凱旋門賞から二週間後——成田空港は報道陣とファンの熱狂に包まれていた。
ブライトウィンドは輸送機から降り、栗東へ向かう馬運車に乗り込む。零は疲れた顔ながらも、春の姿を探して周囲を見回した。
高嶺調教師が零の肩を叩いた。
「凱旋門2着は立派だった。だが、日本に戻ったらすぐに調整だ。11月最終週の**ジャパンカップ(GⅠ・東京・芝2400m)**に出走させる。神崎さんも強く希望している」
神崎隆一馬主が笑顔で頷いた。
「ドバイを勝ち、凱旋門で世界に名を轟かせたブライトウィンドだ。ジャパンカップで国内凱旋優勝を飾れば完璧だ。零くん、ヴァン・デル・ベルクも日本に来るらしいぞ」
零は小さく息を吐いた。
「わかりました。春にも、ジャパンカップでいいところを見せたいです」
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TiNgS事務所近くの公園で、春は零を待っていた。
零が現れると、春はマスクを外して駆け寄り、零の胸に飛び込んだ。
「零くん、おかえりなさい……凱旋門、2着おめでとう……春、フランスからずっと祈ってたよ」
零は春を強く抱きしめ、雨のロンシャンの記憶を振り払うように微笑んだ。
「ただいま、春。ブライトウィンドは最後まで頑張ったよ。お前がスタンドにいてくれたから、最後の50mまで粘れた」
二人はベンチに座り、短い時間を共有した。
春が零の手を握って言った。
「ジャパンカップ、出るんだね……東京2400m、春も絶対に応援に行くよ! 杏夏ちゃんたちも『みんなで応援しよう』って」
零は春の三つ編みを優しく指で梳きながら、
「ヴァン・デル・ベルクがまた対戦相手になるみたいだ。シャドウブレイズもエントリーしてる。騎手同士の決着……今度こそ勝ちたい」
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**ジャパンカップ当日**——東京競馬場は満員の観客で熱気に包まれていた。
ブライトウィンドは単勝2番人気。凱旋門帰りの日本馬として最大の注目を集めていた。ヴァン・デル・ベルク騎乗のシャドウブレイズは3番人気。
高嶺調教師が零に最終指示を出した。
「東京2400m、直線525mの長い舞台だ。道中は中団で我慢して、最後の直線で外から一気に行け。凱旋門のヨレは絶対に起こすな」
神崎馬主が零の背中を叩いた。
「ジャパンカップで優勝すれば、今年の日本競馬の顔になる。春ちゃんも来てるぞ」
スタンドの特別席。春・杏夏・理王の三人が手を繋いでいた。
春:「零くん……ブライトウィンドくん……春、ここにいるよ!」
ゲートイン。
スタートはきれいに揃った。ブライトウィンドは中団6番手あたりをキープ。ヴァン・デル・ベルクは好位でシャドウブレイズを上手く乗っている。
向こう正面でペースが上がり、残り600mから一気に加速。
零がブライトウィンドを大外に持ち出した。
「今だ——春の風を、ここで!!」
残り400mで先頭集団に並び、残り200mで先頭に躍り出る! ヴァン・デル・ベルクが内から猛追するが、零は冷静に馬を鼓舞した。
最後の50m——ブライトウィンドがシャドウブレイズを半馬身振り切り、力強くゴール!
**1着 ブライトウィンド(風間零騎乗)**
**2着 シャドウブレイズ(半馬身差)**
ジャパンカップ優勝! 凱旋門賞2着の雪辱を、国内の大舞台で見事に果たした。
零はゴール後、馬の首に顔を埋めて声を上げた。高嶺調教師は控室で涙を拭い、神崎馬主は大歓声の中で両手を天に掲げた。
ヴァン・デル・ベルクは零に近づき、握手を求めた。
「また負けた……お前とブライトウィンドは本当に強い。また世界で会おう」
スタンドでは春が杏夏と理王に抱きついて泣いていた。
「零くん……やった……やったよ……!」
杏夏:「春、優勝おめでとう! 零くん、最高だった!」
理王:「凱旋門の悔しさを、ジャパンカップで晴らしたな……かっこよかったぞ」
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レース後、零は勝利インタビューで言った。
「ブライトウィンドは、凱旋門で味わった悔しさをバネにここまで来ました。支えてくれた春……大切な人、そして日本のファンの皆さん、ありがとうございます」
その夜、零と春は東京近郊の静かなホテルで再会した。
春は零の胸に顔を埋め、涙声で囁いた。
「零くん、ジャパンカップ優勝おめでとう……春、ロンシャンの悔しさも全部、今日の優勝で吹き飛んだよ」
零は春を抱きしめ、優しくキスをした。
「春のおかげだ。お前がフランスまで来てくれて、ジャパンカップでも応援してくれたから勝てた。これからも、世界でも日本でも、一緒に夢を追いかけよう」
杏夏から届いたメッセージ。
**杏夏**:優勝おめでとう! 事務所も「春零コラボ企画」本気で進めたいって言ってるよ♪
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ブライトウィンドはジャパンカップ優勝で、2026年の競馬シーズンを最高の形で締めくくった。
零と春の「明るい風」は、これからも日本と世界を駆け巡り続ける——。