逆行系能力の親友を逆行させない為に   作:光ファイバー

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 短めなので初投稿です。
 後半から滞斗視点に変わります


実は思ってたより強いのかもしれない/助け

 結局明玖さんは三十分で俺の服を作り上げた。作ってる工程を見てたが意味が分からなかった。金属片を持ってたはずなのに瞬きしたら布製品に変わってた。この人だけ常識外れ過ぎる。

 

「どうかな? サイズとかは問題無いと思うんだけど」

「そこら辺は問題無さそうですね。動きやすいです」

 

 そんな訳で完成した服を着てみた感じだ。ズボンは結構しっかりした素材で脚全体をしっかりと守れてる。しかも伸縮性もあり特に動きを強く制限される感じはしない。逆に上は素材こそズボンと同じ感じだが肩が隠れる程度の袖の長さである。肘まで長さのアームガードも貰ったがそれでも二の腕は隠せていない。

 

「一応防刃、防弾、衝撃吸収機能はあるから。とは言っても異能力者相手だから全然心許なくはあるけどね。衝撃吸収も骨が砕けるような攻撃を響いてめちゃくちゃ痛いくらいにしか抑えられないだろうから」

「何でそれなのに袖こんな短くしたの!」

「いや、ほら。露出ゼロは味が無いじゃん」

「だからって腕を出すなよ……!」

 

 腕上げたら脇とかも出るし。弱点だぞ、普通に斬られて出血でもしたら事である。マジで長袖だったら完璧だったのに。

 

「私としては暗めの装いの中に瑞々しく輝く肌色が良いと思うんだけどなぁ。それにアヤちゃんなら問題無いでしょ。露出してる所狙われても上手い具合に避けたり受け流したりしそうだし」

「過大評価し過ぎです。私異能力者相手に正面から圧倒とか出来る程凄くないですよ」

「寧ろアヤちゃんが異能力者を過大評価し過ぎてると思うよ? 透くんみたいな人の方が稀だからね?」

「だとしても力で負けてるのは事実じゃないですか」

「うーん……おりゃあ!!」

「え? ……あ」

 

 急に明玖さんが襲い掛かって来たので、咄嗟に受け流してしまった。

 

「う、うわああああ!!!?」

 

 そして凄い勢いで壁際のよく分からない物の山に突っ込んでしまった。

 

「ごめんなさい咄嗟に受け流しちゃって……」

「……まあ、流石に私よりは強いとは思うけど根本異能力者なんて案外こんなものだって事だよ。アヤちゃんなら十分に戦える」

 

 山から顔だけ出した明玖さんがこちらを少し睨むように言った。ごめんて。

 俺に自信を持たせようとやってくれたのは分かるんだけど急に攻撃してきたそっちも悪いとは思うんだ。

 

「ところで私は何されたのかな? なんかスルッと方向だけ変えられて気持ち悪かったんだけど」

「相手の力を受け止めずに誘導して力のロス無しで横に流す、みたいな」

「……咄嗟でそれ出来る人は滅多に居ないから安心して良いよ」

 

 今度は呆れるように言われた。

 まあ、意外となんとかなるのか? と言うか敵が強かろうと戦うしか無いしな。今あるもので頑張るしか無い。

 

「思いっきり動ける場所とかってどこかあります?」

 

 とはいえ万全の状態にはしたい。いざ動いてみたら違和感が凄いのだ。身長が縮んだり手足が短くなったのは勿論の事、胸などのせいで重心も違う。ここら辺の違和感は無くさないといざと言う時に致命的なミスを起こしかねない。

 

「あるけど先にご飯にしない? ここ食堂もあるからさ、ついでに色々案内するよ。愛守ちゃんにも報告しないといけないし」

「そうですね。お願いします」

 

 よく考えたらもう一時だしな。流石にお昼は食べるべきだ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 そんな感じで明玖さんに基地の案内をしてもらったりご飯を食べたり途中で愛守さんと合流したりして現在は訓練所的な場所である。

 愛守さん達は隅で何かを話し合っており俺はずっと身体の調子を慣らしていた。

 

「はい隙あり!」

 

 パンチを腕で滑らせるように流しカウンターで掌底を入れる。

 最初は一人で身体動かしてただけだったのだがいつの間にか戦闘員的な人達との組み手が始まっていた。

 とは言っても最初に愛守さんが俺の事を無能力者と説明してくれたので異能力無し且つ怪我しないように手加減して貰っている。ちなみ現在無敗である。向こうのハンデが大きいとはいえ危なげなく勝てているので俺は意外とやれるらしい。

 

「いやぁ、アヤちゃん強いなぁ。空手とか柔道とか色々使ってるけど習ったりしてるのかい?」

「小さい頃にやってて覚えているものを〜って感じですね。あとはゲームとかアニメで見た技を真似してみたり!」

「才能だなぁ……おじさんには無理そうだ」

 

 そういえば一部の人達は反応とか対応的に俺が彩葉だって気付いてそうだった。この場に明玖さんも居るし俺の事を前もって知ってれば何となく予想出来るのかもしれない。それでもその事を言わず、俺をアヤとして対応してくれてるのでここの人達は良い人ばかりだ。

 

 

 

「アヤ、ディスラプターらしき動きがあった。恐らくすぐに滞斗君が交戦を始めるだろう」

 

 来たか。もうちょい身体を慣らしたかったけど仕方ない、ある程度は慣れたしまあいけるだろ。

 

「分かりました。場所は?」

「滞斗君達の下校路だ。覚島風花については滞斗君が上手く逃している」

「じゃあ私は滞斗を助けに行ってきます!」

 

 急いで部屋から駆け出しそのまま基地の外に出て滞斗達の方に向かう。

異能力組織だろうが関係ない、滞斗と風花に手を出した事後悔させてやる!

 

 

 

────────

 

 

 

 普通して突撃してきたナイフを躱してから横からの蹴りをどうにか左腕で受ける。

 

「っ!」

 

 腕の骨にひびが入ったかもしれない。

 

 ……僕、時宮滞斗は異能力者と戦っていた。始まりは先週の事、いつものように彩葉と風花と三人で下校している時に異能力者に襲われた。その異能力者は彩葉が重傷を負いながらも何とか倒してくれたけど、続けざまにもう一人現れ……風花が殺された。

 僕は何も出来なかった。ただ茫然と風花が殺されるのを見ていて……そして気が付いたらその日の朝、三人で登校している時に戻っていた。

 

 何もかも全然分からなかったけどただ一つ、自分が異能力者になった事だけはスッと理解する事が出来た。

 その回はまた何も出来なかった。何が起こったのか疑問は尽きず、色々考えたが結局何も分からないまま放課後になり下校中、ルートは変えてみたが結局同じ異能力者達に襲われ、今度は僕も抵抗した結果あっさり殺された。

 

 そしたらまた朝で……自分の異能力がやり直せる力だと分かった。すぐに動いた。死の恐怖とか痛みとかは全部無視した。そんなのに苦しんでいたらまた風花が殺されるんだから。

 

 そうして何度もやり直して……何とか僕一人で異能力者二人を倒す事が出来た。その過程でこの異能力は僕か風花が死ぬと発動する事も分かった。

 

 次の日の早朝、プロテクターの人達に会って、風花が狙われている事を教えて貰って一緒に戦って貰えるようになった。

 

 ……でも異能力については話せていない。正確には何度も話した。……その結果、話した相手は全員死んだ。まるで異能力が誰にも話すなとでも言っているみたいだ。

 それでも何とかやり直して風花を助け続けた。このままきっといつかは全部が終わると信じて。

 

 でも一回くらいはやり直しせずに乗り越えたいな。眼前に迫るナイフを見ながら何となくそう思っ「危ないっ!」え……

 急に目の前に躍り出てきた人影がナイフを弾き飛ばし、そのまま敵の異能力者に向かって走り出した。

 僕と同い年くらいの女の子だった。

 

「誰だっ!」

「そういう事気にしてる場合じゃないんじゃないかな! 動きに動揺が出てるよ!」

 

 女の子は敵が操っているナイフを全て少ない動作で避けたり、腕で受け流したりしてあっという間に肉薄し

 

「本体の技量が足りないんじゃない、かなっ!」

「ぐはっ!」

 

 数回の攻防の末に相手のバランスを崩しすかさず顎に蹴りを入れた。

 

「ふぅ……大丈夫だった? 怪我とか無い?」

 

 こっちに振り返り心配そうな表情で言ってくる。可愛い。そう思ってしまって少し風花に申し訳なくなった。

 

「うん。お陰で大丈夫だよ。えっと、君は?」

 

 僕がそう聞くと女の子は「あっ」と少し大袈裟な反応をしてから明るい笑みを浮かべ

 

「私はアヤ! 滞斗くん、あなたの事を助けに来たよ!」




アヤ
 ピンチの滞斗の元に突如現れた謎の美少女。異能力は不明。一体誰なんだ……

最後の敵
 異能力は念動力的な。ナイフを操って視界外から攻撃したりナイフと挟撃したり、弱くはなさそうだけどパッとしない。多分アヤの服が防刃じゃなければもうちょっとやれてた。
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