レンタル彼氏のバイトをしてたら学校の美少女三姉妹に目をつけられた   作:ku216

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35話

遠くから、祭りのざわめきと明るい笑い声が聞こえてくる。

私は少し薄暗い道端で、電柱に背中を預けて立っていた。

 

……いいな。

 

私も――。

 

ふと、考えごとに沈みかけたとき。

こちらへ近づいてくる足音が、ひとつ。

 

「やぁ。遅くなって、ごめん」

 

「……全然」

 

声の主に身体を向ける。

 

「むしろ、急にお願いしちゃってごめんね。西村くん」

 

「いや。百合さんの頼みだからね」

 

西村くんは、口元だけを薄く上げた。

優しいのかどうか、よく分からない笑い方。

 

……たまたま他の男たちの都合が悪くて。

 

来てくれるって言ったのが、こいつしかいなかった。

 

「……それで、どうだった?」

 

「君の思ってた通り。――和泉くんで、間違いなかったよ」

 

「……そう」

 

胸の奥が、すうっと冷える。

 

……やっぱり、あいつか。

 

私は思わず奥歯を噛み締めた。

 

「……それより、西村くん」

 

「ん?」

 

「菜月ちゃんには……関わってないよね?」

 

「……ああ」

 

西村は、悪びれもせずに続ける。

 

「話しかけたよ」

 

 

次の瞬間。

 

私は西村の腕を取って、体の向きをひねる。

 

「……っ」

 

 西村の体が軽く浮いて、地面に転がった。

 

「……私、言ったよね」

 

私は一歩近づく。

 

「菜月ちゃんには、関わるなって。もう一人の方が誰なのか、確認するだけでいいって」

 

西村は仰向けのまま、嬉しそうに笑った。

 

「だって、そうしたらまた君にこうやって投げてもらえるだろ?」

 

……頭おかしい。

 

これまでも菜月ちゃんや千亜希ちゃんに近づいてくる男は何人もいた。

そのたびに色々してきた。そのあと私に媚びるようになる男も、少なくなかった。

 

こいつも――前に投げ飛ばしてから、頭のネジが飛んだみたいにこうなった。

 

「そういえば和泉くん、面白いこと言ってたよ」

 

仰向けのまま、西村が不敵に笑う。

 

「俺の大切な人って……」

 

その瞬間。

 

私の眉が、ぴくりと動いた。

掴んでいた西村の手首に、指が食い込む。

 

「……っ」

 

「いたたっ。……ねえ、それ、普通に痛いっ。嬉しいけど!」

 

 ……俺の大切な人?

 

 ……許せない。

 

 千亜希ちゃんに手を出そうとして、今度は菜月ちゃんにまで。

 

……あの子たちは、私のだ。

 

 ……ずっとずっとだ。

 

 ……許さない。許さない。

 

 ……絶対に許さない。

 

「……和泉敏之」

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

続きとかのアイディアはあったのですが、一区切りという形で今回はここで最終話にさせていただきます。ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

 

 

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