ようこそ演じる者達の教室へ   作:雨宮唯

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モーニングルーティーン

日が昇りだして間もない午前六時

 

ピピピッピピピッピッ

 

寮の一室に住む少女は、鳴るアラームを止め、メガネをかけ、起き上がる。

 

そのまま、キッチンへと立ち、手早く朝食を作り上げて食べる。

 

それから食器をシンクに移し、自身は洗面所へと移動する。

 

そこで彼女のトレードマークである、金色のブロンドヘアを手入れし、最後にお気に入りの青色のシュシュでサイドでまとめ上げる。

 

「これでよしっと」

 

「それじゃそろそろ今日も行こうかな」

 

そう言ってパジャマから運動用の動きやすい服に着替えて、部屋を出る。

 

(まだ、どのくらいの距離か掴みきれてないし、とりあえず今日は校舎付近までかな、、、)

 

ストレッチを終え、走り出す。

 

だんだん速度を上げていき、やがて風を感じるほどにまで速く走り出した。

 

ランニングは彼女がこの学校に入学する前から続けている習慣だ。

 

彼女は日頃自分の本来の姿を偽り、ギャルのような(キャラクター)を演じている。そこで生まれるストレスや不満をこうやって運動することで発散しているのだ。

 

周囲が明るくなってきた頃、彼女はランニングを終え寮の前に戻ってきた。

 

(ふぅ、気持ちいい)

 

汗を流しきった彼女は、そのまま部屋に戻っていった。

 

(見慣れない景色の中を走るのはやっぱ新鮮でいい)

 

部屋に戻った彼女はシャワーを浴びた後にシンクに残した食器を洗い、片付ける。

 

そうこうしているうちに部屋を出る時間になっていた。

 

(もうこんな時間か)

 

制服に腕を通し、学校指定のリボンを結び、部屋を出る。

 

「いってきます」

 

答えが返ってくることはないが、それでも、彼女がこのやり取りを欠かしたことはない。

 

こうして彼女―――早坂愛の一日が始まる。

 

____________________________________________

 

彼女の一日は頭痛から始まる。

 

昨日の晩酌が響いているからだ。

 

「うぅ〜、頭いたーい」

 

「まったく佐枝ちゃんったら止めてくれればいいのに〜」

 

ぶつぶつと文句を言いながらも、ベッド―――ではなくソファから起き上がる。

 

カーテンを開けると目に差し込む朝日が、容赦なく目に突き刺さる。

 

「......今日もいい天気ねぇ」

 

気の抜けた声で呟きながら、ふらつく足で洗面所へと向かう。

 

冷たい水を飲んで、酔をどうにか落ち着かせると、ようやくまともな思考力が戻ってきた。

 

鏡に映る自分を見て、小さくため息。

 

「ま、顔は大丈夫そうね」

 

彼女にとって己の顔は立派な武器の一つである。そこらの高校生男子ならイチコロだという自信があるほどだ。

 

適当に身支度を整え、コーヒーを一杯。

 

苦みで頭痛を誤魔化しながら、今日の予定を思い出す。

 

その瞬間、ふっと、表情が少し締まる。

 

けれど次の瞬間には、いつもの笑顔に戻っていた。

 

「ま、なんとかなるでしょ」

 

こうしてお酒に惑わされる先生の一日は始まる。

__________________________

こうしてそれぞれの”朝”が始まる。

同じ学園で、まるで違う在り方のままに。

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