにそう時間はかからなかった。

 

ヤコは、カンナがテーブルに座って、対面とバトルスピリッツを行っていることから、既にSBが開始していることにも気がついた。

 

 

「盤面までは見えないな。もっと近くで見たいけど、流石にバレそうだし」

 

 

しかし、ヤコはカンナが優勢なことだけはわかっていた。カンナがカードを使うたび、対面の青年が慌てふためいているからだ。

 

やがて、青年は「参りました」とでも告げたかのように、カンナに頭を下げる。

 

 

「お、勝ったっぽい。SB初出場初陣初勝利。カンナ凄い」

 

 

ヤコは勝利しても全く喜ばず、淡々とデッキを片付けるカンナの姿を目に映しながら、そう呟いた。

 

 

「お、ザコヤコじゃん」

「!」

「それ、変装してるつもりか?…バレバレだぜ」

 

 

ヤコは反射的に声のする方へと体を向け、身構えてしまった。

 

無理もない。彼女がこのカードショップ「ヤマタケ」に行くのを拒んだ理由が、自分からやって来たのだから。

 

 

「小学校の時以来だなぁ。あの負け犬兄貴は一緒じゃないのかよ」

「毒島」

 

 

大きな体格と腹を持つ少年の名は、毒島(ぶすじま)トミオ。年齢はヤコ達と同じ14歳で、小学校の同窓生だ。

 

 

「SBの参加者に三神の姿が見えたもんでな。ひょっとしたらと思って探してみたら、あらびっくり。オマエ、昔からあのスカした天才ちゃんの金魚のフンだったもんなぁ」

「……」

 

 

ヤコは、体臭が臭い上に、直ぐに罵って来る毒島から目を背ける。

 

 

「ザコヤコは参加しねぇのか?…あぁそっか。オマエとオマエの負け犬兄貴は、SBに参加しても、どうせ参加賞しか貰えねぇもんなぁ。参加しても無駄だよなぁ」

「もういいでしょ。早くどっか行って」

 

 

明らかに態度が悪化するヤコ。しかし、毒島はそれでも言葉を続けて。

 

 

「あ、そう言えばオマエの負け犬兄貴。バトスピで勝てないから、いじけて家出したってホントか?」

「ッ……違う、普通に大学で」

「でもバトスピカード、家に置いて行ったんだろ?…それって勝てないから嫌いなったってことじゃねぇか!!……だっせぇ、ガハハハハハ!!!」

 

 

違う。そんなわけがない。

 

憤りを覚えたヤコは、拳を固め、毒島に向かって行く。

 

 

「それはないと思うぞ」

「!」

「カンナ!?」

 

 

それを制止するように、2人の間に現れたのは、さっきまで1階のデュエルスペースにいたはずの、三神カンナだった。

 

 

「私が使っているデッキは、ヤコのお兄さんの物だが、かなりの完成度だ。初心者目線でも、これが相当時間を掛けて調整に調整を重ね続けたデッキであることがわかる。好きじゃないとできないことだろう。それに、このデッキは、ヤコの家の押し入れで大事に保管されていた。本当にやめるなら捨てるはずだ。オマエに勝てないから嫌いになったと言うのは、先ずあり得ない」

「ガハハハ。口が良く回るな。流石は天才ちゃん」

「それに、オマエはヤコのことを『ザコヤコ』と明らかな蔑称で呼んでいたが、はっきり言って、オマエの方がザコだぞ」

「……は?」

 

 

毒島は、次々と言葉を並べるカンナに対し、次第に余裕を無くして行く。

 

 

「このオレ様がアイツより下だと!?」

「下だろ。そんなこともわからないのか?…と言うか、オマエは誰だ。ヤコの知り合いか?」

「ッ……オレは毒島だ!!…小学校の時同じクラスだったじゃねぇか!!」

 

 

今のカンナの言葉で、毒島の怒りはピークを迎える。

 

 

「テメェは絶対に叩き潰す。カードショップヤマタケで、このオレ様に楯突いたことを後悔させてやるよ」

「なら、決着はSBだな。どっちが優勝できるか、勝負と行こう」

 

 

憤慨した毒島に対し、カンナは提案。毒島もSBに参加していることを知っての発言だろう。

 

その提案に対して、何を思ったのか、毒島は再び落ち着きを取り戻して。

 

 

「ガハハハ。いいぜ。精々勝ち上がって来いよ。決勝戦でテメェに恥をかかせたいからなぁ」

 

 

ご機嫌になった毒島は、背中を向けると、2人の元を去って行った。

 

一先ず安心したヤコ。唐突に現れて助けてくれたカンナの肩に手を置く。

 

 

「カンナ。なんであんな約束」

「別にいいよ。勝てるし。と言うかヤコ。来るなら今朝言ってくれればよかったのに」

「それは、ごめん」

「大会の参加にあんまり乗り気じゃなかったのは、さっきの奴のせいか?」

 

 

カンナの言葉に、ヤコは無言で頷き、肯定を示す。

 

 

「なんで最初に言わなかったんだ。と言うか、何故店に来た」

「参加は嫌だけど、カンナの応援はこっそりしたくて」

 

 

反省気味に返答するヤコ。カンナは直後に「まぁいいか」と呟き。

 

 

「ここからはバレバレな変装なんかせず、堂々と近くで観ててくれ」

「う、うん」

「そう言えば、1回戦の相手のデッキが面白くてな」

 

 

さっきの試合の話を楽しそうに始めるカンナ。その様子を目に映すと、ヤコは何故か自分の無力さと不甲斐なさを感じた。

 

 

******

 

 

その後、カンナはSBを戦い、圧勝に圧勝を重ねて、遂に翌日の決勝戦へと駒を進めた。

 

 

「勝ったぞ、ヤコ」

「うん。流石カンナ!!」

 

 

勝利後、直ぐに着席しているテーブルから手を挙げて、ヤコに勝利を報告するカンナ。

 

 

「後は明日の決勝で勝つだけだ」

 

 

カンナの視線は、同じく決勝戦に上がった毒島へと向けられる。

 

彼女と目が合った毒島は、焦りと苛立ちを表したように舌打ちをする。

 

 

「チッ。天才がよ。だがオマエはオレ様に喧嘩を売る場所を間違えた。明日が楽しみだぜ」

 

 

次第に余裕を取り戻していく毒島。彼の言葉の真意は、明日の決勝戦の日にしかわからなくて。

 

 

******

 

 

翌日の朝9時。カンナは昨日と同じ黒いキャップを被り、家を出た。目的地は無論、カードショップ「ヤマタケ」だ。

 

 

「実戦経験を積むだけの予定が、まさか優勝までする必要になるとは。バトスピとはやはり面白いな。こんなスリリングな生活を、私は望んでいた」

 

 

拳を固めながら、1人でニヤけながらそう呟くカンナ。

 

とにかく挑戦し続けることに人生を捧げている彼女にとって、この程度のハプニングは、自分の人生に味を付けるスパイスと言う認識なのだろう。

 

 

「三神カンナだな?」

「!」

 

 

ニヤけた顔が元に戻る頃。

 

高校生くらいだろうか、4人の男子生徒がカンナを取り囲む。

 

それらの生徒達は、学ランのボタン無し。モヒカン。金髪。まるで柄が悪いと言う言葉を詰め合わせたような風体だ。

 

 

「誰だ」

「三神カンナ、西中の2年」

「あぁそうだ」

「中学生にしちゃ良い面してんな」

「ヒヒヒ。オレらと遊んでこうぜ」

 

 

ナンパ。にしてはおかしいな。

 

カンナはそう考える。確かに、有名人でもない人物に対してのナンパなら、名前を確かめる必要がない上に、初めから名前を知っているのはおかしい。

 

 

「すまない。今日は用事があるんだ。先を急ぐ」

 

 

なんにせよ。今はこんな連中とかかずらうわけには行かない。決勝戦までに間に合わなくなってしまう。

 

カンナは正面にいる高校生を通り過ぎようと前進する。

 

だが。

 

 

「行かせるわけ、ねぇよなぁ!!」

「ッ……!?」

 

 

カンナはそのまま高校生に顔面を殴られた。それを歯切りに、他の3人も、彼女に暴行を加えて行き。

 

 

 

******

 

 

田舎町にあるカードショップヤマタケ。

 

普段の客の少なさとは正反対に、今日はかなり多い。バトルスピリッツのイベント、SBの決勝戦だからだ。

 

周囲の客、審判であるジャッジ、そしてヤコも、それが始まるのを待ち侘びていたが。

 

 

「どうしたの、なんで来ないのカンナ」

 

 

その決勝戦を戦う内の1人、三神カンナが、まだ到着していなかったのだ。

 

ヤコが何度も電話を掛けるが、一向に繋がる気配がない。

 

 

「変だ。カンナが遅刻したことなんて一度もないのに」

「ガハハハ!!…なんだよ、時間も守れねぇのかよアイツ」

 

 

既に決勝戦のテーブルに腰を掛けている毒島がそう叫んだ。

 

 

「それとも、このオレ様を恐れ、尻尾を巻いて逃げ出したのかな?」

「!」

「ガハハハ!!…ま、来たとしても勝てるわけないがな。アイツも結局は負け犬よ。昔からずっとムカついてたんだよな、なんでも1人でできますって言うスカした態度がよぉ」

「……」

「そんなアイツが、ププ。オレ様を恐れて、ガーハッハッハ!!」

 

 

三神カンナは、いわゆる天才肌。なんでもそつなくこなす。その上、行動力と、挑戦し続ける執着力もある。

 

だが、自分が興味を持ったモノ以外には非常に淡白な上、感情も余り表に出さないため、そのあらゆる事に対しての才能だけが一人歩きし、周囲からは距離を置かれがちだった。

 

幼馴染のヤコから見ても、正直彼女が勘違いされても無理はないと思っている。

 

 

「……」

 

 

だけど。アイツだけは、カンナを馬鹿にする資格はない。

 

ヤコはカンナに貸す予定だったデッキを握り締め、黒いキャップを被った。

 

 

「待たせたな」

「!?」

 

 

黒いキャップを被ったヤコが、勇気を振り絞り、毒島の前に現れた。カンナが言いそうなセリフを言うと、対面となるテーブルへと腰掛ける。

 

周囲の者達には、その姿はカンナにしか見えない。同じ黒いキャップ。近しい背丈。昨日の1日しか来ていないことなどが功を奏した。

 

ただ、彼女達を元から知っている、毒島だけは違う。

 

 

「オマエ、ザコヤコ」

「……」

 

 

当然ながら一瞬で見抜かれる。

 

しかし、毒島は最初こそ驚いていたが、次第にその表情を笑みへと変えて。

 

 

「ハハ。待ってたぜ。やろうや」

「……」

「恥をかかせてやる」

 

 

昨日の人物とは違うことを指摘せず、敢えて承諾。その理由は、今告げた「恥をかかせる」ためであろう。

 

 

「負けない。カンナを馬鹿にした、アンタにだけは」

 

 

互いに使うデッキをシャッフルしたのちにテーブルに置く。

 

ヤコはそこから初手となるカードをドロー。

 

そして。

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

お決まりのコールと共に、カンナの代理であるヤコと、毒島による、カードショップ「ヤマタケ」のSB決勝戦が開始される。

 

先攻、先にターンを進めるのは毒島。

 

 

[ターン01]毒島トミオ

 

 

「メインステップ。テントモンを召喚」

 

 

ー【テントモン】LV1(1)BP2000

 

 

「召喚時効果で1コアブースト」

 

 

毒島は、てんとう虫のような姿をした小さいモンスターが描かれたカードをフィールドに置く。その効果により、使用できるコアを1つ増やした。

 

 

「ターンエンド。さぁオマエのターンだぜ、三神」

「……」

 

 

わざとらしくヤコのことを「三神」と呼ぶ毒島。過去に何度もバトスピで虐めて来たヤコが相手だからか、かなりの余裕が伺える。

 

 

[ターン02]八木ヤコ

 

 

「メインステップ。私は契約クウガを出す」

 

 

ー【仮面ライダークウガ マイティーフォーム[4]】LV1(2)BP3000

 

 

ヤコの出したカードは、赤いライダースピリットカード、契約クウガ。

 

契約とは、初手4枚の内、1枚だけ確定で持てるカードのこと。効果は強力なものばかりであり、投入されたデッキは、そのカードが軸となることが大半を占める。

 

 

「アタックステップ。契約クウガでアタック。効果でカウント+1。デッキから2枚オープンし、その中のクウガ1枚を手札に加える」

 

 

2ターン目からはアタックステップが行える。ヤコは出した契約クウガでアタックし、その効果を発揮。『仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム[3]』のカードを手札に加えた。

 

 

「そのアタックはライフで受けてやろう」

 

 

〈ライフ5→4〉毒島トミオ

 

 

毒島は、ライフにある5つのコアの内、1つを己のリザーブへ。これらが全て無くなれば、ヤコの勝利となる。

 

 

「ターンエンド」

手札:5

 

 

できることは全てやり尽くしたことで、ヤコはここでターンエンドを宣言。毒島のターンへと移る。

 

 

[ターン03]毒島トミオ

 

 

「メインステップ。テントモンを2体、連続で召喚するぜ」

 

 

ー【テントモン】LV1(1)BP2000

 

ー【テントモン】LV1(1)BP2000

 

 

「それぞれの召喚時効果で、コアを2つブースト」

「同じカードが3枚……」

 

 

毒島は、2、3枚目のテントモンを召喚し、ひたすら使えるコアを増やして行く。

 

 

「ターンエンドだ」

手札:3

 

 

しかし、そこから何かすることはなく、並べるだけ並べてターンを終了した。

 

 

「アタックとかしなくていいの」

「下手くそのオマエに教えてやるぜ。上手いヤツ程、序盤はアタックしないんだ」

 

 

毒島は、残った3枚の手札を、シャカシャカパチパチしながら告げた。

 

ヤコは腹こそ立ったが、彼女にとって、これは一気に攻め込むチャンスに違いなくて。

 

 

[ターン04]八木ヤコ

 

 

「メインステップ。ネクサスカード、トライチェイサー2000と、ゴウラムを配置」

 

 

ー【トライチェイサー2000】LV1

 

ー【ゴウラム[2]】LV2(1)

 

 

ヤコが置いたカード達は、ネクサスカード。

 

スピリットカードとは違い、アタック、ブロックはできないが、フィールドに残り続け、有力な効果を発揮し続けることができる優れ物だ。

 

 

「アタックステップの開始時。ゴウラムのLV2の効果で、トラッシュのコア2つをトライチェイサー2000に」

 

 

早速それが有効に動く。ゴウラムの効果により、使い終え、トラッシュに置かれていたはずのコアがフィールド上に戻って来た。

 

 

「契約クウガでアタック。カウント+1して、デッキから2枚オープン、別のクウガを手札に」

 

 

契約クウガで再びアタックを宣言するヤコ。その効果で手札に加えた新たなクウガを、毒島へと見せつける。

 

 

「フラッシュタイミング、クウガ ライジングペガサスの【超変身】の効果を発揮」

「!」

「BP12000まで、好きなだけ相手スピリットを破壊。よって、3体のテントモンは破壊!」

 

 

ヤコが手札から使ったカード効果により、毒島は無言で3枚のテントモンのカードを、フィールドからトラッシュに置いた。

 

 

「コストの支払いにソウルコアを使ったことで、契約クウガの効果でさらにカウント+1。ゴウラムの効果で1枚ドロー。効果発揮後、アタック中の契約クウガと、このライジングペガサスを回復状態で入れ替える」

 

 

ー【仮面ライダークウガ ライジングペガサス[2]】LV2(2S)BP7000

 

 

ヤコはアタックして横向きになった契約クウガのカードを手札に戻すと、代わりにライジングペガサスのカードを縦向きで置く。

 

 

「ライジングペガサスになっても、アタックは継続中」

「ライフで受けてやる」

 

 

〈ライフ4→3〉毒島トミオ

 

 

「ライジングペガサスのアタック時効果。バトル終了時、デッキから1枚ドロー。カウント3以上なら、2枚」

 

 

ヤコはさらに手札を増強したのちに、今一度ライジングペガサスのカードへと手を置いて。

 

 

「回復状態のライジングペガサスで再度アタック」

「ライフだ」

 

 

〈ライフ3→2〉毒島トミオ

 

 

「バトル終了時。ライジングペガサスの効果で2枚ドロー。ターンエンドだ」

手札:10

 

 

ライジングペガサスで毒島のスピリットを一網打尽にしつつ、二度の攻撃を通したばかりか、大量ドローまでやってのけるヤコ。

 

あらゆるポイントで優位に立ち、ターンを終了する。

 

 

「よし。このまま行けば」

「勝てる。とでも思ったか?」

「!」

 

 

しかし、喜んだのも束の間。毒島の余裕そうな表情が、全く崩れていないことに気がつく。

 

 

「さっきも言ったろ。序盤からアタックするヤツは下手くそなんだよ」

 

 

そう告げると、毒島はさりげなく長い袖口から2枚のカードを取り出すと。

「こうすりゃ、テメェなんざいつでも倒せるんだよ」

内心でそう呟き、笑いながら、誰にも気づかれないように、それを手札のカードと入れ替えた。

 

 

[ターン05]毒島トミオ

 

 

「メインステップ。オレは手札からインペリアルドラモン パラディンモードの【チェンジ】の効果を発揮」

「パラディンモード!?」

「効果により、テメェのライジングペガサスを破壊し、その後トラッシュにあるカードを全てゲームから除外」

 

 

ターン開始早々、毒島が使って来たのは、『インペリアルドラモン パラディンモード』……

 

あるカードとのコンボがあまりにも強力過ぎたため、そのカード諸共、デッキに1枚しか入れられない制限カードとなった有名な1枚だ。

 

そして、そのもう1枚は。

 

 

「スピリットが破壊されたか、ライフが減った時、手札にあるこのカード、アルケーガンダムの効果を発揮」

「なッ……アルケーまで!?」

「このカードを1コスト支払って、召喚」

 

 

ー【アルケーガンダム】LV3(5)BP15000

 

 

そう。毒島の袖口に隠されていたもう1枚、アルケーガンダム。

 

互いに制限カードとなった今、この2枚のコンボが完成することは早々なくなったが、毒島はこの2枚を袖口に隠し持つと言うイカサマをすることで、強引に揃えていた。

 

 

「パラディンモードの【チェンジ】効果発揮後、コスト7以上のスピリット、アルケーガンダムと回復状態で入れ替える」

 

 

ー【インペリアルドラモン パラディンモード】LV3(5)BP23000

 

 

パラディンモードの【チェンジ】の破壊効果により、アルケーガンダムが効果発揮中に割り込む形で召喚され、そのまま強力なパラディンモードと入れ替えることができる。

 

無からパラディンモードを場に出すだけでなく、再びアルケーガンダムを手札で構えることができると言う、簡潔且つ隙がない強力なコンボだ。これがかつて、バトルスピリッツの環境を青と緑に染め上げた、通称『アルパラ』と呼ばれた組み合わせだ。

 

 

「アタックステップ。パラディンモードでアタック。効果でオレのトラッシュにあるコアを全てパラディンモードに移動させる」

 

 

強力なパラディンモードを従えた直後、ようやく重たい腰を上げ、攻撃に転ずる毒島。

 

効果により、使い終えた大量のコアを、パラディンモードのカードの上に置き、回収する。

 

 

「くっ……フラッシュタイミング、ネクサス、トライチェイサー2000のLV2効果を発揮。手札から契約クウガを召喚」

 

 

ー【仮面ライダークウガ マイティーフォーム[4]]】LV2(3)BP8000

 

 

ヤコは、ネクサスのカード効果により、【超変身】の効果で手札に戻っていた契約クウガのカードをフィールドに置く。

 

 

「契約クウガで、パラディンモードをブロック」

「ガッハッハ、そんな雑魚じゃ話にならないぜ!!」

 

 

パラディンモードの攻撃を凌ぐが、当然勝てはしない。ヤコは契約クウガのカードを、魂状態と言う、契約カードが倒された先に向かう独自のゾーンへと移動させる。

 

 

「だけど、これで攻撃は凌げた」

「流石はザコヤコ。オレの手札にコイツがあることをもう忘れたか。スピリットが破壊されたことで、手札からアルケーガンダムの効果を発揮」

「!」

「手札からこれを1コストで召喚」

 

 

ー【アルケーガンダム】LV3(5)BP15000

 

 

攻撃を凌いだのも束の間、契約クウガの破壊をトリガーに、毒島は再びアルケーガンダムのカードを手札から提示し、フィールドに置く。

 

 

「これで一気に終わりだぜ、アルケーガンダムでアタック」

「フラッシュタイミング、ドラゴンフォームの【超変身】を発揮。魂状態の契約クウガを手札に戻して、ドラゴンフォームを手札から出す」

 

 

ー【仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム[3]】BP5000

 

 

アルケーガンダムのカードを横向きに倒し、アタック宣言をする毒島。

 

それに対し、【超変身】で、ブロッカーとなるスピリットをフィールドに置き、受け身を取るヤコだったが。

 

 

「そんなものに意味はねぇ。フラッシュタイミング、アルケーガンダムのアタック時効果。3コストまで支払い、払った1コストにつき1つ、効果を発揮させる」

 

 

当然毒島はパラディンモードの上にあるコアから3つのコアをトラッシュへ弾き、3つの効果を発揮させる。

 

それらの効果は、アルケーガンダムが制限カードたらしめる理由の1つで。

 

 

「1つ目。コスト7以下のスピリットを1体破壊」

「!」

 

 

1つ目の効果により、ヤコが立てたブロッカーは破壊。ドラゴンフォームのカードがトラッシュへと送られる。

 

 

「2つ目。アルケーガンダムは回復する」

 

 

2つ目の効果により、毒島は、アタック中のアルケーガンダムのカードを縦向きに。これでこのターン、二度目のアタックが可能となった。

 

 

「ラスト3つ目。手札をランダムで1枚破棄し、ライフ1つを破壊し、デッキから6枚のカードを破棄する」

「!?」

 

 

〈ライフ5→4〉八木ヤコ

 

 

3つ目は、相手の手札、ライフ、デッキにダメージを与える効果。それにより、ヤコに有利だった戦況は一気に覆された。

 

 

「さぁさっさとライフで受けろやザコヤコ」

「ッ……ライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉八木ヤコ

 

 

毒島の勢いに慄き、ヤコはフラッシュタイミングの確認を忘れ、ライフのコア1つをそのままリザーブに置いてしまう。

 

 

「続けてアルケーガンダムでアタック。そのフラッシュタイミング、再びアルケーガンダムの効果。パラディンモードから2コストを支払い、回復」

「また回復!?」

「オレ様のデッキに常識なんて通用しねぇぞ!!」

 

 

コストを支払い、何度も回復とアタックを繰り返すアルケーガンダム。

 

まだ耐えられると思っていたヤコは、ここで己の8枚の手札を確認。そこには偶然、たった1枚だけ、この場を凌げるカードがあって。

 

 

「フラッシュタイミング、マジック、仮面の魂」

「!」

「このターン、私のライフは1つしか減らない。アルケーガンダムのアタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ3→2〉八木ヤコ

 

 

咄嗟に見つけ、反射的に使ったマジックカードの効果により、このターン、ヤコのライフはこれ以上減らされない状態となる。

 

アルケーガンダムが何度もアタックが可能とは言え、その状態からライフを破壊することは不可能で。

 

 

「ガッハッハ。そんなのがあるなら、さっさと使えばよかったのにな。ターンエンド」

手札:2

 

 

以前として余裕綽々の毒島。パラディンモードとアルケーガンダムと言う、あまりにも強過ぎる存在感を放つ2体をフィールドに残し、ターンエンドを宣言する。

 

次は、どうにか首の皮一枚で生き残ったヤコのターンとなるが。

 

 

「……」

 

 

誰かが「くすくす」と笑い始めた。それを歯切りに、次々と顔も知らない観客達の嘲笑うような声が聞こえて来る。

 

ヤコは自然とそれが自分に向けられているものであると自覚した。

 

 

「みんな、オマエのプレイングミスを笑ってんだぜ。さっさと防御マジックを切ればよかったのにってな」

 

 

その声に合わせるように、毒島がヤコに告げる。彼もヤコを小馬鹿にするような表情を浮かべ、嘲笑っていた。

 

 

「懐かしいな。昔もこんな感じでみんなでオマエのミスを馬鹿にしてよぉ」

「やめて」

「そしたらオマエ、泣きじゃくってあの負け犬兄貴に助けを求めてたっけなぁ」

「やめてよ!」

 

 

嘲笑う声に、見下すような視線。ヤコが過去のトラウマを想起してしまうには十分だった。

 

早まる動悸。震える指先。手札を握っているのもやっと。ヤコは心の中で何度も「ごめんカンナ、カンナごめん」と、彼女に謝り続けた。

 

最早彼女にバトルスピリッツを続ける気力は残っていない。残された選択肢は、逃げ出すか、サレンダーするか、それとも。

 

 

「選手交代だ」

「!」

 

 

ただ1人、嘲笑いも見下しもせず、ヤコの背後に立ち、「安心しろ」と言わんばかりに、その肩に手を置いた。

 

その人物は。

 

 

「カンナ……!!」

 

 

ヤコは感動のあまり瞳を潤した。そんな彼女を見たカンナは、「待たせたな」と告げながら、黒いキャップのつばを持ち、毒島を睨み付ける。

 

 

「三神、なんでオマエが、兄ちゃん達は一体」

「兄ちゃんって、誰のことかな?」

 

 

三神カンナの登場に一番驚いていたのは毒島。思わず「兄ちゃん」と言う存在を口走ってしまい、それをカンナに指摘されたことで、「しまった」と言う言葉を表すように、両手で口を塞いだ。

 

 

「カンナ、顔怪我してるよ、何かあったの?」

 

 

ヤコがカンナに訊いた。しかもその顔の傷は1つではない。青痣に内出血。数え出したらキリがない程だ。

 

カンナは「階段で転んだ」と、無理があるウソで話を流すと、ヤコの代わりに決勝席に着席しようとするが。

 

 

「ちょっと君。ダメだよ選手交代なんて」

 

 

審判、ジャッジがその行動を咎めに来る。当たり前だ。プレイヤーの替え玉など、本来ならルール違反なのだから。

 

 

「いや、オレが許す。来いよ天才女」

「!」

 

 

しかし、それを許可したのは、対面の毒島だった。かなり焦燥感に駆られていた彼だが、知らぬ間にある程度の落ち着きを取り戻した様子。

 

ジャッジは「毒島君が言うなら」と、この場から手を引いた。

 

 

「この場に来たことを後悔させてやる。勝てるわけねぇんだからよ。大勢の前で、恥かいて負けやがれ」

「……」

 

 

無言で着席するカンナ。その隙に、毒島は、今一度袖口からカードを取り出し、手札と入れ替える。おそらく今度は防御系のカードを仕込んだのだろう。

 

 

「カンナ」

「あぁ、任せろ」

 

 

ヤコから残された7枚の手札のカードをカンナが受け取り、試合は続行。カンナのターンからのスタートだ。

 

 

[ターン06]三神カンナ

 

 

「メインステップ。契約クウガを召喚」

 

 

ー【契約クウガ】LV2(3)BP8000

 

 

ドローステップで8枚になった手札から1枚を引き抜き、カンナは契約クウガを召喚する。

 

 

「続けてドラゴンフォームを召喚」

 

 

ー【仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム[3]】BP3000

 

 

今度は、前のターンにヤコが【超変身】で出した青いクウガ、ドラゴンフォームを召喚。【超変身】で出した時には適用されない、召喚時効果もここで発揮される。

 

 

「召喚時効果。デッキから3枚オープンし、対象のネクサスカード1枚を手札に加える」

 

 

だが、今回の対象カードは無し。デッキの上からオープンされた3枚のカードは、全て虚しくトラッシュへ落ちた。

 

 

「ガッハッハ!!…だっせぇ」

「オマエは、なんで人に恥をかかせることにこだわる」

 

 

ドラゴンフォームの効果に失敗したカンナを嘲笑う毒島。そんな彼に対し、カンナが訊いた。

 

 

「そんなの、オレが楽しいからに決まってんだろ。オレは自分より下のヤツが困り、慌てふためく様子を見るのが大好きなんだよ!!」

「……」

 

 

毒島の返答を聞くと、カンナはそれを鼻で笑い。

 

 

「ふ。だからオマエはザコなんだ」

「はぁ!?」

「自分より下のヤツをずっと見ていると言うことは、上を見ていないと言うこと。本当に強いヤツは、上しか見ない。今日、実力差をわかっていながらも、ヤコは私のために戦ってくれた。勇気を振り絞って、上を見た。だからオマエはヤコよりザコなんだ」

 

 

またヤコは瞳を潤した。

 

常に上しか見てこなかった三神カンナの考え方。卑劣な真似をし続けて来た毒島が、それに対する反論など思いつくわけもない。

「だ、黙れぇぇぇぇえ!!!」と、歯切れの悪い負け犬の遠吠えを叫んだ。

 

 

「行くぞ、ソウルコアをコストに、【超変身】発揮。ライジングペガサス。BP12000まで、好きなだけスピリットを破壊する。アルケーの効果のコストに散々使われて、LV1までダウンした、パラディンモードを破壊」

「!」

「さらにソウルコアを使って【超変身】したことで、契約クウガの効果でカウント+1。ゴウラムの効果で1枚ドロー」

 

 

カンナは、パラディンモードのLVが1になっていたことを見逃さなかった。前のターンにヤコも使ったライジングペガサスを使い、それを見事にトラッシュへと追いやった。

 

 

「効果発揮後、ライジングペガサスは入れ替えず、破棄する。そしてアタックステップの開始時、ゴウラムのLV2効果。トラッシュのコア2つをクウガかトライチェイサーに置く」

 

 

破壊の余韻に浸ることはなく、カンナはそのままメインステップからアタックステップへ移行。ゴウラムの効果で使用済みとなったトラッシュが2つ戻って来る。

 

 

「この効果でトライチェイサーにコアを置いた時、手札にある【超変身】をノーコストで使える。私はこのカード、クウガ アルティメットフォームの【超変身】を発揮」

 

 

カンナは、手札から1枚のカードを引き抜き、それをフィールドへと叩きつける。

 

 

「相手のスピリット1体を破壊する。この効果は相手の効果では防げない」

「はぁ!?」

「対象はもちろんアルケー。それを破壊する」

 

 

防げない破壊効果と言う、あまり例を見ない強力な【超変身】効果が発揮。パラディンモードに続いて、アルケーガンダムもトラッシュへと送られた。

 

 

「そして、この効果発揮後、コスト7以上のクウガと回復状態で入れ替える。自身の効果でコスト7となった契約クウガを手札に戻し、最強のクウガ、アルティメットフォームを出す」

 

 

ー【仮面ライダークウガ アルティメットフォーム[3]】LV2(3)BP15000

 

 

強力な【超変身】の効果の後に、契約クウガと入れ替えて登場させたのは、Xレアカード。力強くも、黒くて禍々しい最強のクウガ、アルティメットフォーム。

 

 

「アタックステップ継続。アルティメットフォームでアタック」

 

 

カンナは、アルティメットフォームのカードを横向きに捻り、アタックの宣言。

 

 

「はは、いくら強いスピリットを呼び出しても関係ねぇ。オレの手札には防御系のカードがある。フラッシュタイミング……」

 

 

その瞬間、毒島はフラッシュタイミングの権利を使い、手札のカードを1枚引き抜き、防御マジックの使用を試みたが。

 

 

「慌てんなよ。その前に、アルティメットフォームのアタック時効果が発揮される」

「!」

「相手のスピリット1体を破壊する。この効果で破壊できなかった時、トラッシュに10枚のクウガがあれば、相手のライフを2つ、即座に破壊する」

「な、なにぃ!?」

 

 

毒島の残りライフは2つ。アルティメットフォームのアタック時効果で破壊できるライフの数も2つ。

 

そこから導き出される答えは。

 

 

〈ライフ2→0〉毒島トミオ

 

 

「そ、そんな馬鹿、このオレ様がぁ!?」

 

 

フラッシュタイミングでマジックを使う間もなく、毒島の残りライフが0になると言うことである。

 

これにより、勝者は三神カンナ。ただ1人の友の想いに応え、勝利して見せた。

 

 

「まぁでも、私にスリリングな体験なことをさせてくれたことだけは、礼を言ってやる」

 

 

カードショップヤマタケの頂点に立つ男、毒島が負けたことで、ジャッジ、観客の誰もが驚いていた。

 

ただ1人、三神カンナの幼馴染、八木ヤコを除いて。

 

 

「凄い。カンナなら、本当になれるかも、バトルスピリッツのチャンピオンに……!」

 

 

ヤコはまた、瞳を潤しながら、優勝を収めた大親友の背中を見届けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






最後までお読みいただき、ありがとうございました!

王者の鉄華シリーズの完結以来、久しぶりの投稿となりました。感触良かったら、連載したいなと考えてます。
王者の鉄華シリーズの話もまたいつか執筆したいと思って、構想練ってます。投稿がいつになるかはわかりませんが、お楽しみいただけたら嬉しいです( ̄∀ ̄)

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