岩沢雅美の幼馴染   作:南春樹

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第四話「歓迎会in女子寮」

「よーし、じゃあ歓迎会は岩沢の部屋な」

 

「オーケー、待ってるよ」

 

「なに買って行こうかなぁ……」

 

「しおりん、一緒に購買寄って行こ?」

 

「もっちろーん!」

 

「ちょっと待て!」

 

「なんだよ」

 

「なんだよじゃないよ!なんで女子寮って言うのが決定事項なんだよ!」

 

 

女子寮に入れるのは正直嬉しいが、流石に校則を破るのはマズいんじゃないか?

 

 

「……太一は私の部屋に来るのが嫌なのか……?」

 

「い、嫌って訳じゃないけど……」

 

 

雅美よ、そんな目をしないでおくれ。なにも言えなくなってしまうじゃないか。

 

 

「だって女子四人が男子寮に行くより男子一人が女子寮に行ったほうが見つかるリスクが低いじゃねぇか」

 

 

ぐぅ……。ひさ子の正論に何も言えなくなる。

 

 

「第一、篠宮先輩って今日来たばっかりだから自分の部屋がどこか知りませんよね?」

 

 

入江のこの一言が決定打となった。

 

 

「ほらな?やっぱり女子寮でやるしかねえよ」

 

「……分かったよ」

 

 

しかし、どうやって女子寮に潜入しようか……。普通に行ってしまったら誰かと鉢合わせになって即刻通報されるだろう。となったら正面から行くのはリスクが高い。部屋に入るにはドアが窓しか……。ん?窓?

 

 

「ちょっといいか?」

 

「ん?どうした?」

 

「雅美の部屋って何階だ?」

 

「5階だよ」

 

 

5階か……。よし、行けるな。

 

 

「雅美、部屋の窓を開けておいてくれ。ついでに雅美の部屋ってわかるような目印をつけておいて欲しい」

 

「?別にいいけど……?」

 

「よし、そうと決まったら行くか」

 

 

 

 

 

 

みんなと別れてから30分後。俺は女子寮の外にいた。

 

 

「え〜っと……雅美の部屋は……っと、あれか」

 

 

5階に窓の開いている部屋があり、そこには雅美のハンカチが靡いている。

 

 

「ここの上か……っと、ほっ」

 

 

地面を蹴ってジャンプして雅美の部屋に入る。

 

 

「おまたせー」

 

「うわあああああぁぁぁぁ!?」

 

「し、篠宮!お前どこから入ってきた!?」

 

「えっ、窓からだけど」

 

「お前アホか!ここ5階だぞ!そんなの出来るわけ……」

 

 

ひさ子がツッコミの途中で言葉が止まった。どうやら察したらしい。

 

 

「……そうか、その力を使って跳んだんだな?」

 

「御名答!」

 

「はわわ〜……まさか本当に出来るなんて……」

 

 

入江が心底驚いたように言葉を漏らす。

 

 

「た、太一…心臓に悪いぞ……」

 

「はははっ!ごめんごめん」

 

「初めて見ましたけど、凄いですね〜!」

 

 

キラキラした目で関根が俺を見てくる。

 

 

「ま、まあこの話はここまでにして……」

 

「お、そうだそうだ。これは太一の歓迎会だった」

 

「篠宮、何飲む?」

 

「なにがあるの?」

 

「コーラにジンジャーエールにオレンジジュース、あとはワンカップ大関だ」

 

「なんで酒があるんだよ!未成年だろ!?」

 

「篠宮先輩、今日は歓迎会ですよ?」

 

「そっか……なら大丈夫……なわけあるか!」

 

 

危ない危ない。関根の言葉に惑わされるところだった。

 

 

「それで、どれにするんだよ?」

 

「じゃあコーラで」

 

「ちぇっ!つまんねーやつだな」

 

 

……なんでつまんねーとか言われてるんだ?酒はダメだろ、酒は

 

 

 

「それじゃあ、みんな飲み物は持ったか?」

 

「ああ」

 

「持ったぞ」

 

「持ちました〜」

 

「しおりんに同じく!」

 

「それじゃあ……かんぱ〜い!」

 

「「「「かんぱ〜い!!」」」」

 

 

ゴクゴクゴク……。うん、やっぱりコーラは美味しい。これは生前も死後も変わらないようだ。

 

 

「あっ、お菓子食べます?」

 

「なにがあるんだ?」

 

「え〜っと、ポテトチップスと板チョコとポップコーンと飴とマシュマロとお煎餅です」

 

「じゃあポテチを貰おうかな」

 

「は〜い」

 

「入江は良い子だなぁ」

 

「なにをー!私だって買ってきたんだからね!」

 

「じゃあ関根も良い子だな」

 

「ふっふっふっ〜、分かればよろしい」

 

「何様だよ」

 

「あははっ!篠宮先輩も言いますね〜!」

 

 

 

 

 

序盤はこんな感じでワイワイキャッキャッやっていたのだが……開始1時間ほど、状況は大きく変わっていた。

 

 

「お〜ぅ、太一〜、お前はいい男だな〜」

 

「雅美……酔ってるのか?」

 

「酔ってるわけね〜だろぉ〜!」

 

 

あーあ、完全によっている人のセリフですわ。

 

 

「太一〜!」

 

「ちょっ!抱き着くなって!」

 

 

酔っ払った雅美が後ろから抱きついてきた。まあ悪い気はしないが、酔が冷めたときを考えて引き離すべきだろう。引き離すのは至って簡単。力技でオッケーだ。

 

 

「なんだよぉ〜!私が嫌だっていうのか〜!?」

 

「おーおー、お熱いねぇ」

 

「ひさ子……茶化してないでどうにかしてくれ……」

 

「無理だな」

 

「こうなったら岩沢先輩は寝るまでまとわり付きますからねぇ」

 

「以前はひさ子先輩が主なターゲットだったんですけど、今日は篠宮先輩なんですね〜」

 

 

……仕方ない。寝るまで待つか。

 

 

「ほら雅美、こっち来い」

 

「なあに〜?」

 

「ここに頭を乗せろ」

 

「うい〜…」

 

 

寝るまでまとわりつくなら早く寝かせるのがベストだ。そんな判断から俺は雅美に膝枕をした。

 

 

「……昔からそんなことしてたのか?」

 

「まあ、ちょくちょく」

 

「その時の詳しいエピソードを聞かせてください!」

 

「えぇ〜……」

 

「私も聞きたいです!」

 

「入江まで……」

 

「私も聞きたいな〜」

 

「ひさ子もか……」

 

「観念するしかないんじゃないかぁ〜?」

 

 

ひさ子よ、なぜにお前はそんなにニヤニヤしてるんだ。

 

 

「……分かったよ、話すよ……」

 

「よっ!待ってました!」

 

「さあ先輩!早く!早く!」

 

「確か初めては中1だったっけなぁ……」

 

 

 

〜20分後〜

 

 

 

「……とまあこんな話だね」

 

「へぇ〜……」

 

「当時から熱々なんですねぇ……」

 

「当時からって……」

 

「だって今も熱々じゃないですか」

 

 

そ、そうかな?周りからはそう見られてるのかな?だとしたら……ちょっと嬉しい。

 

 

「そういえば岩沢、完全に寝たな」

 

「しょうがない、ベッドに運ぶか…っと」

 

 

俺は雅美を持ち上げる。いわゆるお姫様抱っこというやつだ。

 

 

「本当に軽々持ち上げるんだな……」

 

「はは、こんな時には重宝してるよ」

 

 

関根と入江が「きゃー!お姫様抱っこ!」と騒いでいたが気にしない気にしない。

 

雅美は寝てしまったが、歓迎会はまだまだ続く……

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