朝起きたら女子全員サキュバスのエロゲーみたいな世界に転生してた 作:雑穀ライス
前回までのあらすじ。
原作知識のないエロゲー世界のショタに転生してしまった。以上。
まあそんな感じでねんがんの異世界転生を果たした俺だったが、転生特典のチートスキルもゲームの原作知識も一切ナシ。着の身着のままの異世界転生である。
まあモンスター娘に負けたら捕食されるタイプの世界観じゃなさそうだし、中学生まで若返って人生やり直せるだけでも十分チートだと考えて俺は未練を断ち切った。高望みはよくないな、うん。
というわけでチート主人公になりそこねた一般モブの俺だったが、今は美人の家族に囲まれて夕食を食べている。まさに役得、これだけでこの世界に転生した甲斐はあったといえると思う。
というわけで、俺の自慢の美人家族を紹介しよう。
俺の母親、鈴口桜。年齢は3●歳だが、どうみても20代ぐらいにしか見えない外見をしている。まあエロゲーの母親キャラにありがちなキャラデザである。
そして俺の姉、鈴口桃。高校生。これまたどこかのエロゲにいそうなヴィジュアルをしたスポーツ万能系の女の子である。
そして俺のもう一人の姉、鈴口小春。中学3年生。インドア趣味の女の子でなんとなく俺と話が合いそうな感じがする。ちなみに目隠れ巨乳系統のキャラである。
全員でかい。
でかいと言っても胸の話ではない。いや胸もでかいけど、俺がでかいと言ったのは彼女たちの身長だ。
俺の母と姉は全員170センチを超えている。そして俺の身長は144センチ程度。正面からハグしたら顔面がおっぱいに埋もれてしまう身長差である。
このエロゲー、ジャンルはおねショタ系のエロゲかよ!?いや男性受けのもんむす系エロゲはショタ主人公多いけどさぁ!!
後で調べてわかったことだが、この世界の女性の平均身長は170センチオーバーに対して男性の平均身長は152センチ程度だった。貞操逆転世界ならぬ身長逆転世界はキツいなぁ……
「ふう……」
激動のエロゲー世界転生初日を乗り切って、俺は風呂に入って一休み中である。
俺は湯船に浸かりながらこれからのことを考える。
俺は元の世界に戻れるんだろうか。
それともこの世界で一生を過ごすのだろうか。
この世界の男性はよっぽど贅沢な暮らしをしない限り金に不自由することはないが、その代わり就職先は性風俗業に限定されている。法律によって15歳で全員男娼として動員されるので、高校進学すら「スポーツ特待生制度」を利用しないと入学出来ないという歪さがこの世界には存在する。
この世界のサキュバスは男の精液を吸収することでパワーアップする能力を備えているので、スポーツ関係の部活は男性マネージャーがいるかいないかで選手のパフォーマンスが劇的に変わる。すなわち学校側が入学させた男性に求めるのは「週5回以上のサキュバスへの性奉仕義務」を自分の学校の生徒に行使することであり、早い話がドーピングにひっかからない栄養ドリンク扱いだ。つくづく男性の人権が軽い社会である。
そんな男の人権が軽い世界で一生女に抱かれながらヒモみたいな人生を過ごすか。
元の世界であくせくと日銭を稼ぎながら一人寂しく老いて死ぬか。
「……考えるまでもないな」
自分で選べるなら、俺はこの世界に残る。
原作を知らなかったせいで知識チートでウハウハモテモテ計画は破綻したけど、これだけ女余りの世界なら俺と相性のいい女性の一人や二人見つかるだろう、きっと。
そうして俺がこの世界に残る決心をして理想のヒモ生活の人生計画図を妄想していると、
「ショウちゃーん、入るよー」
上の姉が、全裸で風呂場に入ってきた。
「うわ!?姉ちゃん俺まだ入ってるってば!!?」
「いいじゃない、姉弟なんだし」
俺の抗議を無視して桃がざぶんと湯船に入ってくる。
「小さい頃はよく一緒にお風呂入ったのに、つれないなー」
「いや記憶喪失で覚えてないから」
俺の股間の上に桃の尻が乗っかっているが、もしかしてわざとかコイツ。肉親の情よりもサキュバスの欲を優先してきやがった……!
駄目だ、桃の柔らかい尻の感触に反応して俺の股間が反応してしまう。
「大きくなったねー」
ニヤニヤしながら桃が言った。お前それ絶対俺の股間の反応のことを揶揄ってるだろ。
「ショウちゃんってまだ童貞?チ〇ポ奴隷堕ちまであと2年しかないから、最初ぐらいは好きな子とヤっといたほうがいいよ?」
「姉ちゃん、怒るよ」
尻を小刻みにグリグリ動かしながら猥談を続ける桃。それ以上はシャレにならんからやめてくれ。
「ショウちゃん知ってる?15歳になったら『性奉仕義務法』があるから毎週5人以上の女の子とセックスしないといけないんだよ」
「それは母さんから聞いた」
「でさー、セックス出来なかった男の子ってソッコーで逮捕されて強制施設に入れられるんだけど、そこってかなり厳しいらしいよー」
桃の猥談は続く。そろそろ股間の限界が近くなってきて中身が出そうになってきたんだが、いつまで続くんだこの拷問は。
「人数が足りなかったらお姉ちゃんにいってね♪数合わせしてあげるから」
「もう出るよ」
とうとう我慢できなくなった俺は桃を押しのけて湯船を出た。
別に桃に対して怒っているわけではない。限界に達したのは股間のほうである。立ち上がったタイミングでテンションMAXになった俺の荒ぶる象さんを桃に見られてしまったが今更である。濡れた身体を雑に拭いて、俺は桃から逃げるように風呂場を離れた。
なんだよこのエロゲー、家族まで攻略対象キャラ扱いなのかよ……!
「――にひひ♪ショウちゃんって記憶喪失になる前はあんなに生意気だったのに、すっごく反応が可愛くなったね。あー、早く喰べてみたいなぁ……」
実の姉にセクハラされた翌日、俺は母親に送迎されて中学校に登校した。
わざわざ親に送迎してもらう理由は、一人で登校すると普通に誘拐されるからだ。大人のサキュバスが相手だった場合は身長差があるからパワー負けするし、催眠魔法が通ったらそこで終わる。特に俺は記憶喪失状態なので、誘拐犯を自分の家族と勘違いさせるように認識を歪められたらイチコロだ。マジで男にとって治安最悪だよなこの世界って。
学校に到着し、車を降りて校門をくぐると女子生徒の視線が俺に集中する。全員肉食獣のような目をしていた。こわい。
好機と好色の視線に晒されつつ、自分の教室に入る。
……しまった、自分の席がどこかわからない。
「あの……すみません」
「ひぃッ!?」
仕方がないので近くにいた髪の毛の赤い同級生の女の子に声をかけたのだが、不審者に突然ボディタッチされた女子高生のような悲鳴を上げられた。その反応は地味に傷つくんだけど。
「僕の席がどこだったか忘れてしまったんですけど、知っていますか?」
「はははははい!こっちです!!」
男子に話しかけられる免疫がないのか、その女の子は上ずった声を上げながら運動会の入場行進のようなカチコチの動きで俺の席まで案内してくれた。
……女子全員サキュバスのエロゲー世界なのに男に免疫のない女子もいるんだな。
「ありがと」
「はぅうううう……」
俺がお礼を言うと、女の子は顔を真っ赤にしながらぼそぼそと呟く。
「初めて男の子とお喋りしたぁ……」
お、おう。なんだか大変だね、君も。
なんだか他人のような気がしなかったので、機会が会ったら彼女に優しくしてあげようと俺は心に誓った。
次話、19:05投稿予定です