賽目少女ノ魔女裁判   作:DUN.ネコノカンリニン

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前回のターニングポイント
【マーシャルアーツ+キック】が失敗すると、ヒロ死亡ルートに入る。
【精神分析クリティカル】または【回避】が成功しないとこの小説は短編小説になっていた。

つまり→この小説は、ダイスの女神に運命を握られている!


人たらし系ダイスの女神

 ゴクチョーが飛び去った後、俺たちはラウンジで固まっていた。看守も同様に、何をするでもなくただじっとこちらを見ているだけである。

 ……ここまで何もないと一周回って暇だ。こちらからアクションを起こしてみるか。

 

「とりあえず、その魔女図鑑ってのを探してみようか」

 

 何を指しているのかわからない単語である【魔女図鑑】を何かの書籍だと判断した俺は全員に告げる。するとレイアが、

 

「あぁ、そうだね。それについてはもうわかっている。みんな、自分のポケットを見てくれないか? 各自スマホが配給されているようなんだ」

 

 え、マジやん。ポケットの中重いなって思ったらまさかのスマホが入っていた……だと!?

 待て。それじゃあ外部との連絡もできるんじゃ……? いや、そんなわけないか。だってこの牢屋敷だぞ? そんななまっチョロいことはしないだろう。

 

「残念ながら圏外だ。外との連絡手段にはならない。そして……このスマホの中に【魔女図鑑】というアプリが入っていた」

 

 なんということでしょう。俺が今ままで本だと思っていたものはまさかのアプリだったのである。結構ハイテクなところアルネ、この牢屋敷。

 

 ……ラウンジでゴクチョーの話を聞いた俺たちは、規則通りに牢屋に戻っていった。メルルちゃんとの距離はそのままだ。悲しい。

 牢屋に戻ると、メルルちゃんはベッドの中でボーっとしているのか物音ひとつ聞こえてこない。……いや、ときおりすすり泣く声は聞こえる。やはりメンタルに来てるのか。……だが、俺は自分の作業を終わらせないといけない。

 牢屋にある机と、途中で拾った―――ノートと前の囚人のものと思わしき筆記用具を用いて今ある情報を整理していく。

 まず俺は、半丁フリルという名の少女に転生したようだ。魔法は【ダイスロール】。CoC6版のルールに沿って持っている技能を使うことができる。

 CoCとは前世でも人気のあったTRPGの一つ―――「クトゥルフの呼び声」というゲームのことである。やるプレイヤーによってシリアスであったりコメディチックであったりと様々な特徴がある。

 まあそんなCoCの技能を使える魔法を持っているようだが、それでも制限はある。

 それは、ダイスロールに成功しなければ発動しないということ。また、持っていない技能については使うことができない。

 そこで、俺の持っている技能とかを記しているキャラクターシートと呼ばれるものを見ていこう。

 

【キャラクターシート

名前:半丁(はんちょう)フリル 職業:学生 身長:154cm 体重:47.4kg

STR 8 CON 14 POW 16 DEX 7 APP 17 SIZ 12 INT 13 EDU 13

SAN 80/不定64 HP 13 MP 16 ダメージボーナス+0

アイデア65

幸運80

知識65

・所持技能

回避64

キック55

マーシャルアーツ31

ライフル35

応急手当50

精神分析11

図書館35

目星55

言いくるめ35

信用45

説得35

医学35

オカルト45

薬学50】

 

 APP17だとぅ?! え、今俺めちゃくちゃ美少女なんじゃね? 人類の限界値が18だから(六版では)、アイドルやっても成功するぐらいには可愛い、ってコト?! 最高かよ。

 少しメンタルが回復した俺は、めそめそと泣いているメルルちゃんのところに行って精神分析をすることにした。あわよくば信用を取り付けたい。

 

【ロール:精神分析 1d100・11%を実行中……19。失敗】

 

 NOOOOOOOOOOOOOO!!!! やってしもうた!

 そして俺の口は勝手に動き始める。おいこら止まれ。

 

「なあメルルちゃん」

「は、はい……なんでしょうか、フリルさん」

「……俺と、熱い夜を過ごさねぇか?」

「え、えぇ!!??」

 

 おいマテこの野郎。こいつを今しゃべらすな。絶対ろくでもない言葉しか吐かねぇから。メルルちゃん、殴っていいよ。この際だから殴っていいよ。てか殴ってくれお願いだ。

 

「初めて会った時から一目ぼれなんだ。どうだい、俺と地獄の最下層みたいな熱い恋をしようじゃあないか」

「え、え、待ってください! 私たち女性同士だし、しかも地獄の最下層はコキュートスだからとっても冷たいですよ?!」

「関係ないさ……好きだ、メルル」

 

 そう言って、俺は勝手にメルルちゃんを押し倒そうとする。やめろ、これだと俺が誰にでも手を出す痴女みたいに見えるじゃないか。

 そして追い詰めたメルルちゃんの顎をくいっと持ち上げて、そのままキスをするようなしぐさを見せる。

 くぁwせdrftgyふじこlp!!!!! やだ、俺、こんなことでメルルちゃんに嫌われたくなぁい!!

 そう強く思った時、俺の身体は不意に自由になった。

 

「はぁっ!?」

 

 俺は限界まで近づいていたメルルちゃんとの距離を離して、苦し紛れに言う。

 

「な、なんてね……ちょっとしたジョークだ。少しは元気になったかな?」

「そ、そうなんですね……ビックリしました……はい。ありがとうございます」

 

【氷上メルルの信用度が7上昇。残り14】

 

 やった、勝ったぞ! やはり運命は、私に味方してくれている!!!

 するとプルプルと、スマホが鳴る。通知だろうか。

 見てみると、ゴクチョーからであった。どうやら食事の時間らしい。……食事とかあったんだ。まあ刑務所っぽいから、あるかぁ。

 

「それじゃあメルルちゃん、出ようか。食事の時間らしいよ」

「は、はい! 行きましょう!」

 

 そして俺たちは食堂へと向かう。方向音痴がたたり、どこへ行けばいいか少しわからなくなったが、さすがは我らがメルルちゃん。完璧に牢屋敷の構造を頭に入れており、案内してくれた。

 途中でエマや猫耳ヘッドホン(カチューシャ?)をつけた少女―――沢渡ココと偶然居合わせることになった。

 エマとメルルちゃんは仲が良い。恐らく俺以上である。よって、自然にエマとメルルちゃんで会話が進んでいく。

 したがって、俺はココと話をするしかないようだ。……とりあえず信用振っとくか。

 

【ロール:信用 1d100・45%実行中……03! クリティカル!】

 

 お、クリった。

 

【クリティカルボーナス付与:信用度補正+20】

 

 そして、俺の脳内に流れ出す〝存在しない記憶〟。それは、俺がココの配信を見て、スパチャを投げている様子だった。

 は? え? ……は?

 簡易無量空処を喰らいながら、俺の口が勝手に動き始める。

 

「なあ、ココ」

「ん? なにさ」

「ヘッドホン着けてるけど、ココって音楽好き?」

「それもあるけど……あてぃし、配信者なんだよねー。だからヘッドホン着けてた方がライバーっぽいっていうかー」

「いや、それはもう知ってるから大丈夫」

「知ってるって、何を?」

「だから、ココが配信者だっていうこと。私、ここに来る前によく見てたからさ。ネットサーフィンしてたらたまたま見つけちゃって、そっからはまってスパチャも投げたことあるんだよね」

「スパチャって……あ、もしかして【探索者】ちゃん?!」

「そうそう! アカウント名それにしてた!」

「マジか! それじゃあ、仲良くしよーぜ! フリルっち!」

「よろしく!」

 

 俺たちはガッチリと互いの手を握り合う。そこには確かに、ファンとライバーの信頼関係ができていた。……なんだこれ。

 

【沢渡ココの信用度が30上昇。残り72(+20)】

 

 そうして語っているうちに、私たちはいつの間にか食堂へ着いていた。

 入り口では、何か「蓮見レイア、佐伯ミリア、宝生マーゴ、OKだ」と点呼するような声が聞こえる。多分ヒロである。

 俺たちはドアをくぐる。

 

「氷上メルル、桜羽エマ、沢渡ココ、半丁フリル、入っていい」

「なあなあ、何目線なん? それ」

「ヒロちゃんは点呼しているんだと思う」

「何の点呼だよ」

 

 俺もそう思う。まあ見た感じ、委員長気質全開、みたいな感じの子だからまとめ役としてとても優秀なのだろう。

 俺はその様子を見ながら、席に着いた。

 ……ヒロからの視線を、少し感じるがね。




メルルは強く迫られるとドキドキするタイプだと思っている。PV公開当初は私の推しでした。
今はミリア姐さんが推しです。
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