Good Luck , Raccoon City 【第二部始動】   作:持麻呂

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Having family members by your side gives you the strength to face any challenge...


第二十二話 Head of the Ashford family

なんか決めポーズを取っていたスティーブを置いてクレアとメインロビーに戻ると、唐突に私に向かって複数の銃弾が飛んでくる。

シナプス加速器が作動して思考が加速し時間が引き延ばされるが、クレアを押し退けた関係で2発ほど貰ってしまった。

幸い、顔面ではなく胴体だったので、着ているFIAの工作員スーツの防弾ジャケットで弾頭は止まり、下までは貫通しない。

すぐにエラッタでそれ以上に飛んでくる弾丸を弾き落として、片手で抜いたユニティを元凶に向けて発砲する。

 

向こうも自分に銃口が向いたのを理解したのか、すぐさま撃つのをやめて隠れたらしく発砲が止んだ。

手で着弾面を払うと、ポロポロと被弾した箇所から潰れてマッシュルームのようになったライフル弾が零れ落ちる。

 

「V!大丈夫なの!?」

 

突き飛ばした勢いのまま、柱の影に隠れたクレアが私に向かって焦ったように聞いてくるのを手で制する。

私たちに向かって銃撃してきた奴の方を見ると、2階の手摺りの後ろから海坊主(Sea monk)のように頭の上半分だけ出してこちらを見ている金髪の頭と目が合う。

ムカつくのでユニティを向けて1発撃つと、撃たれる前にシャッとしゃがんで弾を避けた。

それから、また頭の上半分が覗いてくる。

 

「隠れてないで出て来な!」

 

「……ふん、無礼な奴め。まあ良いだろう」

 

手摺りの後ろからそんな事を宣ってから、H&K G3 SG/1バトルライフルを持った金髪オールバックの若い男が立ち上がって姿を現した。

肩に金のエポレットが付いた赤い軍服を着用していて、高級将校なのがなんとなく見てとれる。

この島でそんな格好をしているのは、たぶん1人しかいないだろう。

 

「アンタがアルフレッド・アシュフォードね」

 

「如何にも、私がアシュフォード家現当主のアルフレッド・アシュフォードだ。この盗人共め、何故この島を荒らしてT-ウィルスをばら撒いた。お陰で私の島は滅茶苦茶だ!見ろ!」

 

大仰な手振りで、アルフレッドは片手を横に振る。

 

「島中がゾンビや化け物だらけになってしまった!私がどれほどバイオハザードを起こさないように努力をしていたのか、知らないからこんな恥知らずなことが出来るのだ!それもこれも、貴様がこの島にソイツらを手引きしたからだろう、クレア・レッドフィールド!!」

 

ん?クレアがこの島に武装集団を呼び寄せたのか?

柱の影に隠れているクレアを見ると、全力で首を振って否定の意を示している。

となると、どうやら彼が勘違いをしているようだ。

 

「なんのことか分からないわ!!私はただ捕まってここに来ただけよ!」

 

クレアが誤解を解こうと、柱から顔を少しだけ出して抗議の声を上げる。

 

「とぼけてもムダだ!!では隣に居るソイツはなんだ!そんな見た目をしている奴と共にいるのに、見え見えの嘘を吐くのは止めろ!!」

 

アルフレッドが私を指差して、激昂しながらそう言った。

確かに、今の私の格好は全身黒尽くめなので、そう言われると否定しづらい。

 

「ふん、まあいい、何故この島をこの基地を攻撃したのだ?」

 

「本当に何も知らないわ!」

 

「あくまでシラを切るつもりか。貴様がこの島に来たと同時にここが攻撃された。それでも無関係だと言うのか?貴様がここの場所を知らせたと考えるのが自然ではないか」

 

アルフレッドの言うことにはかなり説得力があるが、私はジルから聞いて単独潜入しに来ただけだし、クレアも捕まってたまたまここに収容されただけらしいので、事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものだ。

だが、普通に考えたら無関係とは思えないのも当然のことなので、アルフレッドの中では既に確定した事実であるらしい。

 

一応理論立っているので、証拠が無ければ幾ら否定してもわかってはもらえないだろう。

 

「言え!貴様らはどこのスパイだ!」

 

バトルライフルをこちらに向けて乱射してくるので、エラッタで弾き返すが移動しながら撃ってくるので、弾き返してもその場に居らず当たらない。

こちらが再びユニティを向けると、サッと手摺りに隠れてしまう。

 

「ふん、好きにすると良い!どうせ貴様らはカゴの鳥だ。精々私を楽しませてくれよ」

 

そう言って、立ち上がったアルフレッドが手に持っていたリモコンのスイッチを押すと、天井と壁の一部がスライドして、機械にセットされたMINIMI機関銃が現れて、黒光する銃身をこちらに向けてくる。

銃架下部から赤いレーザー光線が照射されてこちらを狙ってくるので、柱の影に隠れると4挺のMINIMIが猛烈な勢いで銃弾を乱射し始めた。

 

「私は貴様らが苦しむ様を見ているぞ!アハハハハハ!!」

 

アルフレッドが高笑いしながら去っていった。

しかしボロい邸だと思っていたら、とんでもない隠し玉があったものだ。

セントリーガンが隠してあるなんて思いもしなかった。

 

銃身が加熱しないように、4挺で上手く交互撃ちするようなプログラムまで組んであるらしいので、本来なら弾切れまで待つのがセオリーなのだろうが、無線スイッチ式の稼働ならクイックハックが使える。

1台のセントリーガンをクイックハックして、フレンドリーモードに切り替える。

 

すると、我々に向けて撃っている3台に向かって銃身の方向を変え、先ほどまで仲間だったセントリーガンに向かって射撃を開始した。

あっという間に3台とも蜂の巣になって、煙を上げながら沈黙する。

そっと柱から顔を出して確認したが、既にアルフレッドの姿は見当たらずフレンドリーモードになっているセントリーガンが左右に揺れているだけだ。

 

「…もう出ても大丈夫なの?」

 

「大丈夫よ。アルフレッドも居なくなったみたいね」

 

『しかし、随分とナルシストみたいな男だったな。ありゃぁ、女装とかの趣味があるに違いねぇ』

 

『実際そうなんじゃない?高笑いもなんかクネクネしながら言ってそうだったし』

 

このままアルフレッドが去っていった方に向かっても良いが、ゴールドルガーを使って扉を開ける方を優先する。

書斎まで戻って、早速ゴールドルガーを嵌め込んでみると扉の鍵が解除された。

中に入ると、そこはどうやらアルフレッドの執務室だったらしい。

奥にはデスクがあり、コンピュータの電源が入りっぱなしになっている。

エンターキーを押して、スクリーンセイバーを解除すると例のサイコホラーなホームビデオが再生された。

それが終わると、この端末のパスワード画面に変わる。

今回は何桁のパスワードか分からないので、デスク辺りをよく探してみるがそれっぽいものは見つからなかった。

 

「クレア、ちょっとその本棚の方を探しておいてもらえるかしら」

 

「本棚ね。分かった」

 

クレアが本棚を調べ始めてこちらにお尻を向けている間に、コンピュータにジャックインしてパスワードをハックする。

正解は18桁の英数字混合パスワードだったので、ヒントも無しにやっていたら何年掛かっていたか分かったものではない。

不良AIでパスワードごとセキュリティをぶち抜くと、コンピュータのファイルにアクセスできるようになった。

中には、アルフレッドの日記やアレクシアと言うらしい妹を賛美するポエムやらがあって、それと同時にこの島に搬入されているBOWのリストなんてものも見つかる。

痛いポエムも中々に気になるが、BOWのリストを先に覗いてみるとハンターβやキメラと呼ばれる人間とハエの遺伝子を組み合わせて作られたBOWが持ち運ばれているようだ。

キメラはどうやら、ラクーンシティの保護シェルターで一緒になった女性が、実験体として孕み袋になった時に産まされていたBOWがこれに良く似ている。

思わず溜息を吐きそうになった。

 

そのほか、色々と役に立ちそうな情報を引っこ抜いていると、何かの起動キーがあることが分かり、それを早速入れてみると壁際にあったオルゴール付き時計の文字盤が光り出す。

オルゴール付き時計の文字盤にある12個の絵柄と数字を短針と長針の組み合わせで正解を導き出せば、仕掛けが作動するようだ。

こう言う時は、ジョニーの出番である。

 

『ほら、ジョニー?相棒の出番よ』

 

『ったく、お前の首から上には何が付いてんだよ。仕方ねぇな、ちょっと待っとけ』

 

ジョニーが文字盤を覗き込みながら、ブツブツと考え事を呟いてしばらく経つと、分かったぜと言うので私も文字盤を覗き込む。

 

『それで?』

 

『短針をⅡに、長針を少女に合わせるんだ』

 

『こうね』

 

言われた通りに短針と長針を動かすと、鐘が2回鳴って高速で短針と長針が回り出してⅫを指す。

すると下段にあるオルゴールが音楽を奏で始める。

聞いたことがあると思ったら、ホームビデオで流れていた曲であることに気付く。

何か彼らに深い関わりがあるのだろうか。

 

オルゴールの曲が終わると、大きい時計が横にスライドして後ろにあった扉が顕になる。

1人の時は外からならどこでも出入り自由だったので分からなかったが、ここからアシュフォード家私邸へと向かう正規ルートだったらしい。

 

クレアに合図して渡り廊下を抜け、奥に見える幽霊屋敷のような佇まいの私邸へと歩みを進める。

石段を上がった先は前庭のようになっていて、草はボウボウな上に壁は壊れて倒壊して、元がどのような庭だったのか既に想像すらできない状態になっている。

一部はアシュフォード家の墓所を兼ねているようだが、ここは高台になっている為かT-ウィルスの汚染を今のところ免れているようで、地面を突き破ってゾンビが湧いて出る様子はない。

それにここに繋がる道は鍵が掛かっていた関係もあるのか、道伝いでここまではゾンビが来ていないようだが、坂や森を突破してゾンビ犬や他のBOWが姿を現さないとも限らないので、自然と足が速足になるクレアに合わせて、私もその背後を守る形で小走りしながら私邸の中に入った。

私邸の中はかなり荒れ果てていて、コウモリは飛んでいるし蜘蛛の巣もあっちこっちに掛かっている。

しかも、手のひらサイズの蜘蛛が張った蜘蛛の巣には、大きいコウモリが引っ掛かっていてぐるぐる巻きにされている最中だったりした。

 

側近の手紙を見るに邸を管理する人間が居たはずなのだが、どうやらそれもかなり前の話のようだ。

完全な廃墟というわけでは無さそうで、通路の照明が点いていて電気は通っていることが分かる。

それに、地面には人が頻繁に通っているところは埃が積もっていないので、階段や廊下の真ん中と両脇とで色が異なっていた。

それにしても、1階のメインロビーですらこの有様なのに、よくもまあこんなところに住めたものだと言いたい。

 

せめて、この巨大な蜘蛛の巣くらいは片付けたほうがいいのではないだろうか。

絶対に毒とか持っていそうな見た目と大きさである。

クレアも少し嫌そうなのか、なるべく通路の真ん中に居て肩を窄めているほとだ。

だが、さっきの公邸にあったセントリーガンのように、この私邸も何かしらの防衛装備があるかもしれないので、気を抜くことはできない。

 

1階の廊下は見た通りの酷い有様なので、探索は後回しにして2階より上を探すことにする。

天井からは大きい船首像の女神のような女性を模ったものが吊るしてあり、どことなくあのホームビデオで観た少女に似ている。

ところどころ色が禿げては、素人が塗り直したような感じで少し雑に上塗りされたような補修跡があり、塗料が少し垂れたような跡もある。

 

大きいアルフレッドの肖像画に見下ろされるように回廊型の階段を登り、突き当たりにあった扉を開けようとすると鍵が掛かっている。

この扉には、公邸であったような銀の紋章や銀の紋章などは見つからなかったので、鍵のヒントもない。

探そうにも難易度が高過ぎると判断して、クレアが余所見している間にドアノブを握り潰すようにして無理矢理回すと鍵が開いた。

扉を開けると洒落た内装の廊下に出たのだが、ここの廊下はコウモリも蜘蛛も居らず、綺麗に掃除されていてメインロビーとは大違いだ。

廊下を進むと誰かの話し声が聞こえてくるので、足音を殺して声の聞こえる方に向かう。

 

「ーーい様、いつまであの小娘達を遊ばせておくつもりですか」

 

女の話し声のようだ。

もっと近づいて耳を澄ませる。

 

「あぁ、許しておくれアレクシア。私も一生懸命にやっているんだ。ここの部隊もほとんど壊滅してしまったから、私自らが全てを差配しないといけないからね。…それに、ショーはまだこれからだよ」

 

「良いですかお兄様。アシュフォード家の再興はお兄様に掛かっているのですよ。その自覚がお兄様にはあるのですか?」

 

「もちろんだよ、アレクシア!ここを襲撃してきた工作員の大半は既に殺している。直ぐに奴らもその後を追わせてやるさ」

 

「いいえ、あの連中の始末は私がします。お兄様は仕掛けを使って、島のゾンビどもを掃討して下さい」

 

「分かったよ。気をつけるんだよ、アレクシア」

 

「ええ、分かりま……そこにいるのは誰!」

 

壁にぴったりと張り付いて聞いているので、気付かれるはずが無いのだが気配でバレてしまったらしい。

とんでもない察知力だ。

廊下に面している窓に近寄ってくる足音がするので、急いで廊下の曲がり角まで移動して身を隠す。

カチャリと窓が開く音がして、ゴソゴソと衣擦れ音がした後にこちらに向かって歩いてくる足音がする。

ヌエにパックス*1を付けて、角を曲がってくるのを待つが、ぴたりと曲がり角の前で足を止めてしまう。

 

「気のせい…かしら」

 

ほんの数秒立ち止まってから、踵を返して向こうへ歩き始める。

コンパクトのミラーをほんの少し出して廊下を覗くと、長い金髪の女の後ろ姿が見えてその手にはアルフレッドと同じようにG3 SG/1バトルライフルが構えられていた。

女性の細腕で反動を制御し切れるとは思えないが、スティーブと同じように線の細かったアルフレッドも連射してみせたので、兄妹なら同じように使えるかもしれない。

私の隣に、その良い例が実際にいるのだから。

 

「急にどうしたんだい?アレクシア」

 

「私の勘違いでしたわ。さあ、お兄様は早く化け物どもの処理を急いでください」

 

「ああ、そちらも気をつけるんだよ」

 

カチャリと扉の開く音がして、部屋を出ていく2人の足音が遠退いていく。

しかし、今度は妹が我々を狙ってくるらしい。

あのホームビデオで悪意の塊のような目付きをしていた女だ。

どうこちらを狙ってくるのか検討もつかない。

それに、アレクシア・アシュフォードはかなりの天才とも前情報で聞いているので、警戒するに越したことはない。

 

先ほどまでアルフレッドとアレクシアの声がしていた部屋はどうやら彼らの私室だったようで、廊下に窓のあった部屋がアルフレッド、その奥がアレクシアの部屋らしい。

鍵が掛かっていなかったので、まずはアルフレッドの部屋を物色することにした。

流石は貴族のおぼっちゃまの暮らす部屋と言ったところか、天鵞絨をふんだんに使用した天蓋付きベッドに高そうな白磁の壺*2が飾ってあったりする。

その中に、少し大きいサイズの木製の箱があり、フォノグラフ(蓄音機)かと思って上蓋を持ち上げるとレコード盤ではなく金属製のオルゴールディスクが入っていた。

 

上蓋を持ち上げると自動的に電源が入るのか、オルゴールが鳴り出し音色を響かせる。

どうやらホームビデオや執務室のオルゴール付き時計でも奏でられていたメロディのようだが、何箇所か音が外れていて全く違う曲に聞こえなくも無い。

正直、耳触りの良い曲では無い。

もしかしたら、どこかにちゃんとしたオルゴールディスクがあるのかも知れないが、この部屋の中には無いようだ。

扉で繋がっている隣のアレクシアの部屋にも行こうとしたのだが、こちらはなんでそんな扉にしたのか不明だが、鋼鉄製の二枚板で出来ておりほぼ隔壁だ。

真ん中で上下に開くタイプで、スイッチや端末を使わないと開かないようだ。

クイックハックを試してみたが、電波の受信部が無いようなので効果が無かった。

 

最悪、タイラントのように壁を打ち抜けば向こうの部屋に行けるか…?

いや、まだやめておこう。

*1
全武器に装備できる改造パーツ。これをつけた武器は非致死性武器に早変わりするが、ショットガンなどと人体切断特性は変わらないので、それが確率で発動すると相手は死ぬ。死体撃ちしても死ぬ

*2
Vは美術品の教養が無いので知らないが、マイセンの飾り壺。価格は1万€$ほど




高評価、お気に入り登録、ご感想いつもありがとうございます!!
誤字脱字訂正も大変有り難いです!

ここら辺から、原作コードベロニカから変更点が多くなっていく予定です。
既に一つ、特大の原作乖離点がありますが…
存在しないギミックも詳細は描写するのが難しいですが、なんとなく脳内で補完して楽しんでいただけると幸いです。

それと、スティーブがだいぶ残念な感じになっていますが、彼の本領はここら辺から発揮される…はず…
それと、現在スティーブはこの作品で生かすか原作通り死ぬかで悩んでいるので、アンケートを取りたいと思います。
個人的には、原作の終わり方はクレアに様々な影響を与え、あれはあれで一つの美しい終わり方だったのでは無いかと思う反面、死んでほしく無かったと思う自分もいるので、折角なら皆さんに委ねてみても良いのではと思っていました。
良かったらご参加頂けると幸いです。

高評価、ご感想お待ちしております!!

今作でスティーブは

  • 生きる
  • 原作通りなんかしらで死ぬ
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