Good Luck , Raccoon City 【第二部始動】   作:持麻呂

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We always live alongside our small neighbors, even if they are evil …


第五話 Inhabitants of the Water

ジル達スターズの生き残りから様々な証言や話を聞き終わったアリッサとベンは、空が明るくなって来た頃にまた詳しく話を聞かせてほしいと、次の取材の約束をして帰って行った。

私は出て行った彼らの背中を追いかけて、開示しても良いと思ったアンブレラの悪事の証拠を記録したCDと呼ばれる円盤状の記録媒体をアリッサに渡す。

 

「これは?」

 

「私はちょっとコンピュータに強くてね。それはアンブレラの社内ネットワークから頂戴したデータの一部」

 

「おいおい、どうやってそんなモン手に入れたんだ?あそこのネットワークは外部とは切り離されているだろ」

 

どうやらベンは、アンブレラに対して情報を抜く為にクラッキングを仕掛けたことがあるようだ。

 

「それは企業秘密ってヤツ。私のことは今はどうだっていいでしょう?とにかくそれを持ってベン、アンタはこの街から出たほうがいいわ。気付いてないかもしれないけど、アイアンズにずっと監視されてる。このままだとこの街から生きて帰れなくなるでしょうね」

 

向こうの角に警官が2人こちらを見ているが、ラクーンシティ警察署に配属されている警察官じゃない。

こういう時にスキャンで身元が分からないのがもどかしいが、少なくとも警察署に勤務していない警察官なのはわかる。

ベンとアリッサが店内に入って来た時も、窓の外にこちらを伺っている人物の姿が見えたので、尾行はあの2人だけじゃないのは確かだ。

 

「……手が早いな」

 

「こういうことに関しては、アイアンズは無能じゃない。舐めていると一瞬で足元を掬われるわよ」

 

「分かった。なるべく早く出て行くつもりだが…まだやらなきゃいけない仕事が残ってる」

 

「そう、それなら精々捕まらないようにすることね。アシュクロフトさんに渡したデータがあれば十分だろうから、下手に動かないほうが良いとだけ言っておくわ」

 

「あの…ご協力、ありがとうございます」

 

「もしアンブレラに対して訴訟を起こすときは、もっとすごい情報をロハであげてもいい。それまで、2人とも死なないことね」

 

それじゃと言って2人と別れ、私は店内に戻った。

 

 

 

それから暫くして、バリーは休職して家族をアメリカ以外の場所に亡命させるべく、一時的にラクーンシティから離れて行った。

うら若く10人中9人は振り向きそうな美少女のレベッカは、アイアンズに何かと因縁をつけられたり、アイアンズの息が掛かった警官達からセクハラ紛いのことをされたりとRPDに居づらくなってしまったので、兼ねてより大学院の博士課程に招聘されていた西オーストラリア州のフィロソフィー大学に入学することにして、8月の上旬にはラクーンシティを出て行ってしまった。

本人はアンブレラと最後まで戦うと言っていたのだが、スターズの大人達はそれを良しとせず、20歳にもなってない若者の未来を復讐のために費やすべきではないと、涙を流すレベッカを説得して送り出したのだ。

 

クリスは私が提供した情報と、本人が得た情報を頼りに洋館事件の追加調査と称してヨーロッパへと旅立って行った。

私が情報を提供していなければ、彼は後の大事件の時にヨーロッパに行っていなかったかもしれない。

彼がその時にいれば、もっと状況は楽だったかもしれないのに…

 

リチャードは受けた傷の程度がひどかったので、命は助かったが少し後遺症が残ってしまい、スターズを退職して故郷でリハビリに励むことになった。

 

結果、洋館事件後もラクーンシティに残ったスターズメンバーは、ジル、ケネス、エドワード、ブラッドの4人だけだ。

とはいえ、ブラッドは洋館事件の当事者ではあるが、事件に深く関わっているわけではなく、大っぴらに動いて職を失うことを恐れてあまり他のスターズの面々と顔を合わせないようにしているらしい。

それでも、ジル曰く裏ではかなりジルの手助けをしているらしいので、臆病なだけで彼も一端の正義感を持った警察官ではあるようだ。

ラクーンシティに残ったスターズの生き残りは4人いるので、監視の目は4分割されてはいるが、何をしでかすか分からないジルを監視している目が1番多いので、ビクビクとして縮こまりながら生活している風のブラッドは監視の目が緩く、実は1番動きやすかったとか。

まぁブラッドは、当事者本人は気付いていないかもしれないが、ジルに気があるようなので進んで手伝うのは当然かもしれない。

 

 

 

8月の中旬頃から、ラクーンシティ郊外だけでなく市内でも奇怪な事件やバケモノの目撃情報が相次ぐようになって来た。

市内は恐怖が緩やかに市民達に浸透して来ており、危機的意識が高い人や臆病な人、神経質や身軽な人は緩やかにラクーンシティからの脱出を始めている。

8割近くがアンブレラ関連の企業で仕事をしており、何が起きてもアンブレラが何とかしてくれるといまだに思っている市民が大多数なため、このくらいの事件で逃げ出すなんてと出て行った人達の背中に後ろ指を刺していたりと、救いようのない連中が多い。

 

9月に入ってからは更に顕著になって行った。

事態は急速に悪化していると言っても過言ではない。

こうなるといつどうなるかも分からないので、Bar Jackの唯一のウェイトレスであるキャサリンを説得してラクーンシティから出て行かせた。

現役大学生だったので、最初は在籍しているラクーン大学を中退するのを嫌がったが、大学のクソ雑魚ICEコンピュータにチョチョイのチョイと入り込んで、返済不要奨学金付きでカルフォルニア大学へ編入になるように調整してやり、コネを使ってタダで入れるけどどうすると囁けば1発だった。

チョロい。

ただし、彼女の両親は職場があるラクーンシティから離れるという決断をできなかったため、彼女単身での移動となった。

こうして、いまのBar Jackには私とマスターしか居ない。

マスターも避難を勧めたのだが、自分の店を持っているので、この店を去るのはラクーンシティが無くなる時か死んだ時くらいなんて笑いながら格好つけたことを言って、避難をしなかった。

ここらへんは、同じく自分の店を構えているロバートも思うところがあったらしく、何となく同意していたが、ロバートがここに残り続けている理由は異変があった時に、市民が自身の身を守るために武器を買える店が多い方がいいと言うことらしい。

ハッキリ言って理解に苦しむ。

エマがいるのだから、さっさとアンタも避難しろと言っているのだが、俺に何かあった時はエマを頼むとしか言って聞かないので困ったものだ。

 

RPDやアンブレラの連中がどう考えているか分からないが、日に日に飼い犬の惨殺や凶暴な動物に襲われるといった事件が郊外から都市中心部に向かって進みつつあり、それに対してアイアンズは対策を取るどころかもみ消すような行動ばかりをとっている。

知り合いの警察官達には悪いが、そろそろヤツを始末する必要があるかもしれない。

このままだと、致命的な状況に至った時にその事態にトドメを刺して現場を終わらせるような事を平気で取りかねないからだ。

私はロバートに何かあった場合はエマを頼まれている以上、少しでも周りに戦力になるような人間がいた方が都合が良い。

私は決断した。

 

 

 

9月8日ーーー

 

今日決行することにした。

アイアンズに消えてもらうにしても、誰かに死体が見つかってしまうと面倒なので、あのワニに処理してもらうことにする。

汚職の証拠を複数個用意して、光学迷彩で誰にも見つからないように署長室の机の上に置いて来た。

そこには、連邦裁判所やFBIにアンブレラとの癒着ごとバラされたくなければ、例の路地裏に来るようにと書き添えてある。

ヤツは必ず来るだろう。

ただし、どこかに部下を潜ませたり武器を隠し持ってくるだろうから、アイアンズ本人にも気付かれずに手早くやる必要がある。

 

 

夜の路地裏に、アイアンズが1人でやって来た。

 

「出て来い!誰だか知らんが、言われた通りに1人で来てやったぞ!目的は何だ!!」

 

辺りを確かめるように、左右を見回すがその程度では私の姿を捉えることはできない。

手製の監視カメラから表通りを確認すると、数台の車が止まっており、制服こそ着ていないがヤツの部下と思われる男達が10人くらい屯っている事を確認する。

バカめ、通行人ならともかく何の目的も無く路地裏の入り口にそんな人数が屯するわけないだろうに。

 

光学迷彩を起動したまま、暗がりから目の前に写真付きの紙束を投げ入れる。

 

「なっ、どこから!?姿を見せろ、クソ!」

 

悪態を吐きながら、アイアンズは投げられたソレを拾い上げて確認しようと屈んだ隙に、背後に回り込んで首の骨をへし折った。

路地裏にボクリと鈍い骨の折れる音がするが、表通りを走る車の音で掻き消されて外までは聞こえないだろう。

ヤツの部下が様子を見に来る前に、アイアンズの死体を担いでマンホールを開け、下水道の中に入り込む。

少しだけ進み、通路の上にアイアンズの死体を降ろす。

そして、その近くに玩具屋で買って来たシンバルを持つサルのオモチャを置いた。

背中のゼンマイ巻くと、けたたましく両の手のシンバルを叩いて自分の存在を周囲にアピールし始める。

狭い下水道の中を反響して、かなり遠くまで音は届くだろう。

これなら、あのワニのバケモノもすぐに気付いてこちらに向かってくるはずだ。

サッサとトンズラしよう。

 

 

その後、アイアンズが急に行方をくらませたせいで、RPDで指揮系統のこんらんが生じたようだが、元々普通の仕事に関してはほとんど部下に任せて金儲けや謎の仕掛けを警察署に施したりという方面でしか忙しくしてなかったので、すぐに指揮権が現職の最上位警察官に移って何事もなかったように回り始めた。

アンブレラとしても、アイアンズに代わる新しい汚職署長を送り込むには少し時間が掛かりそうなので、今のうちにアイアンズが施した不便な内装などを直せればいいが、まぁそれは高望みだろう。

 

異変は続き、9月の中頃になるとラクーン総合病院でもT-ウィルスに感染したと思われる患者がぼちぼち運び込まれ始めたようだ。

そのT-ウィルス感染者によって引き起こされたと考えられる人喰い事件も発生し始めており、特に郊外に住むオオカミ少年親子呼ばわりされていたニックとジェーンの家が全焼し、彼らの家の燃え跡から10人近い焼け焦げた死体が見つかった辺りから、そういった目撃情報や動物や人の惨殺事件が多くなってる。

ニックは妻のアニタがアークレイ山地で行方不明になってから、何度か近隣で起きた異変に対して通報をしていたのだが、警察を含めて近隣住民は誰も信じなかったらしい。

それが9月23日のことだ。

 

Gun Shop KENDOでエマと遊んだ後、喉が渇いたので水道水を飲もうとしてコップに汲んだ水を口に含んだところ、UIに警告ポップアップが浮かび上がった。

内容は未知のウィルスによって高濃度に汚染された水であるとのこと。

慌てて口の中から吐き捨てて、所持品から取り出したリアルウォーターで口を濯ぐ。

それからすぐにバウンスバッグを打ち込みナノマシンでウィルスの破壊を試みた。

飲み込んで無かったので問題は無かったが、すぐさま血流に乗ったナノマシンが体内を保護する。

 

隣を見ると、エマもコップに水道水を汲んでいるのが見えたので、慌てて水を捨てさせてリアルウォーターで手を洗わせた。

水道水が汚染されるなんて、遂にヤバいところまで来てしまったようだ。

アンブレラは一体何を考えているんだ!

連中は街をバケモノの巣窟にするつもりなのか?

 

『おいどうすんだよV。このままじゃ、このガキも死ぬかもしれねぇぞ』

 

『でも、どうやって水道にT-ウィルスが混入しているって伝えるのよ。証明しようが無いし』

 

『あのなぁ、何のためにあの警察連中と親交を深めてたんだ?あのジルって女警官に言えば、無条件に信じるだろ』

 

ジョニーはそう言うが、正直自信が無い。

 

『ウダウダしてねぇで、良いから早くウィルス入ってるって言って来いよ』

 

『ハァ、気乗りしないけどイッてくるわ』

 

エマとロバートに絶対に水道水を口にしないように厳命して、パートを途中で切り上げてジルに会いに行くことにする。

ジルはその頃、アイアンズが生きていた9月の初頭に言い渡された自宅謹慎を律儀に守っており、RPDにはいないので彼女の自宅へと向かった。

ブラッド経由で、私が来たと分かる合図のノックを教えてもらっていたので、彼女が住むアパートのドアを教わったリズムで叩く。

暫くすると、中で人が動く気配がしてそっと扉が開いた。

 

「あら、V。今日はどうしたの?何かあった?」

 

扉を開いて私を中に招いてくれる。

 

「ジル、今日水道水飲んでないかしら」

 

「水道水?飲んで無いけど、どうして?」

 

ジルに勧められてピザを一切れもらいながら、片手で頭を掻く。

本当にそのまま言って信じてくれるのだろうか。

 

「あー、えっと…信じてもらえないかもしれないけど、水道水の中にゾンビにさせるウィルスが入っていて」

 

「……それってT-ウィルスのことを言っているのよね。でもなんで水道水なんかに」

 

「入っているのは信じてくれるの?」

 

「もちろん。こんな時にこんな冗談を言うような人じゃ無いってくらい、今まで接していれば分かるわ」

 

「ジル……ありがとう」

 

もう涙が出る機能は無いが、心の涙が出た気がする。

 

「でも、どうして水道水から…マズイわ、感染が一気に拡大する!」

 

「ラクーン総合病院にも次々に体調不良者が運び込まれているって。ゾンビになったら、もう治しようがないんでしょ?病院の連中、治るかもしれないってゾンビ化した連中を隔離してるわよ」

 

時間がある時に監視カメラを増産しては、街の主要公共施設に設置してまわったので、病院内の様子なども遠隔で確認したのだが中々に混乱している様子が見てとれた。

最初こそ、人の手で押さえ付けて診察をしていたのだが、だんだんと同じように同じような症状の患者が運び込まれてきて、対応しきれなくなってからはバンドで寝台に拘束して、隔離できる特別病棟に移し始めている。

 

「そんな、危険よ!?…そうか、彼らは治らないって知らないんだわ!」

 

「T-ウィルスが原因だっていうことも知らないはず。ジル、誰か総合病院に知り合い居ないの?」

 

「居るわ!リンダっていう友達が、ラクーン総合病院で医者として働いてる!すぐに電話しなきゃ!」

 

ジルが電話機に走り寄って行って、急いでそのリンダとか言う友達に電話をかけ始める。

少し離れたところで聞いていたが、何やら揉めているようだ。

水の中に洋館事件の原因になったウィルスが紛れ込んでいると言う話は、これから運び込まれてくる全身の痒みや高熱を出している患者からの聞き取りと、水道水を電子顕微鏡で検査してから考えると可能性の一つとして了承してくれたが、現状変異してゾンビ化してしまっている患者の殺処分に関しては大反対されているらしい。

確かめてもみてもいないのに、そんなことをするのはできないと言って引かないようだ。

医療従事者ってやつは面倒だな。

こういう時は、患者から平気でクロームを剥ぎ取るような医療従事者が多くいたナイトシティは説得が楽そうで良い。

 

「それで?私なら誰にも気付かれずに潜り込んで、ゾンビになってしまった患者達を始末出来るけど、どうする?」

 

「…どうやって、とは聞かないわ。特別病棟に隔離しているゾンビが扉を破ったら、病院内は地獄になる……」

 

「まず間違いなく、病院のモヤシみたいな医者や看護師では対抗出来ないでしょうね。誰1人として助からない」

 

「この際、不法侵入やゾンビに対する殺人とかの罪は見て見ぬ振りをするわ。私たちは今生きている市民を助けないといけない」

 

ジルは総合病院内にいるゾンビ化した患者の始末を決断したようだ。

 

「任された。手早く片付けてくる」

 

「頼んだわ。あの病院に勤めている医師達はとても優秀よ。彼らなら、T-ウィルスに対するワクチンも作れるかもしれない。それまで、病院が機能し続けるには、こうするしかない」

 

最後の台詞は、警察官として超法規的行動を取ることに強い抵抗があるようだが、洋館事件のことを考えるとそうもいかないと自分を納得させるための言葉らしい。

 

「私はRPDにこれから行ってくるわ。V…お願いね」

 




高評価、ご感想ありがとうございます!!
モチベーションになります!!

改めてバイオハザードを詳しく調べていると、沢山のキャラクターが出てきていて面白いですね。
なんと、その大半が死んでいるのですが…

アンブレラ以外からは目の上なタンコブと化していたアイアンズ君は、大きなお友達の胃袋に収まってもらいました。
これで、少しはRPDも持ち堪えるか…?(多分無理)

あ、あと二世が爆誕しましたが、ストックがあるのでそれが尽きるまで毎日投稿は続きます。

前書きのセーブロード時のストーリーテキスト風怪英文書は

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