A Cup with Love   作:white flower

1 / 10
第一話 Days

キジバトが元気に鳴く早朝、推しのAIライバー、ヤチヨの配信を聞きながら、学校へ行く準備をしていたら、玄関のドアがノックされた。

 

「おはよ~!椰花だよ~」

「はーい、今でまーす。」

 

 扉を開けると、桃色の長い髪に、ポケットが沢山ついた作業服、黒のスキニーパンツを履いた170㎝くらいの少し高い女性が、段ボールを抱えて立っていた。

 春休みに知り合った、友達の芦花の姉、綾紬椰花さんだ。

 

「や!おはよ、いろはちゃん。朝早くにごめんね~」

「おはようございます。椰花さん。」

 

 椰花さんの段ボールには、いっぱいの野菜が入っていた。

 よく野菜をこうして持ってきてくれる。

 

「わざわざ持ってきてくださって、いつもありがとうございます。」

「どういたしまして!とはいえ、気にしなくていいのよ、私が消費して貰ってる身だし」

 

 と、言われても、限界苦学生をしている私にとってこの食材たちは、とてつもなくありがたいものだ。

 

「この子、結構痛むの早いのと、こっちは傷多めだから、よく見て使ってね」

「わかりました。」

 

 貰う野菜たちは所謂、訳ありというやつらしく、商品にならないからと、沢山持ってきてくれる。

 だが、どこが訳ありなのか分からないほど、味が非常によく、スーパーで買う野菜たちで満足出来なくなりかけている。

 箱を渡されると、椰花さんがジッとこちらを見つめていた。

 

「…うん、相変わらず元気そうで何より!」

 

 …隈のチェックされたな。

 毎月会うから、多少慣れはしたけど、やっぱり少しだけこの瞬間はちょっと怖い。

 

「じゃ、そろそろお暇するね~またね、無理しないでね!」

「ありがとうございました。椰花さん、さようなら。」

 

 ばいなら~と椰花さんはアパートの階段を降りていった。

 春風に言うには荒々しく、嵐というには優しすぎる。髪型だけ崩して消えていく風のような、少し不思議な人だ。

 さて、ヤチヨの配信も閉じて、私も学校に行きますか。

 

 

 

「あ、彩葉来た」

「おはー」

 

 いつもの通学路のいつもの場所で芦花と真実に合流した。会うのは昨日のゲーム以来。

 

「二人ともおはよ」

「いろは、昨日はよく寝れた?」

「おかげさまで」

「ホント~?」

「寝たって~」

「彩葉の『ぐっすりと』は6時間とかっしょ」

 

 不貞腐れた顔の芦花から、すかさずツッコミが入る。

 苦学生にとって6時間睡眠は結構な贅沢なのだ。

 

「全然、ぐっすりじゃないじゃん~。二度寝したくなってきちゃった…」

「何してたの?予習?」

「まぁね、そろそろ期末あるし」

「えぇ~?期末は再来月じゃん、彩葉偉すぎ~」

「彩葉なら余裕で一位でしょ」

「そーゆー油断がいけないの。今からしっかりと準備しとかないと、いつ背中から撃たれるかわからないんだから」

 

いかん、思わずお母さん語録が出てしまった。

 

「それ、お母さん語録だね?」

「またでてる」

 

はい、そうです。見透かされちゃいましたー

 

____これが私の日常。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。