白骨騎士の英雄譚   作:羊肉ジョージ

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ちょっと文字数薄いけどキリがいいなと思ったのであげときます。
加筆修正するかもです。


アル=シェ=ウィストリア

 ヒュン、と鋭く風を裂く音を立て、俺の顔の左側を上鳴の拳が通過する。右手でストレートを打ったために上鳴の体は開いており、そこに一発入れてやろうと下からアッパーのようにボディブローを入れる。

 

 パシっ

 

「まじで?!」

「っっぶねぇな!」

 

 俺の拳を押さえつけるように左手で止めてきた上鳴はそのまま体を捻り伸びていた右腕で裏拳を入れてくる。咄嗟に顔の横に左腕を置いてクッションにしたおかげでダメージはないが、衝撃を殺すことは出来ずに二、三歩後ずさる。

 

 その隙を逃す訳がないとばかりに上鳴が突っ込んでくる。左のジャブから右のストレート。顔面にモロにくらいそうになるところをガードしつつ後ろに飛んで衝撃を殺す。上鳴が間合いに入ってくる前に腹に向かって足を蹴り出し、押し出すことで1度距離をとる。

 

 互いに息を吐き、呼吸を落ち着かせる。俺と上鳴のパワーバランスは丁度同じくらいであり、そうなるとどうやって自分の得意な領域に引きずり込むかの勝負。俺は攻めるのが苦手なのでカウンターを狙い低く構える。誘いやすいようにちょっとだけ隙を見せながら。

 

 対する上鳴は姿勢を低く、俺より更に低くしたような構え。クラウチングスタートや居合切りの構えを彷彿とさせるほどに、今から突っ込むぞという意志を隠す素振りもない。そうして姿勢を落とした途端、上鳴が突っ込んで来る。

 

 右のアッパーカットを体を捻って躱し、そのまま体を捻って蹴りを腹に合わせる。ガッツリ入ったな。吹っ飛んで行った上鳴は腹を抑えて蹲る。「そこまで!」と聞こえてくる姐さんの声を聞き流しながら、芋虫みたいに地面を這ってる上鳴に手を差し出す。

 

「ぐぉぉぉ腹が、こん畜生っ!」

「鳴っち大ぶり好きだなー、避けやすいぜ?」

「派手にやりたくなっちまうんだよっ!」

 

  まぁその気持ちはわからんでもない。テレビで見るヒーローとかもそんな感じだし、派手な攻撃を好むイメージがある。人気商売だからだろうか。必殺技叫びながら攻撃するのとかがまさにそうだ。

 

 実際上鳴の個性なら派手だし、人気も出るだろう。大衆に分かりやすい、見えやすいものの方がいい気がする。かすりでもしたら痺れるのだ、小手先の技術など使わずとも通用する。近接戦に置いてはトップクラスに強い個性だろう。

 

「もっかいだモリリン!今ので丁度引き分けだろ?最後ににもっかいやんね?」

「またかよ……俺はもう腹減ったんだけど?つかもう夜だし、ラーメン行かね?駅横のあそこ。」

「あり!あぁいやでもやっぱ最後にもう一回!個性ありで!」

「個性ありかよ……クソっ勝ったらラーメン奢れよな。」

「シャア来た!」

 

 審判の姐さんに視線を送れば1度頷き、俺と上鳴の中間に移動してくる。右手を体と直角に掲げるのを見て個性発動の準備を整える。上鳴も体の表面を紫電のミミズが這っており気合い十分と言ったところか。

 

 俺の構えは単純。昔あったボクシングというスポーツの構え。個性を常時発動させるから苦しいのだ。ならば、

 

「よーい!初めッ!」

 

 上鳴が突っ込んで来る前に肘と肩から個性を放出し、体外に出たそばから整形する!ついでに膝からも!これで帯電した上鳴の拳を掴んでも!

 

「よっしゃ痺れねぇ!」

「うっそぉ!」

 

 個性を使う瞬間は痛いが一瞬だけだ。その一瞬で四肢を骨で覆い即席のガントレットを作り上げ装備すれば無問題。たが胴体などは鎧を作る時間も無いのでがら空きだ。ここを狙われたら終わりなので上鳴が焦ってるうちに一撃入れたい。だが上鳴の両手を掴んでるせいで俺も攻撃出来ない。やべこれどうしよう。

 

 攻めあぐねて硬直していると上鳴がニヤつき始めた。猛烈に嫌な予感がする。冷や汗を流していると上鳴が首を後ろに倒し――っ!

 

 ズカァーン!と勢いつけて頭突きしてきやがった。

 

「あばばばば」

「っしゃあ俺の勝ち!最初掴まれた時はどうなるかと思ったぜ!」

「クッソ、思いっきりやりやがって頭ガンガンする。」

 

 これで勝ち負けはイーブンか。どうも個性を使おうとすると俺は弱い。いや上鳴の個性が対人戦で強すぎるだけか。さぁ、姐さんの講評の時間だ。

 

「骸、個性の使い方は悪くなかったわよ。ただ電気の個性にビビりすぎね。後掴みすぎ。せっかく相手が動揺したのに考える時間与えてちゃ意味ないわ。」

「はい……」

「電気は自分の個性を過信しすぎ。個性なしの時はちゃんとフェイントも入れてたのに、急に単調になるのは減点ね。常に次の一手を考えながら動き続けなさい。」

「ウス!」

 

  上鳴はこの間家に来た時から姐さんに弟子入りしたらしい。今のうちから元ヒーローに鍛えてもらうのだそうだ。何故か俺が組手の相手になることを除けばいい事だと思う。個性なしだといい勝負になるのだ。だか個性ありでやるとこの通りだ。最初は俺も個性を使う事を渋っていたが、散々叩きのめされたので何とか使えるようにしたのだ。

 

「今日の特訓は以上ね。しっかり休みなさい。休息も訓練のうちよ。」

「はぁーい。っああ疲れたぁっ!」

「まじやばいぜ師匠スパルタすぎる。でも成長実感してるわァ!来てる!育ってる俺!」

「なんで俺も一緒にやらされんだろうなぁマジで……」

「よっしゃラーメン行くか。」

 

 クッソ腹が減った。いつもなら2人揃ってもう少し寝そべっているのだが、ラーメンの誘惑には勝てないのででさっさと荷物を纏める。昼間からずっと組手をしていたので、腹が減るのも仕方ないだろう。

 

「ってことだから姐さん、ちょっと出てくる。あ、先にシャワー浴びてから行くわ。」

「いいけど……大丈夫なの?また何かに巻き込まれでもしたら」

「大丈夫だって、今回はちゃんとスマホも持ってくし。」

「そうっすよ師匠。それに俺もいるんで!」

「まぁ、1人じゃないならまだいいかしら。仕方ないわね、何かあったらすぐ逃げて、ヒーロー呼ぶのよ。」

 

 姐さんはこの間の一件以降、夜に家を出る時は必ず連絡するように言ってきてる。反抗期という訳でもないので素直に分かったと上鳴と同時に返事をし、先に上鳴を風呂に突っ込む。うちの風呂はそこまでそこまで広くないので、俺は後だ。

 

 脱衣所で上鳴を待っていると墨がこっちに歩いてくる。キョロキョロと落ち着きなく視線を彷徨わせている。まるで何かを探しているような感じだが、何かあったのだろうか。

 

「ねぇ兄さん、被見子さん見なかった?さっきから姿が見えなくて……」

「被見子?見てないなぁ。鳴っちと組手やってる時にはちょくちょく見に来てたけど。」

 

 裏庭で組手していたおかげで被見子や子供たちが見に来ていたからな。その間は当然俺が勝った。かっこいいお兄ちゃんとしての姿を見せれただろうか。にしても家の中にいないとなるとどこに行ったのだろうか。家出していることもあり、ひとりで出かけたくはない状況だと思うのだが。

 

「そう、もしかしたら外に出てるのかも。兄さんこれから出かけるなら探してくれない?私、子供たちの相手しないと……」

「そのくらいお易い御用だ。墨にはいつも助けられてるからな。」

「ありがとう兄「モリリン次いいぞー」さん……」

 

 墨と話していると上鳴が風呂から出てきた。当然全裸で。そういえば墨に何も言ってねえわ。何故かとても嫌な予感がする。墨は上鳴の体をガン見しており、口の端を落とす俺など視界に入っていないようだ。

 

「せ」

「やべっごめん墨ちゃんマジで!」

 

 上鳴が体を隠すがもう遅い。

 

「先輩のエッチぃッ!」

「ぶべっ?!」

 

 顔を真っ赤にした墨の張り手が飛んでくる。

 

 俺に。

 

 なんでだ。絶対に俺じゃないだろうが。

 

 今日一番の衝撃である。愛する妹に理不尽な張り手を打たれた衝撃と一日の疲労により俺は膝から崩れ落ちた。逃げていく墨を視界の端に捉えながら床に『かみなり』とダイイングメッセージを残す。せいぜい姐さんにしごかれろ。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「クッソ、まだ痛てぇ」

「だ、大丈夫かっ、ぶはっ、うはははっはっ」

「爆笑してんじゃねぇ!絶対鳴っちのせいだからな!」

 

 頬に見事な紅葉を貼り付けた俺を見て腹を抱えながら爆笑してる上鳴を睨みつける。じんじんと痛みが残る感覚に顔をしかめながらラーメン屋に続く道を歩く。

 

 程なくして目的地にたどり着き、入ろうと思えば暖簾の前に見覚えのある人影がひとつ。

 

「ん?おや君たちは……」

「あ、こないだの警官さん。チワッス」

 

 上鳴が挨拶してる横で思考を巡らせる。この間家に来た幽霊のような警官。なぜこんなところにいるのか。いや別にいてもいいのだが、この間の姐さんの態度を考えるとつい警戒してしまう。ヒミコに何か用なのか、それとも別の目的があるのか。

 

「僕はここのラーメン屋の常連でね。仕事終わりによく来るんだよ。どうだい?ここで会ったのも何かの縁だ。ここは僕が出すよ。」

「マジっすか?!ご馳走さんです!」

「おい、鳴っち」

「ハハハ、そう遠慮しなくていいよ。こう見えて貯金はしてあるタイプでね。」

 

 そう言って上鳴と警官は店に入る。敵意っぽい感じは出してないし大丈夫、なのか?うん、姐さんが過剰に反応してただけかもしれないしな。単純に、偶然俺たちと遭遇しただけだろう。

 

 2人に遅れて店に入る。幸い、ちらほら客が入っている位だったので2人を見つけるのはすぐだった。

 

「何してたんだよモリリン!辻さんの話まじやべぇって!」

「辻さん?」

「あぁすまない、僕の名前だよ。改めまして、尾弐子 辻という。この辺を担当してる刑事でね、最近警部に昇進したんだ。お陰で心労が絶えなくってねぇ、昔からやつれてはいたんだが、最近はさらに酷くなってしまって……」

「あ、あぁなるほど、大変ですね。でも警部ってすごいんですよね?」

「いやいや、ただの中間管理職さ。さぁ、とりあえず注文してしまおうか。」

 

 そうして3人分のラーメンを注文して待っている間に辻さんは色んな話をしてくれた。意外と言うと失礼かもしれないが、見た目に似合わず気さくな人だった。

 

 職業柄、個性犯罪に詳しいようで上鳴が嬉々として話を聞いていた。ヒーロー目指してる身としては、貴重な話なのだろう。時間があったら姐さんにも聞いてみたらいいのではないかと尋ねたが、事後処理をする視点からも学べるものは多いのだとか。アホのくせによく考えているようだ。アホのくせに。

 

「お待たせしました!味噌野菜ラーメンチャーハンセット3人前になります!」

 

 なんだか話に置いてかれてるように感じるので、届いたラーメンを啜る事に神経を向ける。コクとパンチのあるスープに中太のストレート麺が絡みあって美味い。量もあるので食べ盛りの年齢には嬉しい店だ。舌鼓を打っているとすぐに完食してしまった。

 

「ご馳走さまでした。ありがとうございます、ご馳走になっちゃって。」

「いやいや、気にしないでくれ。あぁそうだ、礼の代わりと言ってはなんだがひとつ聞かせてくれ」

 

 辻の声が一段階低くなる。

 

「――渡我被身子はどこだ?」

「っ知らないって言いませんでした?」

「あぁ、そう言っていたね。だから今改めて聞いている。」

 

 くそ、何を考えてるかわからん。ヒミコが何したってんだ。ただの家出じゃないのか。今までも家出してガーデンに転がり込んできた子は何人かいた。だがその時はここまでしつこくなかった。理由は単純、そこまで手が回らないからだ。ただの家出に構ってる時間はない、はずだろうになぜここまで。

 

「なぜそこまでと言う顔だね。実はね、報道はされていないが、ここ1ヶ月の間に不可解な事件があってね。」

「不可解な事件?」

「そう、僕らは連続失血事件と呼称している。というのも被害者の体の血が全て無くなった状態で見つかるんだ。まるでなにかに吸い取られたかのように。」

「……その容疑者がヒミコだと?」

「察しが良くて助かるよ。」

 

 嘘だ。

 

 ココ最近ヒミコはずっとガーデンにいた。何朝毎晩顔を合わせてたし、昼間だってガーデンの中で姐さんや子供たちと遊んでいると言っていた。そんなことをしてたら、俺はともかく姐さんにバレない訳ない。

 

 いやだが、今日は?もしこの時間も、まだガーデンに帰ってないとしたら、一体ヒミコはどこで何を……

 

「ううん、納得してないか。まぁそうだろう、急にこんなこと言われたら誰だって困惑するか。うん、まぁ今日のところは出直そうかな。食べ終わったのに居座るのもお店に悪い、さっきから店員さんの目が鋭くてね。」

 

 そう言う辻さんにつられて店を出る。まだ頭がこんがらがってる。俺はヒミコのことを全然知らない。辻さんの言ってることは多分あってるんだろう。警察の人だし、俺よりずっと色んなものが見えてるはずだ。だが、家族を疑いたくない。ほんとのことを言うのが正しいのだとしても、俺は……

 

「さて、僕は1度署に戻るが、送迎は必要かな?」

「いや、大丈夫っす!ご馳走さまでした!」

「ごちそう、さまでした。」

「うん、じゃあ、くれぐれも寄り道はしないように。」

 

 そう言って辻さんは去っていく。俺達も帰るために歩き出す。まだ本当のことは分からないが、分からないなら聞くしかない。とりあえず帰ったら姐さんに相談してみようか。

 

 はて、そういえばヒミコは家に帰ってるのだろうか。墨にメッセージを送ってみれば『まだ帰ってきてない、今恵お姉さんが探しに出てるところ:( ;˙_˙;):』なるほど、姐さんに任せれば大丈夫だろうという思いはあるが、それはそれ。俺も探してから帰るとしよう。

 

「わりぃ、鳴っち先帰っててくれ、俺ちょっと」

「いいっていいって、俺も手伝うぜ。ふたりで探した方が早いっしょ!」

 

 要件を話す前に即決する親友に口角が上がる。こいつはそういう奴だった。めんどくさいとか思ってるだろうに。困ってる人を見捨てないヒーローの卵の肩を手で叩く。

 

「まだ言ってねぇよ、でも助かる!多分ガーデンの近くは姐さんが見回ってるから駅前側頼む!」

「おっけぃ!見つけたら連絡する!」

 

 そう言って二手に分かれてはや30分。マジで見つかんない。埼玉のど真ん中ではないといえさすがに人が多い。この中ならたった1人見つけるとか無理だわこれ。サーチ系の個性持ってる人を先に探す方が早い気がする。どうしたものか。

 

 ドンッ

 

 考え事をしていたせいか人にぶつかってしまう。

 

「あ、すみまーっ!?ってヒミコ?!」

 

 クリーム色のお団子ヘアーに制服。見間違いでなければ今ぶつかったのはヒミコだ。他人の空似の可能性もあるが身長も同じ位だった気がするし多分本物だ。俺の声が聞こえなかったのか既に人混みに紛れて去ってしまった。

 

 でもまだ近くにいるはずだと思い周囲を見渡せば路地裏に入っていくヒミコが見えた。後ろをつけて走って行けばそれに連動してヒミコも走る。まるでメリーゴーランドのように、いくら走っても距離が縮まらない。まるで俺から逃げるような行動に違和感を覚え眉を顰めた。

 

 そうして追いかけっこを続けるといつしか突き当たりに追い込んでいた。これでもう逃げれないだろう。何を考えてるのか知らないが、1度話さないことにはどうしようもない。

 

「どうしたんだよヒミコ。急に出ていくなんて、墨も心配してたぞ?」

「……」

「せっかく見つけたと思ったら今度は逃げるしよ、なんかあったのか?」

「……」

「ヒミコ本当にどうしたんだ大丈夫か?」

 

 そう言ってヒミコの肩に手を置くとヒミコの体が少し震えている。何か怖い思いをしたのだろうか。それとも俺に何か原因があったのか。俯いていて表情も分からないのでこっちを向くように体を回せばその勢いのまま俺の懐に顔を埋めてきた。

 

 嗚咽を漏らしながらギュッと俺に抱きついてくるヒミコに困惑する。今までもスキンシップはあったがここまでのはなかった。余程辛い思いをしたのだろう。俺に何ができるのかは分からないが、分からないなりに何かをしなくては。

 

「ヒミコ、どうし」

 

 ザシュッという音が聞こえた。

 

 遅れてやってくる痛み。

 

 痛い?なんで?

 あれ、あそこに落ちてるやつって俺の右腕?え?え?

 

「ッガァァァァァッ?!」

 

 止血をしなければ。頭の中を痛みに支配されながらもやるべき事はすぐにやれた。個性を使って傷口を塞ぐ。丸見えになった骨から直接止血出来た為出血はほぼない。

 

 腕が無くなった際に血を失ったのは事実。だがお陰で冷静になった。傷も塞いだ。腕は無くなったが今はどうしようもない。ならやるべきことがある。

 

「お前は誰だ」

 

 コイツはヒミコじゃない。

 

「…………っクク……プッハハハハ!!ヒーお腹痛い!いやふつー気づくでしょ!それともあれかな?僕の変身☆スキルが思った以上だったのかな?」

 

 急に笑いだしたヒミコのような何かがこちらを見る。ご機嫌にぺちゃくちゃと喧しく喋っているそいつの顔には口がない。いや、口どころか目も鼻もない。まるでのっぺらぼうだという印象を受けた。そんな存在がヒミコの格好をしているという不気味さ。恐怖心を怒りで押し殺しながら骸は尋ねる。

 

「もう一度だけ聞く……お前は誰だ」

「誰、誰ねぇ?ぶっちゃけ名前なんていっぱいあるんだけど、うん。今はこれかな」

 

 何度か頷きなにかに納得したように指を鳴らしその場で一回転。その瞬間に姿が変わった。12歳程の少年に見える銀髪赤目の少年。まだ表情にはあどけなさが残っているがその身に染み付いた雰囲気からはどす黒い何かを感じる。

 

「初めまして骸君。永久の血族(ウロボロス)が末席、アル=シェ=ウィストリア。……さぁ、頭を垂れよ。夜の王、吸血鬼様の御膳だゾ♪」

 

 

 

 




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