Good Luck , Raccoon City 【第二部始動】   作:持麻呂

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The nightmare is far from over...


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第十九話 Welcome to Rockford Island


1998年12月ーーー

 

 

ラクーンシティが核の炎によって灼かれ、地図から抹消されてから早2ヶ月が過ぎた。

既に我々が入れられていた防疫用の収容所は1ヶ月の防疫監視を終えて解散しており、家や財産を失って住むところのない人達は、政府が近郊の複数都市郊外に仮設住宅を作り、そこに分散して移住している。

 

私はなんだかんだあったが無事に解放されたジルと共に、こちらもあの後無事に脱出して別の収容所に居たロバート・エマ親子と合流して、ラクーンシティの隣にある都市レンウッドに仮住まいを用意してそこで生活をしていた。

本当なら、もっと離れた大都市に住もうと思っていたのだけど、ジルがスターズの生き残りやRPDの生き残り達と共に、アンブレラをぶっ潰す為の組織作りと訴訟準備をすると言って、なるべくラクーンシティから近いところで全員集まりやすい場所を選んだ結果、ここレンウッドになったのだ。

 

ロバートとエマは、ラクーンシティ脱出の際に検問付近で自動車を捨てざるを得ず、手荷物の大半も防疫の観点から焼却処分されてしまったので、現在無一文*1で兄のジョウ・ケンドと奥さんの避難先であるサンフランシスコに行く為の足と先立つ物が用意できないため、ここで証明書が発行されるまで働くらしい。

散々世話になったので、アンブレラ潜入の時に拝借した現金を出して使って欲しいと手渡したのだが、断固として受け取ることを拒否されてしまった。

ロバートが頑固なのは知っているので、早々に渡すことを諦めている。

 

レオンはその後、ジル達が発足しようとしているアンブレラをぶっ潰す組織に入ろうとしていたが、なにやら合衆国の政府機関からスカウトされたのか、別方向からBOWなどのバイオテロを対処すると決意したようだ。

なので、既にレオンはワシントンD.C.の方に行ってしまいここレンウッドにはいない。

FOXの時と同じように、餞別として私の連絡先と改造パーツをつけた*2クロー X-MOD2をくれてやった。

ケンタウロス(仮)相手に上手に使っていたので、きっと彼の任務に役立ってくれるはずだ。

ちなみに、特殊合金で作られているのでチェンソーを受け止めたくらいでは刃こぼれしないし曲がらない。

 

クレアは大学の寮に住んでいるので、そちらに戻って学業に復帰している。

ただ、クリスがいまだに連絡を寄越さないので、痺れを切らしてそろそろヨーロッパに向かいそうな雰囲気があって心配だ。

 

シェリーは私が保護しても良かったのだが、まだアンブレラの手先がどこに潜んでいるかわからない事と、アネットを確保している政府側が手放したがらなかったので、一緒に住むことができなかった。

いまは政府の保護の下、専用の施設に収容されているのだが、一応私とクレアは何故か仮の保護者認定を為されているようで、会いに行けばいつでも面会できる。

物理的に距離があるので、なんとか月に一回は会いに行っているが、その度に本人たっての希望で銃の撃ち方や護身術などを教えている。

なんでも、自分も将来大きくなったら、レオンみたいに合衆国のエージェントになって、母親も含めてみんなを守りたいと言うのだから、手伝ってあげないと大人が廃ると言うものだ。

珍しくジョニーも何も言わないので、たまの息抜きにギターを教えている。

ジョニー曰く、エマほどはセンスは無いが続ければそこら辺のギタリストよりは上手くなれるらしい。

十分だろう。

 

現在私は、レンウッドの老舗ホテルであるレンウッドホテルに併設されているBarで夜はパートをしつつ、日中はエマの面倒をみる生活を続けていた。

そもそも、アンブレラ潜入時にビルの経理室から頂戴した多額の現金があるので、働かなくても悠々自適に生活できるのだが、何もしないでいるのも暇だし不健康な上、特にジルから金の出所を疑われそうなので諸々の理由によりパートをしている。

 

私が働いている関係上、アンブレラをぶっ潰し隊のスターズやRPD関係者が良く出入りするようになり、フリーライターのベン・ベルドリッチや、なんとラクーン事件に巻き込まれていながら仲間達とデイライトというT-ウィルスワクチンまで作って脱出を果たしたアリッサ・アッシュクロフトらも常連となっていて、私がラクーンシティに居た時に得た情報をバンバン提供する場所と化していた。

ここから全米を揺るがすスクープが世に放たれており、アリッサやベンが信用できる記者達も集まり始めて、終日満員御礼状態だ。

まず手始めに彼らを使って行ったのは、シェリーやアネットの命をアンブレラと密接に関わっていた現政権や政府の連中が好き勝手出来ないように、連中の政治生命や社会的信用をブチ殺せるスキャンダルを出血大サービスで垂れ流して、月の裏側まで政府をぶっ飛ばしてやることだった。

もちろん、彼らは火消しに奔走したり証拠を否定してくるのは織り込み済みなので、言い逃れ出来ないように会議室に設置してある電話機の回線をハックして、慌てて緊急会議を開いている音声を全て拾い上げたものを全米のニュース番組で流してやったのだ。

当たり前のように、放送局に予めそう言ったものを放送しないようにと、放送権の剥奪を盾に圧力が掛かっていて、下手をするとスキャンダルを揉み消されそうだったので、放送局の機材を乗っ取って物理的な電波ジャックを行い、全米に24時間ニュースを流す番組のチャンネルから放送してやった。

そのあとはもう凄い騒ぎになって、ラクーンシティは原発事故ではなかった事や滅菌作戦の事実、アンブレラとの繋がりまでペラペラと会議室でお互いに責任をなすりつけるような会話が繰り広げられていたので、こぞって他のメディアも取り上げた結果、政権は1ヶ月保たなかった。

ベンやアリッサら記者達の活躍もあって、ある程度真実を知った国民によって全米ではデモが多発し連邦議会は上院下院の両方が紛糾して、野党はこれぞとばかりに大統領を吊し上げ、与党の中の利権とは無縁だった議員達が下から突き上げることで大統領の弾劾決議が爆速で議論され、賛成多数で弾劾されてしまったのだ。

関与した閣僚や官僚も軒並み排除されて、公職追放や政治生命を絶たれている。

アンブレラ訴訟が有罪となれば、連中から逮捕される奴らも出てくるだろう。

ざまぁみろ。

 

そんな感じで2ヶ月があっという間に流れていったわけだが、クレアからどうしてもクリスのことが心配だからヨーロッパへ行くと連絡があった。

私も一緒に着いて行こうかと聞いたのだが、軽く見てくるだけだから大丈夫と言われたので、無理をしないようにだけ言って送り出した。

それから暫くして、ジルが何処からかアンブレラの軍事訓練施設兼監獄がある島の存在を聞きつけて、そこに悪事の証拠収集に行こうとしていたので慌てて止める。

なにせバックアップも無しで単独潜入しようとしていたのだから、止めないという選択肢はない。

幾らグリーンベレーで軍事訓練を受けているからと言って、無茶も無茶、蛮勇甚だしいったらありゃしない。

そういうことならば、私の過去は話すつもりはないが元々アラサカ防諜部に居た私の方が慣れているし、手っ取り早くて簡単だ。

 

 

 

1999年1月ーーー

 

 

そんなわけで、私は夜の凍えるような海上を黒いゴムボートに揺られて、単身ロックフォード島を目指していた。

ゴムボートに不釣り合いな150馬力もある強力な軍用船外機を使って、時速50ノット*3で真っ黒な海上を疾走する。

直噴2ストロークの甲高い駆動音を辺りに轟かせているが、今は隠密よりも速度が重要だ。

岸にさえ取り付いてしまえば、あとは光学迷彩で姿を消せばいい。

私の身体の8割はあまり水に浮くようなもので出来ていないので、海上で撃沈されてしまい海中遊泳となると流石に厳しいものがあるからだ。

一応、水中でも水から酸素を分離して呼吸できる装置を持っているので、ドボンしても酸欠になるということは無いのだが、そうは言っても好んで真冬の海の底を歩きたいとは思わない。

 

案の定、爆音の船外機の駆動を聞いてか、海上を舐めるようにサーチライトが照らされるが、向こうが想定している以上にゴムボートが速く、一直線に岸に向かっているので航跡を照らし出した時にはもう100メートルは先に行っている。

海面が終わるギリギリで船外機を船上に引き上げ、高速の勢いのまま岸に乗り上げて砂上を進み、減速し出したところで光学迷彩を発動しながらゴムボートを岸の終わりまで掴んで走る。

それから、草むらの分かりづらいところにゴムボートを隠して先に進んだ。

島内には警報が鳴り響いており、島に不法侵入者が現れたことを知らせる放送が繰り返し流れている。

 

FIA*4の工作員スーツ*5を身に纏い、暗闇に紛れながらヘルメットの機能で赤外線の警報装置を避けて進み、この島を支配しているアシュフォード家の公邸を目指す。

屋根の上や壁に張り付きながら移動しているので、彼方此方を捜索している兵隊や軍用犬に見つかる心配はない。

 

意外にこのロックフォード島は大きく、軍用機が離発着できる滑走路を備えているばかりか、潜水艦のドッグまであるらしい。

事前に調べた情報だと、この島はアンブレラの暴力装置であるUBCSやUSSといった戦闘部隊員を養成、訓練するために作られた施設群らしく、その施設の一角にはアンブレラに対して都合の悪い人物やスパイ活動を働いた社員をブチ込むための監獄も併設されているようだ。

人間に対する射撃訓練として囚人を使ったり、ウィルスやBOWの人体実験の材料にしたりするために収容しているようで、基本的にここに収監されると生きて出れないらしい。

そう資料には書いてあった。

 

ここの所長であるアルフレッド・アシュフォードはかなり残酷で残忍な性格らしいが、決して無能な人物ではなく、優秀な戦闘員を育成して部隊に送り出していたり、ウィルスやBOWの杜撰な管理で知られているアンブレラとしては珍しいことに(orアンブレラ(の施設)でありながら)、徹底した管理が為されていて一度もバイオハザードを起こしていないようだ。

記録を見ると、実はあっちこっちで漏洩事故を起こしていたアンブレラにしては、大変珍しいキチンとした管理者と言えよう。

何故彼が、下級から中級幹部のような役職に留まっているのか不明だが、私ならこれだけの施設群をしっかりと管理出来るような人材なら、さっさと上に引き上げて上級管理職に据えるのだが、まぁアンブレラは製薬企業だし研究出来る人間の方が立場が上になってしまうのだろうか…

そもそも、研究者に畑違いの施設管理までさせるなと言いたい。

ウィルス研究を除けば、バーキン博士より有能なのでは?

 

そんなどうでも良いことを考えながら、銃殺された後にそのまま杭に縛り付けられて放置されている死体を調べる。

すぐ近くには囚人たちの死体を入れる穴が開いており、中を覗くと何人もの死体が折り重なっているのが見えた。

どうやら、1つの穴に1人ではなく一度に複数人の亡骸を入れるようだ。

穴が一杯になって埋めたであろう盛り土が幾つもあるので、一体何人のアンブレラにとって都合の悪い人物が犠牲になったのか分からない。

 

ジョニーが穴の淵から下を覗き込んでいる。

 

『コイツはヒデェな……まるでナチの収容所だぜ』

 

「少なく見積もっても、100人は居そうね。ここの地下水は汚染されていそうだわ」

 

『だろうな。下っ端がサボって消石灰すら撒いて無えのを見るに、井戸が水源なら近いうちにバイオハザードが起きるぜ』

 

「……まさかとは思うけど、この中に実験で死んだ被験者の死体なんて、入ってないわよね」

 

『そいつは……どうだかな』

 

もう一度2人で穴を覗き込むが、死体は死体のままピクリとも動かない。

そのまま永久に寝てて欲しい。

 

それから公邸に辿り着き、兵隊がウロウロしている廊下を避けながら内部を調べる。

相変わらずと言っていいが、アンブレラは装置一つ動かすのにも謎の仕掛けを用意したりするので、日常使いに支障をきたしたりしないのだろうか。

 

謎のプレートを嵌め込む台が数ヶ所あったり、扉も変な仕掛けがあるものだったり。

カードキーや暗証番号を入力するタイプであれば、クイックハックするか配線を剥き出しにして何ヶ所か繋いでやれば開けることができる。

面倒だったら、ゴリラアームでこじ開ければ良いだけだ。

 

しかし、この公邸にとどまらず、ここの施設はとにかく人が多い。

軍事訓練施設なので、それ相応に訓練兵がいるのは理解出来るが、それにしたって何個中隊くらいの人数を一度に訓練しているんだというくらいには、兵隊がワラワラとスリーマンセルで捜索を続けている。

 

下手に殺すと死体が見つかった時に面倒なことになるので、1ヶ所にずっと留まって作業が出来ない。

さてどうしたものかと思っていると、どこか遠くの方で銃声が聞こえてきた。

それも1発じゃなくて、無数にである。

誰かが銃撃戦をしているようだ。

 

再び島中に警報が鳴り響いて、複数の正体不明武装集団が滑走路から侵入したと繰り返し言っている。

こんな時に、タイミング良く武装集団が襲ってくるのか?

何か恣意的なものを感じるが、公邸の中にいた連中が銃を片手に滑走路の方へ向かっていったので、今のうちに調べ物を済ませる。

相変わらずコンピュータは外の世界に比べるとだいぶ進んでいるが、公邸の外に出ると時代相応のものばかりだった。

まぁ進歩している分、私の仕事が捗るので些細な問題だ。

 

しかし、どれほどの戦力で武装集団がここに襲撃を仕掛けてきたのか不明だが、一向に銃撃戦が終わらないどころか徐々にこちらへと近づいている気がする。

アンブレラにしては腐っていない、まともに機能している軍事訓練施設を襲いに来ているのに、逆に圧倒してこちらに向かって前進して来れるなんて、大した練度を持っているのだろう。

十中八九、どこかの特殊部隊に違いない。

 

ドンパチに巻き込まれても面倒なので、一旦公邸から離れることにする。

ここのコンピュータからは、アクセスできる範囲の情報をすっぱ抜けたので、次は研究施設とアシュフォード家私邸に向かっても良い。

いや、せっかくなら監獄の方に向かっても良いかもしれない。

役に立ちそうな連中が居れば、脱獄させてここを掻き乱すことに一役買ってもらいたいという下心もある。

 

そんなわけで、どう言う都合でそうしたのか不明だが、公邸からすぐ近くにある監獄に向かう。

そこは強制収容所も兼ねているのか、集団宿舎も軒を連ねている。

 

外では派手にドンパチしているのだが、このエリア一帯はやけに静かで何か様子がおかしい。

収容所の建物の屋根に登り、耳を澄ますと3ヶ月前に散々聞いたような呻き声と、何か水っぽいものを咀嚼する音が幾つも聞こえてきた。

 

「嘘でしょ……ゾンビってことは、やっぱりT-ウィルスが漏洩していたってこと?」

 

『バカか、それなら兵隊連中がもっと早く気付くだろうが。これは多分だが、滑走路で派手にやっている連中は囮で、別働隊がウィルスをばら撒いていると考えた方が自然だろ』

 

「…なんか、ジョニーのくせに生意気ね」

 

『おい、ふざけんなよ』

*1
通帳等も焼却されてしまったらしいが、陸軍がキチンと記録を取っていて後ほど証明書を発行してくれるらしいので、正確には手持ちの現金がない状態である。ちなみに、いつその証明書が発行されるかは不明

*2
ジャベリンとサイクロン

*3
時速約92キロメートル

*4
NSAとCIAをガチャンコしたような組織。連邦情報局。サイパン世界では、両組織が合衆国政府を転覆させようとした疑いで解体されている。

*5
ヘルメット、ジャケット、パンツの3つで成り立っている。殆どマックス・タックの衣装と見た目が一緒だが、多分搭載されている機能が違う。




たくさんの高評価、お気に入り登録、ご感想いつもありがとうございます!!
誤字脱字訂正も大変助かっておりますm(_ _)m
なんと、お気に入り登録千人突破!評価者100名突破致しました!
こんなにたくさんの方に評価していただいて、本当に嬉しいです!
ということで、ストックは有りませんがコードベロニカ編スタートです。

冒頭は相変わらずの導入という感じです。
今度のREはコードベロニカって言われてますけど、本当ですかね?
今作のラクーンシティ編と同じく、原作と建物の配置や構造、ギミックの場所もわざと少し変えています。
出ていない脳内REベロニカとごっちゃにしてみた感じですね。
原作のロックフォード島に滑走路や潜水艦のバンカーは無いです。

それと、筆の進み具合にもよりますが、大体隔日〜3日の更新を目指して頑張りたいですが、相変わらず予定は未定です。
コードベロニカ編は概ね10万文字以内に収めていきたいですが、ナンバリングでも無いのにゲームのボリュームが大きいんですよね…
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