朝起きたら女子全員サキュバスのエロゲーみたいな世界に転生してた   作:雑穀ライス

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セックスできないと入れない部屋

 俺がこの世界に来てから1週間が経過した。

 蜜柑先輩と林檎ちゃんとの関係は良好、今では文芸部以外の文化部所属の女子生徒が部室に遊びにくるようになって一気に人口密度が増加した。やはり彼女たちは男子に飢えているらしい。

 

 選手として参加できない運動部の部活に男子が集中して文化系の部活には男子があまり入ってない状況は何か妙だなと思ったけど、たとえ男子が文化系の部活に入っていてもインターハイの時期になったら運動部の臨時マネージャーとして駆り出されるらしく、男子にとって部活は「性奉仕義務法」の週5枠を埋める相手を探す以上の価値を見出してないという話だった。やっぱ歪だわこの世界。

 一見男にとってディストピア社会に見えるけど、若いうちに自分と相性のいい恋人を5人作って囲ってもらえば割と快適に生活できるのでやり方次第かな。枠から溢れた女の子にとってはたまったものじゃないんだろうけど。

 

 というわけで、女余りのこの世界でモテない女の子のために小さな努力を続けている俺だったが。

 

 ……現在、上と下の姉の二人と一緒に風呂に入っていた。

 

 

「あー、やっぱお風呂は気持ちいいねー」

「狭いんだけど、桃姉」

 

 今の俺の状況は、姉2人と同時に3人で湯船に浸かっている状況だ。

 俺の背中には下の姉の小春が密着していて、俺の上には上の姉の桃が乗っかってる。小春のおっぱいの感触が直に伝わってきて非常に股間に悪い。

 

「学校で恋人出来た?もしかしてもう童貞捨てた?」

「友達は出来たよ。まだ童貞だし」

 

 風呂の中で桃と喋る話題は、だいたい世間話という名の猥談だ。 

 女性に密着されながら猥談をしたことで元気になってしまった俺の股間の象さんを桃が太ももで挟んできた。うちの姉が模範的サキュバスですごく困る。

 

 姉がその気になれば、いますぐにでも俺の童貞を散らすことが出来るというこの状況がもどかしい。それ自体はやぶさかでないが、肉親相手に童貞を捨てるのはなんだか倫理観の敗北のような感じがして超複雑な気分である。嫌ってわけではないんだけどな。

 

「全く……桃姉はそうやって今まで何人の男を喰ってきたんだよ?」

「0人」

 

 桃に聞いたつもりだったのに、なぜか後ろから俺に抱き着いている小春が答えてくる。

 

「0人」

「なぜ2回言った」

「大切なことなので2回言いました。私は処女」

 

 お、おう。

 お前も非モテ系サキュバスだったのか、小春……

 

 

 股間が暴発する前に姉たちを振り払って風呂を出る。

 宿題を終わらせてから就寝。特待生制度を使わないと進学出来ない男子にとって受験勉強なんて必要ないんだが、まあ習慣みたいなものだ。ちなみにこの世界の男子が進学する理由の大半は「恋人と同じ学校に通いたい」である。チッ、リア充しやがって……

 

 敷布団の中でもぞもぞしていると、俺の部屋の扉がガチャリと開く音が聞こえたので目を覚ます。入り口に視線を向けると、姉二人が俺の部屋に押しかけてきたところだった。

 

「なんか用?」

「にひひー。ショウちゃん、寝る前にちょっとお喋りしようよー」

 

 そう言いながら桃は部屋の電気を付けて、俺の布団の中に潜り込んでくる。

 逆サイドには小春が潜り込んできた。混浴フォーメーションを布団の中でやられるのはちょっと拙い、完全に逃げ場がない。

 

「ショウちゃん……お姉ちゃんのこと、好き?」

「好きだよ、そりゃあ」

 桃がストレートに聞いてくるので真っすぐ打ち返してやった。

 

「どういうところが好き?」

「美人だし、スタイルいいし。男慣れしてる雰囲気はちょっとだけ引くけど嫌ってわけじゃない」

「にひひー。嬉しいこと言ってくれるじゃないの」

 全部本音だ。わざわざ肉親にリップサービスする必要はないだろう。

 

「……小春のことも、好き?」

「好きだよ。趣味も合うし、美人だし、スタイルいいし。男慣れしてない点を加点したら桃姉より上だな」

「…………♪」

「イジメんぞ、コラ」

 小春が上機嫌な様子で微笑み、桃に耳たぶを引っ張られた。暴力反対。

 

「ま、いいや。ショウちゃんの愛は伝わった。おやすみ、いい夢見なよ♪」

 

 そう言って桃が俺の耳にふっと息を吹きかける。

 熟しきった果物の甘ったるい匂いを嗅いだその瞬間、俺の意識は急激に夢の世界へと引きずり込まれていった。

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「……眠った?」

「うん、ぐっすり」

 

 小春の問いかけに対して、気絶するように眠りに落ちた翔太の様子を確認した桃が答える。

 桃が使ったのは「睡眠」の魔法。サキュバスが使える魔法の一つである。

 

 一見万能に見えるサキュバスの魔法だが、明確な欠点がある。

 それは「術者に対しての好意が低い場合、魔法の効果が期待できない」という点である。

 

 自分を嫌っている相手に魔法をかけてもほとんど効果がない。 

 この世界の男子が親からサキュバスに対する警戒心を植え付けられるのは、魔法に対する耐性をつける意味もあるのだ。

 

「ほぼ抵抗なし。コンドームのほうが分厚いぐらいの極薄セキュリティだよ。

 こんなの犯してあげないとむしろショウちゃんに対して失礼でしょ」

 

 桃はウキウキした様子で翔太の服を脱がし始める。

 サキュバスにとって、男性に魔法が通った時点で「合意の上でのレイプ」となる。

 男性に対して強い征服欲を抱き、躊躇なく魔法を行使する桃はこの世界において健全かつ典型的なサキュバスであった。

 

「私が先にやる」

「じゃあお先にどうぞ。私はショウちゃんの童貞に拘らないし、セカンドバージンでいいよ」

 

 桃が翔太を裸にした後、小春が服を脱いで翔太の上に跨った。

 小春は翔太のいう「非モテ系サキュバス」に分類される性格だが、彼女たちは己の趣向に対して拘りが強い分、これと決めた男性への執着心は並のサキュバスよりも何倍も強かった。

 

 

 ほどなくして、2匹のサキュバスの「食事」が始まる。

 この夜に行われた行為を、翔太が知ることはなかった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 最近、夢見が悪い。

 いやむしろ夢見が良いというべきだろうか。毎日エロい夢ばかり見る。

 

 原因はわかっている。あの2人の姉のせいだ。

 桃と小春はあれから毎日寝る前に部屋に入ってきて、俺の布団の中で添い寝しながら俺が寝落ちするまで駄弁ってくる。するとその夜は高確率で姉二人とエロいことをする夢を見てしまうのだ。

 まあ風呂場と布団の中であれだけ毎日姉たちとサキュバス式スキンシップしていたらエロい夢の1つや2つ見るよなって感じもするけどな。

 

 当然姉たちには相談出来ない。するわけがない。

 姉たちに相談したら最後、絶対に「あれれ~、ショウくん欲求不満なんだぁ。じゃ、お姉ちゃんたちが解消してあげるね~」って言いながら襲ってくる。夢で犯されるのがリアルで犯されるのに変わるだけである。

 家族で一緒に朝飯を食べていると、時折桃がこちらをチラっと見てニコニコと笑ってくる。はあ、あれ絶対に俺の下半身事情を理解している顔だ。

 桃の思わせぶりな態度に朝からげんなりした気分になりながら、俺はぬるくなった味噌汁を飲み干した。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「ウチ、翔太に告るわ」

 翔太が文芸部に入部して一か月ほど経過したある日、蜜柑は林檎にそう宣言した。

 

「ウチ気づいたんや。このまま翔太とヤレないまま中学を卒業したら、ウチは一生処女のままやってな。サキュバスに処女が許されるのは中学生までなんや」

「蜜柑先輩……」

「3日後に告るから、ウチより先に告りたいっていうなら今のうちやで。林檎」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「放課後、体育館裏まで来てください。待ってます」

 俺がこの世界に転生してから一か月ほど経ったある日、突然林檎ちゃんにそんなことを言われた。

 

 告白かな?そうだったら嬉しいけど、この世界なら即席の乱交パーティのお誘いという可能性が捨てきれなくて疑心暗鬼になりそうだ。

 まあ林檎ちゃんは非モテ系サキュバス側の存在だし、ノコノコ呼び出されて着いて行ったらいきなり集団レイプされるという可能性は低いと思う。信じてもいいか。

 

 

 放課後、林檎ちゃんに言われた通りに体育館裏に行く……つもりだったのだが林檎ちゃんとは同じクラスなので2人とも同じタイミングで終礼が終わって放課後になった。そりゃそうだよな。

 二人して凡ミスをやらかした恥ずかしさを感じながら、結局一緒に並んで体育館裏まで行った。

 人気のない体育館裏に辿り着いて、2人で向き合って見つめ合う。林檎ちゃんのほうが俺より20センチ以上背が大きいので俺の視線は林檎ちゃんのおっぱいに集中するが、それはまあご愛嬌である。

 

「翔太くん……あの…………」

 

 林檎ちゃんが口ごもりながらも、少しずつ言葉を紡ぎ出していく。

 俺はといえば、ゲームの中でしか見たことのない告白シチュエーションをリアルで体験していることに心の中で感動していた。神様ありがとうございます俺をこの世界に転生させてくれて。後で自宅の神棚にお高いお菓子をお供えさせていただきます。

 

「すう…はあ……」

 

 俺がリア充初体験の喜びを噛み締めているうちに、俺と見つめ合ってあわあわとしていた林檎ちゃんは一度深呼吸をして覚悟を決めていた。

 そして。

 

 

 

 

「わ……私に!突き刺してください!!

 

 

 俺の想像していた言葉とは全然違う言葉が林檎ちゃんの口から飛び出してきた。

 

「えっと……な、何を、突き刺すの?」

「ナニを!私に!ぶすっと突き刺してください!」

 

 パニックになって思わず林檎ちゃんに確認してみたが、普通にマジレスが返ってきた。

 え、何この状況?俺の認知のほうが間違ってるの?

 

 俺は林檎ちゃんの表情をまじまじと見つめるが、彼女は「え?私何かやっちゃいました?」という表情で俺が何に対して戸惑ってるのか全くわからないという顔をしていた。

 マジかよ、マジでこれがこの世界の告白するときに言う言葉なのかよ!?

 

 どう返事しようか迷っていると、断る言葉を考えているとでも思ったのか林檎ちゃんの表情がみるみるうちに陰っていく。いや違うんだよ、ちょっと俺の常識とエロゲー世界の常識がクロスカウンターして意識がお空の彼方に飛んでいってるだけなんだよ。

 

 しょうがない。覚悟を決めるか。

 

「……あー、じゃあ、よろしくお願いします」

「………っ!」

 

 俺の返事を聞いた林檎ちゃんは、顔をぱあっと明るくして俺に抱き着いてきた。

 ……おっぱいに顔が埋もれて息できないんだけど。助けてヘルプミー。

 

 

 

「で、これからどうしよっか」

 林檎ちゃんに「突き刺す」と約束した以上、俺は林檎ちゃんとそういう関係になることはやぶさかではない。しかし俺には「そういうことが出来る場所」という知識が全くない。下手な場所でおっぱじめて他の女子生徒にバレて乱交パーティになるのは流石に困る。

 やっぱり部室かなぁ。鍵閉まるし。でも隣で部活やってる女子に声が聞こえるしなにより蜜柑先輩に迷惑だよなぁ。

 

「あ、それなら気兼ねなく『そういうこと』が出来る部屋があります」

 俺の悩みは林檎ちゃんの一言であっさり解消された。

 

 

 林檎ちゃんに連れられて、とある部屋にたどり着く。

 部屋の前のネームプレートには「セックスしないと出られない部屋」と書かれたプレートが刺さっていた。

 マジかよ、実在してたのかよ「セックスしないと出られない部屋」!!!?

 

「どういう原理で出られなくなるんだ……」

「別に物理的に部屋に鍵が閉まるわけじゃないんですけどね」

 

 俺の呟きに反応した林檎ちゃんが苦笑する。

 部屋の中に入ると病院の相部屋みたいな感じでベッドが並べられた空間になっていて、ベッドの間はそれぞれ間仕切り用のカーテンで使用者の姿を隠せるようなデサインになっていた。

 

「『セックスしないと出られない部屋』には、サキュバスの『睡眠』の魔法で入るんです」

 林檎ちゃんが「セックスしないと出られない部屋」の趣旨について説明し始める。

 

「本来サキュバスの魔法を男性にかける場合は心を許しているサキュバスからの魔法しか通用しないんですけど、恋人関係になった男の子にはサキュバスの魔法が通るのでそれで眠らせます。その後、サキュバスが男の子の夢の中に入る魔法を使って侵入します。後はヤりたい放題ですね」

 

 なるほど、サキュバスの魔法で支配された夢の世界に閉じ込められるから逃げようがないのか。

 そこまで考えて俺の脳裏にふとした疑問が浮かび上がる。

 

 まさか桃、俺に睡眠魔法をかけて夢の中に登場してたんじゃねぇだろうなぁ……!!

 

「じゃあ翔太くん、一緒に寝よ?」

「あ、うん」

 

 この世界の典型的なサキュバスである桃に知らないうちに犯されていた可能性に思い当たって怒りを燃やす俺だったが、恋人になったばかりの林檎が甘えるように誘ってくるので桃のことを考えるのを中断した。

 

「あ、寝る前に服を脱がないと夢精でべとべとになるよ?」

「学校の中で裸で寝るのか……」

「私も一緒に脱ぐから恥ずかしくないよ」

 

 結局俺は林檎ちゃんの言う通りに裸になって彼女と一緒に添い寝する。

 その後、夢の中で林檎ちゃんとの行為を堪能した。

 

 

 

 

 

 

 

――林檎ちゃんと恋人になってから半年が経過した。

 

 

 林檎ちゃんと恋人になった翌日、次は蜜柑先輩に告白された。

 もちろん承諾し、「セックスしないと出られない部屋」で蜜柑先輩から「睡眠」の魔法を受けることで俺が蜜柑先輩に対して好意を持っていることをしっかりと確かめてもらった。男子に栄養ドリンクとしての役割を求める運動部のサキュバスたちと違って非モテ系サキュバスたちはどうも男子に魔法が通るかどうかを重要視しているっぽい感じだ。

 

 魔法が通れば相思相愛、なんともわかりやすい基準だ。「セックスしないと出られない部屋」というよりも「セックス出来ないと入れない部屋」と言った感じだな。「睡眠」の魔法ってやつは。

 二人の姉からも毎晩魔法が飛んでくるが、本気で嫌がってたら魔法の効果がなくなるのがサキュバスの魔法の仕様なので「通るほうが悪い」という理屈で一蹴されている。

 

 そこまではいい。

 だが今はちょっと拙いことになっている。

 

 

――どうやら学校にいる非モテ系サキュバスたちに、俺がサキュバスの魔法を受け入れてしまいやすい体質だということがバレてしまったようだ。

 

 おかげで「性奉仕義務法」の週5枠を突破しても俺に告白してくる非モテ系サキュバスが後を絶たない状況だ。完全にセックス難民の非モテ系サキュバスの駆け込み寺状態になってしまっている。流石に身体が持たんぞ、これは。

 

 

 ……こうして俺は「転生先の世界でモテすぎて困る」という贅沢な悩みを抱えて生きることになってしまったのだった。

 まだ「性奉仕義務法」の対象年齢外なんだけどなぁ。

 

 

 

 

~了~




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