僕が蒼を纏う理由 ―かつて十天の頂点だった男のハーレム戦記―   作:鵲くん

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結構難産でした、後ベリアルの解像度高くて我ながら引く


絶望

あれから数日、授業の内容が全く頭に入らず、俺は焦っていた…ペンを握る指が、無意識のうちに机を削り取っていた。魔力探知を全開にしすぎて、脳の裏側が焼けるように熱い。

だが、何も成果は出ていない…魔力探知も使っているのだが、わかっているのはリアスちゃん達オカルト研究部と生徒会のソーナ・シトリーちゃん達が人間じゃないって事か…

 

 

ここ数日の俺はとてもピリピリしていたのだろう、リアスちゃんや朱乃ちゃん、イッセーや小猫ちゃん等の周りから何かあったのかと聞かれる位だ。

その度にちょっとあってねって誤魔化しているのだが、あまりそれも続けられないだろう…

 

 

希望的観測に頼るのは良くないのだが、今まで接してきた関係…そしてリアスちゃんとソーナちゃんの関係の感じで、ベリアルが関わっていないだろうと判断する他に、手段は無かった。

 

 

時間と人手が足りない…黒歌に修行をつけているが、彼女は頑張ってくれているのが解る、なのだが、ベリアルと戦うにはまだ足りない…

 

 

「ご主人様…ごめんね?私がアイツと戦うのに実力が足りないせいでご主人様に負担かけちゃって。」

「君が謝ることじゃない、俺の見通しが甘かった…どこか今の生活…学校に通って、クレーリアちゃんのカフェを手伝って…そして黒歌と過ごす日々が心地よすぎた…でも本来は俺はもっと考えるべきだったんだ、アイツの様な存在が出てくることを。」

「ご主人様…」

 

 

俺には…戦うこと以外出来ないのだろうか…アイツらはいつも

『戦う事しかできない?それなら他の事は私達に任せて、代わりに戦うのは任せたよ‼』

なんて言ってくれたっけ…

 

 

よし、気を取り直すか。

 

 

「黒歌…修行を続けよう、俺達にはそれしか残ってないんだしさ。」

「ご主人様、今笑って…うん‼アイツの好きになんてさせないんだから‼」

 

 

その時渡した根付に呼ばれた気がした…胸の奥で、何かがパキリと音を立てた。

 

 

「アーシアちゃん…?」

 

 

―――――

 

俺と黒歌は頷き合い、教会へ向かっている。

その途中の道で禍々しい気配を感じる…世界の色が反転する。

 

 

「アーちゃん、数日ぶりだね。」

「ベリアル…」

「出たわね、変態野郎。」

 

 

ベリアルは笑みを浮かべる。

 

 

「今、あそこの古い教会で最高の『外科手術』が始まってるよ。」

「純粋な少女の魂が剥がされ、新しい器へ…ねぇ、アーちゃん。君の目の前でまた『間に合わなかった』っていう絶望を見せてよ。」

「その時の君の顔、想像するだけでイケちゃうんだ。」

 

 

俺の視界に緋が混じる。

 

 

「どけ。」

 

 

絞り出した声は、自分でも驚くほど低く、ひび割れていた。全身の血管が逆流するような感覚。視界が緋色に染まり、足元の石畳が、熱も持たずに『砂』へと崩壊し始める。

 

 

「いいとも、最高のショーを見せてくれるんだろう?」

 

 

ベリアルはクツクツと笑いながら道を開ける。

 

 

「君の絶望の味…どんな味なんだろうね?それを想像しただけで達するよ。」

 

 

俺の眼中にベリアルはもう入っていない。ただ、目の前の教会に入ることしか考えていない。

 

 

―――――

 

教会の扉を開けると一人の神父が居た

 

 

「あら~人間さんがこんな時間に薄汚い悪魔なんかと一緒に現れるなんてね、それじゃ~死んでもらいましょうか、バイチャッ‼」

 

光の剣を受け止める黒歌。

 

 

「先行ってよご主人様、こいつ位なら私にだって。すぐぶっ飛ばして追いかけるから。」

 

 

「…頼んだ。」

 

 

俺は魔力探知を利用し地下への道を見つけてそちらへ向かう。

 

 

俺の身に付けるアクセサリーが揺れた気がする。

 

 

―――――

 

 

「さあアーシア、私に神器を渡しなさい…そして私が至高の堕天使になるのよ。」

「…はい…」

 

 

レイナーレ様の指示通りに私は神に祈る姿勢で最後の時を待っている。

 

 

私は、今主の元へ召されようとしている…

神器をレイナーレ様に抜き取られれば私は死ぬ…なのに私の心中では別の事を考えていました。

 

 

数日前に友達になってくれたイッセーさん…私に良くしてくれた黒歌さん…そして…最初に友達になってくれて、何か有ったら呼んでくれって言ってくれたアマタさん…

 

 

私の神器が抜き取られる、体に力が入らない…

神器が引き抜かれる感覚は、魂を無理やり外側へ裏返されるような苦痛だった。

祈る指先から熱が奪われ、かつての信仰すら冷たい虚無に変わっていく。

その暗闇の中で、最後に縋りついたのは主ではなく、あの時お守りをくれた『彼』の手の温もりだった

 

 

もう一度アマタさんに会いたい…会いたいなぁ…

 

 

「…シア…アーシア‼」

 

 

彼は…応えてくれた…‼

 

 

―――――

 

 

遅かった…甘かった…色々な感情が生まれては消え去っていく、神器を掲げ嬉しそうに居る堕天使と地に伏すアーシアちゃん…俺には何が起きたのか一瞬理解出来ない…いや、俺自身が理解したくなかったのだろう。

しかしこの体は俺の意思に反し、全てを理解してしまう。

 

 

神器を失えば、死ぬ。かつて聞いたその残酷な『理』が、今は呪詛のように耳元で鳴り止まない

俺は何故か教わったその理が頭の中で繰り返されていた…

 

 

アーシアの元に走る。一足で着くはずの俺の身体はまともに動かない…よろけながら、それでも必死に走る…

視界の端で、紫色の翼が下卑た歓喜に震えている。

女の、鼓膜を逆撫でするような甲高い哄笑。

だが、今の俺の脳はそれを『音』として処理することを拒否していた。

 

 

アーシアの元にたどり着いた俺は虚空より杖を取り出し、彼女にかざす。

効果が無い、そんな筈はない、俺の癒しの力は十天衆の彼女すら超える、そんな筈があってはならない。

 

 

もう手遅れでは?そんな声がいやに俺の頭の中に響く…うるさい、そんな筈は…

 

 

「ア…マタさん…ありがとう…ございます…少し…楽になった気がします。」

 

 

アーシアは俺の頬に手を当てそう言ってくれた。

癒しの力は機能していない…そんな事ありえないはず。

俺はアーシアを抱きかかえる。

 

 

「そんな筈は…アーシア‼」

「あなたは…私を救ってくれて…私は何も返せなくって…でもあなたは…」

「そんなことない‼君からは貰ってばかりだ‼君が居たから俺は…俺は‼今度こそ守ろうって‼」

 

 

視界の緋色が増す

 

 

「ここで、君を守れなければ俺は‼何のために力を手に入れたのか⁉わからないんだ‼」

「あなたは…もう…守ってくれました…私の心を…」

 

 

アーシアの瞳から魂が抜けていくのが解る

 

 

視界が緋色で満杯になる。

 

 

「アマタ…さん…私…幸せでした…」

 

 

アーシアの手は…俺の頬から離れた。

 

 

レイナーレが嘲笑する

 

 

「あっははは、最高に笑えるじゃない、アーシアは神器だけじゃなく最高の見世物まで出してくれたわ…恩の返し所をわかってるわ‼」

「何故?」

「ん?」

「何故…彼女に手を出した?」

「アーシアが私のほしい神器を持っていたから…それ以上の理由は無いわ?当り前じゃない?」

 

 

レイナーレは神器(おもちゃ)の出来栄えを確認しながら、鼻歌でも歌っている。

 

 

当たり前?こうやって奪われるのが?ただ神器を持って生まれただけでこんな仕打ちを受けなきゃならないのか?

 

 

視界から色が抜け、緋色のノイズだけが走る

 

 

ベリアルが拍手しながら現れる。

 

 

「アーちゃん、理解出来なくて当然さ、こいつら堕天使や悪魔、天使達は人間を管理してやってる…なんて考えてるのさ。」

「人権?そんなもの無くて当然さ、誰かが言ってたろ?家畜に神は居ない…ってね。」

「それで?今度こそ守りたいものは守れたかい?俺が見たところ…三流のハッピーエンドの為には役者が足りない様だけどね、今の君に相応しいのは一流のバッドエンドってとこかな?」

 

 

耳の奥で、数万人の悲鳴のような音が鳴り響く

 

 

「今度こそ守る…か…少し傲慢だったみたいだね。」

「そうそう、今のアーちゃん、瞳に蒼が無くて赤しかないみたいだね、イメチェンでもしたかい?」

 

 

こんな存在…こんな奴らを守るために俺は戦ったのか?

 

 

そんなの…虚無じゃないか…俺は…

 

 

「そうそう、今の君は虚無だ…そんな存在に誰かを守る…大切にする資格なんてないんじゃないの?」

 

 

なら…許せないモノ…それを壊して…それで終わろう。

 

 

足元から立ち上る魔力が、教会の空気をドロリとした重油のように変える

 

 

「そうか…最初から資格なんて無くて良かったんだ…」

 

 

―――――

 

 

アマタの傷ついた心から溢れ出した『緋色の空』が、彼の肉体を焼きながら固まっていく

骨が軋み、血液が沸騰するような激痛。

だが、それすらも今の彼には『心地良い』とすら思えた

 

 

「なによ…何なのよ⁉人間が…こんな…」

 

 

アマタがレイナーレ達の方を向き直る。

 

 

「ヒッ、やめ」

 

 

叫び声すら届かない。熱も、衝撃も、音すらない。

ただ、そこに『存在していた』という事実だけが、緋色の光に塗り潰されて消えていく

 

 

ベリアルは心の底から歓喜の言葉を挙げる。

 

 

「最高だよアーちゃん、それが君の赤か…達するしかないじゃないか‼こんなもの見せられたら‼」

 

 

教会の地下の壁がジワリと溶け始める。

 

 

「と言っても、計画の事を考えたらこのまま退場してもらいたいが…」

 

 

害意を感じたのだろう、次の瞬間にはベリアルは弾き飛ばされていた。

 

 

アクセサリーが揺れる。

 




ベリアル君にはもう親子丼食っといてもろて

これがワイの…精一杯…

アマタ君どう?良い子?

  • いっぱいちゅき
  • 爽やかだね
  • ん~魅力が…
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