A Cup with Love 作:white flower
キジバトが元気に鳴く早朝、推しのAIライバー、ヤチヨの配信を聞きながら、学校へ行く準備をしていたら、玄関のドアがノックされた。
「おはよ~!椰花だよ~」
「はーい、今でまーす。」
扉を開けると、桃色の長い髪に、ポケットが沢山ついた作業服、黒のスキニーパンツを履いた170㎝くらいの少し高い女性が、段ボールを抱えて立っていた。
春休みに知り合った、友達の芦花の姉、綾紬椰花さんだ。
「や!おはよ、いろはちゃん。朝早くにごめんね~」
「おはようございます。椰花さん。」
椰花さんの段ボールには、いっぱいの野菜が入っていた。
よく野菜をこうして持ってきてくれる。
「わざわざ持ってきてくださって、いつもありがとうございます。」
「どういたしまして!とはいえ、気にしなくていいのよ、私が消費して貰ってる身だし」
と、言われても、限界苦学生をしている私にとってこの食材たちは、とてつもなくありがたいものだ。
「この子、結構痛むの早いのと、こっちは傷多めだから、よく見て使ってね」
「わかりました。」
貰う野菜たちは所謂、訳ありというやつらしく、商品にならないからと、沢山持ってきてくれる。
だが、どこが訳ありなのか分からないほど、味が非常によく、スーパーで買う野菜たちで満足出来なくなりかけている。
箱を渡されると、椰花さんがジッとこちらを見つめていた。
「…うん、相変わらず元気そうで何より!」
…隈のチェックされたな。
毎月会うから、多少慣れはしたけど、やっぱり少しだけこの瞬間はちょっと怖い。
「じゃ、そろそろお暇するね~またね、無理しないでね!」
「ありがとうございました。椰花さん、さようなら。」
ばいなら~と椰花さんはアパートの階段を降りていった。
春風に言うには荒々しく、嵐というには優しすぎる。髪型だけ崩して消えていく風のような、少し不思議な人だ。
さて、ヤチヨの配信も閉じて、私も学校に行きますか。
「あ、彩葉来た」
「おはー」
いつもの通学路のいつもの場所で芦花と真実に合流した。会うのは昨日のゲーム以来。
「二人ともおはよ」
「いろは、昨日はよく寝れた?」
「おかげさまで」
「ホント~?」
「寝たって~」
「彩葉の『ぐっすりと』は6時間とかっしょ」
不貞腐れた顔の芦花から、すかさずツッコミが入る。
苦学生にとって6時間睡眠は結構な贅沢なのだ。
「全然、ぐっすりじゃないじゃん~。二度寝したくなってきちゃった…」
「何してたの?予習?」
「まぁね、そろそろ期末あるし」
「えぇ~?期末は再来月じゃん、彩葉偉すぎ~」
「彩葉なら余裕で一位でしょ」
「そーゆー油断がいけないの。今からしっかりと準備しとかないと、いつ背中から撃たれるかわからないんだから」
いかん、思わずお母さん語録が出てしまった。
「それ、お母さん語録だね?」
「またでてる」
はい、そうです。見透かされちゃいましたー
____これが私の日常。