朝起きたら女子全員サキュバスのエロゲーみたいな世界に転生してた   作:雑穀ライス

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原作知識とかないんか?

 俺の名前は鈴口翔太。

 3●歳独身童貞。

 まあ、30代の4人に1人が童貞と言われるこんな時代だと特段珍しくもない存在だ。

 

 結婚したところで女性に一緒に稼いでもらわないと生活も出来ない時代になって、人々は結婚や恋愛を諦め趣味や推し活に金を使う大人がめちゃくちゃ増えた現代社会。俺たちの想い人はディスプレイの中に籠りっきりで手を繋ぐこともできない寂しい世界である。

 

 会社と自宅を往復し空いた時間にゲームしたり動画やSNSを見てるうちに一日が終わる毎日を繰り返しながら、このまま俺は何も変わらず老いて滅んでいくんだろうなぁという諦観とともに一人寂しい夜を過ごしていたある日。

 

 

 

 朝起きたら、なんか子供の姿になっていた。

 

 

 

 

「……記憶喪失ですって?ショウちゃん」

 

 状況がわからずパニックになってるところを妙齢の女性が部屋に入ってきたので、俺はその人に自分の今の状態をそういうふうに説明した。

 俺のことを「ショウちゃん」と呼ぶ女性の顔に心当たりはない。彼女は自分のことを「俺の母親」だと言ったがこんな美人で若い母親を持った記憶はどこにもない。

 おまけにその女性の髪の毛の色はピンク色だった。

 取りあえず自分のほっぺたをつねってみる。ちゃんと痛い。どうやら自分は夢を見ているわけではなさそうだった。

 ……痛覚ありの白昼夢を見ている可能性もないわけではないが。

 

 とにかく、見知らぬ女性が自分のことを知っているというならば認識が間違っているのは自分である可能性が高い。なら記憶喪失という説明でだいたい合ってるだろう。

 

「……取りあえず、お医者さん、行く?」

 

 俺の母親が心配そうに尋ねてくる。

 状況が全く分からないので、取りあえず言われるままに首肯した。

 

 

 9時前になってから、母親(桜さんという名前だった)の運転する車に乗って病院まで移動する。

 家を出る前に俺の家族と思わしきピンク色の髪をした女の子2人と出会ってしばらくきゃいきゃいと騒いでいたが、経緯は省略。朝起きてからの情報量が多すぎて俺自身が今の状況を把握しきれていない。その子たちは俺が自分たちの名前を忘れたことにショックを受けていたが、10分後には気を取り直して学校に登校する時間ギリギリまでずっと俺にベタベタしていた。

 ……仲の良い兄弟姉妹だったんだな。

 そんな彼女たちの弟の身体を俺が乗っ取ってしまったことに、なんだか申し訳ない気持ちになってくる。

 ちなみに見知らぬ家庭の子供になってしまった俺の名前は鈴口翔太のまま変わってないらしい。ショタ化した翔太……いやなんでもない。

 

 

 病院に着いたので、車から降りて母親に手を握られた状態で病院に入る。最初は過保護だなぁと思っていたけど、俺ぐらいの年齢の男の子は目を離すと普通に誘拐されるらしい。治安終わってるだろこの世界。

 ちなみに俺と母親の身長差は頭一つ分以上あったので自分は小学生の子供に乗り移ったものだと思っていたけど、母親に確認したところ俺の学年は中学一年生だと言われた。中1でこの身長じゃあ伸びしろは少なそうだなぁ……

 

 

 結構大きい病院のロビーで受付を済ませると、先に待っている受付患者をすっ飛ばして最優先で診察を受けさせてもらえることになった。順番を飛ばされた患者にジロジロと見られるが子供優先ということで許して欲しい。というか、看護師も患者も赤や青、黄色やピンクといったカラフルな髪の毛の色をした女性ばかりでいよいよ自分がウサギの穴に落ちた不思議の国のアリスになったような気分になってきた。

 

 美人の女医に問診を受けて、MRI取って、すべて異常ナシの健康体。具合が悪いのは俺の頭の中身だけらしい。不治の病ですねこれは。

 

「まあ、ただちに生活に支障の出るレベルではなさそうだし大丈夫だと思います。そのうちふとしたきっかけで思い出すかもしれませんね」

 

 「お手上げです。何もわかりません」という検査結果をオブラートな表現に変えた能天気な回答を女医は俺たちに寄越してきた。

 

 

 病院から帰宅した後、母親と相談する。

 相談内容は、俺とこの世界の常識のすり合わせだ。

 

 俺が病院から家まで移動した間、一度も男性の姿を見ていなかった。

 今日が平日だということを差し引いても、この半日で女性としか出会っていないというのは流石におかしい。

 ということで、この世界の常識を分かっていない俺は母親を質問責めにする。

 

 

Q:どうして男の人が少ないの?ママ?

A:男の子は10人に1人しか生まれないのよ。

 

Q:どうして女の人は髪の毛がカラフルなの?

A:うーん、遺伝?

 

 

  ・

  ・

  ・

 

 

Q:どうしてママは背中に翼とお尻に尻尾が生えているの?

A:それはママが「サキュバス」だからよ。

 

 

 

 

 サキュバス。

 夢魔。

 

 

 エロゲーでおなじみの、男に対してエロいことを行うモンスターのことだ。

 日本のサブカルチャーに関わった男性でこのモンスターの存在を知らない人間はいないだろう。

 

 母親から話を詳しく聞くと、この世界に住む人間の女性は全員サキュバスらしい。

 魔法は存在するが催眠や誘惑、暗示系の魔法のみ。拒絶の意思を強く持てば抵抗出来るので万能の魔法ではないが、疲れているときに狙われたり被虐嗜好やレイプ願望みたいなものがあると魔法が通る可能性が上がって危ないらしい。前の世界で非モテだった俺には特攻の魔法だな。注意しないと。

 

 この世界の人口比率はサキュバス10人に対して男性1人。彼女たちの人数に対して圧倒的に人数が足りてない。

 そんなサキュバスたちにとって絶望的な状況に対して、彼女たちの指導者が下した決断とは。

 

 

――15歳以上の男性全員に、サキュバスへの「性奉仕義務」を法的に定めたのである。

 

 

 この世界では15歳以上の男性すべてに週5人以上のサキュバスへの性奉仕義務が課される。

 そして18歳以上の男性には性奉仕義務に加えて月3人以上のサキュバスへの妊活への協力義務が課される。

 上記の義務の違反者には特定の施設にて6か月未満の性奉仕刑が課される。

 

 

 ここまで話を聞いて、俺は眩暈がした。

 この世界の男性、性的に人権ないじゃん。ディストピア社会じゃん。

 ええ……俺ってあと2年ちょっとでサキュバスたちの性奴隷にされるの、これ……

 

 

 ここまでの話を聞いて、俺は自分がFA●ZAやDLS●TEで販売されているエロゲーみたいな世界に飛ばされてしまったことをようやく理解した。

 

 女性の住人は全員サキュバス。

 15歳以上の男性は全員性奴隷。

 

 

 俺の童貞、オワタ\(^o^)/

 

 

 ……まあ、ニワトリの糞のほうがまだ価値がありそうな俺の童貞が2年後に消滅するのが確定したこと自体は別にどうでもいい話である。年齢が離れすぎている相手は拒否できるルールもあるらしいし、こんな女尊男卑の貞操逆転世界でも性奉仕を強要し過ぎて男性が不能にならない程度の配慮は存在するみたいなので俺にとって損になる要素は全くない。

 

 しかしまあ、推定エロゲー世界に転生かぁ。

 せめて原作知識があるエロゲー世界への転生だったら原作知識チートでライフハックが捗ったんだけどなぁ……




次話、18:05投稿予定です
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