「まずは今の状況を説明するよ。」
諏訪子の話をまとめるとこういうものだ。
ここ、諏訪の国は数百年前くらいから諏訪子が治めていた。諏訪子の能力により作物を育てやすくすることで信仰を得ていた。しかし、数年前から大和の国の『八坂神奈子』という神に諏訪子の土地を渡すようにと脅迫めいた事を行っていた。しかし諏訪子はその要求を突っぱね続けた。その結果『大戦』が近々行われる事になった。
「………で、私はソイツと一騎打ちをするってわけ。」
「え?それじゃあ俺は何に協力すれば?まさか…不意打ち………」
「そんな訳無いじゃないか。そんなことしたら他の神々が黙っていない。私が頼みたいことはその後の話なんだ。」
「私が勝てればそれで良いんだけど…多分負ける。」
「(確かに正史ではそうなる。)」
「だからここの土地で君が神奈子と戦って守ってくれないかい?」
「いやいや、それはさっきの不意打ちと変わらない気が………」
「決着自体は一対一で決まる。その後の人間の行動は関係ない。だから問題は無いんだよ。」
「なるほど…………けど諏訪子が負ける相手に俺なんかが…」
「それについては心配してないよ。ぶっちゃけ今回は相性不利で負けるようなものだし。それに私が出来る限り神奈子を消耗させる。」
「でも……」
「自身を持ちなよ!君のその力、弱った神なんか倒せるはずだよ!!」
「…………わ、分かった!俺は全力で戦おう!!」
「よしッその意気だ!!それならここの空間を貸すから色々試してみな。」
「ありがとう、諏訪子。」
数時間後、翔馬は何を鍛えるかで迷っていた。
「(たしか神奈子の能力は確か天候関連だったはず………そもそも抽象的すぎるんだよな〜だからこそ解釈次第で強くなるんだろうけど……)」
「となると
翔馬は少し考えやがて…
「よし、熟練度が5以上の魔法を練習しよう!!」
中途半端な魔法を沢山使うよりも修練を積んだ少ない魔法を使ったほうが良いと考えた。
「そうすると………『メラ』系、『ギラ』系、『イオ』系、『ヒャド』系、『バギ』系、『ドルマ』系、『ラリホー』系、『
「(相手は神奈子だから天候に左右される魔法は使わないか補えるだけのパワーが必要になるな。)」
「…………よし、『メラ』系と『バギ』系、それと『飛行魔法』を鍛えよう。」
そうして翔馬は2日間魔法の練度を上げて過ごした。
決戦当日
「それじゃあ翔馬は国をお願いね。」
「ああ、できる限り頑張るよ。」
「「「「「ミシャクジ様ーーーー!!!!頑張って下さいねェェェェ!!!!」」」」」
諏訪子は皆からの声援を受けながら決戦の地へと向かった。
「………来たか。あまりに遅いから逃げたのかと思ったぞ。」
神奈子は既に到着していた。
「そっちこそわざわざお出迎えしてくれるなんてねえ。」
場は既に二人きりとなっており観戦者は遠くにいる。
「……………」
「……………」
場は静まり返り開始の合図を待つのみとなった。
そして…大和の国の者が合図を出す。
「始めッ!!!」
「『洩矢の鉄輪』!!!」
「『八坂の蔓』!!!」
両者は同時に武器を取り出し相手に突撃する!!!
しかしッ!!翔馬は別のことに引っかかっていた。
「(ん?あの武器…………どっちも『魔力』を持っているのか?しかも何か違和感が……)」
本来神の武器は己の能力などで生み出されるため神力以外を保有することはない。しかし、元々の物体から武器を作る際には元々内包されていた力が混ざることがある。
そのことを翔馬は知る由もないため余り考えることはなくそのまま観戦を続けていた。
「坤よ!!我の意思を聞け!!!」
諏訪子は自身の能力で地面から2体の龍を出現させる!!
「(2体同時か………)」
「御柱!!」
神奈子は諏訪子の龍に対し自身の御柱を片側の防御に使う。
ガキィィィィン!!!
もう一方の龍には神奈子自身が回し蹴りで対応する!
バキィ!!
「ッ!『洩矢の鉄輪』!!」
諏訪子は自身の鉄輪を神奈子に投擲する!!
「忘れたのかい!!私にとって飛び道具は無意味ッ!!!」
「乾は我の領域!!風よ集えッ!!!」
ビュォォォォ!!
諏訪子の投擲した鉄輪は風により狙いが逸れてしまう。
しかしッ!
「フフ…確かに『普通の』飛び道具じゃあ意味はない。けどッ!!」
なんとッ!諏訪子の鉄輪は不自然な軌道で再び神奈子に向かっていく!!
「何ッ!!」
神奈子は予想外の攻撃に体勢を崩される!
「この鉄輪は自分の意思の通りに動く!」
諏訪子はすかさず土の手を出現させ神奈子に襲いかかる!!
「クッ…!雨よ!!全てを飲み込めッ!!!」
ザァァァァァァァ!!!
神奈子は自身での破壊は不可能と判断し雨による破壊を試みる。
ドォォォォォン!!
結果、両者の技は同時に衝突しどちらも破壊される。
「(やっぱり………私の技は神奈子と相性が悪い!)」
「(諏訪子の技………そこまで脅威というわけではないが神力の消費が激しい技を使わされるな。)」
両者は睨み合いながら次の策を考える。
「(す、凄い………相性が不利なはずなのに諏訪子が少し押している!けど……まだ油断は出来ない。あの『蔓』…史実通りになるなら鉄輪は錆びさせられる!!)」
翔馬が現在の戦況を考えていると諏訪子達が動き始めた。
「(もう1回鉄輪を投げるか……そうすれば神奈子の意識を逸らすことは出来る。)」
「ハァ!!」
諏訪子は再び鉄輪を投げる!!
「(神奈子が鉄輪を避けようとしたらすぐに坤を操って攻撃する!)」
しかし………
「この私に……同じ手が2度も通用するとでも思ったか!!」
「『八坂の蔓』!!」
ビシャアァ!!
なんとッ!神奈子の手に持っていた蔓が伸び始め諏訪子の鉄輪を絡め取る!!
「なッ!?」
「そしてッ!!ここからが真の能力!!!」
ギュィンギュィンギュィン!!
瞬間ッ!蔓は鉄輪から何かを吸い取り始める!!
すると鉄輪は時間経過とともにどんどん錆びていく!!
「ッ!!鉄輪の操作が不能になった!?」
「やはりな…鉄輪は錆びることで実質『死ぬ』。死んだ物体は操作できない。」
その様子は翔馬にも見えていた。
「(やっぱり……そうなると諏訪子は武器を1つ失った。)」
「そしてッ!!そろそろこの勝負に決着を着けようじゃあないか!!!」
神奈子は天に指を指し祝詞を唱える!
「『霹靂』、『威光』、『神の裁き』………」
それを認識した諏訪子も即座に祝詞を唱える。
「『生命』、『祝福』、『大地の興り』……」
神奈子の周りには雷、諏訪子の周りには土が集まる。
その時、周囲の者は理解した。この一撃で勝負が決まることを。
「(雷に対して土は相性なら有利!けど、諏訪子は発動が一瞬遅れた…………)」
そして………
神奈子は一直線に圧縮した雷のレーザーを放ち、諏訪子は目の前に土の波を発生させる!!
2つの技は衝突し衝撃波が発生する!!
「マズイッ!『
翔馬は咄嗟に観衆を覆うように結界を張り衝撃波から守る。
少しすると土煙も晴れ戦っていた両者の姿も確認できるようになった。
「ハァ…ハァ…………」
「………天晴だ、洩矢諏訪子。私にあの技を使わせたのは2人しかいなかった。」
「2人もいるんじゃあ………あんまりありがたくないね。」
誰から見ても分かる光景だった。諏訪子は片膝を地に着かせ、神奈子は悠然と立っていた。
そして神奈子はこの場にいる全員に聞こえるように宣言する。
「聞けッ!!!諏訪の国の神、洩矢諏訪子はこの私八坂神奈子が打ち破った!!!よってこれからは………!」
だがッ!忘れてはいけない!!まだ勝負は続いているのだ!!!
「『メラ』!」
テレレレレ!
「ッ!…………誰だ、貴様は。私の勝利宣言を遮るという行為…………万死に値するぞ。」
「確かに勝負はあんたの勝ちだが……あくまでそれは神の戦い。俺達人間側の戦いはこれからだぜ?」
翔馬の言い分は一理ある!先程の戦いは神同士の戦い。人間たちの戦いはこれからである!!今までそれが行われていなかったのは神と人間には決して埋まることのない『力の差』があったからだ。
なら………もし仮に神にも通用する力を持った人間がいた場合……その時は戦いの続きが見れることだろう。
「お前ッ!!何を勝手なことを!!!」
「良い。つまりだ………今此処で貴様を殺せば良いのだろう?」
「話が早くて助かるぜ。」
翔馬が返事をするとともに神奈子は雷による攻撃を放つ!!
ヒュン!!
「ッ!『防御魔法』!!」
ガキィィィン!!
「ほう……今の攻撃を防ぐのか。…………良かろう、ならばやってみろ…この私に対してッ!!!」
「この杉本翔馬がッ!!直々にブチのめしてやるぜッ!!!」
『洩矢の鉄輪』…洩矢諏訪子の道具。
説明:所有者の意思通りに動く鉄輪。攻撃力、硬度は高水準だがスピードは所有者の技量に左右される。諏訪子の道具だが実は拾い物らしい。
『八坂の蔓』…八坂神奈子の道具。
説明:伸縮自在の蔓であり絡みついた物体の『パワー』を奪う。作中ではその能力で『洩矢の鉄輪』を錆びさせた。とある売人から貰ったらしい。
次回もお楽しみに!!