僕が蒼を纏う理由 ―かつて十天の頂点だった男のハーレム戦記― 作:鵲くん
楽しんでいってね
『私共が止める理由はもうなくなりました…この招待状を使用されると、会場に向かうことが出来ます…お嬢様をよろしく頼みます…』
そう言ってグレイフィアちゃんは婚約披露宴の招待状を渡して去った。
俺は手元の招待状を見つめている。
「アマタさん、行きたいんですよね…部長さんを助けに。」
「私達もご主人様に助けられたし、今回もサクッと助けに行ってくるにゃ…精々たらしに行ってくればいいにゃ。」
アーシアは純粋に心配してくれてるんだけど、黒歌の言葉の端々に棘を感じる…
まぁいい、二人は置いていく事にした、黒歌は悪魔の沢山いる所に連れて行きたくない、アーシアには…これからの俺を見せたくないから…
「それじゃ、二人とも…行ってきます。」
「はい、行ってらっしゃい。」
「連れて帰るなら一人だけにしてね、ご主人様。」
俺をなんだと…いや、聞くのが怖い。
―――――
「誰だ‼ここは決められた方々しか入れない婚約会場だぞ‼」
門番が止める、しかし次の瞬間門番は吹き飛ばされ、会場の扉が粉々に吹き飛ぶ。
吹き飛んだ扉から現れたのは、一人の男、暴力的ともいえる闘気を隠さない。
その外見は美の神が丁寧に力を込めて作ったかのような暴力、もはや兵器とも言えた。
会場の女性悪魔達が息をのむ、まるでそれがこの人間に対しての礼儀作法だと言わんばかりに…
グレモリー眷属達も息をのむ、普段の気の良い彼からは想像できない程、『彼』からは覇気を感じたからだ。
会場の空気が『彼』中心になった所を一人の紅色の髪の青年が前に進み、『彼』に語りかける。
「派手な登場だね、君は何をしに来たのかい?」
『彼』は首をコキコキと鳴らし、ゆっくり溜めた後簡素に言う。
「花嫁泥棒。」
空気が凍る、その後熱狂に変わる…しかしそれは『彼』を讃えるものでは無かった。
「無礼な、此処をどこだと思っている‼」
「それに何を言っている⁉花嫁泥棒だと⁉何様のつもりだ‼」
罵倒が飛び交う。
しかし、紅髪の青年が手を上げると静まり変える。
「君は何のために花嫁泥棒をしに来たのかい?これは悪魔にとって必要な事なんだ、わかってもらえないかな?」
「なら何故彼女は泣いている?」
「彼女にとってこの結婚が望まないモノだからだろうね。」
「なら何故誰も止めない?」
「私の目の前で暴れる気概のある者もそういないだろう。」
「そうか…なら…押し通る。」
闘気が溢れる、会場のガラスが全て例外なく割れる…覇気により空気が悲鳴をあげる。
「ふむ、ならば私を倒すかい?魔王の私を。」
「それが必要なら…それに力ってのは相手に応じて出したり引っ込めたりするもんじゃない。」
彼女が…リアスが泣いている…それだけで『彼』にとっては十分動く理由になる。
「ふむ…やはり君は…いいだろう、こちらからの条件を呑めばリアスを君に預けよう。」
ライザーの軽薄な笑みが消える。
「魔王様、何故です…俺は力を示したはず‼」
「結婚前の余興だよ、君が強いのは良く分かっている…それを会場の皆にもう一度見せて欲しいんだ。」
ライザーは何も言えなくなり、紅髪の青年が『彼』に向き直る。
「君に出す条件は一つ、ライザー君に勝つことだ。」
「それがなされれば、私達悪魔はリアスを引き留めない…どうかね?」
「良いよ、こいつ倒すだけで良いなら話は早い、それにこの焼き鳥野郎には聞きたい事がある。」
「ほう、なにか聞きたい事?それはなんだい?」
「それはこの焼き鳥野郎に直接聞く、いいからお前らは開始のゴングを鳴らせ。」
ライザーと『彼』のみが入る結界が張られる、最上級悪魔だろうと壊す事が出来ないであろう、とても固い…中からは抜け出すことの出来ない強大な檻だ。
「俺を相手にしようとするとはな、人間風情が豪気な事だ…」
「ここはレーティングゲームとは違う、早いうちにリタイアするのを薦めてやろう。」
「今なら泣いて俺に媚びる事を許してやろう、そうすれば五体満足で帰れるぞ?」
「おい。」
「何を勘違いしている、貴様に許されてるのは俺の質問に答える事…それだけだ。」
「何を…」
「あの力…混沌をどこで手に入れた…あれはそう簡単に手に入るモノじゃない。」
「貴様…‼」
「選ばれた…と言っていたな、誰に貰った?借り物のおもちゃではしゃぐだけの幼稚な存在…それがお前だ。」
「生きながら全身を焼かれる苦しみを教えてやる…生まれた事、俺に逆らったことを後悔させてやる…‼」
ライザーの手から放たれる混沌を帯びた炎…それは最上位悪魔だけでなく、それより上…魔王ですら無傷では済まない程のとても…強い炎。
だが『彼』はその炎に包まれると何事も無かったかのように手を軽く振り払う…
その動作のみで炎は跡形もなく消滅した…まるで初めから何もなかったかの如く。
全員が唖然とする…いや、会場の中で二人の人物のみは何事もなく…
紅髪の青年は嬉しそうに笑い、銀髪のメイドは当然のように取り乱すことなく納得した様子。
「やはり…彼かもしれないね。」
「当然です、あの方は私の…」
「君は彼の事になると興奮が抑えられ…「奥様に伝えておいて欲しい事があるようで?」何もないです…」
二人の視線の先では何度もライザーの炎が『彼』を包むも一瞬で消えていく様が繰り返されていた。
「な…何故だ⁉俺は至高の力に選ばれた‼なのに貴様は何故無傷で居られる⁉」
「退屈なお遊びは終わりか?ならそろそろ俺の番でいいか?」
そう言い放った彼は片手を上に上げ、会場の全てに通る声で叫ぶ。
「俺の名は…アマタ…」
足の先からゆっくりと『蒼』き鎧を纏う。
「十天衆番外アマタ…『天』そのものと呼ばれし者だ‼」
全身を鎧が覆う、その鎧はまるで蒼き空を思い出させるかの如く…とても美しかった。
金色の大剣がアマタの翳した片手に収まる。
そしてアマタは剣を向けながら叫ぶ。
「オカルト研究部のお前ら、良く頑張ったな‼悪いがおいしい所は…悪い連中からお姫様を救い出す役割は貰うぜ‼」
眩い光が剣より溢れる。
「ライザー・フェニックス…本来ならここまでやる必要ないんだが…俺は今機嫌が悪くてな…」
「八つ当たりに付き合ってくれや。」
ライザーがわなわなと震える…力を手に入れた彼でも解る、絶対的な力量差…
差が開きすぎて例えが思いつかない程の絶対的な差。
「ば…バカな…どうして貴様…いや…あなたが…これは…わかっていらっしゃるのか⁉これは悪魔の存続の為に…」
「知ったことか‼俺の前でリアス泣かしといて‼オカルト研究部の連中を痛めつけやがって…それに言ったはずだ、これは八つ当たりだってな‼」
「せめてもの情けだ…安らかに散れ…」
「ヒッ⁉」
「彼方の奥義…お見せしよう…アイシクルネイル‼」
彼、アマタが剣を振った後に残ったのは一つの大きな、とても大きなライザーの入った氷塊だった。
「しばらく凍ってろ、お前の頭が冷えて俺の問いに答えれるようになったら溶かしてやるよ。」
「んで?これでいいか?悪い連中の親玉さんよ。」
「やれやれ…ここまでの力を見せられては認めざるを得ないね…」
「それと久しぶり…と言うべきかな、アマタ君。」
「ああ、久しぶりだな、ちょいと俺はがっかりしてるけどな。」
「そうか…だろうね…今私は申し訳ない気持ちで一杯だよ。」
「そうかい…積もる話もあるが…俺の用件済まさせてもらうわ。」
「良いとも、勝者にはその権利がある、彼女の元へ。」
「ああ。」
『彼』…アマタは鎧姿のままリアスの元へとゆっくりと歩いていく。
それを止めれる者はもはや、この場にはいなかった。
一歩歩くたびに鎧が少しずつ解除されていく、まるで今は必要ないのだと言いたいが如く。
アマタはリアスの前に立つと優しい声で、彼女に語り掛ける。
「涙のお姫様、君の涙…止めに来たよ。」
「あ…アナタは…本当に…アマタ君なのね…アナタは…助けに来てくれるなんて…」
アマタはリアスの頭を撫でる。
「泣いてる女の子、放っておいたら俺はアイツらに顔向けできないさ…それに、大切な人だからね、君は…」
「アマタ君…ばか…」
リアスが背伸びをする…一瞬彼と彼女の影が重なる…
「あなたを…離さないんだから…」
「そっか嬉しいね、家族が増えるわけだ。」
クスクスと二人は笑いあう、その様はまるで絵画の様だった…
「茶番だな。ケイオス・レギオン」
一筋の混沌が花嫁に襲い掛かり、血しぶきが舞う。
まぞっほさんの名言まじでかっこいいよね、関係あるかは知らんけど。
最後のやつ誰だろうな〜マジでここに繋げたくて2巻部分頑張ったまである。
14話から雰囲気変わったけどどう?ちゃんと三流のハッピーエンドにするつもりですが…
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尖ってて面白い、このまま書いて
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丸くても良いから元に戻して…