Good Luck , Raccoon City 【第二部始動】   作:持麻呂

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Revenge may take precedence over everything else...


第二十四話 Encounter with the Dead

私邸に来た道を戻り公邸に入ると、廊下にはバンダースナッチが徘徊しており、発達した腕にはここを攻撃して来た襲撃部隊の隊員だと思われる死体を掴んで引き摺っている。

死体の服装は、全身を黒い戦闘服で包んでおり、そこに防弾ベストとチェストリグ、関節各所をパッドで補強しているようだ。

USSのように自らの所属が分かるようなワッペンも付けていないようなので、外見からは何処から来た連中なのか分からない。

 

背中を向けていることを良いことに、背中の中心にタイガークロウズ*1から教わったヤクザキックを叩き込み、背骨ごと内臓をぶち抜く。

トドメに頭を踏み潰して始末し、改めて襲撃部隊の死体を漁る。

ポケットの中には身分のわかりそうなものは1つも入っていない徹底振りで、顔面はバンダースナッチに握り潰されていてグシャグシャになっており判別が付かない。

武装はどこかに行ってしまったのか、サイドアームすら持っておらずチェストリグのマグポーチに刺さっているマガジンから、M14を運用していたようでマークスマンを担っていたのではないかと推測される。

7.62×51mm NATO弾なら、BOWにも対人にもかなりの威力を発揮するので、いざとなったらフルオート射撃も出来るM14を持ってくるのは正解だろう。

まあ、彼はその限りでは無かったようだが。

 

死人がフル装填されたマガジンを持っていても豚に真珠なので、私が貰ってやることにした。

殆どマグチェンジすること無く死んでしまったようで、マガジンが6本そのままになっている。

頭を潰されてしまっているので、バンダースナッチに殺されてしまったのか、ここの守備隊と戦闘をして頭部に致命傷を受けたのか判別付かない。

 

収穫らしい収穫も無しで先に進む。

私邸で金の装飾の鍵を手に入れているので、1階に降りてそちらに向かう。

金の装飾の扉に向かう手前に銀の装飾が施された扉があるので、先にそちらをゴリラアームでこじ開けて中に入った。

銀の装飾の鍵が必要だった部屋は、この施設の幹部たちが使ったであろう会議室になっており、U字型に机が組んであって書類が積んであったりする。

積んである書類はそこまで大した内容では無いが、クリップボードに挟んでプロジェクタースクリーンの前に置いてあった紙には面倒なことが書いてあった。

内容はUSSの警護付きで運び込まれたBOWの件らしく、どうやらかなり厳重な警備態勢で行われた輸送物はタイラントのようだ。

新型のタイラントの輸送について、ここまで厳重にしなくても良いのではないかと警備についたUSSの隊長、HUNKというコードネームの人物が物申していた。

私たちと初めて遭遇した時も、どれだけ努力していたかウンタラカンタラと言っていたので、苦言を呈されるほどに気を配っていた証拠かもしれない。

これもタイラントの運用や研究をしていた証拠品として押収する。

これ以外には特に必要なものは無かったが、観葉植物の代わりなのか部屋の隅にラクーンシティに自生していたものと同じ種類のハーブが、緑と赤の2種類植えてあったので貰っていく。

コイツはサラダにしてもいいし、サンドイッチに挟んでも美味いのだ。

緑と赤を一緒に食べると、なんだか内臓が元気に成る気がする。

内臓の殆どはクロームに置き換わっているというのにだ。

プロが薬研やすり鉢で粉状にして絶妙に調合すると、切り傷や刺し傷なんかもすごい速さで治癒するトンデモ生薬に早変わりするという噂だが、私にはそんな知識も技術も無いので、食べ物に混ぜてしまうしか使い方がない。

 

会議室は粗方漁り終えたので、満を期して金の装飾の鍵を使う。

廊下には何処から入ってきたのか、こちらも解き放たれたらしいハンターが、壁に掛けられた勇ましいポーズをとっているアルフレッドの肖像画をボーッとした表情で凝視していた。

後ろを通っても全く気付かず、爬虫人類然とした感情が窺いにくい表情で眺め続けている。

何をそんなにこの肖像画がハンターを惹きつけるのか分からないが、気付かれないのならそのまま後ろを通って金の装飾が施された扉を鍵で開ける。

 

中に入ると、美術品コーナーのように金色に輝くカップや燭台、皿や壺が安置されて飾られていた。

どれも高そうなものばかりで、金になりそうな美術品にはジョニーも興味があるのか、直近で繁々と眺めている。

金のカップなんかは高そうなので、所持品に仕舞った。

どうせこの島はお終いそうなので、アルフレッドもラクーン事件が解決したら逮捕されそうだし、それなら私がお金に変えて使ってあげた方が有意義と言うものだ。

 

あまり大きいものは取り出した後が大変そうなので、小物のカップや皿、燭台を所持品に仕舞う。

壁には歴代のアシュフォード家当主の大きい肖像画を飾っていて、雛壇のようになっているところに1番大きい肖像画が飾られていて、アルフレッドと思われる少年が椅子に座っている姿が描かれている。

下にはプレートが埋め込まれており、そこには『当主に象徴を捧げよ。さすれば真の当主は現れる』と刻まれていた。

そのプレートには小さいスイッチも付いているので、とりあえず押す。

すると、歴代当主の肖像画の下の壁から何かを載せるための台座が出てくる。

 

「さて、どういう事かしらね。肖像画に関係あるものを台座に置ってことでしょうけど」

 

『まあそうだろうな。V、一枚一枚キチンと見てぇ。前まで移動してくれ』

 

ジョニーがタバコを吸いながら隣に現れて、絵の前まで行くと繁々と観察し始める。

たっぷり2分くらい観察してから次の肖像画に移って、こちらもじっくりと観察する。

私も一緒になって観察すると、各当主の肖像画には必ず陶器や燭台が描かれていることに気付いた。

それも、さっき私が金になると思って所持品に仕舞い込んだものとそっくりなやつがである。

 

「…ジョニー、分かったかも」

 

『おっと、遂に首から上に付いてるものを使うってことを学んだか』

 

初代当主のベロニカ・アシュフォードだと思われる肖像画には、金ピカのカップが描かれているのでカップを置き、並びで皿や燭台、壺、カップを取り出して並べていく。

全ての肖像画に描かれている物と同じ物を並べ終わるが、何も起きない。

私の推理が間違っていたのだろうか。

 

『忘れもんがあんぞ』

 

ジョニーに指摘されて指差される方を見ると、いつの間にかアルフレッドの肖像画のところにも台座が現れていた。

しかし、アルフレッドの肖像画には何もアイテムが描かれていない。

はて困ったと思って、何か付近にヒントになりそうな物を探す。

 

肖像画の裏に何かないかと思い、ベロニカや各当主の肖像画を壁から外そうとするが、しっかり固定されていて外せなかった。

だが、アルフレッドの大きい肖像画は下側が固定されておらず、下側を持ち上げて裏を覗き込むと手紙の束のようなものが見つかる。

どうやらアシュフォード家に仕えていた執事が、当主になったアルフレッドに向けて宛てたお祝いの手紙のようだ。

 

そこには、ツラツラと歴代当主の偉業を褒め称える内容と当主継承に当たって祝いの品を贈らせてもらうこと、先代当主が傾けてしまった家門の再興をどうぞ成し遂げてほしいとの願いが書き連ねてあった。

その中に、慣例として当主に贈られている品として、白磁の壺が執事から贈られている事が書いてあり、もしかしてと思いアルフレッドの部屋から持ってきた壺を取り出して、肖像画の台座に置いてみる。

するとどうやら正解だったようで、部屋全体にあの執務室で聞いたオルゴールの音が何処からか流れてきて、アルフレッドの肖像画が飾ってある壁がズレて回転し、裏側からアレクシアと思われる少女の肖像画が現れた。

とんでもないギミックだ。

無駄なところに金を掛けすぎているから、アルフレッドになっても凋落気味なのではないかと思い始めてきた。

 

アレクシアの肖像画の下にはプレートが嵌っており、『真の当主、アレクシア・アシュフォードに捧げる』と書いてあり、その手間の台座には見事な色彩の壺が飾られており、それを手に取る。

なにやらスキャンに反応があるので、壺の中を覗いてみると底の方にスイッチがあるのが見えた。

押しボタン式のそれを押し込むと、カチリと何かのロックが外れる音がする。

部屋の中からその音は聞こえてきたので、壺を所持品に仕舞ってから何処のロックが外れたのかを探さなくてはならない。

あっちこっち探したが、なんてことは無く、アレクシアの肖像画のプレートにもスイッチが付いており、これを押すことでアレクシアの肖像画の前の床が割れてオルゴールが出てくる仕掛けだったようだ。

 

訳の分からない仕掛けばっかり作りやがってと頭に来ながらも、オルゴールの蓋を開けるとオルゴールディスクが入っていた。

これが正しいオルゴールディスクなのだろう。

壊さないようにオルゴールディスクを外す。

すると、カチャリと扉の鍵が自動で施錠されて、床の脇にある通気口から緑色の如何にも毒ガスのような煙が出てくるので、オルゴールディスクを元に戻すとガスが止まり、扉の鍵も解除された。

 

どうやら、なんでも良いのでオルゴールディスクを嵌めておかないといけないらしい。

アルフレッドの部屋から音の外れたオルゴールディスクを持ってきてないので、今から私邸に取りに行くのも面倒くさい。

ここは強行突破あるのみである。

再びオルゴールディスクを取ると、扉の施錠と毒ガスの放出が再開されるので、そのまま施錠された扉を思いっきり殴り付けて蝶番ごと扉を破壊する。

正規の出かたではないので、毒ガスの放出は止まる様子はない。

そのうちこの通路自体が毒ガスで充満しそうなので、さっさと私邸のアルフレッドの部屋にオルゴールディスクをセットしに向かった方がいいだろう。

そう思った時に、重く大きい銃の発射音が聞こえてきた。

無意識的にヌエの発砲音だとわかる。

 

この時代にヌエを持っているのは、私とスティーブ、そして返してもらい忘れてそのままになってしまったFOXの3人しかいない。

音はすぐ近くから聞こえたので、発砲音のした方に向かってサンデヴィスタンを使い急ぎ向かう。

発動中にももう1発音が聞こえたので、それが公邸の外から聞こえた事がはっきりと分かった。

 

どうにかして、2人は私邸の閉じ込められた部屋から抜け出して来れたらしい。

心配していたので良かった。

 

「やめろ!クレアに近付くんじゃねえ!!…ぐぁっ!?」

 

スティーブの切羽詰まったような声が聞こえてきたので、もしかしたらバンダースナッチやハンターと言ったBOWに襲われているかもしれないので、急いで公邸のメインホールの扉を蹴破る勢いで開く。

そこで目に飛び込んできた光景は、公邸の前庭のど真ん中でクレアを庇う位置に居たスティーブが、何者かに片手で首を掴まれて持ち上げられているところだった。

 

「ふん、ナイトごっこはここ迄のようだな。子供の遊びは終わりだ。所詮、力の無い凡人は奪われるしかない」

 

そのままスティーブは横に投げ捨てられ、石で出来た手摺に背中を強く打ち付けられて動かなくなってしまう。

 

「スティーブ!!」

 

クレアが叫び、下手人に向かって銃を撃つが素早く左右に避けて銃弾を躱し、手に持ったM93Rを回し蹴りで弾き飛ばす。

その勢いで地面に倒れたクレアに向かって手を掛けようとしたところで、その相手が私の存在に気付いた。

私は既にカーネイジGUTSを構えており、そのままクレアに触った瞬間挽肉に変えてやるつもりだったが、私が大型のショットガンを構えているのを見てその動作をやめたので、私も一旦撃つのを控えた。

正確には、その相手に見覚えがあったからというのも大きい。

 

「あら、何処かで見覚えがある顔だと思ったら、アルバートじゃない。アンタ死んだんじゃなかったの?」

 

そこに居たのは、たまにスターズの面々と共にBar Jackに来ては、カウンターで静かにウィスキーのロックを傾けていたサングラスの男、アルバート・ウェスカーその人だった。

ジルとクリスからは、洋館の研究所でタイラントに土手っ腹をぶち抜かれて死んだと聞き及んでいたが、どう見てもピンピンしているどころかサンデヴィスタンのような動きをしていた。

一体全体、どうなっているのか混乱している。

 

「……誰かと思えば、バーテンダーのVか。何故貴様がここにいる」

 

ウェスカーがサングラスをクイっと片手で持ち上げて、サングラス越しに私を真っ直ぐと見つめてくる。

突然現れた私にかなり警戒しているのか、すぐさま動こうとせず、こちらの出方を窺っているらしい。

アルバートの重心が移動しそうになると、私が機先を制してカーネイジGUTSの銃口を向かうであろう方向にピクリと動かすので、動くに動けないのかもしれない。

幾ら銃弾を避けれると言っても、無数に散らばる散弾を全て避けるのは至難の業だろう。

 

それでも、顔からは余裕さが滲み出ている。

自分なら全て避け切れると、そう堅く信じている証拠だ。

 

「質問に質問で返されても困るわ。しかもさっきの動きを見るに、随分と逞しい力を得たみたいね」

 

「そうだ。それでもまだまだ強化し足りないがな。しかし、ラクーンでも思っていたが、やはり記憶喪失でも只者でも無かったか」

 

「記憶喪失は本当よ?*2昔のことは何も覚えていないわ。*3そんなことより、アルバートは何をしにこの島に来たわけ?」

 

痛い腹をこれ以上突かれても面白くないので、強引に話を変える。

その間に、クレアが少しずつ這いずって私の方に下がってくるのを援護する。

 

「私がそう易々口を開くと思うのか?何処の所属か不明な貴様に渡す情報など無い。しかし…」

 

急にシナプス加速器が起動する。

アルバートがカーネイジGUTSの射線から逃れて、こちらにハンドガンの銃口を向けていた。

既に銃口から弾丸が発射されているのが加速状態なので分かり、弾丸が避けれるのが自分だけじゃないこと教えてやることにする。

そのままサンデヴィスタンを発動させて弾を歩いて避け、そのまま近付く。

私程の加速ではないが、アルバートもサンデヴィスタンでも積んでいるのか、加速中でもゆっくりと動いて私から離れようとしているのが分かる。

 

私はアルバートを殺すつもりは今のところないので、後ろに下がらせるつもりで軽く胸を押し出す。

サンデヴィスタンを停止させると、ドンッという音と共にアルバートが後ろに吹っ飛んでいき、空中で一捻りして器用に着地した。

そんなに強く押したつもりはないが、その場で膝をついたアルバートが軽く喀血する。

口の端に着いた血を袖で拭い、少し胸を庇うようにして立ち上がったアルバートは、棒立ちのままの私を警戒して動けないようだ。

 

サングラスが何処かに飛んでいっており、久しぶりに見た素顔のアルバートが私を睨むようにして、荒い息を吐き出している。

その瞳は昔のように青くは無く、アルビノのように赤い瞳をしていた。

 

「アルバート、随分と人間を辞めちゃったみたいね。ナチュラル*4なのに良くやるわ」

 

「ウィルスで強化されている私よりも速く動くとは……本当に何者だ?」

 

もうダメージを回復させたのか、すくっと立ち上がったアルバートが眼を赤く光らせながら聞いてくる。

 

「ちょっと強いだけのバーテンよ。それで、まだ遊ぶ?」

 

「……ふん、私にはそんな時間はない。クリスの妹はくれてやる。ここに居たのは想定外だが、クリスをここに誘き寄せてくれたからな」

 

「感動の再会ね。私は興味ないし、男同士のくんずほぐれつも好きじゃないから、勝手にすると良いわ」

 

私は人の性的嗜好を否定はしないが、ボーイズラブは趣味ではない。

 

「…待て、何を勘違いしている。私はヤツに復讐を果たすだけだ」

 

「兄さんに何をするつもり!」

 

アルバートが兄のクリスに復讐をすると言うのを聞いて、クレアが立ち上がってアルバートに声を張り上げる。

 

「この島がヤツの墓標となるだけだ。邪魔をするなよ。その時は誰であろうと殺す」

 

そう言って身体についた埃を払った後、こちらを一瞥してから走り去っていった。

一体何がしたかったのか分からないが、擦り傷だらけのクレアを一旦座らせて、倒れているスティーブの様子を見に行く。

横に跪いてスキャンをすると、打撲だけでほねはおれてはいなかった。

強く背中を打ち付けられて気絶しているだけだったので、ジェットを打ち込んで起きた時に痛みだけでも分からないようにしてやる。

それから仰向けにして、窒息しないようにだけしておいた。

 

「スティーブは…大丈夫だった?」

 

「打撲で済んでいたわね。意外に頑丈よあの小僧」

 

「こ、小僧って……でも、スティーブが居て助かった。1人だと解けないギミックもあったりしたのよ」

 

どうやら、あの後部屋にバンダースナッチが隠し扉があったらしい壁を壊して入ってきて、それを撃退しながら逃げ回っていたらしい。

その先は拷問部屋のようなところに繋がっていて、かなり苦労したようだ。

スティーブも父親がゾンビ化しているところに遭遇しても、クレアを守るために奮闘したとか。

案外彼もやる時はやるらしい。

少しだけ見直した。

 

*1
ジャパンタウン周辺を支配しているギャングの一派。漢字で書くと虎鉤衆。アニメ・エッジランナーズだとまんまAKIRAに出て来そうな暴走族にしか見えない。決して阪神タイガークロウズと言ってはいけない(戒め)

*2
もちろん嘘

*3
大嘘

*4
ここでの意味は、インプラントやクロームでサイバネ化をしていないという意味




いつもお気に入り登録、ご感想ありがとうございます!!
誤字訂正も助かっております…

ギミックだけで話の半分使ってるって…マ?
バイオに出てきそうなギミック考えるのって、意外に面白いですね。
文章にするとだいぶ変な感じしますが…

そしてVにゴリラとのカップリングを想像され、ホモォだと誤解されるウェスカーの図であった

高評価、ご感想お待ちしてます!
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