【ハイドラ広報局 声明:サノス氏による資源調整策に関する見解】 作:WAST0101
作中内のナチス残党組織ハイドラが発表した声明文を発表したらという設定で書いてみました。
【重要】私はナチズム及びファシズムに反対しております
発行:ハイドラ最高評議会 広報局
対象:地球および全銀河の知的生命体へ
現在、全宇宙規模で発生している壊滅的な事象――通称「デシメーション」について、我々ハイドラは深い懸念を表明するとともに、事態を引き起こしたサノス氏に対し、科学的・政治的な立場から明確な抗議を行う。
サノス氏が掲げる「宇宙の有限な資源と、生命の均衡」という理念そのものは、我が組織が長年追求してきた秩序の哲学と一部共鳴するものである。しかしながら、氏が選択した執行プロセスにおける「無作為性(ランダム)」という点については、理性的存在として到底容認し得ない。以下に、氏の行為がいかに「知的生命の進化に対する重大な冒涜」であるかを詳述する。
1. 資源管理における「質」の等閑視
サノス氏は、生命を単なる「個数」というデジタルな数字でしか捉えていない。これは統治者として致命的な計算ミスである。
我々が直面しているのは、優れた知性と指導力を持つエリート層と、社会の維持に貢献せぬ無能な寄生虫たちが、等しく「五〇パーセントの確率」で天秤にかけられたという現実だ。宇宙を導くべき科学者や戦略家が、明日の糧も持たぬ浮浪者と同じ確率で塵に帰す。これが「救済」であるはずがない。サノス氏が「公平」と呼ぶものは、実のところ、「価値の判別能力の欠如」を露呈しているに過ぎない。氏は宇宙の庭師を自称しながら、雑草を抜く手間を惜しんで、実を結ぶ果樹ごと庭園を焼き払ったのだ。
2. ゾラ・アルゴリズムこそが「真の均衡」への鍵である
真の平穏とは、サノス氏のような気まぐれな指先一つ、あるいは原始的な博打のごとき偶然によってもたらされるものではない。
我々ハイドラは、過去数十年にわたり、アル・ニョラ・ゾラ博士の開発した「ゾラ・アルゴリズム」に基づいた精密な選別を研究してきた。過去の経歴、現在の思想、そして将来もたらすであろうリスク――それらを計算し、「秩序に従う従順な者のみを残し、ノイズ(反逆者)を排除する」。この科学的プロセスこそが、持続可能な管理社会の唯一の解である。
サノス氏の行為は、我々が丹精込めて育ててきた「管理された平和」という苗床を、目隠しをして草刈り機で蹂躙したも同然であり、知的生命体が積み上げたデータサイエンスへの冒涜に他ならない。
3. 「サノス氏の欠落」を補完する再建計画
氏の非効率なパッチンの後、文明は崩壊の危機にある。各国の政府機能は麻痺し、重要インフラの担当者は不足し、社会は「消えなかった者たち」の無意味な悲嘆で満たされている。
そこで我々ハイドラは、サノス氏が投げ出した無残な後始末を、より知的な方法で引き継ぐことを決定した。
ハイドラは直ちに、欠落したパーツ(人材)を補完するための「促成成長型クローン・ユニット」の配備を開始する。これはシニスター氏の技術を一部援用し、ハイドラの規律をあらかじめ脳内にプリセットした「理想的な市民」の大量供給である。彼らに「喪失の悲しみ」はなく、ただ「役割」があるのみだ。
サノス氏がもたらした「無秩序な空白」は、我々の「厳格な規律」によって埋め戻される。この宇宙は、サノス氏が夢想した牧歌的な農園ではなく、ハイドラという一つの巨大な生命体として再誕するのだ。
首を一つ撥ねれば、二つの首が生えてくる。
サノス氏、あなたが半分にしたならば、我々はそれを「より優れた、より従順な」二倍の密度で埋め戻すまでだ。
ハイル・ハイドラ。
(サノス氏、あなたの投げ出した稚拙な仕事は、我々がより完璧な形で「完成」させていただく。)