ブライトウィンドのドバイ遠征が正式に決定した翌朝——日本中がSNSで騒然としていた。
**X(旧Twitter)トレンド1位**
**#謎の女性ファン**
**#青天国春活動自粛?**
**#ブライトウィンドドバイ**
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【ファンA】
「有馬記念のスタンドにいた子、三つ編みっぽいシルエットが春ちゃんに激似すぎる……マジで??? TiNgS春、最近ライブで元気ないし……」
(添付:有馬記念の遠くからの拡大写真・拡散4.2万件)
【競馬アカウント】
「風間零騎手、有馬優勝インタビューで『大切な人』って言ってたよな。あの謎女性と関係あるんじゃ……? ドバイ挑戦発表されたけど、プライベート大丈夫か?」
(添付:零のインタビュー動画・いいね8.7万)
【TiNgSファン】
「春ちゃん、急にスケジュール空いたり欠席多いし……杏夏ちゃん&理王ちゃん頑張ってるけど、春がいないTiNgSは寂しすぎる #春復活希望」
(ハッシュタグが急上昇中)
【週刊誌アカウント】
【速報】TiNgS・青天国春に交際疑惑浮上か。相手は若手騎手・風間零? 事務所は「調査中」とコメント
(記事リンク・リポスト爆増)
事務所は即座に公式声明を出したが、火に油を注ぐ結果となった。
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春は自宅の部屋でスマホを握りしめ、ベッドにうずくまっていた。三つ編みをほどいたまま、眼鏡のレンズが涙で曇る。
杏夏からLINEが届く。
**杏夏**:春、今X見てない方がいいよ……でも、私と理王でファンに「春は体調不良で少し休養中」って呼びかけてる。信じて待ってて。
**理王**:バカ。トレンド1位取ってるぞ。お前、意外と人気あるな(笑)
春は弱々しく笑って、零にメッセージを送った。
**春**:零くん……SNSがすごいことになってる。春のことがバレそうで怖いけど、ドバイの話、みんながブライトウィンドくんのこと応援してくれてるよ……春も、心で全力で祈ってる!
零はドバイ現地(メイダン競馬場近くの厩舎)で、スマホ画面を見て胸が痛んだ。
現地時間朝6時。気温はすでに25℃を超え、砂漠の乾いた風が吹いている。ブライトウィンドは輸送後のストレスで少し気性を荒げ、馬房の中で何度も耳を伏せていた。
零は馬の首を優しく撫でながら、春に返信した。
**零**:春、ごめん……俺のせいで。お前が自粛中なのに、SNSまで炎上させて。
でも、ブライトウィンドは少しずつ砂に慣れてきた。キックバックが激しいけど、先行して粘る脚は出せそう。
高嶺先生も「春ちゃんの分まで頑張れ」って言ってる。
お前は無理すんな。俺がドバイで勝って、全部吹き飛ばしてやる。
高嶺調教師が零の後ろで腕を組んでいた。
「零、SNSは気にせず馬に集中しろ。神崎さんも『勝てばすべて丸く収まる』と言ってる。現地調整は残り10日。気候と砂に完全に適応させろ」
佐伯厩務員もスマホを見ながら苦笑い。
「日本じゃ春ちゃんの話題で持ちきりだな。零、お前ら二人が無事でいれば、きっとファンは味方してくれるさ」
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日本時間夜。
杏夏と理王はTiNgS公式アカウントでライブ配信を実施した。
杏夏:「春は今、体調を整えてるよ。みんなの応援のおかげで、すぐに元気になって戻ってくるから待っててね!」
理王:「春の分も、私たちが頑張る。……あと、競馬も面白いから、ブライトウィンド応援してる人、ありがと」
配信中、コメント欄は大荒れだった。
『春ちゃん本当は競馬場行ってたの?』
『零騎手と春ちゃん、カップル設定希望www』
『でも春ちゃんの笑顔が見たい……』
『ドバイがんばれブライトウィンド! 春ちゃんも早く復活して!!』
春は自宅のテレビで配信を見ながら、涙を拭った。
「杏夏ちゃん……理王ちゃん……春、絶対に諦めないよ」
零は現地の夜、ブライトウィンドの馬房の前に座り、春の三つ編みを思い浮かべた。
「春……お前が耐えてる間、俺が世界を取る。
メイダンの400m直線で、ブライトウィンドの明るい風を届けるよ」
ドバイワールドカップまであと10日。
春の自粛危機はまだ続き、SNSの嵐は強まる一方だった。
しかし、二人の想いは、砂漠の風と日本の空を越えて、確かに繋がっていた。