ようこそ演じる者達の教室へ   作:雨宮唯

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中間テストに向けて②

中間テストまで2週間を切った金曜日、HRで星之宮先生から連絡あった。

 

「はーい、みんなちゅーもーく、次の中間テストについて何だけどテスト範囲が変更されたから注意してね!詳しくは今配ってるこのプリントに書かれてるから確認してね」

 

そう言って配られた紙に書かれたテスト範囲は今までと完全に異なる範囲だった。

 

「結構変わってるから焦る子もいるかもだけど安心して、先生はみんなが退学せずに確実に残れると思ってるから」

 

そう言ってHRを終えた星之宮先生。すぐさま私は一之瀬さんのもとへ行く。

 

「テスト範囲変更があったけど勉強会大丈夫そ?」

 

すでに彼女の周りには人が集まっていたので、いつもの口調ではなくあくまでも気にかけてるクラスメイトの1人として声を掛ける。

 

「人手が足りなさそうなら私が教えるの手伝おっか?」

 

「いいの?須藤くんだっけ?教えてるんじゃなかったっけ?」

 

私の提案に網倉さんが反応する。

 

「うーん、二日に一回くらいなら行けると思うよ。あ、でも今日は問題新しく作ってあげないといけないから明日かな」

 

「1日でも手伝ってくれるだけで助かるよ!帆波ちゃんそれでいいよね?」

 

「う、うん。愛ちゃんが大丈夫って言うなら」

 

「オッケー、じゃ今日はこっちの勉強を進めるからそういう感じでよろ〜」

 

(さて、どんな問題を作るとするかな……)

_______________

「てことで、はいこれ、新しい問題!」

 

「おう!ありがとよ!」

 

放課後、最近定番化してきたファミレスに集まり私は須藤くんに新しく作った問題集を渡した。

 

「それでごめんなんだけどこんどクラスの勉強会に参加しないといけない事になっちゃったからその時は自分でやってくれる?」

 

「そうなのかよ、いや、しゃーねぇよな。分かったぜ」

 

「ごめんね、ほんと」

 

その後はいつもと変わりなく教えて過ごし解散し私は部屋で自分の勉強を少しして眠った。

______________

火曜日の夜

 

(はぁ〜疲れたー。教え慣れてない人に教えるのはやっぱりつかれるなぁ)

 

クラスでの勉強会を終えた私は一通りのやることをしてベッドに体を預ける。

 

『プルルルプルルルプルルル』

 

(ん?電話?)

 

机においた携帯を取り画面を見るとそこには須藤の名前が浮かんでいた。

 

(須藤くん?なんのようだろ)

 

「はい、もしもし。須藤くんどうしたの?」

 

『早坂!助けてくれ!』

 

電話に出るとすぐさま耳が痛くなるような大声で彼の声が聞こえてきた。

 

「っ〜〜〜。耳痛〜」

 

『わ、わりぃ。焦りすぎて』

 

「まったく気をつけてよねー。それで助けてほしいって何を?勉強でなにかあったの?」

 

『おう、ある意味ではそうだな!』

 

「ある意味?」

 

いまいち要領が掴めていない私に説明するように彼は語りだした。

 

『実はよ―――』

_______________

時は遡り今日の朝、俺、須藤健は登校しながら昨日言われたことについて考えてた。

 

(今日は1人でやれって言われたけどよ……俺だけでできんのかこれ)

 

そうやって考えながら歩いていると後ろから声をかけてきたやつがいた。

 

「おはよう須藤」

 

綾小路の野郎だ、いつも無表情で感情がよく読めないがなかなかに面白いやつだと俺は思っているやつだ。

 

「おぉ、綾小路か、どうしたんだ?」

 

「いや、須藤が珍しく悩みながら歩いてるのを見て興味が湧いたんだ」

 

「珍しくは余計だろうが。まぁ悩んでたのは事実だがよ」

 

「そうか、悪かった。それで何について悩んでたんだ?」

 

「いや、俺最近Bクラスの早坂ってやつに勉強教えてもらってるだろ?」

 

「そういえば名前は聞いたことがなかったな。早坂って言うのか」

 

「そこからかよ…。まぁそいつが今日はクラスの指導をするからって今日はできないって言われてな、それで俺1人でやれるか?って思ってたわけだ」

 

「なるほどな…なら堀北の勉強会に今日だけ参加すればいいんじゃないか?」

 

「堀北か…俺アイツのこと嫌いなんだよな」

 

「まぁ気持ちは分かる。なら平田のとこにするか?おそらくだが歓迎はしてくれると思うぞ」

 

「冗談じゃねぇ、あんな優男の手なんか借りれるかよ」

 

「じゃぁ堀北のとこしか無いな」

 

「うっ…。仕方ねぇ、そうすることにするぜ」

 

「あぁそれがいいと思「なら綾小路代わりにあいつに参加するって伝えといてくれよ」は?俺がか?」

 

「おうよ、おまえいつも堀北の野郎と話してるからな頼んだぜ」

 

「おい、俺に拒否権は無いのか…」

 

こうして俺は綾小路に協力してもらい放課後は堀北勉強会に参加することになった。

 

〜放課後〜

 

HRを終えた俺は綾小路に言われた通り図書館へと向かった

 

(こんな場所あったんだな。っとどこにいるんだあいつら)

 

少し探しながら歩いていると中央から少し離れたところで集まっている堀北達を見つけた。

 

「ワリィ遅れた」

 

近づくと堀北が驚いたような顔でこっちを見てきた。

 

「んだよ」

 

「いえ、正直来ないかと思っていたから驚いているの」

 

「あぁん?んだとテメェ」

 

「いいから早く座りなさい、時間の無駄よ」

 

「ッチ」

 

「まず現時点の理解度を確認するためにテストをするわ。これを解いて」

 

解き終えた小テストを採点する堀北の顔がだんだん曇っていく。

 

「全然理解できてないじゃない、あなたいつももどうやって勉強してるのよ」

 

「どうたって、早坂が作った問題を解いてるだけだ」

 

「それでこの定着力?……須藤くん、その問題見せてみなさい」

 

「お、おう」

 

「おかしい……このプリントの内容今回の試験範囲外よ」

 

「な!」 「はぁ!?」 「ど、どういうことだよ、堀北ちゃん!!」

 

「そのままの意味よ、このプリントはテスト範囲外の問題で作られているのよ」

 

「てことはあの早坂ってやつ須藤を嵌めたってことかよ!」

 

「いや、もしかしたら」

 

そんな風に呟いたと思ったら堀北は立ち上がった。

 

「ほ、堀北ちゃん!?どこに行くんだよ!」

 

「茶柱先生にテストについて確認してくるわ、須藤くんもついてきて」

 

「お、俺も行くぜ!」 「俺も!」

 

「ダメよ、2人は勉強を続けていなさい」

 

「じゃ、じゃあなんで須藤は連れて行くんだよ!」

 

「言わないと分からない?彼は被害者の可能性がある。それが理由よ。行きましょう」

 

〜職員室前〜

「失礼します。茶柱先生に用があって来ました。茶柱先生いらっしゃいますか」

 

「なんのようだ。いや、立ち話もなんだ相談室に行こう」

 

「それで堀北と須藤、珍しい組み合わせだがなんのようだ?」

 

「テスト範囲について聞きたいことが」

 

そう言って堀北はプリントを机に置いた。

 

「このプリントは須藤くんが最近勉強を教えてもらっているBクラスの早坂さんという方がテスト勉強用として作成したプリントです。しかしこのプリントの問題は試験範囲外のもので構成されています。それについて違和感を覚えたので確認しに来ました。なにかご存知でしょうか」

 

「……あぁ、そういえば先週の金曜日にテスト範囲変更の知らせがあったな、伝えるのを忘れていた。思い出させてくれて感謝する」

 

そうやってこともなさげに答える茶柱。

 

「はぁ!?」 「ふざけていらっしゃるのですか?先生」

 

「ふざけている?私は忘れていただけだ、それ以上もそれ以下もない」

 

「そんなの通るわけねぇだろ!」

 

「何を言われようが事実は変わらない。だが気づかせてくれたことには感謝しよう」

 

そう言って立ち去っていく茶柱、残された俺達は驚愕を隠しきれないまま少しの間固まってしまった。

 

「おい堀北、どーすんだよ」

 

「どうもこうも伝えるしか無いでしょう……でも今からじゃ厳しかもしれないわね」

______________

「それで助けてって相談しに掛けてきたてことね」

 

『そうだ、頼む!どうか助けてくんねぇか?』

 

「うーん」

 

(Dクラスだけテスト範囲変更が教えられるのが遅かったなんて…でもいまから正攻法でやっても間に合わなそうだしな)

 

「分かった。助けれるように頑張ってみるよ」

 

『助かるぜ!ありがとな!』

 

「須藤くんは今のままちゃんと勉強続けてよ〜。それじゃおやすみ」

 

『あぁ、頼んだぜ!まじで』

 

電話を切ってベッドに横になりながら思考を回す。

 

(おそらく正攻法じゃ間に合わない)

 

(なら―――ルールの裏からつくだけ)

 

静まり返った部屋の中で、私は1人静かに思考を巡らせ続けた。

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