A Cup with Love 作:white flower
※前話において細かい部分の修正をしました。内容に変化はありません。
ジリジリと蝉が鳴くお昼時。
かぐやが作ってくれたお昼ご飯を食べ終えて、KASSENをしていると突如、玄関を叩く音がした。
「あっ来た~!」
かぐやがネットで何か頼んだのだろうか、部屋がまた狭くなるなとげんなりした。
「芦花~!」
「やっほ、かぐやちゃん」
「えっ、芦花!?」
まってまって、私オフだったから完全に部屋着なんだけど!?
「ちょっと待って、どうしてここに!?」
「あれ?かぐやから話聞いてない?」
「かぐや???」
「アッ…言い忘れてたカモ」
あらぬ方向をむいて口笛を吹くかぐや。
なんて、事を。
「芦花、ごめんね、こんな姿で…」
「いや、全然気にしないで!」
ん?なんか、やけに嬉しそうだし、気にしないでのニュアンスが少し違ったような…
まぁ、いいや。
「それで、かぐや、なんで芦花がここに?」
「水着買いにいくの!」
今日のかぐや、外行きの服を着てるなと思ったら、そういう事だったのか。
そういえば、この前ツクヨミ内で海にいく話をしたっけ。
かぐやは水着もってないから、あーだこーだ喋ってたな。
「そういう事だったのね…じゃ、かぐや頼んでもいい?」
「えっ、彩葉もくるでしょ?」
「へ?なんで私?」
私は去年の奴があるから別に行かなくても、というかメイクも何もしてないし。
「芦花~どうしたの?いろはちゃんに何かあった~?」
そう言って、扉から顔を出したのは椰花さんだった。
珍しく、いつもの作業服ではなく、黒いレースのトップスに適度なダメージが入ったジーンズ、髪の毛も遊ばせて、丸いサングラスをかけたオフの姿だった。
「や!いろはちゃん!こんにちは。」
「うわっ背たかぁ~誰?…なんか芦花に似てね?」
「椰花さん!?こんにちは、こんな格好ですみません…」
うっわ綺麗、いつもの作業服は元気なキャリアウーマンって感じだが、今日の椰花さんは若い綺麗なお姉さんって感じが溢れ出てる。
「気にしないで~それで、その子が例のいとこちゃん?」
「あっ、はい。そうです。かぐや、挨拶して、芦花のお姉さんの椰子さん」
良かった、芦花からある程度事情を聞いているようだ。
「お~!芦花のお姉さん!かぐやって言います!よろしく!」
「かぐやちゃんね~よろしくね~!」
自己紹介が終わったら、すぐに2人は打ち解けて、好きなものとか、配信についてとかの話をしていた。
「彩葉、メイクは私が車の中でしてあげるから、着替えて」
「でも私買うものないよ?」
「水着、去年の奴使うつもりだったでしょ?」
「そうだけど…」
「えっ、それはダメよ」
かぐやとじゃれ合ってた椰花さんが真顔でこちらを向いた。
びっくりして、ちょっと変な声出た。
「芦花、真実ちゃんも新しいのでしょ?」
「うん、そうだよ」
「これから、芦花とかぐやちゃんの水着買うんだから、いろはちゃんも新しいの買いなよ」
確かに、新しい水着は欲しいけれど…
「でも、お金が…」
「だぁーそういうのは大人の役割!」
全然分かってないね、と言わんばかりに指差してくる椰花さん。
「好きなの買ってあげるから!いろはちゃんは夏を、海を楽しむことが仕事。かぐやちゃんも、いろはちゃんのかわいい姿みたいでしょ?」
「見たい~!!」
「そういうことだから、彩葉、はやく着替えて出かけるよ」
ワクワクが収まらないよ、といった感じにかぐやが目を輝かせて腕を掴んでいう。
「いろは~!はやくっ、はやく行こっ!」
「あ~もう!わかった、すぐ着替えるから少し待ってて…」
「素直でよろしい!」
「じゃぁ、私とやーねぇは車いるから、かぐやちゃん連れて来てね彩葉」
そういって、部屋から出ていった。
「楽しみだね、いろは!」
咲く前の綺麗な蕾のように笑うかぐや。
いろいろ考えることはあるけど。
「確かに、楽しみだね、かぐや」
思っていることは同じようだ。
それから日が飛んで、当日。
海水浴場までは椰花さんが送ってくれた。付近にある取引先とのミーティングがあるらしくそのついでとの事。私達を下ろした後はすぐに、仕事あるからと椰花さんは去っていった。
「えっ、いろは綺麗すぎ…これは、やばいね芦花」
「やばいっしょ真実」
そういって、口を抑える真実と泣きそうな芦花。
「そ、そんな見られると、流石に、恥ずかしい…」
「いろは~最高にかわいい~!あ、芦花、鼻血出てる」
「ぐっ、恥じらう彩葉ヤバすぎ…」
そういって、胸を抑えながら片膝をつく芦花。
「ちょ、芦花大丈夫!?」
「芦花はほっといて大丈夫だと思うよ~」
「それにしても、いろはの水着最高に似合ってるね~!!!」
そんなに、似合っているだろうか。
「深海のような紺色を基調としたタンキニよりのクリスクロス、腰には流星モチーフの青と水色のパレオ…肌の露出面積は少ないのに、彩葉が生来もつスタイルの良さが相まって、ミステリアスな大人の雰囲気が出てる。のに、可愛さはそのまま…最高っ!!!」
そういって、目のダムを決壊させながらサムズアップする芦花。
…鼻血拭いたら?
「いやぁ…これ誰が選んだの?」
「水着はかぐやだよ!パレオは椰花!」
私がやりました。と言わんばかりにドヤ顔で謎ポーズを決めるかぐや。
「え、選んだのは芦花じゃないんだ~意外~」
「私は…使いものにならなかったから…」
「あっ…全部理解したわ」
そんなこんなで、椰花さんが迎えに来るまで存分に海を満喫した。
一通りの遊びをし、もうそろそろ日も沈み始めそうな頃。
「海はどうだ~お姫様たち」
「「「あ、椰花~(さん)おつかれ~(お疲れ様です)」」」
「や!ありがと!」
「やーねぇ、おつかれさま。仕事は?」
レジャーシートのうえで各々ジュースや海の家で買ったものを食べて過ごしていたら、いつもの作業服の椰花さんがきた。
「終わったよ、思ってたよりスムーズにすんで良かったよホント…どう?楽しめたかい?」
「おかげさまで」
「サイコーの思い出になった!!」
「それは良かった!」
夜空の星のように椰花さんは笑った。
「あ、写真撮ってあげるから、そこ並びな~」
「「「「はーい」」」」
そうして撮って貰った写真は、満開の花束のようだった。