激しい光に教主が消えた後の妖精王国。戦災からの復興に励む妖精たちが、エルフィンの指導の下、新たな道に進もうとしていた。
教主の遺した重い傷跡。王国も妖精も決して癒える事のない、妖精たちの魂に刻まれた深い傷を、教主は残した。
しかし、妖精たちは決して諦めない。また必ず立ち上がるという決意の下、妖精たちは復興のための道を歩み始めた。その先頭に立つエルフィンは、妖精王国の象徴として、すべての妖精たちの前で宣言した。
妖精王国……。エーリアスは、エルフィンの下で再び立ち上がるだろう。その道の果ては希望か絶望か……。それは誰にも分からない。教主のいなくなったエーリアスで、再び各種族は結束できる日は来るのだろうか?
エーリアスの未来は誰にも分からない。教主がいなくなった未来にも、困難はいくつも訪れるであろう。
物語は続いていく。
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「んっしょ……。しっかし、重いわね……!」
黒焦げになった謎の塊を、フリックルが茨で簀巻きにして引きずっている。この黒い塊というのは、雷に打たれて自爆した教主だ。
教主の傍に仕えて、エーリアスに背いたフリックルには行き場がなかった。だから、教主に倒られては自身の身が危うかった。自身の為にも教主には再び立ち上がってもらい、どうにか身の安全を図る他、フリックルには道が残されていなかった。
なにより、一人になってしまった自身の孤独に、フリックルは耐えられなかった。一度心を許してしまった相手がいなくなる事など、今のフリックルには考えられなかったのだ。
そして、教主を復活させるために、フリックルは秘密裏にポーシャーの元を訪れた。モナティアムで流行した集団放射線中毒事件にかこつけて、その特効薬となるポーションの開発に勤しんでいたというポーシャーの噂を聞き付けたフリックルが、教主の治療の為に秘密の会合を開いたのだ。
「はぁ……。はぁ……。連れてきたわよ、ポーシャー」
「いいわね~。エルフ相手に作った放射線除去用のポーション。高くつくわよ?」
「分かってるわ。教団で過去に蓄えた財産があるから、いくらでも持っていきなさい」
「ええ、ええ。それじゃあ、注射するわね?」
そうして、ポーシャーは溶液を蓄えた注射を、教主の腕に刺しこんだ。
徐々に減っていく溶液を楽しそうに見つめるポーシャーと、不安そうに見守るフリックル。教主の身体に吸収されていくポーションは、意外にもすぐに効果を現した。
「っ……!!」
「あら?」
徐々に教主の身体が元に戻っていく。肥大化した筋肉は元の細長い手足に、腹部にあった袋の切除痕は治り、醜く歪んだ身体は、元の人間の姿へと還っていった。
「教主……!」
「ん~。さすが私ね。こんなバケモノみたいな相手にも効果があるだなんて」
そして、ポーシャーはフリックルに手を差し出した。
「お代、いただこうかしら?」
そういうポーシャーに、フリックルは少しためらいながらも、ゆっくりと鍵を差し出した。
「カギ?」
「教主の執務室の机の下に隠し金庫があるわ。その中から好きなだけ持っていきなさい。早くしないと、妖精たちが取り壊すだろうから、行くなら早くした方が良いわよ」
「ふぅん……」
そうしてポーシャーは少し考えた後に、妖精王国へと去って行った。
静かに横たわる教主と、静かにそれを見つめるフリックル。身寄りのない二人はひっそりと息を潜め、静かにエーリアスのどこかへと消えていった。