魔法少女リリカルなのはStrkerS ~帰還せし竜召喚士~   作:紅鷲

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にじファンより移転してきました。
にじファン掲載時のものに若干修正を加えていますが、基本は変わってないです。
少しの時間つぶしにでもなれば幸いです。


Chapter0 ~別れと帰還~

 [u]-εγλ 0009 1/1 ~忘らるる都~ 

 

 

 

 

 

 

 眠りの森と呼ばれる、迷いの森の先に一つの美しい廃都がある。

 

 其処は遥か昔、古代種と呼ばれる人々が集って出来た村の跡地であり、まるで巨大な貝殻を

 

 くりぬいて作られたかの様な家々が並ぶ、神秘的で美しい都であるが人気が全く無い。

 

 故に、此処はこう呼ばれる……

 

 

 ―――いつしか忘れ去られた過去の都『忘らるる都』と

 

 

 そんな都の最深部にある、一際大きな巻貝型の建物が上に建っている湖の前に

 

 大小数人の影があった。その影の中で一際小柄な少女が一歩前に出る。

 

 年齢は7歳前後だろう。

 

 桃色の髪を持ち、フード付きの白い民族衣装の様なローブに身を包み、胸に

 

 翠色の綺麗な石のペンダントをかけた可愛らしい少女で、その手には

 

 様々な種類の綺麗な花を束ねた花束が抱えられている。

 

 だが、見た目通りの幼い子供でない事は見る人が見れば一目瞭然であった。

 

 何故ならば少女が周囲の人達と同じく、数多くの過酷な経験や困難な経験等を積む事

 

 によってしか得られる事が出来ないであろう、強者の余裕や雰囲気を纏っているのだから。

 

 そんな少女は一歩、また一歩とゆっくりと湖の中へと歩いて行き、膝と足首の間まで水に浸かった所

 

 で、その歩みを止めた。

 

 

「………エアリスお姉ちゃん、此処に来るのが遅れてごめんなさい。

 

 本当なら、あの戦いが終わって直ぐに此処に来たかったけれど、色々あって……

 

 やっと今日、仲間の皆揃って来ることができました。

 

 遅れちゃったお詫びと言ったら変だけど―――」

 

 

 この湖に眠る、血は繋がっていないが本当の姉の様に思っていた女性に語りかけ、途中で

 

 そう言葉を切ると、少女は抱えていた花束をそっと湖面に浮かべる。

 

 

「エアリスお姉ちゃんが、教会で育てたお花達で作った花束だよ。

 

 わたしも、短い間だったけど……一緒にお世話したよね。

 

 あそこのお花はエルミナさんが、時々様子を見てるから安心してね」

 

 

 そのまま、花束がゆっくりと流れていくのを見守って

 

 少女は岸側で待っている仲間達の元に戻ると、その場に居る人達と

 

 一緒に、改めて黙祷をささげた。

 

 そのまま、十数秒が経過し黙祷し終わると桃色の髪の少女が呟く。

 

 

「あれから、もう一ヶ月経つんですよね……」

 

「そうね、時間が経つのは早いわ……」

 

 

 その呟きに答えたのは、少女の隣に立っているミニスカにタンクトップ

 

 という露出度の高い服装をしたスタイル抜群の二十歳前後の美女だった。

 

 

「ふふ、それにしてもまさかキャロが私達と一緒に旅を続けて、同じ位に強くなって

 

 あの最終決戦を戦い抜く大切な戦友の一人になるなんて……正直言って、始めの頃の

 

 私は夢にも思って無かったわ、ね? クラウド」

 

 

 優しい眼差しを桃色の髪の少女 キャロに向けて微笑む女性ティファ。

 

 そんなティファの言葉に同意する様に、その隣に立っているクラウドと

 

 呼ばれた金髪ツンツン頭で、背中に大剣を背負った二十歳前後の男性が口を開く。

 

 

「確かにな。俺も最初は子供だから直ぐに根を上げるだろうと思ってたが……

 

 本当に物の見事に成長して、俺達の予想を覆したなキャロ」

 

 

 そんな二人の言葉にキャロと呼ばれた少女は視線を湖に向けたまま答えた。

 

 

「ありがとうございます。

 

 でも……、実はわたしも正直言って旅を始めた頃は皆さんと一緒に

 

 最後まで戦い抜くなんて、夢にも思っていませんでした。

 

 あの頃のわたしは……、ただエアリスお姉ちゃんと一緒に居たい、離れたくないと

 

 と言う一心だけで、必死でしたから」

 

 

 キャロは傍に置いてあったエアリスお姉ちゃんの形見の武器であり、慕っていた姉を

 

 失ったあの日から今までずっと共に戦い抜いた、現在のキャロの愛杖でもある

 

『プリンセスガード』を手に取るとそっと胸に抱いて目を閉じた。

 

 そんな彼女の脳裏に思い出されるのは、この異世界に飛ばされ一人ぼっちで泣いていた

 

 少女に手を差し伸べてくれて、初めての家族になってくれた姉と一緒に居る事だけに

 

 必死だった、幼く何も知らない子供だった頃の事。

 

 何時からだろうか? 姉と一緒に居るだけが目的だった筈が、何時の間にか仲間達と

 

 共に戦い、セフィロスを倒し世界を救うと言う仲間達皆と同じ目的を持つ様になったのは。

 

 確実に心に決め、単に無知な子供で無くなったのは、やはりこの都で掛け替えの

 

 無い姉が、目の前でセフィロスの凶刃によって命を落とした後のあの時だろう。

 

 だからこそ、キャロは亡き姉の遺志を継いでエアリスの代わりに皆と共に戦いこの世界を

 

 救うと誓ったのだから。

 

 そんな記憶を振り払うかの様に、首を振るとキャロは濡れない様にと愛杖の傍に

 

 置いてあった特製のポーチを手に取り、腰に着けた。

 

 

「……キャロ、もう行くのか?」

 

 

 その様子を見ていた、狼の様な体格に茶色の体毛、そして体に刻まれたⅩⅢのタトゥー

 

 が印象的なレッドⅩⅢの事ナナキが寂しそうな声を掛ける。

 

 

「うん、……わたしも第二の故郷と思っているこの世界や皆さんとお別れするのは

 

 本当に寂しいけど、わたしは元々この世界の住人ではないですし、何よりアルザスに

 

 残してるフリードもわたしを待っているでしょうから……元の世界に帰ります」

 

 

 強い眼差しと共にそう返すキャロ、その決意は例え仲間達に加え、彼女と

 

 親しくしていた人々全員が必死に説得した所で、覆すことは無いだろうと

 

 この場に居る彼女と共に戦い抜いた仲間達は瞬時に理解する。

 

 

「……そうか、マリンが寂しがるだろうな」

 

「寂しくなるね……、アタシはキャロを妹みたいに思ってるから」

 

 

 まるで、どこぞの映画に出てきそうな出で立ちに右腕のギミックアームが

 

 特徴的なゴツい男性バレットと軽鎧に傍に置いている巨大な手裏剣が

 

 目立つ忍者の少女ユフィが言葉は違えど、別れを惜しんだ。

 

 

「ありがとうございますバレットさん、ユフィさん……あ、そうだ」

 

 

 突然何か思い出したのか、ポーチの中を探り何かを取り出す。

 

 

「バレットさん、これ……マリンちゃんに渡してもらえますか?」

 

 

 そう言うと、取り出した物をキャロはバレットに手渡した。

 

 

「これは……髪飾りか?」

 

「はい、本当なら直接マリンちゃんに渡したかったのですが、今日の飛空挺の中で

 

 漸く出来たばかりで渡す時間が無かったので、代わりに渡しておいてほしいんです」

 

「……わかった、必ずマリンに渡しておく」

 

「よろしくお願いします、バレットさん」

 

  

 バレットにマリンへの贈り物を託すと、キャロはプリンセスガードを

 

 しっかりと背中に固定して、ポーチから3つのマテリアを取り出すと

 

 頭上に放り投げ、静かに目を閉じた。

 

 すると、放り投げられた三つのマテリアは重力に従って地面に落ちる前に

 

 キャロの魔力を受けて、淡い輝きを宿しゆっくりとキャロの周囲を円状に

 

 回り始める。

 

 三つのマテリアが自身の周囲を回っているのを感じると、キャロは目を開き

 ゆっくりと水の上(・・・)を歩き始め、湖の中心へと向かっていく。

 

 そして、湖の中心部に辿り着くと、くるりと皆の方に振り向いた。

 

 

「皆さん、今まで……本当にお世話になりました」

 

 

 最後になるであろう、今まで一緒に苦楽を共にしてきた仲間達

 

 への、心からのお礼を言葉に込めて、深々と頭を下げる。

 

 

「ううん、お礼を言うのは私達もよ。

 

 キャロ、貴女が一緒に戦い抜いてくれて……本当に助かったわ」

 

「ああ、嬢ちゃんのその場に合わせた的確な魔法に、助けられた

 

 事も多かったな」

 

「キャロちゃんは、このメンバーで数少ない癒しでもあったからなぁ」

 

「…………私も、お前に助けられた事があったな。感謝している」

 

 

 キャロの言葉にティファだけでは無く、ゴーグルにタバコを咥えている

 

 職人の様な男性シド・ハイウインドに、デブモーグリの上にまたがっている

 

 王冠とマントを付けた黒猫のマスコット、ケット・シーと赤と黒の衣装に

 

 身を包んだ青年ヴィンセント・ヴァレンタインまでもがキャロに感謝の言葉を掛けた。

 

 そんな中、このメンバーのリーダーである青年クラウドが、何処からとも無く

 

 茶色の袋を取り出した。

 

 

「キャロ、受け取れ」

 

「え? わわ! あの……クラウドさん、これは?」

 

 

 受け取った袋を左腕で抱えて、首を傾げるキャロ。

 見た目に反して、驚く程重量が軽いのはあの(・・)仕掛けを施しているからだろう。 

 

 

「俺達からキャロへの別れの餞別だ、これから役立つと思う道具とマテリアを色々入れておいた」

 

「ほら、キャロの事だから本当に帰るのに必要最低限の物しか持って行ってないと思ってね。

 

 オイラ達が昨日の内に準備しておいたんだよ、それにキャロなら間違った事になんて

 

 絶対に使わないだろうしね」

 

「その袋の中身は、これからのキャロの力になってくれる筈よ」

 

「………皆さん」

 

 

 皆の心遣いに、思わず感動の涙を浮かべるキャロ。

 

 

「元気でな、キャロ」

 

「体、壊さない様にねキャロ」

 

「もし、またこっちに戻って来たら絶対にマリンに会いに来いよ!」

 

「オイラ、キャロの事絶対に忘れないよ!」

 

「キャロちゃん、また会える日を楽しみにしてるで」

 

「アタシも、キャロの事は例え離れていても妹だと思ってるからね!」

 

「まあ、元気でやっていけよ嬢ちゃん」

 

「……元気でな」

 

 

 今まで、共に過ごして来た最高の仲間達との別れ。

 

 女性陣とナナキはこの別れに涙を浮かべ、男性陣も涙は浮かべて

 

 無いものの似た様な心境の様だった。

 

 

「……皆さん、本当に……ありがとうございます。

 

 わたし、皆さんの事を……この世界での事を決して忘れません……!」

 

 

 目元の涙を手で拭うと、キャロはポーチから通常のマテリアよりもかなり

 

 大きく、形も整っていない虹色に輝くマテリアを取り出した。

 

 それは、魔力を持つ者なら一目で判るほど強大な魔力を宿しているマテリアだ。

 

 そのマテリアはキャロの魔力に反応してゆっくりと浮かんでいき、キャロの頭上で静止した。

 

 

「―――くうかんに干渉せし星の珠、じかんに干渉せし星の珠。

 

 虹の輝きを宿し、大いなる星の至宝よ。わたしの呼び掛けに応えよ」

 

 

 キャロの詠唱に反応し、頭上に浮かぶ虹色のマテリアの輝きが増すと同時に

 

 彼女の足元に複雑な魔法陣が現れ、キャロの周囲を漂い回っている3つの

 

 マテリアが虹色のマテリアと共鳴し、虹色のマテリアと同じ位に輝きを増した。

 

 

「―――星の叡智よ、わたしを遥か地へと導く道標と成れ!」

 

 

 輝きを増した4つのマテリアは、主の命に従うかの様に溢れる光を以って

 

 キャロの身体を徐々に包み込んでいく。

 

 

「クラウドさん、ティファさん、バレットさん、ナナキさん、ユフィさん、ケット・シーさん

 

 シドさん、ヴィンセントさん…………皆さんお元気で……それと、行ってきます!」

 

 

 今出来る精一杯の笑顔を浮かべ、そう告げると同時にキャロはマテリアの光に

 

 完全に包まれ、この世界を後にした。

 

 

 願わくば、再び皆との再会を祈って。

 

 




こんにちわ、紅鷹です。
とりあえず、にじファンより移転第一号を投稿いたしました。
とりあえず、注意事項としてはあらすじに書いたとおりですが、追加事項として
設定上クロスしているのはオリジナル版・インターナショナル版のFFⅦであり、後の
CCFFⅦやBCFFⅦ、DCFFⅦは現段階で取り扱う予定はありあせんのでご注意ください。
一応、修正したりしなかったり、プロットの再構成をしながらの更新の上、お仕事関連
が急がしいので更新はほんと不定期になりますが、少しでも楽しんで頂けるとうれしいです。
それでは、次回のChapter1でお会いしましょう。
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