シャインポスト 風にのって   作:陽HARU

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ロンシャンの前哨戦と、欧州の風

 

 

9月下旬、フランス・パリ近郊のロンシャン競馬場。

 

ブライトウィンドは日本から長距離輸送を終え、現地厩舎に到着した。気候は肌寒く、朝霧が立ち込める中、零は初めて跨がる異国の芝に緊張を隠せなかった。

 

高嶺鉄平調教師が馬房の前で腕を組んでいる。

 

「まずは**フォワ賞(Prix Foy・GⅡ・芝2400m)**に出走する。これは凱旋門賞の最重要前哨戦だ。ロンシャン2400mを本番と同じコースで経験できる。雨が降りやすい馬場になる可能性が高い……ブライトウィンドの気性をしっかりコントロールしろ」

 

神崎隆一馬主も現地入りし、興奮気味に言った。

 

「フォワ賞を勝てば、凱旋門賞の人気も上がる。零くん、ヴァン・デル・ベルクもこのレースに出てくるぞ。心理戦だ」

 

零はブライトウィンドの首を優しく撫でながら頷いた。

 

「わかりました。春にも、フォワ賞の走りを見せたい」

 

---

 

日本時間深夜、TiNgS寮。

 

春は杏夏・理王と一緒に現地中継を待っていた。眼鏡をかけ、三つ編みを少し緊張で握りしめている。

 

杏夏:「フォワ賞、ロンシャン2400mだね。凱旋門賞と同じコース・距離。零くん、絶対勝って!」

 

理王:「欧州馬は持続力がすごい。雨予報が出てるから、重馬場対策が鍵だな」

 

春はスマホで零にメッセージを送った。

 

**春**:零くん、フォワ賞がんばって! 春、みんなでロンシャンに心を飛ばしてるよ。春ちゃんにお任せあれ! 明るい風、フランスにも届けてね!

 

零からの返信はシンプルだった。

 

**零**:春、ありがとう。フォワ賞、勝って凱旋門への自信にする。お前が見ててくれるから、絶対にいいレースにする。

 

---

 

**フォワ賞当日**——ロンシャン競馬場。

 

空は薄曇りで、馬場は稍重。欧州の強豪5頭+日本からブライトウィンドの6頭立てという小頭数ながら、ハイレベルな一戦となった。

 

ヴァン・デル・ベルク騎乗のシャドウブレイズは1番人気。零とブライトウィンドは2番人気。

 

パドックで二人の騎手が視線を交わした。

 

ヴァン・デル・ベルク:「風間、フォワ賞で勝負をつけよう。凱旋門賞の本番はもっと厳しくなるぞ」

 

零:「受けて立つ。ブライトウィンドの風、味わってみろ」

 

ゲートイン。

 

スタート!

 

ブライトウィンドは好スタートを決め、零は好位4番手をキープ。ロンシャンの長い直線を意識し、道中は馬の力を温存した。稍重の馬場でブライトウィンドの脚取りは少し重かったが、零の巧みな手綱捌きでリズムを保つ。

 

向こう正面でペースが上がり、ヴァン・デル・ベルクがシャドウブレイズを早めに先頭に押し出した。

 

残り600m——フォワ賞の勝負所。

 

零がブライトウィンドの肩を叩いた。

 

「今だ! 春の風を、ここで吹かせろ!!」

 

ブライトウィンドが外に持ち出され、末脚を爆発させた。稍重馬場で欧州馬たちが脚を鈍らせる中、ブライトウィンドの芝適性と零の騎乗が光る。

 

残り300mでシャドウブレイズに並び、激しい叩き合い!

 

ヴァン・デル・ベルクが必死に鞭を入れるが、零は冷静に馬を鼓舞した。

 

「行け、ブライトウィンド!!」

 

残り100m——ブライトウィンドが半馬身抜け出し、そのまま押し切った!

 

**1着 ブライトウィンド(風間零騎乗)**

2着 シャドウブレイズ(クビ差)

 

フォワ賞優勝! 凱旋門賞への最高の前哨戦勝利となった。

 

零はゴール後、馬の首を抱きしめて小さくガッツポーズ。高嶺調教師は現地で拳を握り、神崎馬主は「やった!」と叫んだ。

 

ヴァン・デル・ベルクは零に近づき、ヘルメットを脱いで握手を求めた。

 

「強かった……凱旋門賞では本気でぶつかるぞ」

 

零:「ああ、待ってる」

 

---

 

日本時間。

 

春は画面の前で大泣きしながら杏夏と理王に抱きついた。

 

「零くん……フォワ賞優勝! ブライトウィンドくん、ロンシャンの直線でほんとに風だった……!」

 

杏夏:「春、すごいよ! これで凱旋門賞も期待大!」

 

理王:「ヴァン・デル・ベルクを退けた……零くん、成長したな」

 

Xは即座に世界トレンド1位に。

 

**#BrightWindFoyWin**

**#春零凱旋門**

**#ブライトウィンドフォワ賞優勝**

 

【ファン】「春ちゃんの応援が世界に届いてる……零くんフォワ賞優勝おめでとう!!」

【海外ファン】「Japanese horse wins Foy! Arc de Triomphe next?」

 

零はレース後、春にビデオメッセージを送った。

 

「春、フォワ賞勝ったよ。ロンシャンの芝、ブライトウィンドが気に入ったみたいだ。凱旋門賞まであと10日……お前と一緒に、頂点を目指す」

 

春は涙を拭きながら返信した。

 

「零くん、おめでとう! 春も、凱旋門賞に絶対に行くよ。杏夏ちゃんたちと一緒に、フランスで零くんの優勝を見届ける! 春ちゃんにお任せあれ!」

 

---

 

凱旋門賞本番まで残りわずか。

フォワ賞勝利という最高の弾みを得たブライトウィンドと零は、欧州の頂点へ——

春の明るい風とともに、ロンシャンの大舞台へ挑もうとしていた。

 

 

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