Pokémon Legends WonderLans   作:難聴系以下略

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投稿した時点で次話のストックはあるので次回更新は遠くないかと思われます。
感想等随時受け付け中です!あと司達がどんなポケモンを仲間にするかのアイデアも募集してます。



セカイを外れたショウタイム

 

夜の帳がゆっくりと降りる頃、ステージには、まだ熱の余韻が残っていた。

 

「観に来てくれた皆!今日は本当にありがとう!また会おうではないか!!」

座長─司のよく通る声が、観客席の隅々まで響く。眩しいほどの笑顔を浮かべながら、彼は大きく手を振った。

 

「あたしもとっっても楽しかったよ!またねーっ!」

演技でその場で倒れていたえむも負けじと元気いっぱいに跳ねながら、客席へと手を振る。その無邪気な声に、最後まで残っていた観客からも笑顔がこぼれている。どこからか、『悪役がふっかつした!?』という少年の声が聞こえた。

 

そうして幕は閉じ、スタッフ達が舞台の片付けに入った。今日もまた、一つのショーが終わったのである。

 

 

 

 

寧々は小さく息をつきながらも、どこか満足げに舞台袖から客席を見つめていた。語りも歌も上手く行って一安心と言った所か。

「はぁ…やっと終わった。お客さん、皆笑ってくれて良かった…」

 

「ふふっ、今回のショーも大成功だったね。…にしても寧々、ネネロボのコントロールがまた上手くなったんじゃないかい?」

類はくすりと微笑み、舞台装置の一部を軽く撫でた。

 

「いや、ネネロボが勝手に判断して動いただけ…。てかあんた、最近また改造してたよね。」

「おや?気づいていたかい。自立行動力に改修を加えたのさ。」

「ほんとまったく…」

 

やがて観客が去り、劇場に静けさが戻ると、四人は帰り支度を始めた。

 

「よーし!では帰るとするか!明日もまた新たなショーが我々を待っているからな!はーっはっはっ!!」

「うるさっ、近くで叫ばないで。」

「110dbです。」

 

「帰り道もわくわくするねっ!」

「ふふ、帰るまでがショーだからね。」

 

外に出ると、夜風がひんやりと頬を撫でた。街の灯りは柔らかく、ショーの喧騒とは対照的に穏やかな時間が流れている。

 

不意に空を見上げると、流れ星が数点、煌めいていた。

「わぁ、流れ星だ!えっと、何をお願いしよっかな〜♪」

「綺麗だな…咲希達もこれを見ていると良いが…」

「えむ、あんま迷ってると消えちゃう…」

「ん〜!お願い事が多すぎて決められないよ〜…」

 

「ネネロボ、帰りも案内を頼むよ。」

「了解シマシタ。」

 

四人は最寄りの駅へと向かう。時刻表を見れば、次の次の便は1時間後。次を逃す訳には行かなかった。

「おや、3分後に便が来るようだね。これは急いだ方が良さそうだ…」

「うむ、類の言う通りだな。…咲希にお土産を買って帰りたかったが仕方がないな。」

 

その後、4人(+1人)は電車に乗り込む。車内は空いていて、向かい合うように座ることができた。

 

「今日は特に盛り上がったな!やはり俺の演技力が――」

「『も』でしょ。あんた一人の努力じゃないっての。」

寧々が冷静に訂正すると、司は一瞬言葉に詰まり――

「む、無論だ!全員が最高だったという意味だ!」

と、胸を張った。

類とえむはそのやり取りを楽しそうに眺めながら、小さく笑う。

 

_この時点で違和感は始まっていた。某脱出ゲームならば即引き返さなければならない程には。

電車は静かに揺れながら進んでいく。窓の外には見慣れた街並みが流れていた――はずだった。ふと、えむが首をかしげる。

 

「あれれ?ねえねえ皆、ここってこんな景色だったっけ?」

 

「……言われてみれば…スカイツリーもタワーも、富士山も見えない。」

窓の外を見る。見覚えのある建物が、どこにもない。

「お…おいおい、そんな事あるか…?」

静まり返った空間に、電車の走行音だけが不自然に響いている。

 

「…よく見れば、この車両には乗客が一人もいないね。声から推測するに前や後ろの車両には人がいる様だけど…」

「…座標・位相ノ確認ヲ開始シマス。」

「あぁ、宜しく頼むよ。」

不穏な空気。その予感は…的中していた。

 

やがて電車はゆっくりと減速し、どこかの駅へと滑り込んでいく。アナウンスは流れない。ただ、静かに扉が開いた。

 

四人は顔を見合わせた。一度、降りたほうが良いという考えは全員共通していたのだ。

 

「行くぞ!何が待っていようと、スターたるもの恐れてはならん!」

「うんっ!皆がいるから安心だね☆」

「ちょっと、慎重に行こうってば……もう。」

「…空気感が違うね。温暖湿潤気候ではない、これは…」

 

電車を降りた瞬間、ひんやりとした空気が四人を包み込んだ。

石造りの重厚な外壁、頭端式ホーム、トレイン・シェッド…日本の物としてはやけに壮麗なターミナル駅。それを見て最初に出てきた感想は…

「……ここ、どこ?」

寧々の呟きに、答える者はいない。

ふと、駅名標が目に入る。日本語ではなかったが、何故か読むことが出来た。

 

――ミアレ駅。

「…ミアレ…だと?」「聞いたことないな〜…」

「…ミアレ?テレビのCMか何かで聞いたような…」

 

ゲーム好きの彼女ならば、この地名だけで何のゲームか分かるだろう。これは─

「…ポケ、モン?」

 

彼らはまだ知らない。今から体験するのは、かつてないほど濃密な冒険だということを。

 

*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+

 

─ミアレシティ・ミアレ駅

 

 

その呟きは小さかったが、司達の耳にははっきりと聞こえた。

「ポケモン…?あぁ、ゲームやアニメがあるあれか?」

「たしか、モンスターボールっていうやつでポケモンさんを捕まえるんだよね?」

「う、うん。…いやでも、なんでわたし達がミアレ駅に…」

 

その時、ネネロボが声を上げた。

「座標ノ確認ニ失敗。位相ガズレテイマス。」

 

その言葉で、三人は固まった。えむも位相が何だったかは思い出していないが、三人の表情を見て唾を飲んだ。

「電車の速度変化、車両編成、空調の音……どれも異変はなかった。つまり、車両外からの干渉の可能性が高い。でも、そんなことができる存在はこの世界には……」

「位相がズレているという事は…ここは別世界だというのかぁぁ!?

えぇ〜!?あたし達、別世界に来ちゃったの!?

「ちょっと二人とも、うるさい…でも、そういう事としか考えられないよね…」

「あぁ。それを確信する為にも、駅員さんに話を聞いてみようじゃないか。」

 

四人は近くの駅員に声を掛けた。既に制服が我々の見慣れたデザインでは無かったが。

「すみません、駅員さーん!ここってどこですか?」

「ここですか?ここはカロス地方ミアレシティ・ミアレ駅ですよ。そちらにマップガイドの冊子があります、ご自由にお取りください。」

「やっぱり…!」

「ふむ…どうやら僕らは本当に、ポケモンの世界に飛んできてしまったようだね。寧々、何かカロス地方に関する知識はあるかい?」

「い、いや…XYの知識ならあるけど、こんな見た目じゃない気がするし、もしかしたらここは…」

 

そんな中ふと、司が疑問に思った事を言った。

「むむ、待てよ…ここが別世界ならば、改札はどう通るんだ?まさか我々の世界の切符が使える訳ではあるまいし…」

「…さっきから司、意外と余裕あるよね…何よりも先にそれが出てくる所とか。」

「寧々、それはどういう─」

「あっ、改札通れたよ〜!」

「なんでだ!?」「なんで!?」「理解不能デス。」

 

類は興味深そうに切符を入れた。本当に改札が開いた。

「ふむ…理由は分からないが、この世界の改札の仕組みが僕達の改札の仕組みと違う、と考える他ないかな。二人とも、何はともあれ通れそうだから行こうじゃないか。」

「う、うん…!ネネロボ、行くよ。」

「あぁ、分かっ─ん?」

 

その時、一人の少女が司の目に止まった。移動に適した軽装、手には旅行バック。もしや、観光客か何かでは?

 

「…司くん、どうかしたのかい?」

「あぁ、いや…そこにバッグを持ったラフな服装をした女性がいたのだが、もしやミアレ以外の場所から来たのではないかと…」

「ふむ…確かに、その可能性は充分ありそうだね。気になるなら話しかけてみてはどうかな?」

「えむ、まだ行っちゃダメ。」「えへへ、つい気になっちゃって…」

 

司はその少女に近づいて行った。見た所年はこちらと同じぐらいだろうか。

「突然すみません、俺達シブヤに向かっていたのですが迷い込んでしまって…」

その少女は司の声に気づき、こちらの方を向いた。

「あ…ごめんなさい、私も旅行に来た者でして…ただ、シブヤ、ですか?聞いたことないですね…」

「そ、そうでしたか…」「はい…。」

 

そして少女は暫く迷った後、改めて声を掛けた。

「後ろにいらっしゃる方々も、お連れの方ですか?」

「えぇ、俺達はショーを嗜んでいる者でして、その仲間達です!」声高に宣言した。後ろの三人は笑顔になるや恥ずかしがるや、三者三様の反応だったが。

 

「そうでしたか!…では、私と一緒にミアレを回りませんか?迷い込んだって事は、宿泊予定とかないでしょうし…私もその辺、行き当たりばったりで。」少し照れたように言った。─その提案は、司達からすれば思っても見ないもの。ポケモン世界の人と行動出来るのは心強い。

 

「もしかして、君もあたし達と一緒に回ってくれるの!?」

ずいっと、少女に近づいた。新しい出会いの予感に待ちきれなかったのだろうか。

「ちょ、ちょっとえむ!」

「まぁまぁ寧々、えむくんに任せておこう。えむくんならすぐに打ち解けてくれるよ。」

 

えむの勢いに若干驚いたように目を開き、その後には微笑んで答えを返した。

「あっ、はい!皆さんにご協力出来るかは分かりませんけど、それで良ければ。」

「そんなの勿論OKだよ!ね、司くん?」

「そうだな。今はどんな情報でも欲しい所だ。」

 

「…どうやら、決まったようだね。」

「うん。(…にしてもあの人、何だか見覚えがあるような…)」

 

そんな寧々が感じた引っかかり。それは案外、すぐに解決する事になった。

「じゃあじゃあ、早速自己紹介するね!あたしは鳳えむっていうの!宜しくね☆

俺は天馬司!未来でスターになる男だ!!

「よ、宜しくお願いします…!」

 

「二人とも、話してるのは初対面の人なの分かってる?…あ、わたしは草薙寧々っていいます…。」

「僕は神代類。こっちは僕が作ったロボットのネネロボです。」

「ヨロシクオネガイシマス。」90度に頭を下げた。三等身程の身体である以上キツそうな姿勢だったが。

「ろ、ロボット…!?しかも喋ってる…凄い…」

 

「ねぇねぇ、君はなんていうの!?良かったら教えてくれない…?」キラキラした目で見つめた。そこに他意は一切無い。

「あ、まだ私の名前言ってませんでした…。私はセイカっていいます、宜しくお願いします!」

 

 

「__え?

 

 

「セイカさんか…いい名前ですね!」

司に続けてえむは『セイカちゃんっていうんだ、これから沢山話そうね!』と言いかけて─寧々の異変に気づいた。

「あれぇ?寧々ちゃん、お口開けてどうしたの?」

「…ん?寧々、何かまた不思議な物でも見つけたかい?」

 

ふと、目線がセイカの服装やバッグを何度も何度も往復した。

そして─寧々の中で全てが繋がった。見覚えのある服装、顔、バッグ。そしてセイカという名前、ミアレが舞台─

 

「…嘘…でしょ…」

乾いた音が喉から漏れた。目線の揺れが止まらない。

 

 

 

 

「…ZAの…ZAの主人公!!?」

 

 

 





この世界の寧々ちゃんはポケモン剣盾やSVをたっぷりやり込んでます。生憎ZA発売前に飛ばされましたがね!

三人称視点での説明って難しくないですか?書かないとちょっと内容が薄く感じますし書いても下手だし。
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