第三次世界大戦後の日本、配属先が“超常行政”だった件   作:記録担当者(暫定)

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1 怪奇庁:蔵外再鑑定官の記録

「アンタ、初めて見た瞬間から気持ち悪いんだよ」

 

 第二上野収蔵区画。夜間運び込まれた再鑑定品がそう言ってきた。観測機器は静かだ。

 

「もう一度問います。貴方は神を自称する存在に接触しましたか?」

 

 薄暗い地下通路。その端に設けられた鉄格子の向こう側に再鑑定品はいた。俺は、用箋挟に挟んだ紙をペンでつっつく。

 

「フン、聴く耳すら持ってねぇのか。ああ、会ったよ」

 

「それで、何を授かったと?」

 

 再鑑定品は、椅子に座ったまま、こちらを見ていた。俺は、紙の項目に記しをつけていく。

 

「授かった? 押し付けられたの間違えだろ」

 

「ほう? 何を押し付けられたのか、ぜひともお教え願えますかな?」

 

 少し演じてみせても、再鑑定品は、こちらを睨みつけてくる。話が長くなりそうだなと思い手元の時計を確認する。観測機器は唸り声を上げていない。俺も椅子を用意すべきかな。

 

「魔法だよ、魔法。何度も同じ説明をさせるな!」

 

「失礼、俗に言う縦割り行政というものでね。他は情報を回してくれないのさ」

 

 今度はおどけた様子をとるが、再鑑定品は苛立っている様子。少し出力を上げるか? ……やはり椅子を持ってくるべきだったな。

 

「っ、アンタ、やっぱり気持ち悪いんだよ」

 

 出力を上げたら再鑑定品は少し静かになった。しかし苛立ちは隠せないようだ。

 

「それで、魔法とやらは試したのかい?」

 

 再鑑定品は少し得意げな表情をする。癪に障る表情だが、まあいい。存分に見せてもらおうか。

 

「見せてやるよ、魔法をな!」

 

 再鑑定品が手を挙げた。少し風圧を感じる。観測機器は唸り声を上げ始めた。ふむ、もう少し出力を上げよう。

 

「うっ、アンタか、これ。やっぱり気持ち悪りぃよ」

 

 再鑑定品は手を下ろす。観測機器は静かになった。やはり椅子はいらなかったな。

 

「これでよく、おとなしくしていたものだ。抵抗していれば逃れたかもしれないのに」

 

 思いわず口をついて出た言葉。嘘ではない。

 

「はんっ、この日本で、物騒な物、持って追おうとしてくる連中から逃げ切れると思ってんのか?」

 

 確かにそうかもしれない。珍しく再鑑定品と意見が合ってしまった。紙に筆記していく。もう書くこともないだろうか。

 

「なぜ捕縛されたか。現状をどの程度把握していますか」

 

 再鑑定品は俺の力に当てられたのか、最初よりもおとなしい。このままでいて欲しいものだ。

 

「なんだっけな。なんとか省とかいうのが、物騒な物持って来たことぐらいだな。後はたらい回しにここに送られたって感じだ」

 

 この再鑑定品は、意外と把握しているのか。地頭は悪くないのか?

 

「再鑑定は終了しました。後は分類官に任せますが、おおよその処遇は決定しました」

 

 俺は振り返り、監視カメラにそう言うと、鉄格子に近づく。再鑑定品は少し怯えた表情を浮かべた。そんな表情もできるのか。

 鉄格子横のボタンを押した。すると鉄格子の前に鉄板が落ちてきた。再鑑定品は何か言いたそうな表情だったが、すぐ見えなくなった。

 俺は、紙に、再鑑定記録書にペンを走らせた。

 

 *****

——転移は事実である。

——観測機器に反応あり。分類官へ連絡を入れる

——想定外の魔法の行使。自称神からの影響か?

 *****

 

 漂着者とも呼ばれる彼らの行く着く先は、総理府外局の怪奇庁となる。

 

 それにしても、俺の封印の力はそんなにも気持ち悪いのだろうか。

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