賽目少女ノ魔女裁判   作:DUN.ネコノカンリニン

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現在の信用度チェックゥゥゥ!!
・信用度とは?
 好感度と一緒と言ってもいい。初期値は人間の場合は大体30程度である。減り過ぎると殺人事件の対象になってしまう。また、信用度は上げ過ぎてもいけない。筆者が癖でヤンデレエンドに持って行ってしまうから。

桜羽エマ 39
二階堂ヒロ 30?
沢渡ココ 72(内補正+20)
氷上メルル 14

その他初期値。

結論:ココが実質ヒロイン


曇らせ好きなダイスの女神様

 食堂に入ると、ビュッフェカウンターに……何これ。おおよそ料理と言っていいのかどうかとギリギリのラインを責めるなんともまあチャレンジング()な物体、否、物品が置いてあった。何も恨みはないが魔女化が進行しそうである。ゆ゛る゛さ゛ん゛!!

 食事こそ我が人生、と言っていいほど前世では食べることが好きであった。無論、罪悪感なく楽しむためにジムにも通いつめ、筋肉痛のままラーメンをすするというのがデフォルトの生活であった。

 ……そんな生活が、今、牢屋敷に収監されたために一瞬にして瓦解してしまった。

 俺は決意した。絶対、この屋敷から出ると。

 

「ひどい料理だ……」

「で、でも、口に出すのは失礼だと思いますよ……」メルルちゃんが言う。

「それもそうだわ。すまん、誰かは知らんが、作った人」

 

 そして俺はよそったトレーを持ってココのいるテーブルへ向かう。メルルちゃんは予想に反して、スケッチブックを持っているロリっ子―――夏目アンアンのいるテーブルに行くようだ。

 着いてきてくれなかったのはちょっと寂しいが、まあまだ信用度14とかいう最底辺レベルの信用度だ。ここから上げていけばいいさ。

 

「隣、いい?」

「あ、フリルっち。いいよー」

 

 トレーをテーブルに置き、ココの横に座る。

 同じテーブルに座っている人物たちを見ると、そこには佐伯ミリア、宝生マーゴがいた。

 

「や、よろしく。ミリア、マーゴ」

「うん、よろしくね」

「ええ、よろしく♡」

 

 とりま信用振っとくか。多分まだ成功しても失敗しても取り返しのつく値域だと思うからね。

 

【ロール:信用(佐伯ミリア・宝生マーゴ) 1d100・45%/45%実行中……

 結果:66。失敗。

    49。失敗】

 

 あかん。ダイスの女神様ご乱心や。

 そして、俺の口は勝手に動き出す。

 

「それにしても、変なとこへ来ちゃったね。……警察とか、探してくれてるといいんだけど」

「……」ミリアの表情が曇る。

「ええ、そうね。でも本当に探してくれるかしら?」

「大丈夫でしょ。多分、父さんとか母さんが心配してくれてるよ」

「……それは、どうして?」

「愛されてるからね。マーゴも、絶対大丈夫。愛されてるからね」

「……ええ、そうね」マーゴの表情がミリア同様曇る。

 

 すまねえ、お二人さん。地雷原でタップダンスなんかしちまって。でも仕方ねぇんだ。俺の魔法がそうしろって言うんだ!

 

【佐伯ミリアの信用度が3減少。残り27。

 宝生マーゴの信用度が6減少。残り22】

 

 おーしっと。なんてこったい。マーゴに関してはメルルちゃんに次いで二番目に信用度低いぞ。多分、これ下げ過ぎるとダメなやつなんだろう。俺の長年のギャルゲープレイヤーの勘が、危険だと、そう言っている。

 

「……なんか、ごめんね。暗い雰囲気似させちゃって」

「え、いいよいいよ! おじさん、ちょっと警察に嫌な思い出があってね……」

「そりゃあ……ご愁傷様」

 

 そのあとはココと前に配信をしたゲームについて喋ったりミリアと映画について話したりしながら食事をとっていた。……味は、言うまでもない。いや、言った方がいいか。クソまじい。おおよそ料理を名乗ってはいけない。いや、それだけならまだいい。まだいいんだ。……食感もゴミとか終わってんだろ!! シェフだ、シェフを呼べ!

 内心イラつきながら飯をかきこんでいると、突然マーゴが俺に言ってきた。

 

「ねえ、タロット占いに興味ない?」

「……タロット?」

「そう。タロットカードを使って、その出たカードの内容で占いをするの」

「へぇ面白そう。やってみてよ」

「ふふっ……初回だから無料にしてあげるわね」

 

 初回無料。甘美な響きだが、大体ダメである。初回十連無料とかの広告があるが、俺は一切信用していない。……なぜならば、その広告を掲げているソシャゲで一回もピックアップがそのガチャ中に出てこなかったからだ。

 

「ちなみに、二回目からは?」

「それはもちろん……カラダで払ってもらうわよ♡ あなた、顔は良いものね」

「そりゃどうも。それで? やってくれる?」

「ええ。……それじゃ、始めるわね」

 

 どこからかタロットカード一式を取り出してシャッフルし―――上から三枚引いてテーブルに並べた。

 

「そういえばこのタロット、どこから持ってきたの?」

「娯楽室に置いてあったのを、こっそり時間外に持ってきたの。バレたらだめだから、内緒ね。……と、まずは過去から」

 

 現れたのは「塔」の逆位置。……わからん。逆位置だからいい意味ではないだろうということだけはわかる。

 

「『塔』の逆位置……事故とか災難を表すカードね。なにか大きな事故にでもあったのかしら?」

「え? うーん……どうだろ」

 

 意味を聞いた、その瞬間。

 どくん、と心臓が跳ねる。―――なぜだろう、寒気がやまない。だが、それも一瞬の出来事で、次の瞬間にはすべて消えていた。

 ……なんだったんだ?

 

「あら? どうかしたの?」

「……いいや、なんでもない。続けてもらっても大丈夫」

「そう。では現在ね。現在は―――『法王』の逆位置。あらフリルちゃん、あなた結構説教臭いところがあるのかしら♡」

「そんなことないと思うけどね」

「それじゃあ最後に未来を―――『ハングドマン』の正位置。よかったわね、フリルちゃん。未来ではあなたは成長するらしいわよ」

「そりゃあよかった。成長するに越したことはないからね」

「まあ、その成長は何かを犠牲にしたものだけれどもね♡」

「なんてこった」

 

 そんなことをして楽しんでいたら、不意にテーブルの横に誰かが立っているのに気が付いた。

 ちらりと見ると、そこには漆黒の絹のような長髪を誇るように、先ほどまで銃を担いだ少女―――黒部ナノカとレイアと一緒に食事をとっていたはずのヒロが立っていた。ザ・大和撫子というべきそのオーラは、何物にも汚されぬような力強さを感じる。

 

「どうしたの? ヒロ」

「……フリル、先ほどは、すまなかった」

「ん? ああ、蹴とばした時のこと? それなら私はもう気にしてないし、なんならこっちが申し訳ないまであるよ。ごめんね、蹴っちゃたりして。年頃の乙女の柔肌にはやさしくしなきゃね」

「いや、そうじゃない。……それもあるが、私が言いたいのは、君に『黙れ』と言ってしまったことだ。今思えば初対面の人に投げかける言葉ではなかったと、正しくなかったと反省している。……すまない」

 

 そっちの方だったのか。まあ……ちょっとショックだったけど、苛立っていたのだろう。仕方ないさ。俺もその立場だったらそうしていたと思うし。

 

「うん。大丈夫、許すよ。ヒロは、まあちょっと難儀なところもあるかもしれないけど、私も友達になりたいんだ」

「ああ、ありがとう。……では私と、友達になってくれ」

「うん、よろしく」

 

【二階堂ヒロの信用度が15上昇。残り45】

 

 おお、結構高い! それにしても。

 

「あっちが騒がしいね」

「ああ……」

 

 声がする方を見ると、ハンナが息を切らし、シェリーがリンゴを粉砕し、エマが少しの絶望を味わっているという何とも奇妙な構図が完成していた。なんだあれ。

 

「みなさんの魔法も見せてください~!」

「ボクのリンゴ……」

 

 ……なるほど。魔法のお披露目会でもしてるのかな? それで多分シェリーの魔法でエマのリンゴを粉砕したということなのだろう。……ちょっと面白そうだし乗ってみるか。

 そう思って、俺は席を立ってエマたちのいるテーブルに向かう。

 

「面白そうなことやってるね」

「あ、フリルさん! フリルさんの魔法ってなんですか?」

「私の魔法はね……そうだな。そこに置いてあるスプーンを三本ほど投げてもらっていいかな?」

「え? 投げるんですか?」

「そう。思いっきりね」

「そうですか! では、行きますよ~!」

 

 シェリーが大きく振りかぶってスプーンを投げる。

 ……いや待て待て! 人間が出せる速度じゃなくないか?! おい、多分あんたメジャーリーグ行った方がいいよ。オオタニサンを超える名投手になれるから。

 だが、ここで退かないが俺。ここでロールをするぜ!

 

【ロール:マーシャルアーツ+キック 1d100・31%/55%実行中……

 結果:マーシャルアーツ・17。成功。

    キック・90。失敗】

 

 な?! マジか! ……こうなれば!

 

【ロール:ライフル 1d100・35%実行中……56。失敗】

 

 くそ、もういっちょ! 別に初期値なら持っていない技能だって使えるはずだ!

 

【ロール:こぶし 1d100・50%実行中……11。成功】

 

 よっしゃあ!!

 そして俺の身体は勝手に動き、達人じみた動きでスプーンを弾いていく。その速さは目に映らぬほど速く、人から見れば勝手にスプーンが空中で落ちたように感じるだろう。

 

「はああああああ!!」

「おお~」

「す、すごい!」

「どうだ、見たか! これが私の魔法―――名づけるならば、そう!」

 

 チラッとマーゴの方を見る。

 マーゴは不思議そうな顔を一瞬するが、察したのか俺の方へ近づいてくる。

 

「そうね……これ、かしら」

 

 マーゴが引いたのは―――「星」! 勝った、第三部完!

 

「あなたの魔法の名前は【スタープラチナ】、とでも言いましょうか♡」

「やったああ! ありがとうマーゴ! 私の長年の夢が、ついに!」

 

 結構な演技をする。まあ本当は違うんだけどね。

 すると、マーゴが俺にささやく。

 

「ねえ、フリルちゃん。私がさっき言ったこと、覚えてるかしら?」

「ん? なんだっけ」

「……二回目以降は、有料よ♡」

 

 ―――あ。

 見知らぬ父さん、母さん。私はこれから、セクシーなお姉さんに初めてを奪われてしまうかもしれません。本望です。ありがとうございます!




 焦った。マジ焦った。初期値でも50あるこぶしの存在を知らなかったら、マジオリ主がただの痛いやつになってしまうところだった。マジありがとう、ダイスの女神様。そして良質な曇らせをありがとう、ダイスの女神様。あなたがいることで、この小説は成り立っています。
 もちろん、読者のみんなもね。愛してるよ!(原罪)
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