Good Luck , Raccoon City 【第二部始動】   作:持麻呂

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Memories are meant to be hidden. People are always eager to uncover them...


第二十五話 Hidden Room

スティーブは相変わらず気絶しているままだが、そう遠くないうちに目覚めるだろう。

多分放っておいても大丈夫だ。

自分のことを身を挺して庇ってくれたスティーブをクレアも見直したのか、わざわざ膝枕なんかしてスティーブが目を覚ますのを待っている。

 

その間、キロシを使って周囲をスキャンし、バンダースナッチやウェスカーの仲間連中がひょっこりと現れても良いように警戒しておく。

10分ほどで、うっ!と呻いてスティーブが目を覚まし、喉を押さえて咳き込みながら上半身を起こす。

 

「スティーブ!良かった!」

 

「ク、クレア……アイツは、どうなったんだ?」

 

「Vがやっつけてくれたわ。あなたが、Vが来るまで時間を稼いでくれたからよ」

 

ありがとうと言って、先に立ち上がったクレアがスティーブを引っ張り起こした。

なんとか立ち上がったスティーブは、自分の身体が全然痛くないことに不思議そうな顔をして、身体のあっちこっちを触って確かめている。

ここから脱出した後は、暫く地獄を味わう事になるが今は良いだろう。

 

そばに落ちていたヌエを拾って、スティーブにしっかりと手渡す。

 

「意外にちゃんとクレアを守ってたのね。ちょっとだけ見直したわ」

 

「ちょっとだけかよ!…いや、まぁ…最後は手も足も出なかったけどよ」

 

まぁ、今回は相手が悪かったので仕方ない。

 

「死んでないだけ、良くやったんじゃない?ほら、肩落とさないでしっかりしなさいよ。まだ終わってないんだから」

 

2人の擦り傷に救急スプレーを吹き掛けて、簡単に怪我の手当てを済ませる。

アンブレラ製だが、他社のものに比べると救急スプレーの性能は1番高いのではないだろうか。

連中のものは、これに関しては信用できると思っている。

 

歩けるようになった2人を連れて、再び私邸に向かう。

先ほど金の装飾のある扉の部屋で手に入れたオルゴールディスクを使えば、何かギミックが動く気がするからだ。

再び行く道はすでに死体しか無く、スムーズに私邸に着いた。

だが、私邸の扉は固く閉ざされており、内側から塞がれているのか鍵が掛かっているらしい。

思いっきり扉を蹴ってみるが、扉はびくともしないので、もしかしたら後ろ側に隔壁でも降りているのかもしれない。

一階の窓も装甲シャッターのようなものが降りていて、外部からの侵入を拒んでいる。

 

「さて、どうやって中に入ろうかしらね」

 

キロシのスキャンモードをサーマルモードに切り替えると、壁の内側に通っている配線の束が熱を持っているのか壁の色が変わって見える。

やはり玄関扉も隔壁が裏側にあったようで、その配線が窓の装甲シャッターの配線と合流して私邸の側面に伸びているのが分かった。

なんでそういう作りにしたのか分からないが、制御盤は室内にあるらしいが配電盤が外に出ていたのだ。

 

パカっと開けると、開閉制御の信号を送るリレーのバイパス機と各シャッターに電力を供給する配線が集中して束ねられていた。

 

「おっと、これはこれは」

 

『おっと、これは不用心に不注意だな。設置の時によく確認しなかったのか?』

 

ジョニーが頭の中から、私の視界を通して配電盤の中を覗いているらしい。

 

『これに関しては部下任せだったんじゃない?それか、発注したのが神経質なアルフレッドじゃなくてアレクシアだったとか』

 

『有り得そうだな。まぁ、今の俺たちにとっては都合がいい』

 

ブルーファングを取り出し、リレーバイパス機の蓋を刃先で慎重にこじ開け、制御盤側の信号が伝達される線を切断して、リレーバイパス機側の断面に手のひらから伸ばしたケーブルの端子を押し付け電気信号を送る事で、この配電盤から制御している装甲シャッターと隔壁を全開放した。

それから、電力側のケーブルを切断して簡単には直せないようにしておく。

こういう嫌がらせを怠らないと、相手には地味に効くのだ。

 

ガラガラと一階の窓の装甲シャッターが次々開いたので、わざと正面玄関から入らないで何処かの部屋の窓ガラスを破り、そこから中に入った。

侵入した部屋は、ここで昔働いていたであろうメイドだかの使用人が暮らしていた部屋のようで、シーツでフレーム丸ごと目張りされたベッドと古い埃まみれのドレッサーしかない殺風景な部屋だ。

手のひらで窓枠に残った鋭いガラス片を全て壊し取り、クレアとスティーブが部屋の中に入るのを手伝う。

 

そっと扉を開いて廊下の中を覗いてみると、私が惨殺したバンダースナッチ3体の死体が転がっているだけで、敵の姿は見えない。

そっと外に出ると、ゾンビやバンダースナッチといったBOWや人の足音ひとつ聞こえないので、問題無いと判断して先に進む。

もちろん私が先頭で、危なげなスティーブを真ん中にして、クレアが殿という順番だ。

メインロビーに出ると、突然銃撃を受けたので手に持ったままのブルーファングでなんとか1発は弾き飛ばし、すぐに前転して廊下に隠れる事で射線を切った。

コンパクトでそっと確認すると、ここもセントリーガンが隠されていたようで、公邸と同じようにクイックハックで1台を味方に付け、射線が通っているところのセントリーガンを破壊させる。

 

こちら側からも死角に入っているセントリーガンは、上手い事EMPグレネードを投げ付けて過電流で基盤を焼き、無力化した。

しかし、一部の照明も一緒に壊れてしまい、階段を登った先の通路が暗くなっている。

 

「なあ、V。さっきナイフで銃弾を弾かなかった?それ、どうやったら出来るんだ?」

 

スティーブがまるでNINJAでも見た男の子のように、目を輝かせて聞いてくるので肩をすくめる。

 

「気合いよ」

 

「気合い…」

 

クロームやインプラントの説明をするわけにもいかないし、半ば実際にそうとしか言えないので、少し唖然としているスティーブを置いて階段を上がった。

 

一応歩きながらキロシでスキャンしていると、監視カメラがメインロビーの天井に吊るしてある趣味の悪いシャンデリアに反応があったので、それをユニティで撃って破壊する。

かなり小型のようだったので、スキャンにも引っ掛かり難かったらしい。

2階の廊下に通じる扉を開ける時には、さっきのことを警戒して壁に寄り、扉の前に立たずそこからドアノブに手を伸ばして捻り、パッと扉だけ開くと案の定待ち伏せされていたようで、開きかけの扉を粉砕するように銃弾の雨霰が襲い、扉は粉々に砕け散った。

もし扉の前に立っていたら、ソイツは蜂の巣にされていただろう。

 

すぐに扉の向こうからは待ち伏せを失敗したことを悟った何者かが、廊下の奥に走り去る足音が聞こえた。

クレアがそれを聞いて、後を追いかけようと廊下に侵入しようとしたので、慌てて入り口の反対側に立っていた私が腕を伸ばして押し戻すと、再び銃弾が浴びせ掛けられる。

すぐに腕を引っ込ませたが、そのうちの1発が手の甲に当たって跳弾した。

当たった角度が良かったのか、リアルスキンも禿げずに済む。

 

コンパクトをさっきと同じようにそっと差し込んで様子を見ると、設置型のセントリーガンが一門入り口の方をじっと睨んでいるのが見えた。

さっきの足音はアレクシアだと思うが、中々に嫌らしい二段構えをしてくれる。

EMPグレネードは意外に効果範囲が広いので、室内のギミックにまで影響を及ぼして破壊されては困る。

なので今度はフラググレネードを投げ入れて破壊を試みた。

この爆風かなにかで、セントリーガンが倒れたりしてくれるだけでも儲け物だ。

 

ドンッという音と共に、フラググレネードの破片があっちこっちに跳ね返りながら、扉が壊されて無い廊下の入り口からも幾つか外に飛び出して行った。

煙がまだモヤモヤと漂っている間にコンパクトで見ると、あっちこっちを破壊されて変形した状態で横倒しになっているセントリーガンの姿が見える。

無事に無力化出来ているようだ。

 

2人に合図をして、廊下の中に侵入しようとすると廊下の照明がパッと消えてしまう。

この廊下は外に繋がる窓がないので、奥は真っ暗だろう。

所持品の中から、タクティカルライトを取り出して2人に渡しておく。

私は片目だけサーマルモードにして、先導しながら暗い廊下に入った。

何があるか分からないので、サーマルモードだけで満足はせず、用心のためにスキャンをしながら廊下を進んでいくと、案の定壁に沿って置いてある小さいキャビネットの足元からワイヤートラップが伸びており、辿っていくとキャビネットの下から内部に続いているのがわかる。

 

キャビネットの棚を開けて中がどうなっているのか慎重に確認しようとしたら、少し引っ掛かるような微かな重みを感じたので、開けるのをやめる。

スキャンするが、キャビネットの中には爆発物が入っていることしか分からないので、解除しようとするやつをハメるためのトラップが仕掛けられていないとも言えないからだ。

私だって、至近距離で高性能爆弾が爆発でもしたら、大怪我間違い無しだし、死ぬ可能性だってある。

まぁ、サンデヴィスタンをオーバーロードさせれば爆発の衝撃波よりも早く動いて逃げることは不可能ではないが…

流石に2人も担いでは難しいかもしれない。

 

「ここにワイヤートラップがある。引っ掛かると、そのキャビネットが爆発するみたいだから、絶対にここに貼ってあるワイヤーには引っ掛からないで」

 

タクティカルライトの光を浴びせて、ワイヤーの存在と位置を2人に教える。

後ろからこちらを覗き込んでいるので、しっかりと視認できたようだ。

 

私が先に進むと、スティーブは少し大袈裟なくらいにしっかりとワイヤーを跨ぎ、クレアもライトの光を浴びせながら慎重に跨ぎ切った。

 

他の部屋には入らず、真っ直ぐにアルフレッドの部屋に入ることにする。

しっかりと罠が設置されていないかを確認してから、扉の前に立たずにそっと扉を開ける。

部屋の中からは攻撃を受けることはなく、アレクシアの姿も見えない。

 

扉を開けっぱなしにしたままで、よくよく部屋の中を探すが、部屋の中のどこかに隠れているというのはなさそうだ。

なので、早速入手したオルゴールディスクをセットして再生してみる。

例の曲がオルゴールで演奏されて、演奏が終わったと同時に天蓋付きベッドの天蓋がゆっくりと降下してきた。

下に降り切ったと同時に、隠されていた天井の片隅がパカリと四角く開き、伸縮型の梯子が降りてくる。

どうやら、ここから上の階に行けるらしい。

 

スティーブとクレアを下で待たせて、私が先行して上に行くことにした。

梯子を登っていくと、円筒形の筒の中に入っていくような形になり、左側面のところが大きく開閉するようになっているようなので、片側を外して筒から出る。

外は小さいメリーゴーランドのようになっており、壁際には古い玩具やアルバムのようなもの、ちょっとした小物類なんかも置いてあり、どれも埃は被っていないので定期的に掃除しているのがみて取れる。

 

ここは平気そうなので、2人に上がってくるよう指示して自分は物色に戻った。

壁には大きな蟻の絵が書いてあり、口の辺りに特殊な形状をした鍵穴があるので、これを使うと更にギミックが動くらしい。

さて、この形状の鍵穴にふさわしい鍵を探さなくてはならないが、これまた鍵の在処なんか見当もつかない。

ここを普段使いしているのなら、鍵は本人達が持ち歩いていたとしてもおかしくはなく、もしそうなら彼らを探し出して鍵を奪い取るしか無くなるのだが、逃げ隠れしてしまっているので相当骨が折れるだろう。

そんな面倒なことはなるべくしたくはないので、近くにスペアキー的なそれっぽいものが無いか、梯子を登ってきてあっちこっちをキョロキョロしている2人に探させる。

 

その間、私は玩具や小物類にそれっぽいものが無いかを探していると、スティーブがジーっと古い大きな置き時計を眺めていて、何かに気付いたのか、あっと声を出した。

 

「V!ちょっとこれ見てくれよ」

 

「どれ?」

 

「ほら、これなんだけどよ。なんかビビッと来たんだよな」

 

大きな置き時計の文字盤にピッタリと嵌め込まれているトンボの模型があった。

よくよく見てみると、羽は文字盤に描かれている絵のようで、胴体の部分が立体的なので何か金属のようなもので作られているらしい。

トンボのお尻の先をさらによく見てみると、何やら凹凸のような形になっているのがわかった。

 

「これ、どうやって取り出すんだ?」

 

スティーブが文字盤のガラス蓋を外そうとするのだが、しっかりと鍵が掛かっていて開きそうに無い。

 

「どうって、こうやるのよ」

 

ガラス面を拳で殴って粉々に破り、文字盤も変形させて無理矢理トンボの胴体部分を毟り取った。

これが使えるなら、この手に限る。

 

やはり予想した通り、トンボの尾先は鍵状になっていた。

クレアはなんとなく予想していたようで、早く解決して良かったと言った風な顔をしている。

対して、スティーブはここまでに何度も使ったというのに、まさか物理的解決するとは思っていなかったようで、唖然としている。

 

「ほら、次に行くわよ」

 

早速トンボの鍵を蟻の絵の鍵穴に差し込んで、ゆっくりと回すとガチャリと鍵が180度周り、何かの機構が動き出す音がした。

壁から離れて少し待つと、蟻の絵が中心から90度回転して、向こう側に書斎が現れる。

石材で出来た壁が、一階ならいざ知らずまたこんな風に動くとは思ってもいなかったので、ギミックへの金の掛けようが本気に心配になってきてしまった。

こんなことにばっかり金をかけ過ぎて、大丈夫なのかこの家…

 

「どれどれ、何か金目…じゃなくて役に立ちそうなものは置いてあるかしらね」

 

3人で手分けしながら、デスクの引き出しの中や本棚にあるそれっぽい本、ショーケースに収められている戦車や戦闘機、軍艦のプラモデルなどを物色していく。

ここにも壺やら花瓶やらが飾ってあるので、中を覗いたり底を見たりするが特にスイッチがあったり、物が入っていたりするようなことはなかった。

 

部屋の片隅に腰くらいの高さのコンテナがあったので、蓋を開けて中を覗いても何も入っておらず、ここまで頑張って来てみたが取り越し苦労かと、思ってしまう。

すると、クレアがそのコンテナを本棚の方に押しやってその上に立ち、棚の上を覗いて腕を伸ばし何かを掴んだのが見える。

引き戻したその手には、宝石箱のような30cm×20cm四方の箱がしっかりと掴まれていた。

 

クレアの手をスティーブが取ってコンテナから降りる補助をして、3人でデスクの周りに集まり中に何が入っているのかを確認する。

蓋を開けると、中には見覚えのある六角形のプレートが2枚出て来た。

それぞれ、表側に軍艦と戦闘機のエングレーブが施されている。

差し詰め、海軍のプレートと空軍のプレートとでも言おうか。

 

これでプレートは3枚集まったことになるが、まだ何に使うのかさっぱりわからない。

ここに来て、意味深な何に使うのかわからない物ばっかり手に入るので、なんかそれっぽいものをとりあえず拾ってしまいそうになる。

なので、決して壺を所持品に仕舞うのは私服を肥そうとしているのではなく、この先のギミックで使うかもしれないから仕舞い込んでいるのだ。

私は悪く無い。

 

ある程度探し終えた後、私邸に残された探していない場所はアルフレッドの部屋から行くことができるアレクシアの私室だけとなる。

ここに来るまでに、何か扉を開けるためのスイッチやコンソール、鍵穴のような物を見つけていない。

デスクの前でどうやったら入ることができるのかを考えていると、小さくカタンという音を耳の集音器が捉えた。

また小さくカタンと音が鳴ったが、小さくてクレアとスティーブは聞こえていないようで、ここのギミックは難しいとか話している。

 

息と足音を殺して、音の鳴る方向であるメリーゴーランドの中心軸。

つまり、ここに上がってくるための梯子の出入り口に近付く。

耳を澄ますと、やはりゆっくりとジリジリ登って来ているようだ。

ここに我々がいるという事自体はバレているらしい。

私は太い中心軸の側面にピッタリと張り付き、何者かが梯子を登り切るのを待った。




高評価、ご感想、お気に入り登録ありがとうございます!!
誤字訂正もありがとうございます!!
書くのに必死でいつも手が回らず…_:(´ཀ`」 ∠):

更新に少し時間が空いてしまいすみませんでした。
ちょっとコードベロニカ編に煮詰まって来ていて、筆が伸び悩みました。
個人的には早くレクイエムだかに入りたいので、さっさと脱出してもらいたいところです。


それと、個人的な暇つぶしにAIに書かせてみた小説を投稿してみたので、良かったら覗いてみてもらえたら幸いです。
ちなみに、古のなろう風味になっております…

終紋の王
https://syosetu.org/novel/414555/

使ってみて思ったのが、これは小説家とかIT系の仕事無くなるわって感想でしたね…
一応、こちらは1日2回ほどの更新予定です。
一話30秒くらいで出来るのはズル過ぎだろ…
尚、こちらでは一切使用するつもりはありませんので、ご安心?下さい。
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