僕が蒼を纏う理由 ―かつて十天の頂点だった男のハーレム戦記―   作:鵲くん

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めっちゃ難産でした、ちょい短いかもしれません。

アマタ君イジメるの辛い…でもこれは必要なんや。


変えられるもの、変わらないもの

戦場と言うにはあまりにも痛ましい、殺戮の場…全てが終わった場にて…

 

 

一人の一般人にしか見えない壮年の男性が少年に声をかける。

 

 

「坊主、殺しまくったな…お前は強い、現時点で最強だろう。」

「だが…その生き方は空っぽだ…人間の生き方じゃない、獣だ…」

「お前はそれでいいのか?」

 

 

「理解不能…知らない…俺は奪われたくない、それだけだ。」

「何もしなければ奪われる、それが『今』だ。」

 

 

男性は少年を苦々しい表情で見つめる。

 

 

「奪われたくない…か…お前は誰かと暮らし、人の営みというモノを欲しがらないのか?」

「疑問…人の営み…なんだそれは。」

 

 

くはははと男が笑い、高らかに少年に語る。

 

 

「いいか、人の営み、それは…」

 

 

―――――

 

 

「ア…マ…」

「アマタ君‼」

 

 

目を開く…真紅の髪がと黒の髪が視界に入る、リアスちゃんと朱乃ちゃんだな…

 

 

俺は伸びをして彼女に向き直る。

 

 

「ん~…どうしたんだ?」

「どうしたんだじゃないわよ、もう…あなた授業中ずっと寝てたわよ…先生呆れてたわ。」

「そうですわ、普段なら注意されたらすぐ直すあなたが、寝続けるなんて珍しいですわね、何かありましたか?」

 

 

何か…か…あったと言えばあったんだが…この子達に相談する…そんな弱さは見せたくないな…

 

 

「ちょっと昨日目が覚めちゃってね、それで眠くてさ…後、懐かしい夢見たんだ。」

「なるほどね、あなたが見た懐かしい夢って言うのは?」

「師匠の夢さ。」

「師匠?」

「アマタ君に師匠なんて居たんですのね、どんな方ですの?」

 

 

俺は溜めて言う。

 

 

「師匠は、人生の楽しみ方を教えてくれた人さ。」

 

 

そう…あの人が居なければ俺は…

 

 

今俺の傍にはアイツらは居ない…

 

 

ベリアルの奴、空っぽに乾杯…か…今の悩んでる俺には効く一言だよ…

 

 

「それじゃ、今から部活だっけ、俺も行ったほうがいいんだっけ?」

「ええ、アマタ君が来てくれないと私達も張り合いが無いわ。」

「そうですわ、アマタ君さえ良ければお茶をご馳走しますよ。」

 

 

あの教会の一件より、やたらと気にされてる気がする…守らなきゃ…的なモノを感じる。

アーシアからもそういう雰囲気かんじるんだよね。

 

 

俺は…弱くなったのか?守るべき存在、日常に守られようとしている…

このままそれに甘んじれればどんなに楽な事だろう…

 

 

でも、このままじゃダメだよな…ベリアルの計画とやらはもう始まってる気がする、だから…

 

 

「ありがとう、ただ今日は帰るよ、用事があるんでね。」

 

 

今は…今だけはこの温かさに包まれたい…けど…あの夢を見た俺に…それはダメなんだ。

 

 

「そう…なの…わかったわ、良かったらまた来て頂戴、みんな喜ぶわ。」

「わかった…また行かせてほしいね、みんないいヤツばっかだから楽しいからね。」

「良ければ何で来れないのか聞いていいかしら?」

 

 

そう言うリアスに俺は、一瞬考え答える。

 

 

「ちょいと凝りがひどいんでね、マッサージ行かないとなってね。」

 

 

リアスと朱乃の二人が首を傾げるが、俺は鞄を持ち教室を去ろうとする。

 

 

「それじゃあ、また明日、お疲れ様だね。」

 

 

―――――

 

 

帰宅後俺は自宅に作った地下訓練場にてトレーニングをしていた。

 

 

「ご主人様、次私に一本お願い。」

「ああ、きつめに行くぞ。」

 

 

黒歌も一緒に訓練している、元々才能が有るのもあってかなり強くなっているだろう…少なくともこの世界の基準ならば…

ベリアルはこの世界の理を超えた存在…元の俺の世界でも大概ぶっ飛んでる存在だ。

 

 

人間でアイツに勝とうとして勝てるのは元の世界でも数人しかいない…

それでもやれる事はやっていかないとな。

 

 

「にゃ~、また負けにゃ…ご主人様、どんだけ強いにゃ。」

「まあ、これでも鈍ったほうだな、アイツと戦うならこれ位できないとまともな勝負にすらならん。」

「あの発禁堕天司、どんだけ強いのにゃ…今まで私が見た中で底知れない恐ろしさを持っていたけど…」

 

 

ベリアルの強さ…か…単純に見てもスペック面でこの世界でまともに抗えるのはグレートレッドだったか、あいつかオーフィスって言うドラゴンたちだろう。

それも時間稼ぎが精一杯、勝つことは不可能だろう。

 

 

それにアイツ、知略方面もできるから厄介この上ないんだよな…今の俺に対する行動みたいに…

 

 

家紋付きの短剣を思い出す…アイツは何のために、あれを持ってきた…過去を、忘れるな…ってだけにしては悪趣味だ…

 

 

「ご主人様、悩みがあるなら聞くにゃ、ご主人様には笑ってて欲しいにゃ。」

 

 

心臓が射抜かれた感覚…表情が凍るのが解る…

 

 

「なんで解った?他の連中には気付かなかったんだけどな。」

「私はね、ご主人様をずっと見てるから…ちょっとおかしいな、笑顔が固いなって位だったけどね…」

「けど今それを言ったときのご主人様、なんだか寂しそうで…悲しそうで…見てらんないにゃ…」

 

 

俺は今どんな表情をしているのだろう…仮面が剝がれるのがわかる。

 

 

そっか、黒歌は俺を見ていてくれたのか…格が違う…同じ高みに届かなければこの仮面はバレないと思ったんだがな…

 

 

「それだけ俺を想ってくれて…」

「うん」

「今、俺はどんな心でお前を見ればいいのかわからない。」

「うん」

「けどさ、それでもお前は俺を想い続けてくれるのか?」

「当たり前にゃ、だって私はご主人様の家族なんだもん。」

 

 

想われる…こんなに嬉しい事はあるだろうか?

 

 

だが、俺の中の…過去の俺が問いかけてくる。

 

 

『疑問…想いは力関係に関係などない。』

 

 

うるさい…

 

 

『疑問…なぜこれほどまでに弱者を気に掛ける?無駄な事だ。』

 

 

うるさい…

 

 

『疑問…それでも…それでもと眩しかった彼らに手を伸ばしたいのか…』

 

 

うるさい‼

 

 

『提示…そんなことをしてもお前は人間にはなれない…お前は空っぽだ。』

 

 

やめろ‼

 

 

「ご主人様‼」

 

 

ハッとする、黒歌は俺の肩をつかみ、呼びかけていた。

 

 

「ご主人様、やっぱり今辛いんでしょ、私に出来ることは無い?」

 

 

今…して欲しい事…俺の望みは…

わからない…頭の中がぐちゃぐちゃだ…

 

 

ぽふ…と柔らかい感触と甘い香りが鼻腔をくすぐる。

 

 

「悩みがあるならそれでもいい、少しずつでも前を向けって言ったのはご主人様だよ?」

「あなたに助けられた私は弱い…けどいつまでも弱いままではいないよ?」

「だから…周りを…そして自分を信じてあげて。」

 

 

黒歌の顔が近づいて、少し触れて離れる。

 

 

「私の初めてなんだから、責任取ってね?」

 

 

そう言って笑う彼女は月のように優しく、温かく照らす笑顔だった。

 

 

「…そうだな、家族の大切な物貰ったんだ、少しは前を向かないとな。」

 

 

俺はそう答えた、答えたけれどもどこまでも心の中にある澱は晴れない…

 

 

何が違う…アイツらと今の黒歌は何が違うんだ…

俺を見てくれる…想ってくれている…なのに彼女では違う…そう感じてしまうのだった…

 

 

空は見えない、まるで何も見えない今の俺の気持ちのように。




三流のハッピーエンド好きですよ?でもあくまでもハッピーエンドは終わりだという事です、まだ半ばです

アマタ君どう?良い子?

  • いっぱいちゅき
  • 爽やかだね
  • ん~魅力が…
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