翌日金曜日、私は約束通り放課後に平田くんとサインされた契約書を先生に提出した後、1万ポイントを受け取って過去問を渡した。
「うん、振込確認したよ。これで契約成立だね」
「ありがとう、Dクラス代表としてBクラスに感謝とこれからもよろしくと言っておくね」
「こちらこそよろしくね〜ばいばーい」
そして勉強漬けの土日を経て月曜日。
「みんな!今からプリントを配るから目を通してくれるかな」
「みんなに行き渡ったかな?うん、大丈夫そうだね。」
「これは明後日のテストの過去問だよ。実は例年コレと全く同じ問題が出てるみたいなんだ!だからこれの答えを覚えておいたら確実に点数が取れるよ!」
「まじかよ!」「うおおお!!」「やったぁ!」「一之瀬さんありがとう!」
一之瀬さんの言葉を聞いて湧き上がるクラスメイト。その歓声の中で、一之瀬さんだけがはどこか落ち着かない様子だった。
「みんな、まだ本当に同じ問題が出るって決まったわけじゃないんだよ?」
慌ててそう付け加えるものの、誰も不安そうな顔はしていなかった。
みんなが帰った後私は少し待たせたことを謝罪して須藤くんと一緒にカラオケに向かう。
(まさか誰も疑わないとはね……。みんなが一之瀬さんを信じすぎてる。危ういかもね)
「おい、早坂。ついたぞ」
「ん、あぁごめんごめん。ぼーっとしてた」
「珍しいな」
「今日ちょっとあってね、まぁ気にしないでいいよ」
「んで、なんで今日はカラオケなんだ?」
「ファミレスだとうるさいでしょ?今日はテスト形式でやりたいからね」
「はい、これ解いて」
そう言って私は中間テストの過去問(問題のみ)を渡す。
「多くね!?」
「仮想テストだからね。時間区切ってちゃんとやるよ!よーいはじめ!」
ー4時間後ー
「はい、そこまで!お疲れ様!」
「っあ〜疲れたぜ」
「丸付けするから休んでていいよ〜」
約30分かけて採点を終わらせて須藤くんに見せる。
「はい、こんな感じだったよ」
『国語48点、数学34点、理科41点、社会40点、英語30点』
「おぉ!できてるじゃねぇか!」
「そーだね。これなら英語と数学をもうちょっと暗記したら行けそうだね」
「それじゃ明日からはコレの答えを覚えて!」
「は?テスト勉強はどうすんだよ」
「大丈夫、大丈夫。それ今度の中間テストの問題だから」
「はぁ?」
「そんな『何いってんだコイツ』みたいな目で見ないでよ。ほんとなんだからね」
「見つけてきたんだよ、池くんたちを助ける方法。それがこの過去問ってわけ」
「マジか!?」
「大マジだよ、今日もらってないってことはたぶん明日平田くんが配ると思うな」
「あ?なんで平田の野郎が出てくんだよ」
「BクラスとDクラスで取引したからね。流石に一部の人だけにとか無償でとはいかないからね。なんなら契約書見る?」
「……いや、いらねえよ。その、なんだ……ありがとな」
少し恥ずかしそうに感謝を告げる須藤くんの不器用さがどこか面白く自然に笑顔が浮かんできた。
「フフッ、どういたしまして!!」
「お、おう……」
なぜか私から目をそらし俯く須藤くん。
「さて須藤くんも疲れただろうし、今日のところは帰ろっか」
「……」
「?須藤くん?」
体調でも悪いのかと思い俯いて何かを呟く須藤くんの顔を覗き込む。
「うおぉ!!な、なんだよ早坂!?」
「そろそろ帰ろっかって言ったんだけど。聞こえてなかった?」
「そうなのか…わりぃぼーっとしてた」
「大丈夫?顔赤いけど。体調悪かったりしない?」
「全然平気だ!元気ピンピンだぜ!」
「ホントに?…まぁいいか。帰るよ」
「おうよ!」
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「じゃあな、早坂!」
「1人でも勉強頑張ってね!おやすみ!」
寮のエントランスで別れ、私達は部屋に戻り暗記を続けた。
そして私達はついに中間テスト本番を迎えるのだった。