灰の世界に彩が付く   作:クロワール

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 灰戸くんの物語を大体観測できましたので、タグを編集しました。これからつけ足すことがあるかもしれませんので、ご了承ください。
 いざ、じふんでタグつけると、何つけたらいいかわかんなくなりますね。
 というわけで、なんとなくハッピーエンドが見えました。これからもゆっくり描いていきますので、ちょっとした息抜きにでもしていただけたら嬉しいです。



子育て奮闘記(3日)

 

 

 2人と別れたあと、大急ぎで酒寄の家に戻った。未来のことは未来の自分に丸投げだ。頑張れ、未来の俺。心の底から応援しているぞ。

 

 というわけで酒寄の部屋に帰還。お金出すからと詰め寄る酒寄に必殺呪文"領収書なくした"で対抗。結果的に俺の自己申告でおよそ4割を酒寄に負担してもらった。たぶんこれより少ないと酒寄が納得しない。

 精算も終わり、最初に取り掛かったのは、お姫様のランチタイムだ。赤ん坊のミルクなんてはじめて作るから上手くできてるのかよくわからんな…。

 

「えーと…?ミルクの温度は人肌くらい…?どのくらいだよ…?酒寄、こんなもんでいいと思う?」

 

 数滴ミルクを左手に垂らして温度を確認してみる。がいまいち自信がないので、赤ん坊をあやしている酒寄にも聞いてみることに。

 

「いや、わたしに聞かれても…」

ペロッ

「ん〜、ちょうどいいんじゃ…ない…?」

 

 哺乳瓶を渡そうとしていた右手が固まった。落としていない自分を心から褒めてやりたい。扇風機の風が一層冷たく感じる左手に哺乳瓶を持ち替えて、酒寄に渡した。

 酒寄は何も言わず、受け取った。顔を真っ赤に染め上げて。

 

 うん、大変そうにあやしてたとこに声かけた俺が悪かったよ。

 

「だからいいかげんこっち向いてくれませんかね…」

 

 

 ミルクを飲んでお腹いっぱいになったのか、赤ん坊はまた眠りだした。ので、今のうちに買ったものを酒寄と仕分けていく。時間がたって落ち着いたのか、酒寄はこっちを見てくれるようになった。あのままは気まずすぎるからな…。

 

 

「そういえば、これ買いに行ってる途中で綾紬さんと諌山さんにあったよ」

 

「え、2人と?あーそういえば、カフェに誘われたっけ…」

 

「西竹屋の袋見られたから、隣の子供預かってることにした。あと、酒寄との電話も聞かれたから「はい!?」、世話手伝ってもらってることにしたからよろしく」

 

「え!?いやよろしくと言われても…」

 

「テキトーに口裏合わせてくれたらいいよ。あの2人、絶対聞いてくるぞ」

 

 次の学校で酒寄が質問攻めされてる姿が目に浮かぶぜ…。

 

「ごめんな、とっさの言い訳がそれしか思いつかなくて。けどあのままだと俺との子供だと思われてたっぽいし、それに比べればいいんじゃないか?」

 

 笑いながらいったけど、だいぶアレなこと言ったな。普通に黙っとけばよかった。恥ずい。

 酒寄に引かれたのではと恐る恐る様子を見てみると、意外にも怒ってる様子もなく、苦笑いだった。

 

「なんで灰戸が謝るのよ。謝るなら電話かけちゃった私じゃない?言い訳だって、とっさなら上出来なくらいでしょ。別に変な勘違いされても、私は気にしないし」

 

「へ…?」

 

「事実じゃないからね」

 

 この女は…。こういうところだぞ、お前が裏で魔性の女とか呼ばれてるのは。びっくりしたわ、勘違いされていいって言ったのかと思ったわ。事実じゃないから否定できるってだけですね。そうですよね!

 

「まじで気をつけろよお前…」

 

「え、急に何?」

 

「いつか刺されても文句は言えないぞ、今のところ」

 

「え、マジで何!?怖っ!?」

 

 

 3連休2日目は怒涛の展開の連続だったが、なんとか乗り切った。今は夜、赤ん坊はすっかりお休みしている。こうしておとなしく寝ていれば、かわいいんだけどな…。

 

「それじゃ、俺は帰るな。また明日」

 

「うん、ありがと」

 

 酒寄の部屋をでて、家に向かう。明日もまたあの赤ん坊の世話をすることを考えながら帰る。少しばかりの憂鬱と、それを吹き飛ばすようなワクワクが心を埋め尽くしていた。

 酒寄には悪いけど…

 

「楽しいな」

 

 明日は何が起きるだろうか。

 

 3連休最終日、世の学生は残り少ない休みを最大限謳歌しているのだろうが、俺たちは赤ん坊の世話をする。朝、酒寄の部屋にいき、赤ん坊のおむつを替え、ミルクを作り、昨日のことを思い出してちょっと気まずくなったりした。

 交代で赤ん坊を見張りながら、酒寄は翌日の予習を行なっていた。相変わらずの頑張りやで、ゲームばかりの自分が少し恥ずかしくなってしまったりもした。

 

そんな感じで1日を終え、赤ん坊も眠った夜。家に帰ろうと思ったとき、ふと思った。

 

「なあ。この赤ん坊、明日以降どうする?」

 

「…いろいろ考えたけど、学校に連れて行くわけにいかないし、どこかに預けるしかないと思う」

 

 さすがは酒寄。この3日お世話でてんてこ舞いだった俺と違い、すでに考えていたようだ。

 それに、酒寄が言った以外の手段もないように思う。所詮俺たちは高校生で、できることにも限りがあるのだ。

 

「明日、近くの施設を訪ねてみるつもり」

 

「酒寄が遅刻はマズイだろ。俺が行くよ」

 

 そうすれば費用もこっちで持てるし。ただでさえ限界生活してるんだ。これ以上は酒寄の体が心配だ。

 

「せめて留守番されられるくらいデカければなあ…」

 

「3日くらいでそんな大きくなるわけないし、しょうがないよ。明日、ほんとにいいの?」

 

「気にすんなって!俺はちょっと遅刻してもダメージ少ないし」

 

「ごめんね、ありがとう」

 

「おう。じゃまた明日ー」

 

 手を振りながら酒寄の部屋をでる。明日からは学校になるが…、あの赤ん坊、ちゃんと育てていけるのか?

 

「…そういえば、名前ないの不便だな」

 

 勝手に"姫"とでも呼んでるか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 翌朝、酒寄の部屋に行くと、げっそりした顔の酒寄と、目をキラキラさせる見たことのない美少女がいた。

 

 …え、だれぇ!?

 

 





 ちなみにかぐやのお世話中の1幕、私が好きなマンガにあったシーンをイメージしています。あのマンガでも突然の子育てに奮闘していました。あっちはほんとに親戚から預かったんですけどね。

 それでは、また。
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