ようこそ演じる者達の教室へ   作:雨宮唯

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欠かせないもの

入学二日目、この学校では今日から授業が始まるようだ。

 

どうやら私達のクラス担任である星之宮先生は保健医の先生らしく、普段の授業では教室に来ず、HRのときのみやってくるらしい。

 

実際に授業が始まってわかったことがある。

 

私達Bクラスは、大半の生徒が真面目で授業に対して熱心に取り組む生徒だったということだ。

 

その証拠に一限目から六限目までに一人も授業中に寝ることなく、過ごしていた。

 

(思ってたより真面目なんだな、このクラス)

 

クラスの雰囲気を壊さないため、ギャルっぽさを少し抑え、クラスの空気に合わせる早坂。

 

その後、星之宮先生がやってきてHRが行われた。

 

「それじゃ、これで今日のHRはおしまい。」

 

「「「ありがとうございました」」」

 

HRを終え、放課後。私は一人でケヤキモールへと向かった。

 

ケヤキモールに着いた私が最初に入店したのは、家電量販店だった。

 

(昨日部屋中探したけど置かれてなかったんだよな、ドライヤーとヘアアイロン。流石に買わないと、、、)

 

「あのー」

 

「はい、何でしょう?」

 

「ドライヤーとヘアアイロンを探してるんですが」

 

「なるほど、少々お待ちください」

声をかけた店員さんは、インカムでしばし連絡をしたあとこちらに振り返って答える。

 

「その区域の係員を一人呼びましたので、その人に案内してもらってください」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

その場で待つこと数分、

 

「すいませんおまたせしました」

 

いわゆる女子から敬遠されがち中年男性といった印象の人物がやってきた。

 

「ではこちらです」ジロジロ

 

「――――」

 

黙ってついていきドライヤー売り場へと連れて行ってもらった。

 

「ここら一帯がドライヤーであっちがヘアアイロンです。ごゆっくりお選びください」

 

そう言ってどこかへ行く男性店員。

 

(あの店員絶対、変な目で見てたでしょ。......最悪)

 

(ま、いいやさっさと決めよ、他のお店も行ってみたいし、なによりあいつがどこにいるかもわからない空間にいるのも嫌だし)

 

そうしてあまり時間をかけることなく所持ポイントで無理なく買える2つを購入する。

 

「ありがとうございましたー」

 

そうして買い物を終えた私はケヤキモールを回ってどんなお店があるのかを確認しに動き出した。

 

(カフェに本屋、カラオケにボウリング場はてにはボクシングジムまで......ホントになんでもあるな)

 

(ん?あれって)

 

遠くに見えた長い桃色の髪に見覚えを感じた私は彼女のもとへと向かった。

 

(やっぱり!)

 

「いっちのせさん!」

 

「わっ!――って早坂さんか!」

 

驚きながら振り向く一之瀬。

 

「えっへへ、驚かせちゃった?」

 

「そのとおりだよ!びっくりしちゃって変な声出そうになったんだから!」

 

プンプンと鳴ってそうな怒り方をしながら頬をふくらませる。

 

「それで?どうしたの?私になにか用?」

 

「ううん、特にはないよ!ただ一之瀬さんが見えたから話しかけよってなっただけだから」

 

「逆に一之瀬さんはケヤキモールになんの用事があったの?」

 

「私?私は部屋に足りなかった家電を買いに来たんだ!」

 

「あぁ〜もしかしてドライヤーとか?」

 

「そうだよ!もしかして早坂さんも?」

 

「そうだよ〜、部屋にドライヤーないとか焦ったよね〜」

 

「うんうん!分かる!分かる!」

 

こうして他愛もない雑談に花を咲かせる二人、両者の顔には笑顔が咲いていてた。

 

「それであそこの家電屋さんに行ってみようかな?って思ってたの」

 

「あー、あそこ一之瀬さんはやめといたほうがいいかもよ」

 

「?どうして?」

 

「あそこさっき私も行って買ってきたんだけど、店員の人がこっちをいやらしい目で見てきたんだよね。」

 

「一之瀬さんって超がつくほどの美人だからもしかしたら狙われちゃうかも....」

 

「なにそれ!本当だとしたら許せないね!」

 

「心配ありがと早坂さん、早坂さんこそ大丈夫だった?気分悪くなったりしてない?」

 

「ううん、大丈夫!一之瀬さんと話してたら気分良くなったから!」

 

「そうなの?へへっ///」

 

少し恥ずかしそうに頬をかく一之瀬。

 

「早坂さんってこんなに話しやすかったんだね」

 

「ん?」

 

「あ、あ、あぁ深い意味はないよ?ただ、昨日も今日もすぐ帰っちゃったから、どんな人なのかよく掴めてなかっただけだから!」

 

「そういうことね〜」

 

(二日話さなかっただけで誤解が生まれるとは、Bクラスの仲間主義を甘く見すぎたかな)

 

即座に反省し、次に備える。

 

「ねぇ、早坂さん!早坂さんのこと愛ちゃんって呼んでもいいかな?」

 

「それまた突然だね、別にいいけどどうして?」

 

「やった!理由はね、私クラスのみんなと特別仲良くなりたいんだ!だから名前呼びはその一環だよ。」

 

「りょーかい!そういう理由なら、さっきも言ったけど全然いいよ!」

 

「やった!ありがとね!愛ちゃん!」

 

「そうだ!愛ちゃんって私だけ名前呼びするのもちょっと変だし、私のことも帆波って呼んでほしいな!」

 

「えっと、それは......」

 

「?」と首をかしげてこっちを見てくる一之瀬。

 

(くっ、あざといっ、無意識でやってそうなのがまた!)

 

「ごめん、一之瀬さん、私にはまだそこまで踏み込めるほどの勇気はないよ......」

 

「そっか〜、じゃあいつか気が変わったらそう呼んでね!」

 

「それじゃ、そろそろ買い物に行かないと!じゃあね愛ちゃん!また明日!」

 

「うん!バイバイ!一之瀬さん!」

 

こうして一之瀬さんと別れた私はこのあと靴屋、スポーツ用品店、スーパーで買い物をしてから寮に戻り入学二日目もまた、”問題なく”終わった。

 

 




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