未完成に終わった筈の戦艦と規格外の兵装に皆驚愕する中、呉鎮守府提督【
続いて彼から衝撃的な出来事が語られる。
単艦での特攻の最中、光に包まれて未知の海域に飛ばされた事…
飛ばされた未知の海域にて正体不明の大艦隊と遭遇し戦闘した事…
その最中【解放軍】と名乗る勢力によって助け出され、彼らの本拠地に案内された事…
そして紀伊が飛ばされた未知の世界…【
「まず前提として僕が迷い込んだ
そう言うと紀伊は自らの艤装の所へと赴き、何かを探す。
しばらくしてお目当ての物が見つかったのか、何冊かの本を抱えて皆の所に戻ってきた。
その内の一冊から一枚の折り畳まれた紙を取り、机に広げた。
それは世界地図であり、地理はこちら側の世界地図と同じである。
ただ違う点を挙げるなら、世界地図の大部分…主に北半球全てが赤く染まっており南半球も半分程赤く染まっている。
一方、南半球の内オーストラリア大陸、アフリカ・南アメリカ大陸の下半分、中東の一部が青く染まっていた。
「…これは?」
「解放軍から渡された向こう側の世界地図。向こう側の世界は大部分を武力と圧政で支配する超巨大軍事国家【
「これって…北半球全てがその
「日本を始め欧州全土…しまいにはアメリカ合衆国も勢力下に組み込まれているなんて…!」
「艦長達も初めて地図を見た時とても驚いたのを覚えているよ。何せ祖国である日本は愚か列強の中でも最強と名高いアメリカ合衆国すら征服した帝国に……けど、この世界との違いといえばそれだけだったんだ。各大陸の地形や地名、列強各国の国名や第二次世界大戦前の歴史に至るまでこちら側の世界と一緒だった。」
「つまりこちら側の世界に酷似しているが、似て非なる存在……俗に言う
「益々SFチックになってきたわね…」
「うん。明確な変化が現れたのは第二次世界大戦……列強各国が連合と枢軸に分かれて争ってた時代、大西洋におけるビスマルク追撃戦の時だった。」
ビスマルク追撃戦…
ドイツ海軍による通商破壊作戦…【ライン演習作戦】において発生した【デンマーク海峡海戦】にてイギリス海軍の象徴たる巡洋戦艦フッドを轟沈した戦艦ビスマルクに対する復讐として始まった追撃戦。
イギリス海軍の総力を上げて行われた追撃戦によりビスマルクは追い詰められ、とうとう戦艦キング・ジョージ5世とロドニー、重巡洋艦ノーフォークとドーセットシャーに捕捉され砲撃戦の末に撃沈された。
ビスマルクを沈めフッドの仇を取れた英国海軍の元に『敵新型戦艦接近』という報告が入る。
新型戦艦という報告に首を傾げながらも、敵は新型戦艦一隻のみでこちらに突っ込んでくるというので近くにいた4隻は迎撃の準備に入った。
新型戦艦といえど所詮は一隻……さほど苦戦しない筈だった。
「けど、その新型戦艦によってキング・ジョージ5世を筆頭とする4隻は
彼から語られた戦況に皆驚愕する。
いくら新型戦艦といえど単艦で艦隊に突撃するという無謀な攻撃を仕掛けている以上、数の優位によってビスマルクの二の舞になるのがオチだ。
にも関わらず、その新型戦艦によって敵艦隊を圧倒するばかりか僅か15分足らずで決着が付くという常識から考えてあり得ない性能を秘めているのは明白であった。
「馬鹿な…!単艦で艦隊を屠っただと……⁉︎」
「そう。単艦で艦隊を相手取る規格外の戦闘力、今までの軍事的常識や戦術・戦略を根本から覆す異常性……それが超常兵器群、通称【超兵器】。」
紀伊は艤装から取り出した本の中から【超兵器大全集】という題名の本を出し、ページをパラパラめくると一枚の写真と共に諸元が記載されたページを見せる。
写真には件の新型戦艦が写っており、三連装砲を4基に両舷の七連装魚雷発射管を6基とかなりの重武装艦だが、スタイリッシュな形状の艦首・艦橋といいV字型の煙突といい外見からして今までのドイツ艦とは一線を画す戦艦なのは見て分かった。
何より艦尾に装備している二つのロケットブースターの存在がこの艦の異様さを引き立たせる。
「この艦の名は【超高速巡洋戦艦『ヴィルベルヴィント』】。全長260m、全幅42mと僕達大和型戦艦に匹敵する大きさを誇り、列強各国が
「ヴィルベルヴィント……確かドイツ語で旋風という意味だったわね。」
「これが超兵器…?」
「随分とスタイリッシュな艦形ね、本当にドイツが作った物なの?」
「けど何というか…私達の艦とは根本的に何かが違うような……」
「てか艦尾に付いてあるのって……もしかしてロケット?」
ヴィルベルヴィントの写真を見た艦娘達が口々に感想を述べる中、紀伊は話を続ける。
「主兵装は38.1cm55口径三連装砲4基12門と七連装魚雷発射管6基、副砲とその他の兵装として12.7cm連装両用砲4基、12cm30連装噴進砲と40mmバルカン砲多数、そしてミサイル発射機を備え、装甲は対36cm砲防御装甲と砲口径に対して装甲が薄い巡洋戦艦のセオリーを順守している。」
「ヴィルベルヴィントの性能は今までのドイツ戦艦を上回る物だと分かったが、単艦で艦隊を相手取る程か?」
「確かに武装はバルカン砲やミサイルなど新兵器を搭載しているものの、主砲と魚雷はドイツ海軍の装備を改良した物に過ぎない。ヴィルベルヴィントの長所は速力にあるんだ。」
「速力?」
「うん。ヴィルベルヴィントは80ktという驚異的な速力で敵を翻弄して接近、強力な砲雷撃で持って大打撃を与え一気に離脱する……
紀伊の口から語られた事に周囲はどよめき始めた。
大和型戦艦に匹敵する船体を持ちながら世界最速の駆逐艦『島風』の2倍の速度を出せるヴィルベルヴィントに皆驚きを隠せない。
「島風の2倍の速度を出せるのか…⁉︎」
「いくらなんでも冗談でしょ⁉︎」
「信じられないのは分かるけど、事実だよ。とにかくヴィルベルヴィントの存在は今までの軍事的常識を覆す代物として世界中を震撼させた。」
彼は続けて語る。
華々しい初陣を飾ったヴィルベルヴィントはそのまま単艦による通商破壊作戦に従事し、半年の間に輸送船団諸共イギリス海軍の主力艦の3割を沈めるという戦果を上げた。
そのせいで制海権がドイツ優位になって輸送が滞り、後々の作戦に影響が出る事態になった。
この好機を逃すまいとドイツ軍は無期限延期していたアシカ作戦を再開する為に空軍を集結して第二次
それと同時に海軍の総力を結集して英国海軍に大打撃を与える作戦に打って出る。
陣容はヴィルベルヴィントを遊撃艦として単艦での参戦、主力艦として戦艦ティルピッツを旗艦とし戦艦シャルンホルストとグナイゼナウ、ポケット戦艦リュッツォウ、アドミラル・シェーア、アドミラル・グラーフ・シュペー、さらには重巡、軽巡、駆逐艦などドイツ海軍すべての水上艦艇を動員する大規模な作戦だった。
対する英海軍は集められるだけ主力艦を集め艦隊を編成、3個艦隊でもってヴィルベルヴィントを迎え撃った。
こうして始まった海戦においてドイツ海軍はヴィルベルヴィントを先行して3個艦隊を相手取り、大打撃を与えてから主力艦隊による掃討を行うという作戦に打って出た。
「…この大海戦の結果ヴィルベルヴィントは大破したものの、3個艦隊の80%を沈める大戦果を上げたんだ。」
「3個艦隊の8割を単艦で…」
「改めて聞いても凄まじい性能だな。」
「けど、この戦いはドイツ側の敗北に終わったんだ。理由は2つあって、一つは第二次
「イギリスの超兵器だと⁉︎」
「イギリス軍も超兵器を建造してたのか⁉︎」
「うん。ヴィルベルヴィントの時に言ったけど、
「それって、枢軸連合関係なしに支援してたって事?」
「一体何の為に…?」
「今の段階では伏せておくけど、ある目的の為に列強各国に超兵器を作らせたという事は覚えておいて。話を戻してイギリスはドイツに遅れること2ヶ月後、2隻の超兵器を戦線に投入した。」
そう言うと紀伊はページをめくって件の超兵器の写真と諸元が記載されたページを開いた。
一枚目の写真にはかなり図体のでかい潜水艦が写っており、大戦時の潜水艦とは一線を画す船体に戦艦のような主砲を2基4門搭載しているのが一番の特徴である。
このページの諸元にはこう記載されている。
【超巨大潜水戦艦『ドレッドノート』】
全長:320m
全幅:98.48m
速力:25kt
兵装:45.7cm60口径連装砲
艦首魚雷発射管
艦底部魚雷発射管
対艦ミサイルVLS
ミサイル発射機
57mmバルカン砲
装甲:対51cm砲防御装甲
そして二枚目の写真にはドレッドノートよりも一回り巨大で、現代の潜水艦に近い形状をしている。
何より目を引くのが船体上部に装備されている飛行甲板で、現に写真では大型機を駐機・発艦しており、諸元は以下の通りである。
【超巨大潜水空母『ドゥールム・レムレース』】
全長:420m
全幅:117.63m
速力:35kt
兵装:艦首魚雷発射管
対艦ミサイルVLS
ミサイル発射機
40mmバルカン砲
装甲:対41cm砲防御装甲
「イギリス海軍の超兵器は2隻共潜航型の超兵器であり、それぞれ戦艦と空母の機能を掛け合わせた超巨大潜水艦なんだ。」
「潜水戦艦に潜水空母だと…⁉︎」
「見て!ドレッドノート、戦艦並の主砲を装備しているわよ!」
「ドゥールム・レムレースの方は飛行甲板に大型機が……まさか陸上機⁉︎」
「まずドレッドノートが敵主力艦隊に接近し飽和雷撃を開始、ポケット戦艦や重巡などが轟沈・航行不能になったりと大損害を与え、混乱した隙に浮上。異様な艦形に度肝を抜かれている間にそれぞれの主砲でシャルンホルストとグナイゼナウを撃沈。負けじとティルピッツが反撃するものの、自慢の装甲で防ぎ一斉射でもってティルピッツを轟沈した。その後再び潜航して残りの艦艇を誘導魚雷にて全て沈めたんだ。」
「…ヴィルベルヴィントもそうだが、ドレッドノートも凄まじい性能だな。」
「そしてドレッドノートが敵艦隊を殲滅している間、ドゥールム・レムレースはドイツ本土近くの海域に浮上してこの作戦の為に艦載したイギリスの爆撃機アブロ・ランカスターを50機発艦したんだ。」
「アブロ・ランカスター……四発爆撃機を艦載機として運用するなんて…!」
「まさに規格外ね…」
「発艦した爆撃隊はベルリンに到達し、徹底的な爆撃を行った。この爆撃によってベルリンの首都機能は麻痺し、大打撃を与えた。爆撃隊は敵機の猛追に遭い複数撃墜されるも残った機体はドゥールム・レムレースに着艦・格納されドイツ勢力圏から逃れた。この戦いによってドイツ海軍は壊滅し、第二次
太平洋戦争(または大東亜戦争)……
日本軍によるマレー作戦と真珠湾攻撃によって始まった日本とアメリカの大戦争は日本軍優位で進んでいく。
真珠湾攻撃以降敗退続きのアメリカ軍は日本軍に対する反撃として日本本土に対する空襲……ドーリットル空襲を決行した。
「ドーリットル空襲……ミッドウェー海戦が起こる要因になったあの空襲か。」
「うん。向こう側の世界でもドーリットル空襲はあったけど、違う点はこの作戦に超兵器を投入した事だよ。」
そう言うとあるページを見せる。
ページに載ってあった写真には第二次大戦時は愚か現代の原子力空母を凌駕する程巨大なアングルドデッキ付きの飛行甲板を備え、艦首に2基のカタパルトと艦尾に2基の大型ロケットブースターを装備しているのが特徴的な航空母艦である。
【超巨大高速空母『アルウス』】
全長:450m
全幅:130.5m
速力:60kt
兵装:12.7cm連装両用砲
40mmバルカン砲
ミサイル発射機
12cm30連装噴進砲
20cm12連装噴進砲
装甲:対41cm砲防御装甲
「この超兵器は超巨大高速空母アルウス。450mにも及ぶ広大な飛行甲板とそれに伴う大規模な格納庫を備えた巨大空母で、搭載出来る航空戦力は小国3カ国分に匹敵すると言われている。」
「小国3カ国分の航空戦力って…空母というより移動する航空基地じゃん!」
「アルウスは本来艦載機を500機ほど搭載出来るけど、ドーリットル空襲ではB-17を70機、B-24を30機を搭載し単艦での敵勢力圏侵入を決行したんだ。」
「B-17にB-24だと⁉︎」
「確かにドーリットル空襲では空母ホーネットにB-25爆撃機を搭載する奇策で行いましたが…それよりも大きい爆撃機を艦載するなど常識外れもいいところです!」
「元々アルウスは同時期に開発されていた超兵器爆撃機を運用する母艦として開発されたけど、肝心の超兵器爆撃機があまりにも大きすぎてアルウスでの運用を断念したんだ。」
「アルウスって全長450mもある巨大空母なのよね?それでも運用出来ないって、その超兵器爆撃機ってどんだけ大きいのよ…」
「けど、広大な飛行甲板と余裕のある格納庫は陸上でしか運用出来ない大型爆撃機を難なく搭載出来たし、何より艦尾の緊急加速用ロケットブースターによって出される60ktという圧倒的な速力の恩恵によって強力な合成風力の獲得が可能になり、カタパルトで発艦できない陸上機でも滑走距離・離陸速度不足による運用不能という諸問題から解放されたんだ。」
アルウスから発艦した爆撃機部隊は東京、川崎、横須賀、名古屋、神戸の軍需工場を目標に爆撃を敢行、こちら側の世界と違い高精度の照準器を外していなかった事で正確に軍需工場を破壊する事が出来た。
対する日本側は低空で侵入する敵機に高角砲の照準が合わず、一機も撃墜する事は叶わなかった。
爆撃を終えた爆撃機は悠々と飛び去り、アルウスへと帰投し次々に着艦する。
途中日本軍の航空機による攻撃を受けるも両用砲とバルカン砲を駆使して迎撃、爆撃機全機の収容が完了するとロケットブースターを点火して敵勢力圏から離脱しそのままパールハーバーに帰投した。
超兵器による本土爆撃は日本全体にショックを与えたと同時に軍上層部は危機感を抱き、二度と本土を爆撃されまいと決意した日本軍は敵空母が接近出来ないように防衛線を東に押し広げ、同時に敵機動部隊を誘き寄せて一挙に殲滅する【ミッドウェー攻略作戦】を実行に移す。
「でもこうした日本軍の動きを情報戦で察知したアメリカ軍はハワイから空母部隊を出撃させ、万全の態勢で迎え撃った。そしてこの作戦にアメリカ軍はアルウスと同時期に開発されていた超兵器爆撃機を投入したんだ。」
彼が見せた写真には迷彩柄で塗装された双胴の機体に4基の大型ジェットエンジンに巨大な逆ガルウィングを備えた航空機。
何より機体に機関砲や比較的大きい艦砲まで搭載している常識外れの爆撃機である。
【超巨大爆撃機『アルケオプテリクス』】
全長:124m
全幅:169.7m
速力:750.0km/h
兵装:30.5cm65口径連装砲
57mmバルカン砲
ロケット弾
航空魚雷
航空爆弾
装甲:対36cm砲防御装甲
超巨大爆撃機アルケオプテリクスの姿と性能に一同は驚愕する。
「これが超兵器爆撃機…⁉︎」
「この爆撃機、艦砲まで積んでいるの⁉︎」
「100m超えの機体……なるほど、その大きさ故アルウスでは搭載出来なかったという訳ですね。」
「うん。過剰な武装による重量増加の為アルウスでの運用は諦めたけど、高出力の大型ジェットエンジンによって戦艦並の装甲を持ちながら亜音速飛行を可能とした超兵器なんだ。」
「とんでもない爆撃機ね…」
「ハワイから離陸したアルケオプテリクスはミッドウェー島へと急行、偵察機の情報を元に空母4隻を主力とする第一機動部隊を捕捉し攻撃を仕掛けた。しかも丁度その時第一機動部隊は艦載機の兵装換装作業中で格納庫には魚雷やら爆弾やらが甲板に残された状態だったから、その状態でアルケオプテリクスからの艦砲射撃を受け4隻の空母は一瞬にして火の海になり轟沈した。」
「そんな…」
「あの時の私は一矢報いたのに…」
「こっちでは生き残った飛龍さんが一矢報いて空母ヨークタウンを沈めたけど、向こう側ではそんな暇すら与えられずアルケオプテリクスによってなす術なく沈められた。さらにアルケオプテリクスは爆撃を続行、後に米空母から発艦した航空部隊も攻撃に加わり、最終的に第一機動部隊は空母4隻、戦艦2隻、重巡2隻、駆逐艦7隻が撃沈されるという大損害を受けた。」
「大損害じゃねぇか…」
「…けど、被害はそれだけに留まらなかった。」
彼は続けて語る。
ドーリットル空襲にて日本本土を爆撃したアルウスはというと、ミッドウェー海戦の前に日本軍を誘き寄せる策として『アルウスは機関トラブルにより出撃不能』という内容の偽情報を流した。
その偽情報にまんまと引っかかった日本軍はそのままミッドウェー海戦に踏み込んだが、当のアルウスは密かにハワイから出撃しており偵察機によって第一機動部隊から300海里後方に戦艦大和を旗艦とする主力部隊を発見した。
アルウスは直様搭載していた500機からなる艦載機群を発艦させる。
F4Fワイルドキャット、F4Uコルセア、TBFアベンジャー、SBDドーントレス等アメリカ軍を代表する艦載機が
主力部隊が気付いた頃には時すでに遅く、アルウス航空群500機が艦隊に殺到していた。
200機の戦闘機からなる圧倒的な物量でもって制空権を掌握した後、300機の攻撃機と爆撃機が魚雷やら爆弾やらを投下し、主力部隊の艦艇を次々と血祭りに上げていく。
特に主力部隊の旗艦を務める戦艦大和に攻撃が集中し、推定雷撃20本、爆弾17発、至近弾20発以上を受け大和は連合艦隊司令長官山本五十六諸共海の藻屑へと消えた。
この海戦によって主力部隊は戦艦4、空母1、特殊潜航艇母艦1、軽巡1、駆逐艦17を失う結果となり、ミッドウェー海戦はこの世界における航行中の戦艦を航空機だけで撃沈した世界初の事例となった。
(尚、ヴィルベルヴィントによる通称破壊によって主力艦の数が足りなくなり、東洋艦隊を本国に召集せざるを得なくなった為、向こう側の世界ではマレー沖海戦は起きていない。)
こちら側の世界よりも悲惨な結果に終わったミッドウェー海戦の端末に皆愕然とする中、紀伊は続ける。
「…そしてその後起きたソロモン諸島の戦いにて、日本軍の占領下に置かれたソロモン諸島を奪還する為にアメリカ軍はダメ押しとして3隻目の超兵器を投入したんだ。」
そう言いながら彼はある写真が載ったページを見せる。
そこには双胴式の船体に橋渡し式に飛行甲板を備え、左右の船体に艦橋が1つずつ設置されており艦尾には2つのウェルドックを装備した強襲揚陸艦が写っていた。
兵装は前甲板に集中しており、三連装砲を8基24門に加え四角い形状の砲塔が6基とかなりの重武装艦でもある。
【超巨大双胴強襲揚陸艦『デュアルクレイター』】
全長:370m
全幅:143m
速力:35kt
兵装:60cm噴進砲
30cm噴進砲
38.1cm65口径三連装砲
20cm12連装噴進砲
57mmバルカン砲
88mm連装バルカン砲
装甲:対46cm砲防御装甲
「デュアルクレイターは太平洋における日本軍の重要拠点を単艦でも制圧出来るように設計・開発した超兵器で、双胴式の船体故多数の揚陸艇を搭載し展開できる兵力は米海兵隊一個旅団に相当すると言われている。」
「一個旅団⁉︎」
「それ単艦が持っていい戦力じゃないでしょ!」
「事実、ガダルカナル島攻略作戦では有り余る程の大量のロケット弾を【鋼鉄の雨】の如く敵陣に浴びせ守備隊を瞬時に壊滅した後、艦尾のウェルドックから大規模揚陸部隊を放出し僅か数時間でガダルカナル島を占領したんだ。」
「…驚き過ぎて言葉も出ないわ。」
「とにかくデュアルクレイターの活躍もありガダルカナル島を始めソロモン諸島の島々を次々と占領し基地化を進めた。もちろん日本軍も黙って見ている訳にもいかず、輸送船団撃滅を狙ってソロモン海戦が起きたけど、デュアルクレイターは強襲上陸を円滑に行う為に指揮通信能力が高く多数の魚雷艇を展開・指揮し夜戦を仕掛ける日本艦隊を要撃、戦艦などが迫ってきた時にはデュアルクレイター自らが出向いて撃沈するほど戦闘能力も高く、そのせいで三度に渡るソロモン海戦は全て日本側の敗北に終わったんだ。」
「揚陸艦でありながら戦艦に勝る攻撃力と防御力……これに対抗するには同じ超兵器しか…」
「そういえば向こうの日本軍は超兵器持ってないの?」
「無論日本軍も組織の支援を借りて超兵器を建造していたんだ。但し予定より超兵器の開発が難航し、1943年ようやく完成し実戦投入出来たけどね。」
そう言うと彼はある写真が載せてあるページを見せる。
そこにはデュアルクレイターと同じ双胴式の船体に変わった形の艦橋に2本の煙突、前部に4基、後部に1基の三連装砲を装備し、何より目を引くのが両舷にアングルドデッキを備えた後部の飛行甲板と俗に言う航空戦艦であった。
【超巨大双胴航空戦艦『近江』】
全長:350m
全幅:145m
速力:41kt
兵装:50.8cm55口径三連装砲
46cm60口径三連装砲
20cm12連装噴進砲
57mmバルカン砲
ミサイル発射機
噴進爆雷砲
装甲:対51cm砲防御装甲
航空戦艦型の超兵器に改装航空戦艦である【伊勢改二】と【日向改二】が今まで見たことない航空戦艦に驚愕していた。
「すごい…!三連装砲5基に航空甲板まで装備しているよ、この艦!」
「デュアルクレイターと同じ双胴式だが、もしかして搭載機数を多くする為の工夫なのか?」
「うん。超巨大双胴航空戦艦近江は航空戦艦の欠点である搭載機数の少なさを双胴式にする事で解消した日本軍初の超兵器なんだ。その為アルウスには及ばないけど200機もの航空機を搭載することができる。」
「いや、200機でも充分凄いわよ…」
「さらに搭載機も超兵器誕生による脅威的な技術革新の影響で史実では未完成に終わった戦闘機である烈風と陣風、攻撃機流星に爆撃機彗星、ジェット戦闘機橘花まで搭載し遊撃戦力として米軍を翻弄、いくつもの敵艦隊を壊滅したりデュアルクレイターと遭遇し交戦、艦載機との連携で大破に追い込んだ。」
「遊撃戦力?」
「それは単艦での運用という事か?」
「というかデュアルクレイターを大破したの⁉︎」
「そう。近江は41ktという島風に匹敵する速力を持っているから艦隊での運用が難しかったんだ。その代わり高速なのに加えて双胴船由来の旋回能力の高さ故の小回りの利きやすさから、航空機の攻撃をいなし続け迂闊に近づいた航空機をバルカン砲と噴進砲で次々と撃墜したんだ。」
「確かに凄いが、相手は超兵器2隻に1機だろ?近江だけで足りるのか?」
「デュアルクレイターを大破させたけど、もちろん近江だけじゃ戦局は覆らない。だから、日本海軍は大分県に新設された大神海軍工廠にて艦隊決戦用超兵器の建造を行なっていたんだ。」
艦隊決戦用超兵器…
利き慣れない単語に皆首を傾げていると、彼はある超兵器の情報が載ったページを見せる。
そこには大和型戦艦を横に2つ並べた純粋な双胴戦艦であり、艦橋も近江の物とは異なり大和型戦艦特有の艦橋をより大型化した物である。
武装面は大口径三連装砲8基24門に重巡の主砲よりも大きい三連装砲10基30門、高角砲や噴進砲にバルカン砲を針鼠の如く装備した重武装艦である。
【超巨大双胴戦艦『播磨』】
全長:380m
全幅:134m
速力:36kt
兵装:56cm55口径三連装砲
28cm65口径三連装砲
多弾頭ミサイルVLS
12cm30連装噴進砲
88mm連装バルカン砲
12.7cm70口径高角砲
装甲:対56cm砲防御装甲
常識外れの双胴戦艦に艦娘達、特に戦艦娘は度肝を抜かれる。
特に播磨の主砲が56cm55口径三連装砲と鎮守府最大の51cm砲よりも大口径かつ長砲身の主砲に大和と武蔵は驚愕した。
「56cm⁉︎」
「55口径だと⁉︎」
「うん。51cm砲を遥かに凌ぐ大口径砲を搭載する為に設計され、大和型戦艦や近江のノウハウを注ぎ込んで超巨大双胴戦艦播磨は建造されたんだ。アメリカ軍は大神海軍工廠に建造中の超兵器がある事を突き止め、アルウスによる大型爆撃機100機による爆撃を敢行。大神海軍工廠に爆撃機100機が殺到し爆撃を行うもそのタイミングで播磨が動き出し、8基の主砲から三式弾を放ち爆撃機の大多数を撃墜、多数の高角砲・噴進砲・バルカン砲を駆使して残りの爆撃機を撃墜したんだ。」
「単艦で爆撃機100機を…」
「爆撃を切り抜けた播磨はそのまま連合艦隊に合流し連合艦隊旗艦に就任。連合艦隊は激戦地であるフィリピンへと向かった。対するアメリカ軍もフィリピン攻略の為大破したデュアルクレイターを除く全ての超兵器や多数の艦隊を動員し、ここに史上最大の海戦【レイテ沖海戦】が勃発した。」
レイテ沖海戦…
史実でも日米双方の艦艇と航空機を総動員した事から【史上最大の海戦】と称される戦いであり、向こう側の世界でも日米双方の超兵器を動員した史上類を見ない大海戦になった。
結論から言ってしまえば、レイテ沖における大海戦は日本軍の辛勝に終わった。
日本海軍連合艦隊は戦艦武蔵など多数の艦艇を失い近江も超兵器爆撃機アルケオプテリクスを撃退と引き換えに大破に追い込まれるが、播磨は中破したもののアルウス航空群500機の大部分を撃墜し、そのまま単艦によるレイテ湾への突入を敢行。
徹底的な砲撃戦の末、米軍は多数の艦艇に加え超兵器アルケオプテリクスも撃墜を免れたものの大破・不時着した。
また上陸した海兵隊も播磨からの艦砲射撃を受けた事により4万人以上の将兵と約10万t以上の物資を損失し、マッカーサー元帥とキンケイド第7艦隊司令長官が戦死する大損害を被った。
辛勝した日本も超兵器近江の大破に播磨の中破、何より連合艦隊の壊滅と甚大な被害を受けた。
「そうしてレイテ沖海戦が終わり両軍が疲弊したその時、事態は動いた。」
「事態が動いたって、どういう事?」
「前にも話したけど、超兵器は
次回、遂に歴史の表舞台へと現れた【
帝国は如何にして世界を支配したのか?
帝国の支配に抗う【解放軍】はどのように誕生したのか?
そして両者の戦いに巻き込まれた紀伊の行く末は如何に…
乞うご期待ください。
※話が長くなった為、『